平成2960日目

平成9年2月14日(金)

1997/02/14

【オウム・松本智津夫被告】第26回公判

オウム真理教松本智津夫被告(41)=教祖名麻原彰晃=の第26回公判が14日、東京地裁で開かれ、坂本堤弁護士一家殺害事件の新たな検察側証人の元幹部早川紀代秀被告(47)は「麻原被告から指示され実行犯の一員でした。最初は坂本弁護士一人だったが、妻子も殺害するよう指示を変えた」と証言した。

その上で「坂本さん宅のかぎが開いていることを電話で伝えると麻原被告は『(家族も)一緒にやるしかない』と命じた」とし、一家三人を殺害した経緯を詳述した。《共同通信》

松本被告は証言に割り込み「うそついてるぞ」などと阿部文洋裁判長の制止を無視して独り言を繰り返したため、前日に続いて退廷させられた。退廷命令は五度目。

公判は午前10時すぎに開廷し、早川被告は前日の元幹部岡崎一明被告(36)に続き、事件の経緯を証言。松本被告の独り言を聞いて言葉に詰まり、開廷後約40分で松本被告が退廷した直後には証言席の机に突っ伏して泣いた。

早川被告の証言によると、松本被告は事件2日前の平成元年11月2日から3日未明に「坂本弁護士が問題なんだ。『被害者の会』の実質リーダーで、一番ポアしなければならない」と坂本弁護士の殺害を指示した。教団の批判記事を掲載した「サンデー毎日」の編集長を狙うと考えていた早川被告は「弁護士は依頼を受けてやっているだけなのに」と思った。

妻子殺害は早川被告が現場付近から松本被告に電話し、指示された。松本被告にためらうような様子は感じられなかったという。妻子殺害の指示について、松本被告の捜査段階の供述調書には、早川被告が松本被告に電話し「家族がいるがどうするか」と妻子殺害に言及したと記述されている。

早川被告は自分の公判で起訴事実を認め、共犯とされる幹部端本悟被告(29)の公判でも事件の経緯を証言した。《共同通信》

「うそをついてはいけないよ」「麻原彰晃だ、これは」。証言をけん制する発言を繰り返し、前日に続き退廷を命じられた14日の松本被告。懸命に検察官の質問に耳を傾け証言する努力を続けていた早川被告は、「教祖」が刑務官に抱えられて東京地裁の法廷から姿を消すと、証言台に突っ伏し、左腕に顔を押しつけ、声を上げて泣いた。

この日の公判で松本被告は入廷するなり「今日認否させてください。駄目なら退廷した方がいい」と阿部文洋裁判長に要求。阿部裁判長から「証人尋問だから聞いてなさい」とたしなめられた。

グレーのスーツ姿で、小さな声で証言を続ける早川被告。しかし約10分後、松本被告が「正直に言った方がいい」と横からつぶやくと、沈黙し赤いハンカチで何度も目を押さえた。松本被告はしばらく黙って聞いていたが、間もなく「うそです。そういう話はありません。国選弁護人はまじめに仕事してない」などと不規則発言を連発。

阿部裁判長が「いろんな裁判をやっているけど、あなたのように静かにできない被告人はいないよ」とくぎを刺すと傍聴席からは笑いが漏れ、松本被告は「何回いばりくさっているんだ」と裁判長にも食ってかかった。

退廷命令後、泣き続ける早川被告に検察官が歩み寄り「続けられますか」。うなずきながらも顔を上げないため、阿部裁判長が「そこに水がありますから、飲んで少し落ち着いて」と促した。ハンカチで涙をぬぐい、水を飲んだ早川被告は、その後気を落ち着かせ、坂本弁護士一家殺害に至る経緯について淡々と証言を続けた。《共同通信》



【熊本県玉名市・柳町遺跡】日本最古の「文字」見つかる

熊本県玉名市の柳町遺跡から出土した四世紀初頭(古墳時代前期)の木製よろい(短甲)の一部に「田」とみられる文字が書かれているのが見つかり、同県教委と検討会議(座長・甲元真之熊本大教授)は14日「日本で書かれた最古の文字」と発表した。一緒に出生した土器が、これまで日本最古の文字とされた三重県嬉野町・片部遺跡の「田」の字が書かれた土器よりも、古い型式とみられることから、文字の書かれた時期も20−30年さかのぼるという。

甲元教授は「文字という意思伝達手段が早い時期から使われたことがうかがえる貴重な史料。畿内など古墳文化の中心地以外での発見により、当時の文化が予想以上に広く浸透していたことも確認できた」と話している。

文字が見つかったのは、木製短甲の一部とみられる棒状の木片(長さ約7.8センチ、幅約1.1センチ)。短甲を構成する板の継ぎ目部分に、留め具として取り付けられていたらしい。裏側の平面部に約5ミリ四方の文字とみられる黒い跡が五つ並び、うち一つが「田」の字と判定された。残る四つは解読作業中という。

判定の理由として、同教委は①五つの跡が等間隔に配置されている②形がそれぞれ違う③「田」の下辺部を狭く書く特徴が同時代の中国で書かれた文字と類似している−などを挙げ、記号や紋様の可能性は低いとしている。

書かれた方法や材料は不明だが「染料などと筆で書かれた」と「焼き印のような手法」との二説が検討されているという。

片部遺跡の文字は一部の線が欠けており「文字ではない」などと論争になったが、柳町遺跡の文字は完全な形で、筆で書かれたような柔らかい線もあり、検討委員9人とも文字と判定した。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・土井たか子社民党党首と堂本暁子さきがけ議員団座長は14日の定期政策協議の冒頭、双方の幹事長ら幹部にそれぞれバレンタインデーのチョコレートをプレゼント。堂本氏が「バレンタインだから」と社民党幹部に渡すと、負けじとばかりに土井氏も「(私もプレゼントを)考えてみました」とさきがけの園田博之幹事長らに差し出した。男性陣は「チョコレートをくれる人なんか(ほかに)いないよ」(及川一夫社民党政審会長)と喜んだが、社さ両党の相思相愛ぶりを表す本命チョコ、それとも義理チョコ。

○・・・自民党の加藤紘一幹事長はこの日都内で講演し、平成9年度予算編成で整備新幹線の新規着工に道を開いたことが批判されたことを例に挙げ「自民党は連立政権への参加で変わってきており評価が上がっていると思う。ただ、何かあるとやっぱりと言われるところがある」と党の現状を冷静に分析。さらに「安心すると自民党におんぶお化けが現れる。ちょっと気を許すと批判を受ける体質がある」と自戒することしきりだった。もっとも加藤氏にとって本当にこわいお化けの正体は「保保連合」?《共同通信》

【ラグビー・大八木淳史選手】現役引退を表明

ラグビーの元日本代表として活躍した神戸製鋼のロック、大八木淳史(35)は、現役を引退することがこのほど決まり、今後は神鋼ラグビー部のアドバイザーとして、後進の育成に当たるとともに、日本協会の競技人口対策プロジェクトの委員として、ラグビーの普及、発展に努めることを、14日明らかにした。

大八木は現役引退の理由について、体力的な衰えによるものではなく、神鋼の新しいチームづくりのためには現役を退くべき、などと説明した。

神鋼は今季、全国社会人大会の準決勝で三洋電機に敗れたが、大八木はこの試合に欠場し「出場していれば、来季もできるという気持ちもわいたと思うが、いい意味でターニングポイントになった」と話した。《共同通信》

【ナホトカ号重油流出事故】

右舷ハッチから油漏出

タンカー重油流出事故で、運輸省は14日、海洋科学技術センターの無人探海探査機「ドルフィン3K」によるタンカー「ナホトカ」の潜水調査について検討した結果を明らかにした。油は右舷タンクのハッチから漏出していた。

同省は、同日設置の対策検討委員会で①6000−7000トンある船体を引き揚げ回収する②油だけ抜き取る③鉄の箱や砂、コンクリートで埋め込む−などの可能性についても検討する方針。

同省によると、船体は水深2500メートルの深海で左舷を下にして70−80度傾いた状態で沈没。油を積んでいない右舷5番タンクは水圧でつぶれていた。油漏出は一カ所だけで、前部に当たる右舷4番タンクのハッチから漏出、手すりに付着後1−1.5時間掛け、海面に出ているという。

同ハッチは閉まっていなかったか、パッキングが緩んでいるとみられるが、同省は第4タンクの1200キロリットルのうち3分の2がわずかずつ出れば、漏出は自然に止まるとみている。

付着油除去始まる

ロシアのタンカー重油流出事故で、海上災害防止センターは14日、福井県三国町沖に座礁した船首部タンク内に付着している油を、仮設道路に設置した大型クレーンを使って取り除く作業を始めた。

船首部の重油抜き取り作業は10日に終了したが、タンク内部にはまだ重油が付着しており、大型クレーンにホースなどを取り付ける作業が13日まで続けられていた。《共同通信》

エリツィン大統領がメッセージ

外務省は14日夜、ロシア船籍のタンカー「ナホトカ」の沈没による重油流出事故に関連してロシアのエリツィン大統領から橋本龍太郎首相あてにメッセージが届き、首相からも返事を送ったことを明らかにした。

エリツィン大統領のメッセージは13日に届いたもので「日本の被災地の住民にあらためてお見舞いを申し上げたい。日ロ双方が力を合わせてこの災難を処理できることを期待する」と両国の協力が重要だとの認識を表明。これに対し橋本首相は14日、「被害は依然として拡大しており、汚染除去、原因究明、補償確保、再発防止などの点でロシア側関係者が引き続き誠意をもって対処するよう強く期待する」と要請した。《共同通信》

【在ペルー日本大使公邸占拠事件】2日続きの対話に合意

ペルーの日本大使公邸人質事件で、ペルー政府とトゥパク・アマル革命運動(MRTA)武装グループの代表は1月14日午後、公邸前の民家で2回目の予備的対話をした。保証人のシプリアニ司教らは対話終了後、「予備的対話は実質的に進展した。明日(15日)も続行する」と声明を発表。2日連続の対話開催に合意したことを明らかにした。

対話は予想以上に順調に開かれており、今後の交渉に明るい希望が出てきた。しかし司教らは「政府とMRTAは互いに議題に関する提案をしたが、まだ合意できていない」と、本格交渉に向けた議題設定には至らなかったことを認めた。

今後、議題設定で合意しても、MRTA服役囚の釈放問題などでは大きく対立しており、事件解決までにはなお相当の時間がかかる見通しだ。

この日の対話は、午後3時20分(日本時間15日午前5時20分)すぎに始まり、午後6時40分ごろまで続いた。1回目と同様、政府側はパレルモ教育相が出席、保証人のシプリアニ司教、ビンセント大使、ミニグ赤十字国際委員会ペルー事務所代表の3人と、日本政府現地対策本部の寺田輝介顧問がオブザーバーとして同席した。MRTA側も前回と同じ、武装グループのナンバー2、ロハス容疑者が参加したとみられる。

11日の1回目の予備的対話では、対話継続で合意。MRTA側は最大の対立点である仲間の服役囚の釈放要求を持ち出したが、突っ込んだ協議をせず、中断を回避した。2回目の対話でも、同じ要求を続けた可能性は高いが、パレルモ教育相は論争を後回しにして合意点を積み上げる対話継続を選んだようだ。《共同通信》



2月14日のできごと