平成2881日目
1996/11/27
この日のできごと(何の日)
【南アフリカ】台湾と断交へ
南アフリカのマンデラ大統領は27日、記者会見し、今年末から台湾との外交関係を縮小し、1998年1月1日までに中国政府を完全に承認すると発表した。台湾を承認している約30カ国の中では、南アは最大の政治、経済大国で、南アの断交が台湾の実質外交に与える影響は大きい。
南アは白人政権時代から、台湾との外交関係を維持、94年に就任したマンデラ大統領も、台湾が黒人解放闘争を支援してきた経緯などから、これまでは「台湾と断交することはない」と言明していた。しかし、中国政府は「一つの中国」の原則から、南アに台湾との断交を強く要求、来年返還される香港での南アの権益保護などをたてに水面下で断交を強く働き掛けたとみられる。
マンデラ大統領は「国際社会で南アが果たすべき役割から考えて、台湾を承認し続けることは不適切だ」と述べ、台湾との断交を段階的に進めていく理由を示した。
マンデラ大統領は、26日に中国、台湾双方の代表団と会談。中国承認の意向を説明する一方で、「台湾とも建設的な関係を続けていきたい」との考えを示した。《共同通信》
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【芝信用金庫事件】差額賃金支払い命令
女性であることを理由に昇格・昇進で差別され、その結果賃金も男性と大きく差がついているとして「芝信用金庫」(東京都港区)の女性職員ら13人が同金庫に男性と同等の資格・地位の確認と賃金差額や慰謝料計2億3000万円の支払いを求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。
林豊裁判長は11人に「課長職」の資格にあることを確認、定年退職をした1人を含む12人に差額賃金計約1億円を支払うよう同金庫に命じた。
男女格差是正を求める訴訟で女性の昇格を確認したのは初めて。男女雇用均等法の見直し作業が進む中、差別的な人事が問題になっており、判決はこうした企業側の姿勢にあらためて反省を迫る結果となった。
訴えていたのはA子さん(54)ら同金庫に40−28年勤続している女性12人と、裁判中に定年を迎えたB子さん(63)。
判決理由で林裁判長は「芝信用金庫では男性は年功序列的に課長職に昇格させるのが労使慣行となっており、女性にこの慣行を適用せず枠外に置く人事政策は就業規則上も現行法秩序の上からも許されない」と述べた。
課長職と確認した11人について、林裁判長は今後の給与に毎月約9万4000−4万9000円上乗せするよう命じた。最も勤続年数の短い1人については「同期の男性でも3割が昇格していない」と請求をすべて棄却した。
原告らは課長職の資格だけでなく「課長」の地位も求めたが、林裁判長は「職位を与えるのは企業の専権事項であって労使慣行ではなく、原告に請求権はない」と退けた。《共同通信》
【香港・パッテン総督】東京で講演
来日中の香港のパッテン総督は27日午前、東京・大手町の経団連会館で講演し「香港の発展は中国の国益にかなう。来年7月に中国が主権を握っても、優秀でよく教育された労働者などの社会基盤が維持されれば、21世紀も香港の発展は続く」と述べ、中国返還後の香港の将来性に自信を示した。
総督の講演は「最近の香港情勢について」と題して約20分間行われた。総督は、アジア地域の経済成長について「自由主義経済の勝利」と総括。「多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)の成功を踏まえてさらに貿易自由化を進めなければならない」と主張した。《共同通信》
【政界談話室】
○・・・民主党の菅直人代表は27日朝、経団連で講演し、同党が与党か野党かについて「行政や内閣の責任を分担していないから与党ではない」「野党は政権党の足を引っ張って政権を取るものだが、自民党の足を引っ張るつもりはないので野党でもない」と、独自の与野党論を展開。続けて民主党の現状を「ラジオのスタジオで、透明なガラス越しに指示を出しているディレクターのようなもの」と位置付けた。その心を「立法府として、政府に嫌なことをやらせることで政治全体の責任を担っている」と説明したが、野党色を強める民主党の中にあって与党志向がチラリ。
○・・・武藤嘉文総務庁長官はこの日午後、就任後初めて行革委員会に出席、28日に発足する首相直属機関の行政改革会議に触れ「屋上屋を重ねるとの批判もあるが(行革委の)皆さんの提言を十分反映して役立たせたい」とあいさつ。ところが委員の間からは「お召し列車が横を通り過ぎるが、私たちはおんぼろバスで行くのでよろしく」「国民から見れば、何で似たようなものをつくるのかと批判がある」と皮肉や苦言。これには武藤氏もグサリときたようで「皆さんの仕事は決して無にならないよう努力していきます」とひたすら低姿勢だった。《共同通信》
【橋本龍太郎首相】カナダ・クレティエン首相と会談
橋本龍太郎首相は27日夕、首相官邸でカナダのクレティエン首相と会談し、国連やアジア太平洋経済協力会議(APEC)などを通じた二国間協力を強化していくことを確認、政治、安保、経済、環境の各分野での具体的な協力を盛り込んだ共同文書を発表した。
会談でクレティエン首相は、カナダが主導している難民支援のための多国籍軍のザイール派遣について、日本の協力表明に謝意を表明。橋本首相は両国外相間の検討結果を受けて、財政支援の規模など日本としての具体的な貢献策を決定する考えを示した。《共同通信》