平成2812日目

平成8年9月19日(木)

1996/09/19

【オウム真理教・松本智津夫被告】第8回公判

オウム真理教の松本智津夫被告(41)=教祖名麻原彰晃=の第8回公判が19日、東京地裁(阿部文洋裁判長)で開かれ、地下鉄サリン事件の実行犯の一人とされる元幹部林郁夫被告(49)が「千代田線の車中でサリンをまいた。村井(秀夫元幹部)から指示を受け(その時のしぐさなどから)それは麻原の指示と認識した」と、犯行の指示から実行までの経緯を明確に証言した。

その上で「麻原の指示は正しいと認識していたから、私には断るという選択肢はなかった」と述べた。証言では松本被告を終始「麻原」と呼び捨てにしていた。松本被告の公判で元幹部が証言するいわゆる「師弟対決」は初めて。

第八回公判は午前10時に開廷。林被告は松本被告を見ないまま証言台に立った。松本被告は表情を変えず、じっと証言を聞いた。林被告は検察側証人。この日は検察側の主尋問だけで、林被告の尋問後、丸ノ内線と日比谷線での事件発生状況について、営団職員ら3人が証言する。

林被告は村井元幹部からの指示について「事件2日前の昨年3月18日だった。村井は首を上げ下げして『これは…からだからね』と言った」とし、犯行の指示が松本被告の命令と認識した当時の状況を説明した。

また、村井元幹部は「地下鉄は密閉され、効果的に人を殺せる。対象は国家権力の代表、公安警察、検察、裁判所に勤める人」と話していた、と証言した。

事件前日には東京都渋谷区のアジトで、元幹部井上嘉浩被告(26)が中心となり、路線ごとに実行グループの振り分けを決めたことも明らかにした。

サリンについては「平成5年12月、創価学会の池田大作名誉会長を狙ったテロが失敗して、新実(智光被告)が呼吸困難になった時に知った」と述べた。

検察側冒頭陳述によると、松本被告は昨年3月18日未明、車の中で村井元幹部に犯行を指示。村井元幹部は同日早朝、林被告ら実行犯とされる5人に指示を伝えた。《共同通信》

オウム真理教松本智津夫被告(41)=教祖名麻原彰晃=の第8回公判は19日午後も東京地裁(阿部文洋裁判長)で続けられ、検察側証人の元幹部林郁夫被告(49)は「麻原は人間の心を考えない。宗教で自分の欲望をかなえようとした」と松本被告を面前で厳しく批判した。

地下鉄にサリンを散布した後の状況について「麻原に『やってきました』と報告すると、麻原は『そうか』とうなづいた」と証言した。 林被告の証言は約4時間に及び、涙を流す場面もあったが、尋問には最後まで明確に答えていた。

この日は検察側の主尋問だけで、弁護側の反対尋問は10月17日の公判で行われる予定。20日の第9回公判では、松本被告が村井秀夫元幹部=死亡当時(36)=に犯行を指示した現場に同席し、実行犯を現場指揮したとされる元幹部井上嘉浩被告(26)を証人尋問する。

午後の公判で、林被告は昨年3月20日、山梨県上九一色村の教団施設で村井元幹部からサリン入りの袋を受け取り、傘で破る方法を伝えられた後、東京に戻り、千代田線の車内でサリンを散布させた経緯を証言した。サリンを散布する際は「戦いが始まっている。女性や子供は非戦闘員だから、死ぬのは嫌だなと思った」という。

逮捕後、事件への関与を認めたことについて「青山(吉伸被告)から黙秘は修行と強く指示されたが、そうは思えなかった。自殺を決意した際、自分に殺された人たちとその遺族の無念さに気付き、麻原の教義は間違いだと分かった」とし、証言の最後には「麻原は事実を語る心の持ち主ではないから、私が証言した」と述べた。

オウム真理教の松本智津夫被告(41)=教祖名麻原彰晃=の弁護団が19日の公判終了後、東京・霞が関の弁護士会館で記者会見し、検察側証人として出廷した元幹部林郁夫被告(49)の証言について松本被告が「根本的に事実と違う」と昼休みと午後の休憩時間の2回語ったことを明らかにした。会見した渡辺脩弁護団長らは「本人の承諾を得て紹介できる言葉はこれだけ」と述べた。《共同通信》



【大相撲秋場所】12日目

大相撲秋場所12日目(19日・両国国技館)横綱貴乃花が全勝を守り、2敗は大関武蔵丸だけになった。この結果、13日目に貴乃花が勝って武蔵丸が敗れると、貴乃花の4場所連続15度目の優勝が決まる。

貴乃花は小結武双山を左四つから危なげなく寄り切った。武双山は6勝6敗。2敗同士の対戦は武蔵丸が気迫あふれる相撲で横綱曙を寄り倒した。大関若乃花は玉春日を寄り倒して3敗を守った。大関貴ノ浪は勝ち越し。関脇同士の一番は貴闘力が勝って給金を直した。魁皇は5敗目。十両は栃東が2敗目を喫したが、依然単独トップに立っている。《共同通信》

【政府、与党】臨時国会27日召集で合意

政府与党は19日午後の首脳連絡会議で、臨時国会の27日召集で合意、20日の閣議で決定する。衆院解散を前提とする臨時国会招集が決まったことで、橋本龍太郎首相の意向である「10月8日公示ー20日投票」の総選挙日程が事実上、確定した。約70年ぶりの選挙制度改革による小選挙区比例代表並立制の下で、初の衆院選となる。

これに先立ち、首相(自民党総裁)は村山富市社民党党首、井出正一新党さきがけ代表と会談し、27日の臨時国会召集で一致した。社さ両党は臨時国会で首相の所信表明演説と代表質問を求めたが、首相は冒頭解散の方針で、召集後直ちに手続きに入る。

梶山静六官房長官は19日夕の衆参両院の議運委理事会に出席し、臨時国会召集の理由として「新進党が要求しているためだ」と説明した。

首相は首脳連絡会議で、党首会談について「臨時国会を27日に召集、政府与党が一体となって臨むことで合意した」と報告、了承された。民主党結成をにらみ、3党が結束して総選挙に臨む方針も明らかにした。

党首会談で村山、井出両氏は「解散のための臨時国会召集はおかしい」と反発、所信表明演説などを通じて争点を鮮明にすべきだと迫ったが、首相は態度を保留した。

佐藤観樹社民党幹事長は記者会見で「連立政権下で初の解散だ。自民党総裁だけで決める性格のものではない」と批判した。しかし、梶山長官は「臨時国会の在り方にいろいろな意見はあるが、首相に任せたということだ」と指摘。渡辺嘉蔵官房副長官も会見で、冒頭解散などの政治判断は首相に一任されていると明言した。

総選挙では自社さ連立政権への信任投票という側面に加え、消費税率5%への引き上げ、行財政改革、政治倫理、国会・政治改革、地方分権などをめぐって国民の審判が下る。自民、新進の二大政党対決、民主党結成を含む第三極の動向、批判票獲得を狙う共産党の動きも焦点となろう。《共同通信》

【自民党・桜内義雄前衆議院議長】南京大虐殺の記述批判

自民党の桜内義雄前衆議院議長は19日、松江市母衣町の松江商工会館で行った講演で、太平洋戦争などに関連する教科書記述を「戦争のおかげで解放された国もあるのに、教科書には侵略したことだけしか書いていない」などと批判した。

昭和12年の南京大虐殺についても言及。「私が出兵して南京の病院に入院していた時、現地の人から虐殺のことなど何も聞かなかった。来年の教科書には(被害者が)20万人とか30万人とか書かれているが疑わしい」などと、教科書の記述を疑問視する発言をした。

桜内前議長は商工会の後援者ら約200人を前に「自民党単独政権」を訴えるうちに南京大虐殺などに言及したもので、「教科書を見ると、侵略をしたとか慰安婦を連れたとか書いているが、あれは侵略というより、やむにやまれぬ戦争だった」とも述べた。

桜内前衆院議長は19日、教科書記述を批判したことについて、秘書を通じて「個人的な体験を話しただけで、歴史的事実を否定しようとしたものではない」と話した。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・中曽根康弘元首相は19日、加藤紘一自民党幹事長と約1時間会談、衆院解散・総選挙を出産になぞらえ「産気づかないうちは仕方ないけど、産気づいたら出産は早い方がいい」と早期の解散決定をアドバイス。一呼吸置いて「(その場合は)安産じゃないけど」とポツリ。これには加藤氏もしばし絶句し「(解散は)首相の専権事項ですから」とかわすのがやっと。昭和61年の「死んだふり解散」をはじめ、数々の政局の修羅場をくぐりぬけた中曽根氏の助言は「良薬」ならぬ「劇薬」?

○・・・新進党の西岡武夫幹事長はこの日午後、日本外国特派員協会で講演。離党者が相次いでいることを指摘されると「総選挙を前に揺れる議員の心理状況に手を突っ込まれたのは否定しない。幹事長として力不足は認めざるを得ない」といったんは神妙な受け答え。しかし最近のマスコミの世論調査で新進党の支持率低下を突かれると「昨年の参院選もそうだが、世論調査をすると実態より低い数字が出る」と解説。「不可思議な現象だが、選挙に勝つ自信を持っている」と非論理的ながら強気の分析を展開し、いつもながらの「西岡節」で締めくくった。《共同通信》

【江陵浸透事件】韓国軍、北朝鮮武装スパイ7人を射殺

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の潜水艦による武装スパイ潜入事件で、韓国の軍・警察合同報道本部は19日午前、江原道江陵市で武装スパイ3人を射殺したと発表した。同本部によると、逃亡中の北朝鮮スパイ4人と韓国軍・警察との間で銃撃戦となり、3人が射殺され、1人は逃走した。同事件での死亡者は計14人となった。18日に1人が逮捕されている。

軍・警察当局は19日、ヘリコプターを投入。約2万人を動員し、包囲網を敷きながら、逃走している武装スパイの捜索活動を展開した。

軍・警察では逮捕された李グァンス容疑者(31)の供述から、依然逃走しているのは5人とみて捜索を続けている。逃走中の武装スパイは、2組に分かれて行動しているとみられる。《共同通信》

韓国北東部の江原道江陵市で起きた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の潜水艦による武装スパイ潜入事件で、韓国の軍・警察当局は19日午後、さらに4人を射殺したことを明らかにした。これで、逮捕者1人、自殺11人、射殺7人となった。

韓国軍当局は、18日逮捕した李グァンス容疑者の供述から韓国への潜入者は20人とみていたが、座礁した潜水艦には20人以上の搭乗が可能で、李容疑者の供述も明確でないことがら、潜入したのが20人を超える可能性もあるとみて捜索活動を続けている。

軍・警察当局はこの日も早朝から大掛かりな捜索活動を繰り広げ、同日午前11時10分ごろ、江陵市江東面の山中で住民の通報から4人の北朝鮮スパイを発見、銃撃戦の末、3人を射殺した。1人は逃走した。午後2時すぎにもこの近くで韓国軍が3人のスパイを射殺した。さらに午後4時すぎに1人を射殺した。

国防省はこの日、国会の国防委員会での答弁で「李容疑者は最初は20人と供述し、その後に25人、さらにその後で20人と供述を変えるなどしており、20人以上の可能性もある」と指摘した。《共同通信》



9月19日のできごと