平成2525日目

平成7年12月7日(木)

1995/12/07

【村山富市首相】沖縄県知事を提訴

村山富市首相は7日午後、沖縄の米軍用地強制使用手続きをめぐり、代理署名を拒否している大田昌秀沖縄県知事を相手取って代理署名の職務執行命令を求める行政訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。

これにより、沖縄の米軍基地問題は法廷で政府と県が争う新たな段階に入った。機関委任事務に関し、国が都道府県知事を訴えるのは初めて。日米安保体制維持をめくる国と、基地を抱える地方自治体の立場の違いが鮮明になり、沖縄県民の政府批判が強まりそうだ。

訴えによると、米軍用地提供は日米安保条約上の義務であり、知事の署名拒否はこれを妨げ、公益を害するとして、地方自治法151条の2(国の機関としての長に対する職務執行命令)に基づき知事に代理署名の職務執行を命じるよう求めた。訴訟は行政事件訴訟法関連の「職務執行命令等訴訟規則」に照らして審理促進が義務付けられており、提訴後15日以内に第1回口頭弁論が開かれることになっているが、県側は憲法の財産権規定を盾に全面的に争う構えで、裁判が長引く可能性もある。

知事は代理署名を命じる判決が出ても従わない方針。その場合、首相が署名代行に踏み切っても、沖縄県収用委員会の強制使用裁決に当たって、大田知事や関係市村長が裁決申請書の公告・縦覧を拒否するのは必至。再び勧告、命令、訴訟が繰り返されるのは避けられそうもない。

このため、一部基地の契約期限が切れる来年3月末までに強制使用手続きを完了するのは困難とみられ、政府は駐留軍用地特別措置法に基づいて半年間の「緊急使用」規定の適用も併せて検討する。《共同通信》



【新進党党首選】小沢氏、出馬固める

新進党の小沢一郎幹事長は7日、党首公選に立候補する意向を固めた。海部俊樹党首、羽田孜副党首も立候補する方針で、16日の告示される新進党初の党首公選は三つどもえの激戦となる見通しとなった。

こうした中で、羽田、小沢両氏は7日夜、約2時間にわたり都内のホテルで、渡部恒三政務会長を交えて意見交換した。羽田氏は立候補の意向を表明。両氏は8日に改めて会談する。

これに先立ち、小沢氏は、同氏擁立を目指す「小沢一郎君を党首にする会」の藤井裕久元蔵相らの出馬要請に対し、「国家国民のことを考えて真剣に検討してみたい」と述べ、出馬に強い意欲を示した。《読売新聞》

【宗教法人法改正案】特別委で可決

参院宗教法人特別委員会(倉田寛之委員長)は7日、今国会最大の焦点である宗教法人法改正案について締めくくりの総括質疑を行った後、採決に入り、自民、社会、共産各党の賛成多数で可決した。平成会(新進党、公明など)は反対。8日の参院本会議で可決、成立する運びだ。

改正案は①複数の都道府県に活動がまたがる宗教法人の所轄庁は文相とする②宗教法人に財務関係書類の所轄庁への提出を義務付ける③信者らに財務書類の閲覧請求権を認める④所轄庁は認証取り消しにあたるような疑いのある場合は宗教法人に報告を求め、質問できる―などが骨子。昭和26年の宗教法人法施行以来、単独改正はこれが初めて。

参院は11月22日から審議に入ったが、衆院段階同様、オウム真理教事件を契機とした世論を背景に「宗教法人に対し最小限の活動実態を把握する必要がある」と成立を急ぐ自民党と、「国家の権限強化につながり、信教の自由を侵す」と反対する新進党が、次期総選挙をにらんで対決。

自民党は特に、新進党の有力支持団体である創価学会の選挙活動をけん制するため、「宗教団体の政治活動は憲法20条の政教分離原則に触れる」として、政府の憲法解釈の見直しを強く求めた。

同28日には創価学会の池田大作名誉会長の参考人招致議決を求める自民党に対し、平成会が委員長室前でピケを張るなど実力行使で招致阻止を図った。このため委員長が翌日辞任するなどの事態となったが、その後の与野党折衝で池田氏の招致は見送られ、創価学会の秋谷栄之助会長を呼ぶことで合意した。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・村山富市首相は7日午前、今国会の焦点だった宗教法人法改正案が参院特別委員会で可決され、8日成立の運びになったことについて記者団から聞かれると「衆、参両方で熱心な審議をされたからね」と、自民、新進両党の激しい攻防で特別委の委員長らが野党議員によって軟禁されたことなどを思い出してか皮肉交じりにひと言。それでもほっとしたのか「国民の関心も高まったんじゃないか。皆さんの熱心な討議に感謝します」と続けた。この問題では一部で衆院解散につながるのでは、との見方も出ただけに「熱心な」討議にさまざまな思い。

○・・・共産党の志位和夫書記局長はこの日の記者会見で、政府が沖縄米軍基地強制使用のため大田昌秀沖縄県知事に対する職務執行命令訴訟を起こしたことを非難。訴状が大田知事の「職務懈怠」を理由としている点については「懈怠しているのはどちらかと思った。首相の方が職務を一切懈怠している」と首相をばっさり。大田知事を社会党が推薦したことについても「知事が公約を貫くために代理署名を拒否していることをもって“被告”として告発した村山首相の行為は天下に恥ずべきものだ」と言いたい放題。《共同通信》

【ナゴヤドーム】大屋根をリフトアップ

名古屋市東区に建設中のナゴヤドームで、大屋根を25メートルの高さまで持ち上げるリフトアップ作業が7日午後、終了した。

6日朝、リフトアップ開始のボタンが押され、直径約187メートル、重さ約1万300トンの大屋根は時速約2メートルのゆっくりした速度で上昇を開始。二日がかりの約14時間をかけた大工事だった。

上空から見ると、巨大なおわんのふたのように見える大屋根。建設担当者は「建築物としては世界最大のリフトアップを終え、ほっとした」と話した。《共同通信》

【英・ダイアナ妃】社会的弱者の救済を

英テレビとの単独会見で不倫などを告白したダイアナ英皇太子妃は7日、ホームレス支援団体の集会でホームレスの若者にもチャンスを与えるべきだとスピーチ、社会的弱者となっている若者の救済を熱く訴えた。

妃の発言が政府の弱者救済政策を非難しているともとれるため、与党保守党の議員は中立であるべき王室が政治に介入していると一斉に反発。8日付英紙は「親善大使になりたい、との妃の熱望(の実現)は後退した」(デーリー・メール紙)などと大きく報道した。

ダイアナ妃は集会で「若者が食べ物を買うために物ごいし、時には売春をしている」「若者は路上での生活で精神的にも肉体的にも大きなダメージを受けている」と訴えた。

野党労働党は、7日夕の下院議会でホームレス問題を取り上げて保守党を攻撃。一方、保守党側は集会にストロー労働党議員(影の内閣の内相)が出席していたことに怒りを強めた。

スティーン保守党議員は「ストロー議員が同じ場にいたことは、妃を政治的に活用しようという動きに、妃がいかに無防備かを物語っている」と話している。《共同通信》

【英国】「狂牛病」パニック

牛が脳や運動神経に異常を起こして死亡する「狂牛病」への感染を恐れ、ロンドンで7日、公立学校約500校が、給食での牛肉使用を禁止した。英政府は「牛肉は安全である」(ホッグ農漁業食糧相)と訴えているが、感染の可能性は完全に否定されておらず、パニックは全土に広がる恐れもある。

牛肉使用を禁止したのは、ケンジントン、ワンズワース、イーリングなど6区を中心とする小中学校。ロンドンの配膳業者協会も同日、学校給食用には当面、豚や鶏肉を使うよう加盟業者に要請した。市内では牛肉の売り上げが急減しており、ファストフード店のハンバーガーの売れ行きにも影響しそうだ。

狂牛病とみられる病原体は、ことし夏以降、一部の食肉処理場で発見された。農漁業食糧省は11月初め、病原体が巣くうとされる牛の脳や脊髄を、他の内臓や肉から完全に隔離するよう食肉処理業者に注意を呼び掛けた。

狂牛病に人間が感染するという科学的根拠はないが、ホッグ農漁業食糧相自身「絶対感染しないという根拠もない」と認めるように、未解明の病気。マートン区教育委員会のシーラー・ナイト委員長は「わずかでも感染の確率がある限り、子供たちを危険にさらすわけにはいかない」と牛肉禁止の理由を説明した。《共同通信》



12月7日のできごと