平成2434日目

平成7年9月7日(木)

1995/09/07

【坂本弁護士一家殺害事件】麻原被告らを再逮捕

坂本弁護士一家事件で、警視庁と神奈川県警の合同捜査本部は7日午前、オウム真理教教祖の麻原彰晃被告(40)の主導で行われた犯行と断定、坂本堤弁護士=当時(33)=に対する殺人容疑で麻原被告と実行グループとされる教団幹部ら計5人を再逮捕した。 捜査本部は、6日夜逮捕した元教団幹部岡崎一明容疑者(34)と麻原被告らを追及、麻原被告の具体的な指示の内容や実行グループ内での役割分担など事件の全容解明を急ぐ。

調べに対し、麻原被告は「事件については何も話すことはない」と供述。岡崎容疑者や残りの4人は犯行を認めており、一部の幹部は「麻原被告の指示で殺害した」と供述しているという。

一方、6日の捜索で遺体が見つからなかった長男竜彦ちゃん=同(1つ)=の捜索を7日朝から遺棄現場とされる長野県・大町温泉郷近くの湿地帯で再開、遺体発見に全力を挙げている。

再逮捕されたのは、麻原被告のほか教団「建設省大臣」早川紀代秀(46)、事実上の「法皇内庁長官」中川智正(32)、「自治省大臣」新実智光(31)、「自治省」所属端本悟(28)の5被告。 これまでの調べで早川被告らは、殺害方法について「首を絞めた」「塩化カリウムを注射した」「金づちで襲った」などと供述しており、捜査本部は同日、坂本弁護士の遺体を司法解剖し、詳しい死因を調べる。

捜査本部は7日午前、容疑を裏付けるため静岡県富士宮市の教団総本部や東京・南青山の東京総本部、山梨県上九一色村の教団施設など計十数カ所を捜索。また坂本弁護士と妻都子さん=同(29)=の遺体が見つかった新潟県名立町の大毛無山山腹と魚津市の僧ヶ岳山中の捜索も順次再開した。

同捜査本部によると、坂本弁護士の妻都子さんの遺体の捜索は7日昼ごろ終わり、午後3時前後に神奈川県警の車で神奈川県に向かう予定。

これまでの調べによると、麻原被告は平成元年11月2日、教団総本部に「科学技術省大臣」故村井一秀夫元幹部=死亡当時(36)=を含む実行グループ6人全員を招集。この席で「坂本弁護士をポアしろ」と殺害を命じた。 遺体の遺棄については、時効が成立しているため立件を見送った。

雨の中、坂本堤弁護士の長男竜彦ちゃんの捜索は7日午前7時、遺体が埋められたとされる長野・大町温泉郷近くの湿地帯で再開された。坂本弁護士と妻都子さんが遺体で見つかった新潟、富山の山中でも捜索・検証が行われた。

冷たい雨の中、大町市の湿地帯で再開された竜彦ちゃんの捜索は、前日に引き続き、わき出る水と闘いながらの作業となった。わき水と雨で、掘った穴には2、30センチの水がたまり、ぬかるむ泥で捜査員の足がとられる。10人近いバケツリレーと排水ポンプで赤茶けた泥水を外に出しながら、捜査員らは、くま手を使って髪の毛や細かい骨など手掛かりがないかどうか調べた。 現場を訪れた弁護士に対し同県警は「場所には自信を持っている」と説明した。

坂本弁護士の遺体が見つかった新潟県名立町にある大毛無山の山頂に近い林道わきの雑木林では、神奈川県警の捜査員らが朝から遺体搬出後の現場を検証。遺体の発見状況や地形などを丹念に記録、同日中には作業を終了する予定という。 都子さんの遺体が埋められていた魚津市の僧ケ岳西側の山中でも同日朝、林道入り口から約6キロ離れた現場で、残る遺体部分がないかどうか発掘作業が再開された。《共同通信》

「一刻も早く見つけ出して、両親と一緒にしてあげたい」。坂本堤弁護士=当時(33)=の長男竜彦ちゃん=同(1つ)=の捜索は7日、遺体が埋められたときれる長野県・大町温泉郷近くの湿地帯で続行されたが、有力な手掛かりはなく、同日午後8時、打ち切った。

同日夕、富山県・僧ケ岳山中から変わり果てた妻都子さん=同(29)=の遺体が出発した。殺害され人けのない険しい山に埋められてから5年10カ月ぶり。一足早く新潟県・大毛無山から運び出された夫の後を追うように神奈川県に向かった。

大町市の捜索現場では、わき出る泥水を捜査員がバケツリレーでくみ出したり、スコップとくま手で地面を削る懸命の作業。パワーショベルを投入し、捜索範囲をこれまでの10メートル四方の区域から拡大した。

丸二日の泥水との格闘,に捜査員は疲労の色が濃い。現地で記者会見した神奈川県警の山田敦義広報課長は「見当たらない。進展はない」と重い口調で語った。《共同通信》



【警察庁・国松孝次長官】捜査批判「謙虚に受け止める」

警察庁の国松孝次長官は7日の記者会見で、坂本弁護士一課事件の捜査について「オウム真理教の最初の事件であり、(解決していれば)松本、地下鉄サリン事件もなかったと言うのはその通り。批判を謙虚に受け止め、捜査が一段落した時、誠実に反省、検討していきたい」と述べた。

国松長官は「事件着手にはそれなりの証拠が必要。神奈川県警は初めからオウムとみて必死に本筋の捜査をし、麻原彰晃被告も(任意で)調べたりしたが実を結ばなかった。宗教団体という意識はなかったと思う」とし「しかし、神奈川県警の捜査が松本サリン事件解決の取っ掛かりになり、警視庁に引き継がれた。懸命な努力をしたのは認めてあげたい」と語った。《共同通信》

【仏・シラク大統領】訪日を拒否

フランス大統領府は7日、フランスの核実験実施に対する日本の批判を不満として、シラク大統領は招待されても近い将来には訪日しないとの方針を明らかにした。村山富市首相は今年7月にパリを訪れた際、シラク大統領を来年の適当な時期に招きたいとし、大統領もこれを原則的に受け入れていた。

しかし日本外務省首脳は6日、フランスが核実験を継続する限り、大統領の訪日は実現しないとの考えを表明していた。大統領の訪日をめぐる応酬で、両国関係はさらに悪化する恐れが出てきた。《共同通信》

【タヒチ】ほぼ平静に

フランスの核実験実施に抗議する反核独立派の暴動から一夜明けた7日、空港の建物と駐車中の車が焼かれたフーランス領ポリネシア・タヒチ島のファーア国際空港と、政庁所在地パペーテでは、空港周辺の一部で小競り合いが続いているものの、空港には軍隊も入って、ほぼ平静を取り戻し復旧作業が始まった。民間航空局によると、空港再開のめどは依然立っていない。

フランス高等弁務官事務所によると、6日の暴動で商店など16軒が全半焼し、暴徒50人の身柄を拘束、負傷者は16人。パペーテ中心部の繁華街では営業している店はなく、焼け跡で商品をあさる若者の姿もあった。

行政長官報道官によると、ムルロアから移動した軍隊に加え、パリ、ニューカレドニアから武装警察部隊が到着しており、今後暴動の再発はないとしている。《共同通信》

【武村正義蔵相】東証などを視察

武村正義蔵相は7日、東京証券取引所、東京銀行を相次いで視察した後、記者団の質問に答え、8月の海外投融資促進策に続く新たな円高是正策について「検討しているかどうかは言えないが、あれですべて終わりではないと認識している」と述べ、追加対策を打ち出す可能性を示唆した。

一方、業績不振が続く証券業界の再編問題については「自発的な(経営)再建は結構なことだが、政府の方針としてはまだ何も検討していない。株価を堅調にしながら、株式市場が明るくなるよう努力する」と述べた。

東証での山口光秀理事長らとの懇談では、東証側が株式市場活性化のため、為替相場の一層の円安に向けた努力、金融機関の不良債権問題の解決、景気浮揚策としての第二次補正予算の大型化などを要望した。

蔵相は、国際協調を含めた円安定着努力を続けるとともに、補正予算編成で積極的な対応をする考えを示した。また、今後5年以内に40兆円に上る不良債権の一掃を図る方針を伝え、理解を求めた。《共同通信》

【村山富市首相】官官接待で注文

政府主催の全国都道府県知事会議が7日、首相官邸で開かれた。あいさつの中で村山富市首相は、批判が高まっている地方自治体の「官官接待」について「行政運営は住民負担の基に行われていることを考え、社会批判を招くことがないようお願いする」と注文した。

これに対し全国知事会会長の長野士郎岡山県知事は「(官官接待問題は)誠に遺憾だ。大いに反省し、節度ある対応を心掛けたい」と述べた。

各知事との懇談で村山首相は景気対策に触れ「なお景気動向が厳しいならば(所得税の)特別減税を継続すべきだと考えている」と強調。さらに来年度予算編成の作業では、公共事業の事業別シェア配分を思い切って見直す姿勢を示した。

また首相は、早期に地方分権の推進計画を作成、実施する決意を示すとともに「地方自治体により一層の責任と自覚を求める」として、分権の受け皿としての体制整備に積極的に取り組むよう要請した。

武村正義蔵相は40兆円とも言われる金融機関の不良債権問題について「日銀と一体になって解決していかなければならない」と述べる一方、経営が破たんした信用組合の処理に関連して、青島幸男東京都知事、横山ノック大阪府知事に「難しい問題で苦労を掛けているが、よろしくお願いしたい」と財政支援の協力を求めた。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・村山富市首相は7日、首相官邸で開かれた全国知事会議で、「地方分権推進委員会の勧告を早めにもらうなど積極的に対応していく」と地方分権推進に強い意欲を表明。ところが、知事からは「分権も結構だが、整備新幹線が残っている」「高速道路の整備に格段の配慮を」など従来と同じ陳情の声ばかり。首相もたまらず「具体的な要望ばかり聞いていると、公共投資を削るところがなくなってしまう」と気色ばんだ。熱意に水を掛けられ、拍子抜けした格好となったが、記者団には自分に言い聞かせるように「地方分権を推進してほしい」と力を込めていた。

○・・・社会党の渡辺嘉蔵総務局長はこの日の中央執行委員会の様子について「(新党結成に伴う)党の財産、組織、人について心配する声が出た」と記者団に紹介。「地方組織の財産は都道府県本部ごとに持っており、党(本部)が勝手に処分することはできない。土地、建物を新党に寄付するのか、貸すのかどうか」と事務的な問題点を指摘。さらに「政治理念だけで集まっても風車だ。水車ならコメもつけるけど…」と理念先行の新党結成論議をけん制、実利的な側面も重要であることを強調した。水車に例えるところをみると新党もいずれ消える運命?《共同通信》

【橋本龍太郎通産相】「党運営は機関中心で」

橋本龍太郎通産相は7日午後、都内のホテルで開かれた「橋本龍太郎総裁を実現する会」に出席、総裁になった場合の党運営について「機関中心主義でいきたい。全員参加を目指し、若手や先輩の意見を党の機関で受け止めていきたい」と派閥、長老支配を排し、党の正式な組織を中心に広く意見を求める考えを示した。

宗教法人法改正に関しては「信教の自由と宗教法人の問題は同じものだとは思わない。オウム真理教事件をきっかけとした(宗教法人法見直しを求める)国民の声にこたえる努力が求められている」と述べ、見直しを強調した。

新進党との保・保連合構想に対しては「次の総選挙で新進党はライバル。また、多くの政党がまとまった党であり保守とは思わない」とあらためて否定した。

軍縮を柱に防衛問題懇談会が村山富市首相に報告した提言について「長い目で見ると方向は間違っていないと思うが、防衛力は急激に変動させるべきものではない」と述べ、短期間での防衛力削減を批判。地方分権では、首都機能移転問題を扱う臨時の行政機関の設置を提言した。《共同通信》

9月7日のできごと