平成2060日目
1994/08/29
この日のできごと(何の日)
【テレビ朝日】「不公正報道はない」
テレビ朝日(伊藤邦男社長)は、昨年の椿貞良・報道局長(当時)の総選挙報道発言問題について「不公正、不公平な報道は行われていない」とする社内調査報告書を29日、郵政省に提出した。報告書は椿氏の発言に「政治的公平に反すると疑われてもやむを得ない発言が含まれていたことは否定しがたい」としながらも、①椿氏は非自民政権を誕生させるよう指示・示唆はしていなかった②不公正、不公平な番組の放映はなかった―と結論づけている。
ただし、一部の番組について「テーマを明確に打ち出すために特定の候補者が他の候補者に比較して露出度が多くなる場面があった、などと認め、今後「細心の注意を払う」としている。
調査報告書提出後、記者会見した伊藤社長は「これを教訓に今後いっそう公平、公正な番組作りをしていきたい。社員皆がこれを重く受け止めるよう指示した」と語った。同局はまた、9月4日午後2時から特別番組「テレビ朝日元報道局長発言問題特別調査委員会報告」を放送するという。
この問題は昨年9月の日本民間放送連盟(民放連)放送番組調査会での椿氏の発言が報道されたのがきっかけ。その後、「反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようと、指示ではないが話をし報道をまとめた」という椿発言を収録した同調査会議事録テープ内容が公開された。
同氏は衆院政治改革特別委員会の証人喚問で「指示」について「全くない」と否定していた。《共同通信》
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【大相撲秋場所】番付発表
日本相撲協会は29日朝、大相撲秋場所の番付を発表。小兵の業師、舞の海と正攻法の浜ノ島の日大出身コンビが新小結に昇進した。1横綱、4大関は名古屋場所と同じ。先場所15戦全勝で初優勝した武蔵丸が東大関、14勝1敗の若ノ花が西大関でともに初の綱とりに挑む。
夏場所を途中休場し、名古屋場所も全休した東横綱の曙は、最長記録更新中の10場所連続の一人横綱。名古屋場所後の夏巡業に参加していたが、依然ひざの具合が思わしくなく、秋場所の出場が危ぶまれる。
大関は先場所に続いて張出を作らなかった。横綱を目指す2大関のほか、大関4場所目の貴ノ浪は東に座り、綱とりが出直しになった貴ノ花は西に回って巻き返しを狙う。
【新生党・羽田孜党首】増減税一体処理で
新生党の羽田党首(前首相)は29日午前、静岡県函南町で開かれた党全国研修会で講演し、税制改革について「増税だけの法律が通るはずはない。間接税はこれだけ頂く。ただし実施時期はいつから、とすればいい。同じ法律の中で処理しなければならない」と述べ、あくまでも増減税は同一法案の中で一体処理すべきだとの考えを強調した。村山首相が28日のシンガポールでの内政懇談で「増減税一体固執しない」と財源問題を先送りする考えを示唆したことに対し、強く批判したものだ。
羽田氏は、日本の国連安保理常任理事国入り問題に関連し、村山首相が慎重な姿勢を示していることについても「非常にあいまいで、日本はアジア、世界から孤立してしまう。平和はただ叫んでいるだけではだめだ」と指摘、安保理入りを積極的に推進する考えを強調した。
羽田氏は衆院の解散問題に触れ「区割り法案が通ったら周知期間はある程度必要だが、まず国民の信を問うことが内閣の常道だ。解散の先送りは逃げだ」と述べ、区割り法の成立後、速やかに衆院解散に踏みるべきだとの考えを重ねて表明した。さらに、村山政権全般について「ぬるま湯につかっていたいという気持ちが出ている。保守的、防衛的であり、リスクを避けようという政権だ」と対決姿勢を示した。《共同通信》
【村山富市首相】シンガポール首脳と会談
村山首相は29日午前(日本時間同)から、シンガポールの大統領府でオン・テンチョン大統領、ゴー・チョクトン首相と相次いで会談した。大統領は「最近の日本の首相が戦争中の行為を認めているのは、国連安全保障理事会常任理事国入りのための良いサインだ。日本は大国として世界の中で果たす役割は大きい」と述べ、常任理事国入りを促した。村山首相は、言及しなかった。
村山首相は、戦争責任問題について大統領に「戦争で言葉にならない苦しみと、悲しみを与えた。平和憲法の趣旨を体してやっていく」と述べ、ゴー首相に対しては「未来に向けより良い努力をする。軍事大国にならない立場を堅持する」と強調した。また両首相は、共同でアジア諸国に経済援助を行うことで一致した。《共同通信》
【政界談話室】
○…連立与党の政策調整会議は29日、衆院第一議員会館に専用の会議室をオープンし、加藤紘一自民党政調会長、関山信之社会党政審会長、菅直人新党さきがけ政調会長がそろって看板を掛けた。各党の会議室を持ち回りで使う案もあったが、「連立政権が長続きするかどうかは政策調整の成否がカギ」という加藤氏の意向もあって、自民党が場所を提供。週2回の定期会合など、今後は新会議室が連立与党の政策調整の主舞台となる。看板を掛け終えた関係者からは「まずは長期政権への第一歩だ」との声も聞かれたが、税制改革や被爆者援護法など難題を危え、看板倒れにならぬよう努力も並大抵ではなさそう。
○…羽田新生党党首はこの日、静岡県・函南町で開かれた議員研修会で講演、新・新党結成の必要性を得意の省エネルックで力説した。羽田氏は「明治維新では下級武士、若い志士が大転換を果たした」と若手を礼賛。「われわれのグループは190人。そのうち80人が当選一期生だ。こういう若い人たちが新党結成に立ち上がったことを評価したい」と、若手議員の活躍に期待を表明した。一方で「日本の報道は(政党)幹部発言は大きく取り上げるが、若い人の声はほとんど報道しない。残念なことだ」と、取材陣への当てこすりも。《共同通信》
【中国】死刑囚から移植臓器摘出
香港などで活動している国際的人権擁護団体ヒューマンライツ・ウオッチ・アジアは29日、京都で前日に始まった第15回国際移植学会世界会議に合わせて「中国における臓器調達と死刑」と題した報告書を公表、中国では死刑囚からの移植用の臓器摘出が一般的に行われており、まだ生きているうちに臓器を摘出する例さえあると非難した。
報告書は各国政府に対し、死刑囚の臓器の移植を中国政府が中止するまで、自国内での移植に中国の臓器を利用しないよう呼び掛けている。
報告書によると、死刑囚から摘出される臓器は、腎臓と角膜が多い。死亡前に臓器を摘出できるよう処刑を故意に失敗させ、死刑囚の息が絶えるまでの時間を長くする場合もあるという。
中国当局は当初、死刑囚の臓器利用を否定していたが、最近になって、本人の同意があった場合に限り、たまに行っていることを認めた。しかし、同団体が入手したとして報告書に添付した「死刑囚の遺体、および臓器の利用に関する暫定規定」は、中国で死刑囚の臓器が一般的に利用されていることを示している。《共同通信》
【関西国際空港】開港記念式典(開港は9月4日)
関西復権を抱けた関西国際空港の開港を祝う「開港記念式典」が29日、大阪府泉佐野市沖の空港島にある同空港で開かれた。国内初の本格的な24時間運用の海上空港として着工から7年半の歳月と1兆5000億円の巨費をかけて建設された関西新空港。成田空港と並び世界に開かれた日本の新しい空の玄関として9月4日午前0時開港する。
旅客ターミナルビル(PTB)4階での式典には、訓練やテスト飛行を除いては初めて新空港に特別機で到着された皇太子ご夫妻をはじめ、村山首相臨時代理の橋本通産相や亀井運輸相ら閣僚、近畿2府4県と徳島、三重の各府県知事、経済団体、各国大使、PTB設計者のイタリア人レンゾ・ピアノ氏ら計約800人が出席した。
午前11時、関西国際空港会社の服部経治社長が「日本の航空地図は21世紀に向け大きく塗り替えられる」と式辞、亀井運輸相のあいさつの後、皇太子殿下が「多くの人々の熱意によって生まれた関西国際空港が、今後わが国と世界を結ぶ新しい窓口となり、交流の進展に寄与することを期待します」と祝いの言葉を述べられた。
皇太子ご夫妻は式典後、服部社長らの案内で空港内や、無人運転電車の「ウイングシャトル」を視察。参加者は、国内主要三社の旅客機による周辺上空の記念飛行や真新しい空港を見学した。
大阪府警はこの日、1万人の態勢で過激派のゲリラなどを警戒。第五管区海上保安本部も海上からの警備に当たった。厳戒態勢は開港日まで続く。
大阪空港の騒音問題を契機に計画された新空港は、大阪府南部の沖合約5キロに約510ヘクタールを埋め立てて造成。滑走路は3500メートルが1本。最新の計器着陸装置を備え、開港時の便数は国際線週339便、国内線週469便。年間離着陸数16万回まで対応でき、国際ハブ(拠点)空港として期待されている。
対岸とは空港連絡橋で結ばれ、高速道路が直結。JRと南海電鉄の乗り入れる連絡鉄道や高速船の海上アクセスなど、さまざまなアクセスルートで各地と結ばれている。延べ床面積30万平方メートルのPTBは国内線と国歌線の乗り継ぎを上下階の移動だけで可能にするなど、利用者に優しい空港という考え方が取り入れられている。《共同通信》