1993 平成5年12月2日(木)

平成1790日目

平成5年12月2日(木)

1993/12/02

【中西啓介防衛庁長官】憲法発言で辞任

国会は2日午前、中西防衛庁長官の「憲法見直し」発言をめぐって衆院予算委員会が紛糾、審議が中断した。与党側は、中西長官が陳謝することで事態の収拾を図る方針だが、野党側は長官の罷免を求める構えだ。与野党は断続的に予算委理事会を開いて協議を続けたが、問題は今後に尾を引きそうで、委員会審議再開のめどは立っていない。

中西長官は前日夜の新生党の会合で講演し、「半世紀前に作られた憲法に後生大事にしがみついているのはまずい」「社会党が野党だったら首になる可能性があったが、罷免要求もない」などと発言した。

2日の予算委で自民党の白川勝彦氏は、閣僚らの憲法擁護義務を定めた憲法99条に違反すると追及した。これに対し細川首相は、「閣僚としての発言は慎重でなければならない。遺憾な発言がないよう十分注意していきたい」と述べた。

しかし、中西長官は「99条を守りながら、将来の問題として(憲法見直しを)提起した」などと弁明したため、同氏が納得せず審議が中断した。

中西防衛庁長官は2日夜、憲法見直し発言による衆院予算委員会の審議中断の責任を取り官邸で細川首相に辞表を提出、受理された。後任の防衛庁長官は中西氏と同じ新生党の愛知和男・元環境庁長官に決まった。中西長官の辞任により、2日午前から空転していた衆院予算委員会は、3日午前10時半から再開する見通しとなった。

しかし、丸一日の空転で15日の会期末まで残された審議日数がさらに窮屈になったことから、政府、連立与党は政治改革法案の年内成立を断念、会期延長により年明けの成立を目指す方針を固めた。政治改革法案の年内成立断念は首相の政治責任問題が浮上する可能性もあり、首相は厳しい政局運営を迫られることになった。

中西氏辞任を受け首相は2日夜、村山富市社会党委員長ら連立与党の各党首、小沢一郎新生党代表幹事らを官邸に呼んで後任人事についての調整を進めた。調整の段階では愛知氏のほか、新生党の愛野興一郎元経企庁長官、中島衛元科技庁長官らの名前も挙がったが、最終的には首相に一任する形で愛知氏の就任が決定。同日夜、皇居で愛知長官の認証式が行われた。

中西氏は1日夜の会合で、「半世紀前にできた憲法を後生大事にしがみつく在り方はどう考えてもまずい」と見直しの持論を展開し、「(発言が原因で)辞めなくてはいけないとなったら、さっさと辞める腹積もりはできている」と述べていた。

これに対し、自民党は①閣僚の憲法順守義務違反②国会軽視―を理由に2日の衆院予算委員会で審議を拒否。自民、共産両党が中西長官の罷免要求を決めた。一方、連立与党側も社会党が「自ら出処進退を明らかにすべきだ」(村山委員長)として、中西長官辞任で事態の早期収拾を図ることで一致した。細川首相は補正予算案審議をこれ以上遅らせると、政治改革、景気対策、コメ市場開放問題などの処理にも大きな影響を与え、政権基盤を直撃する恐れがあると判断、事実上の「更迭」を決断した。《共同通信》

中西前防衛庁長官の後任人事を決める2日深夜の調整は細川首相、羽田外相、小沢新生党代表幹事の3人だけで進められ、官邸に呼ばれた連立与党の各党党首は別室で待機するという異例の光景が展開された。これまでの「組閣本部」は首相と「女房役」の官房長官が党幹部と協議するのが通例。しかし、今回は武村官房長官も入らず、首相と新生党首脳の「密室会談」が延々と続き、首相を挟んだ武村氏と小沢氏の微妙な関係を印象付ける格好となった。

武村氏の説明によると、最初に行われた党首会談は、首相から中西氏辞任に至る経過説明と、人事一任取り付けただけ。すぐに、羽田氏が抜け、小沢氏を呼びに行った。小沢氏を連れて再び首相官邸に戻った羽田氏は、党首の待つ部屋に入ろうとしたが、小沢氏に促され首相執務室の方へ。しばらくして、蚊帳の外に置かれた形の各党党首は一斉に帰り出した。

武村氏は記者会見などで、選考過程や首相らによ協議を聞かれると、「私は入っていないので知らない」と苦しい答弁。辞任した閣僚と同じ党から後任を選んだ「順送り人事」については、「そういう枠にこだわって最終決断したとほ思えない」と首相をかばった。《共同通信》



【石嶺和彦外野手】阪神入団を表明

オリックスからフリーエージェント(FA)宣言し、中日、西武、阪神の3球団から入団交渉を受けていた石嶺和彦外野手(32)が2日、阪神入りを表明した。

社団法人・日本プロ野球選手会主催のゴルフ大会が開催されている沖縄県島尻郡具志頭村のゴルフ場で、同日午後5時から記者会見し「阪神にお世話になることにしました」と明言した。阪神球団も同日、三好球団社長が石嶺の獲得を明らかにした。

石嶺は「ゆうべ、高校時代(豊見城高)の恩師である栽先生(現沖縄水産高野球部監督)に自分の気持ちを伝えて、決めた」と結論までの経緯を説明。この日の朝、中日と西武に入団要請を断る電話を入れ、昼ごろに阪神に受諾する旨を伝えた、という。選択のポイントについては、同じ関西に拠点を置く選手として「阪神(の人気)にうらやましさをずっと持っていた」と話し、阪神の人気度を重視したことを示唆した。

石嶺は11月6日にFA宣言し、獲得に名乗りを上げた3球団との交渉を同30日までに終えた。各球団とも今年の石嶺の年俸7000万円の1.5倍となる規定最高額1億650万円を新年俸として提示したほか、中日、西武は転居に際しての居住条件などを保証した。この争奪戦の中、石嶺が15年間プレーした関西で絶大な人気を誇る阪神に軍配が上がる決着となった。《共同通信》

【政界談話室】

○…細川首相は2日朝、衆院予算委出席のため国会入りするやいなや、国会見学中の小学生から熱狂的な歓声を受けた。首相が軽く手を振ってこたえると、「ヤッター」と飛び上がる子供も。「すごい歓声ですね」と記者団が冷やかすと、「ええ、えへへ、まあね」とまんざらでもない表情を見せた。ところが、首相の上機嫌もここまで。肝心の予算委が中西防衛庁長官の憲法見直し発言をめぐって空転後は笑顔も消え、政治改革法案の見通しを聞く記者団の質問にも、「年内成立ということでやってます」とぶっきらぼうに答えただけだった。

○…自民党小渕派の小渕会長はこの日、派閥総会のあいさつで「国会の会期延長を閣僚が堂々と述べているが、従来の野党なら国会が止まるケースだ」と政府与党批判を展開。さらに中西防衛庁長官の「改憲」発言をやり玉に挙げ「憲法について発言しても野党は罷免も求めないなどと言うのは、かなり挑戦的だ」と温厚な小渕氏には珍しく強い口調で非難した。かつての仲間とはいえ、小沢新生党代表幹事側近として敵と味方に別れた中西氏のことだけに、僧さは百倍といったところ?《共同通信》

【日経平均終値】1万7458円75銭

2日の東京株式市場は、政府、連立与党が今月7月をめどに打ち出す、とした緊急景気対策への期待感から、平均株価(225種)は一時、761円余り高くなったが、その後伸び悩み、終値は333円44銭高の1万7458円75銭となった。平均株価は3日続伸。出来高も約4億4000万株と膨らんだ。こ

の日は朝方、緊急景気対策に関する情報が伝わると全面高の展開となり、平均株価は急伸した。しかし、午後の取引に入ると、急速な平均株価の上昇に対して警戒感が広まり、先物と現物株の値ざやを稼ぐ裁定解消売りが断続的に入って平均株価は乱高下した。土地、住宅規制緩和に政府が前向きの姿勢を示していることから、不動産株が植を上げたほか、JR東日本、NTTなどの主力株が買われた。《共同通信》

【明石康・元UNTAC代表】旧ユーゴ特別代表に

国連事務総長スポークスマンは2日、ガリ事務総長が明石康・元国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)代表を、内戦が続く旧ユーゴスラビア担当の事務総長特別代表(事務次長)に任命した、と発表した。事務総長としては、明石氏を起用することで、旧ユーゴ紛争解決への日本の積極的な関与も期待したい意向とみられる。

明石氏は旧ユーゴスラビアに展開する国連防護軍を指揮し、ボスニア・ヘルツェゴビナを中心とする旧ユーゴ紛争の停戦監視、難民援護、人道援助を統括する。ボスニアは現在世界で最も解決が困難とされる紛争地で、明石氏はカンボジアに続いて重い職責を負う。明石氏は来週早々にも旧ユーゴスラビアに出発、国連防護軍本部のあるクロアチアのザグレブに滞在し、職務に当たる。

事務総長は明石氏の任命を既に安全保障理事会に報告しており、安保理は一両日中に承認する見通し。旧ユーゴの事務総長特別代表は、これまで旧ユーゴ和平国際会議のシュトルテンベルク共同議長が兼任していたが、シュトルテンベルク議長がジュネーブで進むボスニア・ヘルツェゴビナの和平交渉に専念したい、との意向を示していた。

国連防護軍は1992年2月設置された国連平和維持活動(PKO)で、ボスニアを中心に現在2万5000人の国連要員が展開している。《共同通信》

【コロンビア】「世界の麻薬王」射殺

サンタフェデボゴタからの報道によると、南米コロンビアのコカイン密売組織「メデジン・カルテル」の大ボスで世界の麻薬王と呼ばれたパブロ・エスコバル容疑者(44)が2日、本拠地のメデジン市内で治安部隊に包囲され射殺された。同組織の残るメンバーが報復に出ることも予想され、ガビリア大統領は2日、緊急会議を開き治安対策を検討した。

治安当局によると、エスコバル容疑者は2日午後(日本時間3日早朝)、メデジン市内のラアメリカ地区の潜伏先を出たところ、約500人の軍・警察合同部隊に包囲された。激しい銃撃戦の末にエスコバル容疑者は2人の仲間とともに射殺された。

エスコバル容疑者は昨年7月21日にメデジン郊外の拘置所から脱走、コロンビア、米両国政府が麻薬密売、テロ容疑で600万ドル(約6億5000万円)の賞金を懸けて行方を追っていた。

治安当局は2日、匿名の電話で情報を受け、所在を突き止めた。同容疑者は、1980年代に入ってメデジン・カルテルを本格的に組織、アンデス高地で栽培したコカの葉を精製し、世界中に密売、巨万の富を築いた。《共同通信》



12月2日のできごと