平成1740日目

平成5年10月13日(水)

1993/10/13

【椿発言】発覚

テレビ朝日の椿貞良報道局長が日本民間放送連盟(民放連)の会合で先の総選挙報道に関し「非自民政権が生まれるよう報道するよう指示した」との13日の産経新聞報道について郵政省は事態を重視、江川放送行政局長が同日午後、緊急記者会見し「報道内容が事実であれば放送法に明らかに反し電波法によって対応(処分)を決めなければならない」と述べ、椿局長から発言内容を聴くなど事実関係の究明に乗り出した。

自民党も通信部会などを開き、徹底究明を申し合わせるとともに同日午後の衆院本会議を皮切りに今後国会の場で追及することを確認した。一方、テレビ朝日側は「意図的に偏向した報道は行っていないし、局長が指示した事実もない」(広報部)と反論のコメントを発表した。このため発言内容の真偽を含め政治問題に発展する可能性も出てきた。

産経の報道や出席者の話によると、問題の発言は先月21日都内で開かれた民放連の「第6回放送番組調査会」(委員長・清水英夫青山学院大名誉教授、12委員)の席上で行われ、この中で椿局長は総選挙報道に関し①非自民政権が生まれるように報道するよう指示した②公正な報道に必ずしもこだわる必要はないの③(議員名を挙げ)この人たちの当選はわれわれのおかげだーなどと発言したという。

この報道に関しテレビ放送の監督官庁である郵政省の江川局長は記者会見で「事実とすれば放送法3条の2に定めている政治的公平などに明らかに反する」と指摘。同日中に椿氏らから発言内容ただした。さらに江川局長は会合に出席していた他委員からも事情を聴き、事実関係を早急に調査し、郵政省として対応を決める、と述べた。発言内容が事実の場合は放送の停止や制限規定を設けた電波法にのっとって何らかの処分に踏み切る意向だ。

テレビ朝日の椿貞良取締役報道局長は13日夕、郵省への説明の後同省内で記者会見し、問題となった発言に関し「私の一部発言が舌足らずで、極めて不用意、遺憾だったとは思っているが、はっきり言えるのは総選挙報道に際し私が“非自民政権が生まれるよう指示した”ということは全くない」と述べた。 同席したテレビ朝日の若村広報局次長は、産経新聞の記事内容を検討して、遅くとも14日中には抗議する意向を明らかにした。《共同通信》

テレビ朝日が先の総選挙で非自民連立政権誕生に向け偏った報道をした、と産経新聞が報道したことをめくって自民党では13日、「こういうことが行われていたことは大変なことだ」(渡辺美智雄元外相)などと、一斉に反発の声が上がった。 小里貞利国対委員長は記者会見で、「国会審議で実態を国民の前に解明する責任が自民党に課せられたと思う。公選法、放送法の観点からも研究すべきだ」と、国会で正式に取り上げ問題にする意向を表明。その後党四役の同意を取り付け、「民主主義に対する重大な挑戦」と本会議などで政府の対応を追及していくことを決定。同日午後の衆院本会議で鹿野道彦氏が政府に真相究明を求めた。

代議士会や渡辺、河本両派の総会でも「全くけしからんことだ」「報道の自由、不偏不党という原則があるが、これが事実なら大変なことだ」「放送法違反だ。証人喚問すべきだ」との発言が相次いだ。 また通信部会と電気通信問題調査会が緊急役員合同会議を開き、この問題で意見交換。産経新聞の報道が事実ならば放送法3条の2(政治的公平)、公選法151条(選挙に関する報道、評論は放送法の規定に従う)に違反するとの認識で一致。事実関係の調査をするためテレビ朝日関係者から事情を聴くことを決めた。

テレビ朝日の椿貞良報道局長は13日夜、東京・六本木のテレビ朝日内で放送担当記者と会見し「今月初めに社長から「(放送番組調査会で)報道の責任者として慎重を欠いた発言があったと聞いている。極めて遺憾で、厳重に注意する」と言われた」と産経新聞の報道以前に伊藤邦男社長から口頭で注意を受けていたことを明らかにした。

非自民政権が誕生した総選挙の報道をめぐり、民放連の会合で問題発言をしたテレビ朝日の椿貞良取締役報道局長が15日付で報道局長を外れ、専任の取締役に就任することが13日、明らかになった。報道局と国際局の担当になるとみられる。後任の報道局長には、若村喜治広報局次長が昇格する。テレビ朝日幹部は「定例の人事異動であり、今回の問題とは関係ない」としている。

郵政省が事実調査を始めたテレビ朝日の椿貞良取締役報道局長の発言は、9月21日、東京都内で開かれた日本民間放送連盟の放送番組調査会の席上行われた。この際の放送番組調査会の会合のテーマは「政治とテレビ」で、青山学院大名誉教授の清水英夫委員長ら14人が出席した。

出席者らによると、椿局長は同局の看板番組「ニュースステーション」に対する自民党からの圧力が強かったことを紹介した後「そういう自民党から新しい(政権の)流れに切り替えていく必要があり、テレビ朝日はその方向で報道した」との趣旨の発言をした。また「55年体制は崩壊するのではないかと実感したし、国民もそれを望んでいると受け止めた」と述べた、という。

椿局長の発言をめぐっては、出席した委員から「報道の公正さが損なわれているのではないか」「一定の方向で報道する場合、視聴者にその立場を明確にする必要がある」などの疑問の声も出た、という。《共同通信》



【北陸新幹線】糸魚川〜魚津着工

日本鉄道建設公団が運輸省に申請していた北陸新幹線糸魚川ー魚津間の工事実施計画が9月12日に認可されたのを受け、13日、新潟県西頸城郡青海町で起工式が行われた。新潟、富山両県知事や同公団関係者ら約300人が出席、くわ入れをした。

工事実施計画などによると、同区間は北陸線糸魚川駅(新潟)と魚津駅(富山)を結ぶ約48キロの新線。基本的には東海道新幹線などと同じ標準軌が可能だが、暫定的に在来線と同じ軌道にしてスーパー特急(最高速度200キロ)を運行する。《共同通信》

【プロ野球・西武】4年連続10度目のリーグ優勝

西武が苦しみながらも4連覇を達成ー。プロ野球パ・リーグは13日、優勝へのマジックナンバー1で足踏みしていた西武が千葉マリンスタジアムでロッテと対戦、3−2で勝ち、4年連続10度目の優勝を決めた。セ・リーグは、勝てば2連覇の決まるヤクルトが2位中日に4−6でサヨナラ負けし、連勝は11でストップ、両リーグ同日優勝はならなかった。

西武は昭和54年の球団発足以来、15年間にパ最多タイの10度目のリーグ制覇。前身の西鉄時代を含めると15度目となった。森監督は就任8年で7度目のリーグ優勝を達成し、初の4連覇。

今季の西武は開幕から好調に走り、前半を45勝23敗1分けの首位で折り返した。日本ハムの追い上げで8月24日に2位に転落したが、翌25日に首位を奪回。3人の救援投手と石毛、辻の両ベテランの活躍などで9月11日にマジック21を点灯させ、最後はマジック1からもたつきながらも、4試合を残してゴールインした。4年連続全球団からの勝ち越しは史上初。

この日で、日本ハムの2位も決まり、パ・リーグの全順位が確定した。

セ・リーグは優勝決定を持ち越したヤクルトに14日は試合がなく、中日が広島戦(ナゴヤ)に敗れると2年連続3度目の優勝が決まる。

西武・森監督 喜びというよりほっとした。苦しんで戦ったペナントなので今までにない喜びがある。選手もほっとしただろう。今年は石毛、辻が引っ張ってくれた。投手の踏ん張りで最後まで来れた。長らくお待たせしました。ご心配をお掛けしました。

西武・堤義明オーナー 監督、コーチ、選手の皆さん、優勝おめでとう。デストラーデに代わる外国人選手不在での今年の優勝は大変価値のあるものだと思います。ファンの皆様には、ご心配をおかけしましたが、やっと優勝することができました。ご声援、本当にありがとうございました。

【羽田孜外相、ロシア・コズイレフ外相】共同声明を発表

羽田外相とロシアのコズイレフ外相は13日、対口支援をはじめとする各分野で、両国の実務的協力関係を前進させるための協定、覚書など合計13の文書に署名、国際情勢に関する3つの共同声明を発表した。

共同声明では、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発問題を取り上げ、核拡散防止条約(NPT)からの脱退撤回や国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れなどを名指しで北朝鮮に要求。朝鮮半島の非核化推進で日ロ両国が足並みをそろえた。さらに「NPTの無期限延長支持」を確認。「カンボジアに関する共同声明」では、新政府樹立を歓迎し、復興への支援を表明した。

署名文書では、ロシア軍と自衛隊との信頼醸成措置として初めて、公海上やその上空で演習・航行中に軍艦などの衝突を回避するための「海上事故防止協定」を締結。同協定では行動規範、通信手段を定め年次協議を開催するとした。《共同通信》

【細川護熙首相】ロシア・エリツィン大統領と会談

細川首相とロシアのエリツィン大統領は13日午前、国際情勢を中心にした第2回目の首脳会談を東京・元赤坂の迎賓館で行い、一連の協議を締めくくる日ロ関係に関する「東京宣言」、経済協力関係の拡大均衡をうたった「経済宣言」に署名、両国関係の新たな出発点を確認した。

東京宣言は日ロ間の最大の懸案である北方領土問題について①択捉、国後、色丹、歯舞群島の帰属にいついて真剣な交渉を行った②両国間で合意された諸文書、法と正義の原則を基礎として解決③平和条約早期締結に向け交渉継続―を盛り込んだ。

大統領は署名式後の共同記者会見で「旧ソ連が締結した国際的約束、条約は有効」とした上で、歯舞、色丹の両島返還を明記した1956年共同宣言に関連し「この宣言もこの中に含まれる」と述べた。首相も「新たな前進した交渉の基盤が確立できた」と領土交渉の新たな段階へのステップと評価した。羽田、コズイレフ両外相は朝鮮半島における核拡散防止問題に関する共同声明など16の共同声明、協定、覚書を締結、署名した。

一方、経済宣言は、経済関係を両国関係全般との均衡をいつつ拡大する「拡大均衡路線」を踏まえ、ロシアの市場経済への移行について日本側の一層の支授を表明した。エリツィン」大統領は同日午後帰国する。《共同通信》

細川首相とエリツィン・ロシア大統領は13日、「東京宣言」と「経済宣言」への署名後、東京・元赤坂の迎賓館で共同記者会見を行った。会見で大統領は、平和条約締結後の歯舞、色丹両島の返還を約束した1956年日ソ共同宣言について、ロシアが旧ソ連から継承すると表明した条約、国際約束に「この(56年)宣言も含まれることは言うまでもない」と述べた。ただ大統領は領土問題について「今日、一挙に解決現するのは不可能だ」と述べるとともに、「ここで持ち出さないようにしよう」と、領土問題へのそれ以上の言及を拒否した。

一方、56年宣言について首相は「日ソ間の条約、国際約束に当然含まれる。大統領からも『その通りだ』との発言があった」と述べ、今回の領土交渉について「新たに前進した領土交渉を行う基盤を確立できた」と一連の会談の成果を強調した。大統領は「両国民に新しい心理的雰囲気を作り出すことが一番重要だ。パートナーシップの精神に基づくことで、問題を解決できる」と述べ、領土問題解決には時間が必要だとの認識を示した。《共同通信》

細川首相は13日午後、エリツィン大統領夫妻を迎えて首相官邸で開いた首相夫妻主催昼食会であいさつし、「大統領はシベリア抑留に謝罪、領土問題も必ず解決されねばならぬとの固い決意を明確にした。勇気ある発言を高く評価する」と述べ、「完全な日ロ関係」の正常化に向け、新しい歴史のページを繰る時を迎えた。大統領訪日はその重要な第一歩をしるすものだ」と首脳会談の成果を強調した。

これに対してエリツィン大統領は北方領土問題に言及し「法と正義の原則に基づいて建設的に交渉を行う用意がある。それに従うことで、最も困難な問題の解決を見いだすことができると確信している」と述べ、解決に意欲を示した。《共同通信》

【ナイナ・エリツィン大統領夫人】ディズニーランド訪問

ナイナ・エリツィン大統領夫人は13日午前、千葉県浦安市の東京ディズニーランドを訪問。一時間足らずだったが、終始陽気で、両手を大きく振り回してしゃべるなど、快活な一面をのぞかせた。

午前10時ごろ、ディズニーランドへ着いたナイナ夫人は駐日ロシア大使夫人らとともに、ゲストルームで説明を受けた後、園内へ。日ごろ控えめなナイナ夫人だが、キャラクターグッズ店などが並ぶ「ワールドバザール」前まで来ると、周囲を見渡し「子供たちのためにこんな遊園地がある。なんてうらやましい」「日本の文化は本当に素晴らしい」などと身ぶりを交え称賛。やわらかな日差しがこぼれる園内で人形ショーなどを見て回った。《共同通信》

【細川護熙首相】衆院定数「500が妥当」

国会は13日午後の衆院本会議で、政府、自民党がそれぞれ提出した政治改革関連法案の趣旨説明と質疑を行い、今国会最大の焦点である政治改革をめぐる本格的な論戦を開始した。野党側は、自民党の鹿野道彦、保岡興治、共産党の東中光雄、連立与党からは公明党の森本晃司各氏が質問に立った。

細川首相は「内閣としては今国会中の(法案)成立に最大限の努力をする」と述べ、公約実現を図る決意を改めて強調した。政府案については「最善のもの」と指摘、強行採決の可能性に関しても「国会で判断することだ」と明確な言及を避けた。自民党案の提案者である三塚博党政治改革本部長も「今回は何としても政治改革を実現する決意だ」と述べた。

首相は政党法の必要性について「政党の本来的な性格、政党活動の自由から債重に対応すべきだ」との認識を表明した。衆院の総定数を471に削減すべきだとの自民党の主張に対し、首相は政府案(500)が現行より12削減されていることを指摘し「妥当なところだ」と突っぱねた。《共同通信》

【川崎磯信さん】強硬搬出のコメ搬入

ヤミ米を販売したとして食糧管理法違反(無許可販売)などの罪に問われて公判中の富山県婦中町、米穀商川崎商店(解散登記済み)の川崎磯信元社長(57)は13日夜、新潟県潟東村の米小売り業者が10日未明に新潟食糧事務所の制止を振り切りヤミ米約40トンを北海道へ強行搬出した米を搬入した。富山県と富山食糧事務所は「川崎社長に出頭を求めたが応じてもらえず、ヤミ米流通の防止について司法当局への告発を含め厳然と対処したい」とのコメントを発表した。

川崎元社長は、潟東村の米小売り業者がヤミ米の立ち入り調査を拒み、11日深夜から12日未明にかけて新潟から函館港へヤミ米40トンを搬出したとの情報に接し、同業者と連絡を取った。川崎元社長はこの業者がヤミ米の置き場所に苦慮していると知り、「食糧庁へのデモンストレーションのつもりで、ヤミ米を受け入れた」という。

問題のヤミ米は函館市内の運送業者の冷蔵倉庫内に一度、保管されたが、川崎元社長から「こちらに運んでくれ」との依頼があり、フェリーで新潟県直江津に運ばれ、トラック3台で川崎元社長の倉庫に13日午後10時半ごろ、運び込まれた。新潟、富山食糧事務所ではトラックを確認して監視体制をとるとともに、正規のルートに戻すように要請している。

13日午後9時過ぎ、県農業経済課の堺武夫課長とともに富山食糧事務所で記者会見した坂本武治同事務所次長は「出頭に応じてもらえず、不正規流通の是正に指導を行った。川崎元社長は告発、公判中であるにもかかわらず今回のような行為は極めて遺憾。司法当局の厳正な判断を仰ぎたい」と述べた。《共同通信》



10月13日のできごと