平成1739日目

平成5年10月12日(火)

1993/10/12

【細川護熙首相】ロシア・エリツィン大統領と会談

細川首相とロシアのエリツィン大統領は12日午後4時15分すぎから1時間半、東京・元赤坂の迎賓館で1回目の首脳会談を開いた。焦点の北方領土問題について大統領は「問題が存在していること、いつか解決しなければならないことを理解している」と表明。その上で、両首脳は択捉、国後、色丹、歯舞四島の「帰属」に関する協議を①年2回以上の外相間協議②次官級の「平和条約作業部会」―通じて行うことで合意した。

四島の「帰属」協議については、13日の2回目の首脳会談後に発表する「東京宣言」に盛り込む。ロシア大統領が北方領土問題は四島の帰属に関する問題だと公式に認めたのは旧ソ連時代を通じて初めて。日本側は領土交渉の新たな出発点を築けたと評価している。

大統領の招待を受ける形で細川首相がロシアを公式訪問することでも合意した。来年1月にも実現の可能性がある。

また、大統領が12日午前の全体会議で、「日ソ間で締結したすべての条約を守り、ソ連が負っていた責任と義務を果たす」と言明したのを受け、細川首相は歯舞、色丹の二島返還を明記した1956年の日ソ共同宣言も「引き続き適用される条約に含まれるのか」にと確認を求めた。大統領は「本日の会合で申し上げたとおりだ」と述べたが、日本側は事実上、56年宣言の有効性を認めたと受け止めている。

首相はさらに、北方領土が日本固有の領土であることは「客観的事実」と主張。「領土問題は全体主義の過去の遺産」と指摘し「解決は民主的、人道的に行われるべきだ」と四島住民の処遇についてもその意思を尊重する考えを示した。同時に「大統領の一回の訪日で解決するとは考えていない」とし「問題解決の出発点」との認識を示した。その上で首相は、年2回の外相協議開催のほか、既存の平和条約作業部会で①領土問題に関する両国民の理解促進の方途②四島住民との交流円滑化—を話し合うことを提案、大統領も同意した。《共同通信》



【ロシア・エリツィン大統領】晩さん会で流血事件に言及

国賓として来日したエリツィン大統領夫妻は12日午前、皇居の宮殿・竹の間で天皇、皇后両陛下と会見、大統領がシベリア抑留問題について哀悼の意を表明したのに対し、陛下は「日本の多くの人々とともに感銘を覚えます」と答えられた。同席した宮内庁の角谷清式部官長によると、会見は予定を5分ほどオーバーして約20分に及んだ。抑留問題については、ゴルバチョフ旧ソ連大統領が1991年4月の来日時に、同様の哀悼の意を表明している。

陛下が歓迎のあいさつをされた後、大統領は両国の友好について「日ロ間に過去に不幸なことはあったけれど、それは非常に短い期間だった」と述べた上で「今までは共産主義政権の下で困難な問題があったが、先般の事件で共産主義も今や弱まり、日ロの関係もよくなるでしょう」と反エリツィン派を押さえ込んだ先の流血事件に触れた。また大統領が「両国が手を携えて世界の向上発展に「尽くすべきと思います」と語ったのに対し、陛下は「ロシアの法と正義に基づいて努力されるのは結構なことと思います」と応じられた。

これに先立ち、大統領夫妻の歓迎行事が東京・元赤坂の迎賓館で行われた。式典には両陛下のほか皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻、細川首相夫妻が出席。陛下が「旅の疲れはありませんか」と話し掛けると、大統領は「ありません」と笑顔であいさつを交わした。《共同通信》

国賓として来日したロシアのエリツィン大統領夫妻を歓迎する天皇、皇后両陛下主催の宮中晩さん会が12日夜、皇居・宮殿の大宴会場「豊明殿」で開かれた。

大統領はスピーチで、戦後の抑留による犠牲者について、午前中の両陛下との会談に続き改めて「深い哀悼と謝罪の意」を表明するとともに「市場経済を持った民主主義、自由ち人権を優先させるような市民社会の構築は容易ならぬものです。それは時には極めて痛みを伴う形をとることもあります」と述べ、モスクワでの武力衝突による流血事件に理解を求めた。

しかし事件を「非妥協的な敵が血まみれの暴動を引き起こした」と表現するなど、激変する国内事情を反映した異例の晩さん会スピーチとなった。《共同通信》

【政界談話室】

○…細川首相は12日午前、参院予算委員会に出席したものの、直後にエリツィン・ロシア大統領との全体会議を控えて落ち着かない様子。質問に立った西川潔参院議員が「何分までなら(間に合うのか)」と尋ねると、思わず身を乗り出して「(11時)5分」。西川氏が「協力しましょう。(その代わり)これからは私の要求にご配慮を」とやったため委員会室はどっと沸き、苦笑しながら頭を下げた。その後記者団に「忙しい日ですね」と水を向けられると、ぶっきらぼうに「しょうがないでしょ。そうなっちゃってんだから」とご機嫌斜め。

○…自民党の森幹事長はこの日、記者会見で、今月20日から11月30日までの全国遊説計画をつくったことを明らかにした。選挙でもないのに、同党が全国遊説をやるのは異例のこと。ところが、演説の弁士については「(国会開会中で)党幹部が出るのは難しいので、若い議員が前面に出てやってもらいたいと要請した。大きな宣伝カーの上から(演説を)やるのは好きではないので、下に降りてやったらどうかと注文を付けた」とか。若手活用は求心力を働かせようとの苦肉の策。《共同通信》

【東京、横浜】震度4

12日午前0時55分ごろ、関東地方を中心とした東日本の広い範囲で地震があり、東京、横浜、日光で震度4(中震)を記録した。気象庁の観測によると、震源地は東海道のはるか沖の御前崎の南約270キロで、震源の深さは390キロ、地震の規模はマグニチュード(M)7.1と推定される。津波による影響はなかった。

東京消防庁によると、東京都葛飾区西亀有、無職A子さん(64)が地震に驚き外に出ようとした際、ドアの前で心臓発作を起こして倒れ、病院に運ばれたが死亡が確認された。このほか大田区内で女性(79)が地震に驚きベッドから転落するなどいずれも飛び起きた際に女性計4人がけがをした。東京で震度4を記録したのはことし5月21日の茨城県南西部を震源とする地震以来。《共同通信》



10月12日のできごと