平成1733日目
1993/10/06
この日のできごと(何の日)
【豊田商事国家賠償訴訟】地裁、国の責任認めず
金のペーパー商法で約2万9000人から約2000億円を集めて昭和60年、破産した豊田商事事件で「警察が適切な捜査を怠るなど、行政が違法な商法を放置したため被害が拡大した」として、20都道府県の被害者約1500人が国に総額約25億円の損害賠償を求めた「豊田商事国家賠償訴訟」の判決が6日、大阪地裁で言い渡された。
松尾政行裁判長は「被害発生に関して警察庁、公正取引委員会など関係省庁の職員に違法な職務行為があったと認めることはできない」として原告被害者側の請求を棄却した。訴訟は消費者行政の在り方を問うものだったが、判決はこの点について全く触れず、行政の現状を追認する形となった。原告被害者側は「被害の実態は認めながら行政が何をすべきかに触れず消費者保護の視点が全くない」として控訴する方針。
判決はまず、国が規制しなかったことが違法となる場合の判断基準として①被害者に危険が迫っていることを認識②規制しなければ被害を防ぐことができない③規制が期待されている―などを判示。次にこの基準に基づいて各省庁ごとに責任を検討。警察庁については「ペーパー商法自体の詐欺罪は、契約形態などから成立を認めるのは困難。また出資法違反(預かり金の禁止)も、適用が困難」などと判断。「各警察の捜査を不当に抑止した」との原告側主張も「強制捜査に必要な資料を入手しておらず、不当な抑止ではない」と退けた。《共同通信》
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【元木聖也さん】誕生日
【プロ野球】
ヤクルト9−4阪神◇6日◇甲子園
ヤクルトが楽な戦いで今季2度目の8連勝。
一回は渡辺に5安打を集中して3点を奪い、二回は橋上と広沢克の適時打に相手の2つのタイムリーエラーが重なって久保から5点を加えた。序盤に大量点をもらった伊東は、七回までオマリーの本塁打による2点に抑えた。八回に失策が絡んで2点を失ったがそのまま投げきり、3連続完投で7連勝。
阪神は3年ぶりに先発した渡辺があっさり打ち込まれた。さらに二回にも守備陣が足を引っ張って試合をつぶした。《共同通信》
【細川護熙首相】所得税減税に含み
衆院予算委員会は6日午後も審議を続け、自民党の深谷隆司、衛藤征士郎両氏が細川政権の基本姿勢を中心に政府の見解をただした。
山花政治改革担当相ら社会党閣僚の「自衛隊違憲」発言をめぐる「一政治家としての発言は公務員の憲法順守義務に反しない」との政府統一見解に対して、深谷氏は「あいまいで認めるわけにいかない」と反発し、字句修正を求めたため、審議が一時紛糾。結局、武村官房長官が急きょ統一見解の文言を一部修正した。統一見解は当初、容認する対象を「ご指摘のような発言」とぼかした表現にしていたが、追及を受けて「自衛隊の実態は違憲との見解」と特定した。これを受けて、衛藤氏が自衛隊の合憲性について閣僚としての確認を求めたのに対し、山花氏は「これまでの国の防衛問題の方針は継承するとの基本合意に従う」と答えた。
細川首相は景気対策として要求が強い所得税減税問題に関連して「減税も含め税制、財政、金融のあらゆる手立てを講じて、この不況を乗り越えねばならない」と述べ、減税実施に含みを持たせた。藤井蔵相は、赤字国債発行による減税実施には一貫して反対の姿勢を示しており、首相の答弁は、将来の消費税率引き上げを担保とする減税の先行実施をにらんだものとみられる。衆院予算委は同日で審議を終了した。《共同通信》
【政界談話室】
○…細川首相は6日の衆院予算委で、自民党の野中広務氏と「侵略戦争」論争。野中氏は「(首相の)祖父の近衛文麿首相や軍部の指導によって戦争が始まった」「今の連立内閣じゃないけれど、近衛内閣で大政翼賛会が発足した」などと、しきりに首相を挑発した。しかし、首相は「今日の平和と繁栄は先輩世代の尊い犠牲の上に築かれた」と従来の答弁を繰り返すだけのそっけない対応に終始。記者団が近衛首相と「侵略戦争」発言との関係を尋ねても「関係ないですよ」。名門細川家の家柄も時には重荷?
○…自民党河本派会長の河本敏夫元国務相は、この日の派閥例会で衆院予算委質疑を取り上げ、「総理答弁はかなりうまい。突くべきところを突かなければ逃げられてしまう」「橋本政調会長や石原慎太郎氏という、そうそうたる論客が必ずしも弱点を突いていない。もっと勉強すべきだ」と怒り心頭。さらに「自民党をまとめるのは大変だ」という森幹事長発言に矛先を転じ「政治改革の本格論議の前に党内のことをあまり言わない方がいい」と注文をつけ、同派の高村副幹事長をつかまえて「(幹事長に)一言言っといてくれ」と指示するなど、余程、もどかしい様子だった。《共同通信》
【公明党】創価学会批判に反発
自民党が6日の衆院予算委員会で、公明党と創価学会の関係について「政教一致だ」と攻撃を強めてきたことに対し、公明党は「連立与党を揺さぶろうということだ。どうこう言うつもりはない」(市川書記長)と、当面は静観の構えだ。ただ、党内には「嫌がらせだ」(幹部)「党のイメージには良くない」(中堅)とする反発の声も強い。市川氏は「信教の自由を著しく侵す方向に行くようであれば、黙視はできない」と自民党の今後の出方次第では反転攻勢に転じる構えも示している。
同日の予算委では、自民党の野中広務氏が創価学会の選挙支援問題を取り上げ、公明党候補者の集会が、創価学会の施設で開かれていることなどを「政教分離に反する」としつこく追及した。公明党は、9月に入ってから自民党の渡辺元外相らが創価学会批判を展開し始めたことから「予算委で取り上げる予告編だ」(国会筋)とみていた。委員長の石田総務庁長官、市川氏もそのつど「政教分離は守られている」と反論してきた。市川氏は予算委終了後、急きょ記者会見に応じ、どこの党も支持団体や労働組合などの支援を受けている、と指摘しながら「質問」者に整理がついてない」と猛反発。創価学会の施設や電話などが無料で選挙に使用されている、との批判に対しても「政党と支援団体との関係であり、使用料を払う性格のものではない」と跳ねつけた。
自民側は今後も「政教一致」問題を取り上げていく姿勢だが、公明党内には「具体的な追及材料はないだろう」(幹部)と、自民党の追及もしりすぼみに終わるのではと楽観視する空気も強い。《共同通信》
【立松和平さん】無断引用認め謝罪
作家立松和平さん(45)の雑誌連載小説「光の雨」の表現の一部が、元連合赤軍の坂口弘死刑囚(46)の著書「あさま山荘1972(上下)」似ていると指摘された問題で6日午後、東京都内のホテルで両者が話し合い、立松さんが「坂口死刑囚の著書を参考にした。勝手に利用したことをおわびする」と無断引用を認めた上で、坂口死刑囚側の伊東良徳弁護士に謝罪した。伊東弁護士は今後、坂口死刑囚と検討した上で後日回答する、としているが、基本的に立松さんの姿勢を了承しており、事態は収拾に向かうとみられる。
話し合いの中で、立松さんは口頭で「小説とはいえ事実が重要なので仕方なかった。坂口死刑囚の仕事を勝手に使ったことはおわびする」と謝罪した。その上で、立松さんは①記者会見で経過を説明し謝罪の意を表明する②坂口死刑囚に謝罪の手紙を書く③掲載誌「すばる」誌上でおわび文を出し、出典を明らかにする―などの具体的条件を坂口死刑囚側に提示した。伊東弁護士は、この条件をいったん持ち帰って坂口死刑囚に説明し、同死刑囚が立松さんの手紙を読んだ上で回答する、とした。《共同通信》
【米・クリントン政権】ソマリア撤退へ
クリントン米大統領は6日、泥沼化するソマリア情勢について「名誉ある終結」を実現させると言明、短期的に最大限4700人の部隊を増派する一方、撤退のスケジュールを一両日中にも明らかにする方針だ。クリントン大統領は「米国はソマリアでの任務を名誉ある形で終える必要がある。同国が再び無秩序状態に陥ることがないよう見届けなければならない」と述べ、直ちに米軍を撤退させる考えがないことを強調した。
大統領はこの日、5日に引き続いてクリストファー国務、アスピン国防の両長官ら国家安全保障会議の主要メンバーとソマリア政策の立て直し策を協議。NBCテレビなど米三大ネットワークによると、この結果①駐ソマリア米軍(現在4700人)を2000−4700人増強する②明確な撤退期限を設定する―との方針を決めた。クリントン大統領は7日に新方針を議会指導部に説明した上で、国民に発表する。
ソマリアのアイティード将軍派民兵との戦闘で少なくとも12人の米兵が死亡、複数が人質に取られて以来、米国内では議会や国民の間に即時撤退論が一気に台頭。特に、米兵の遺体がモガティシオ市内を引回される様子がテレビで放映されたことが、米国民に「ベトナム戦争の悪夢」を思い起こさせた。
CNNテレビの世論調査では、米国民の3分の2は米軍のソマリア派遣が失敗だったと考え、4割以上が即時撤退を求めている。ただ、現時点での撤退は唯一の超大国である米国の威信失墜につながり、クリントン大統領には取り返しのつかない政治的失点となるため、大統領にとっては少なくとも人質の米兵を何としてでも救出することが一不可欠。今のところ妙案はなく、クリントン政権は苦悩の色を濃くしている。《共同通信》