平成1732日目

1993/10/05

ニュートラム住之江公園駅車両暴走事故

5日午後5時半ごろ、大阪市住之江区泉1−1の大阪市営の新交通システム「ニュートラム南港ポートタウン線」住之江公園駅で、中ふ頭発住之江公園行き電車(無人運転、4両編成)が高架上にあるホームの停止位置を56メートルオーバーラン、ゴムクッションのついた鉄製車止め(高さ約1.5メートル)に衝突した。

電車はほぼ満員の約290人が乗っており、乗客のうち、展示会のため大阪出張中だった金沢市、会社社長Aさん(46)、Aさんの会社に勤めるBさん(34)、Cさん(26)ら180人が市内二十数カ所の病院に運ばれ、Aさん、Bさんら42人が入院した。駅前で応急手当てを受けて帰宅した人もいた。Aさんは左鎖骨を折るなどの重傷。Bさんはろっ骨を折り、Cさんは左肩などに、打撲を負った。

新交通システムは神戸、大阪など都市部で導入されているが、大事故は初めて。大阪府警は住之江署に捜査本部を置いて事故原因などの捜査を始めた。大阪市も対策本部を置いた。近畿運輸局は事態を重視、安全確認までニュートラムの運転中止を指示した。同市交通局は信号系統、あるいは電気系統の故障で人為ミスは考えられないとしている。《北國新聞》

暴走する電車に黒い車止めが迫る。「ぶつかるぞ」「ぶつかる…」。乗客の叫びが聞こえた瞬間、ドーンという音と激しい衝撃。5日夕、大阪市住之江区で起きた新交通システム「ニュートラム」事故は乗客約180人がけがをした。安全なはずのコンピューター制御の無人電車がホームを通り過ぎ車止めに衝突した。

帰宅途中、先頭車両に乗っていた大阪府忠岡町の会社員Dさん(31)はショックで飛ばされて電車の窓ガラスに激突、右鎖骨にひび。「車両が高架から落ちるかと思いもう駄目だと感じた」と青ざめる。十数メートル下の道路には車が行き交っており、あわや大惨事になるところだった。激突した先頭車両の前部は塗膜がはげ落ちた上、大きなへこみが。正面の運転席のガラス窓は割れた。

大阪市西区の会社員Dさん(39)の話では、前方から「止まらへん」と繰り返す女性の叫びが聞こえた瞬間、激しい衝撃とともに、満員の乗客が車両前部に折り重なった。救急隊が到着するまでの約10分間、乗客同士で声を掛け合い、必死で脱出。しかし一番下にいた乗客は頭などを血まみれにして動けず、うめき声を上げていた、という。

大阪南港の会社から帰宅のため最後部の車両にいた会社員E子さん(21)は「電車が激しく揺れたと思ったら、直後に衝突した。必死に友人を捜したが、自分の上に人が重なり動けなかった。真っ暗な車内に悲鳴だけが響き、地獄のようだった」と目に涙をためて震えていた。

現場の住之江公園駅前には応急救護所ができ、約130人が地べたに座って治療を待った。会社帰りで同僚と乗っていた大阪府豊中市の会社員Fさん(53)は「非常ブレーキがかかりますと車内アナウンスがあり、その直後に衝突した」という。「日ごろから運転手がいないので不安だった」と話す人もいた。《共同通信》



【キヤノン・EOS Kiss】発売

キヤノンは、小型・軽量のオートフォーカス(AF)一眼レフカメラ「EOS Kiss」を10月5日から発売する。重さは370グラムで、ストロボを内蔵した一眼レフカメラとしては世界最軽量という。本体価格は5万9000円。28−80ミリズームレンズ付きで8万9800円。被写体が中央になくても、自動的にピントを合わせる。《共同通信》

【日本サッカー協会】代表22選手発表

日本サッカー協会は5日、1996年ワールドカップ(W杯)アジア最終予選(15日—28日・カタール)に出場する日本代表22選手を発表、一次予選のメンバーが3人入れ替わり、DF大野俊三(鹿島)、MF三浦泰年(清水)、FW長谷川健太(清水)が入った。

選手は4日のアジア・アフリカ選手権(東京・国立競技場)でアフリカのコートジボワールと戦った日本代表メンバーがそのまま選ばれ、一次予選に出場したGK下川健一(市原)DF小村徳男、MF山田隆裕(以上横浜M)、また9月に行われたスペイン合宿で代表候補に入っていたGK古川昌明(鹿島)DF江尻篤彦(市原)MF大榎克己(清水)は外れた。

日本チームは8日午前、日本を出発、バンコク経由でカタールに入る。現地で最後の調整を行った後、15日のサウジアラビアとの第1戦に臨む。

日本代表選手は次の通り。

GK松永成立(横浜M)前川和也(広島) ▷DF大野俊三(鹿島)都並敏史、柱谷哲二(以上川崎)勝矢寿延、井原正巳(以上横浜M)堀池巧(清水)大城直人(横浜F) ▷MFラモス瑠偉、北沢豪(以上川崎)三浦泰年、沢登正朗(以上清水)森保一(広島)福田正博(浦和)吉田光範(磐田) ▷FW黒崎比差支(鹿島)三浦知良、武田修宏(以上川崎)長谷川健太(清水)高木琢也(広島)中山雅史(磐田)

オフト日本代表監督 最終のチェックポイントだったコートジボワール戦で満足できる仕上がりと結果を得られ、チームはとてもいい状態になった。不安なDFラインは柱谷の復帰で何よりもアグレッシブになったのが心強い。現在のチームは80%の仕上がりで、カタールでは万全の態勢で臨みたい。《共同通信》

【阪神・岡田彰布内野手】来季は戦力外

プロ野球阪神の岡田彰布内野手(35)は5日、甲子園球場内の球団事務所で三好球団社長と会談、同選手が来季の戦力構想から外れているため、球団として契約を交わす意思がないことを通告された。会談後、三好社長は「岡田選手との契約は今季限りであるということを伝えた」と明言。岡田が来季も阪神の選手としてプレーする可能性は「100パーセントない」と語った。

これに対し岡田は、来季も現役生活を続けることを希望。他球団へ移籍して現役を続けるか、このまま引退するかの選択については態度を保留した。結論については「シーズンが終わるまでには決める」としている。会談の中で、阪神を最後にユニホームを脱ぐ場合は、スコアラーなどとして、球団に残る案が三好社長から示されたことも明らかにした。《共同通信》

【中国】核実験

北京放送によると、中国政府は5日声明を発表し、1年ぶりの地下核実験を同日実施したことを認めるとともに、遅くとも1996年までに核実験全面禁止条約を締結すべきだと呼び掛けた。

核保有国の米国、ロシア、フランス、英国が核実験の一時的な停止措置を取っている中での核実験強行により、今後他の核保有国の実験凍結が見直される可能性も出てきた。

今回の実験はアジアの核保有国である中国の存在誇示が狙いとみられる。しかし、同時に核実験全面禁止条約を期限を切って呼び掛けたのは、間接的な言い方ながら、クリントン米大統領が9月末の国連総会演説で行った同様の提案に中国が初めて前向きの姿勢を見せたものだ。

冷戦後の米国の一国支配に反対しながらも、対米関係の改善を目指す中国は、天安門事件後初の米中首脳会談を11月に控え硬軟両用の策に出たと言える。

ロンドンにある核問題監視団体の検証技術情報センターは中国政府の発表に先立ち、中国時間5日午前10時(日本時間同11時)新疆ウイグル自治区のロプノール核実験場で実験が行われたことを71カ所の地震計で確認。同センターによると、爆発による地震はマグニチュード(M)5.8で、爆発規模は20−40キロトン。中国では39回目の核実験で、昨年9月25日以来。中国の核実験再開の動きは9月、米国が偵察衛星の写真などで発見。米国や日本は中国に対し、実験中止を働き掛けていた。

中国は声明で、核実験全面禁止条約について「中国は条約の早期締結を支持し、積極的に交渉に参加する」と強調。条約締結とともに核兵器の先制不使用や、核を持たない国や地域への核兵器不使用に合意するよう他の核保有国に呼び掛ける一方、条約の締結、発効後は「中国は条約を誠実に守り、二度と核実験を行わない」と言明した。《共同通信》

【細川護熙首相】侵略で改めて謝罪

衆院予算委員会は5日午前、審議を続行し、自民党の深谷隆司、江藤隆美両氏が細川政権の基本姿勢をただした。細川首相は自らの「侵略戦争」発言に関連し「どこからどこまで侵略行為だったか線引するのは難しい。多くの人に多大の苦しみを与えたことに率直なおわびの気持ちを表すことが大事だ」と述べ、アジア諸国の戦争機牲者への謝罪を改めて表明した。

深谷、江藤両氏がロシアのエリツィン大統領訪日の際、シベリア抑留者問題についての謝罪を要求すべきど迫ったのに対し、首相は「相手の立場も考え、外交交渉に影を差してはならないが、当然そのようなことは腹に置いている」と述べた。

シベリア抑留問題について首相は、当初「(謝罪は)それぞれの政府が判断することだ。こちらが露骨に言うのはいかがなものか」としていたが、江藤氏に終戦直前の旧ソ連の参戦、北方領土占拠に対する認識を求められ「多くの方々はそのように(侵略と)判断していると私も思う」と答弁。抑留問題に関しても軌道修正した。

エリツィン大統領がロシア最高会議を武力で鎮圧したことについて、首相は流血の事態を招き、「大変残念だ」と遺憾の意を表明したが、大統領の改革路線は引き続き支持することを確認した。大統領来日に関し、野村外務省欧亜局長は「事態が早急に収拾され、訪日実現を期待する」と述べた。石田総務庁長官は北方領土を「今はロシア領土」と発言したことについて「不適切な表現だった」と陳謝した。《共同通信》

衆院予算委員会は5日午後、自民党の石原慎太郎氏ら6人、共運党の佐々木陸海氏が質問に立ち、細川政権の基本姿勢を中心に審議を続けた。細川首相は佐々木氏の質問に対し、細川内閣で消費税率を引き上げないとの確約はできないとの考えを示し、将来の税率アップに含みを残した。武村官房長官も消費税問題に関する連立政権合意に関連し「平成6年度当初予算で消費税引き上げは見合わせるが、細川内閣が引き上げを行わないということではない」と述べた。

消費税引き上げ問題は政府税調でも抜本的な税制改革の中で検討されているが、連立与党内から所得税減税との絡みで引き上げ論が出ており、首相答弁は今後論議を呼ぼう。

これに関連し、先の総選挙で消費税率引き上げに反対していた山花政治改革担当相(社会党)は「連立与党の合意に従って閣僚として対応したい」と述べ、石田総務庁長官(公明党)も「アップは大変厳しいと受け止めている」と述べるにとまった。

細川首相はプルトニウム利用による核燃料サイクル推進に関し、安全性への配慮と国民合意の必要性を指摘しながらも「原子力の長期・安定的供給を確保するため必要だ」と述べた。しかし山花氏は、世界的に核燃料再処理工場建設中止が相次いでいると指摘し、「国民の生命にかかわる問題だ。安全性確保のため検証と協議を重ねる責任を担っている」と慎重姿勢を示し、他の社会党の4閣僚も同様の見解を明らかにした。

石原氏は、首相の侵略戦争発書をめぐり「米国や英国、オランダなど戦勝国にまで謝罪する必要はない」と発言の一部取り消しを求めたが、首相は「それらの国々にも耐え難い苦痛を写えた人々がいることは事実だ」と突っぱねた。

首相はコメ市場開放問題で「日本新党の基本的農業政策が柔軟だったのは事実だ。私も“一粒たりとも”というのはどうか、と主張してきた」と本来は自由化に柔軟だったことを認めた上で、現時点では自由化に反対するとの連立政権の合意に沿って対応していくことを強調した。《共同通信》

【政界談話室】

○…細川首相は5日、衆院予算委で自民党の江藤隆美氏と「侵略戦争」発言をめぐり熱のこもった論争を繰り広げた。江藤氏は首相発言以後、関連書20冊を読破したと豪語。日清、日露戦争から東京裁判までを引き合いに出し「侵略戦争という言葉は不適切」と詰め寄った。首相は委員会休憩時に記者団から感想を求められると「まあ、人それぞれいろいろな見方がありますから」と小さな声でボソボソ。それでも「何と言われても侵略戦争という認識を変えるつもりはないか」との質問には、「はい」ときっぱり答え、気力を奮い立たせていた。

○…大内厚相はこの日の閣議後の記者会見で「自民党は野党慣れしていないので、質問に彫りの深いところがなくてサラッと触っているだけ」と前日の衆院予算委での自民党の質問を評した。「綿密に調査して質問するのではないので緊迫感がなく、答弁するのは楽だ」と余裕の弁も。逆に連立与党の答弁は「党の委員長や代表をしているから慣れているし、記者会見もある。舞台が違うだけ」と自画自賛。さらに「何を言われても平気だという人もいる」とエスカレートし、すっかり与党慣れの様子。《共同通信》

【ロシア・エリツィン大統領】連邦会議を延期

ロシア議会を武力制圧したエリツィン大統領は一夜明けた5日、地方首脳を集め同日開催する予定だった「連邦会議」を急きょ延期するとともに、地方で反大統領派の中心的存在だったノボシビルスク州のムハ行政長官(州知事)とアムール州のスラト同長官の2人を解任した。また、タス通信によると、安全保障会議の非常任メンバーであるフィリポフ氏は5日、大統領が、すべての地方議会か、あるいは大統領に反対する一部議会を解散させることを検討中だと述べた。

これは、首都での権力闘争に勝利して勢いに乗る大統領が、地方でも反対派指導者を排除し、大統領の支配力を大幅に強化する方向に踏み出したことを示しているとみられる。また、コスチコフ大統領報道官は延期の理由について「地方の一部はクーデターを支持した」と述べ、現在の地方議会代表が入った「連邦会議」の存在や構成を見直す可能性を示唆した。ルシコフ・モスクワ市長も反大統領派が多数を占める市議会が解散され、新議会選挙を行う方針だと述べた。《共同通信》



10月5日のできごと