平成1637日目

平成5年7月2日(金)

1993/07/02

【宮沢喜一首相】政権継続に意欲

総選挙の公示を控え自民、社会、公明、共産、民社の5党首による討論会が2日午後、東京・内幸い町の日本記者クラブで開かれ、総選挙に臨む姿勢、争点などについて論戦を展開した。

自民党の宮沢総裁(首相)が「引き続き政権政党として責任を果たしたい」と総選挙後も自民党政権の継続を強調したのに対し、社会、公明、民社の3党首は自民党に代わる連立政権づくりに全力を挙げることを主張、自民党政権の継続か、非自民連立政権かを最大の争点に選挙戦に臨む姿勢が鮮明になった。

宮沢首相は、豊かな生活を守る「一つの安定」と政治改革、豊かな社会への変革、国際社会への貢献の「三つの改革」を訴えた。

社会党の山花委員長は、連立政権では外交・防衛の国の基本政策を継承することを改めて明言した。

宮沢首相(自民党総裁)は2日午後、東京・内幸町の日本記者クラブで開かれた党首公開討論会で、総選挙で過半数を維持できなかった場合の対応について「政策を同じくする人たちと一緒にやっていく」と述べ、下野はせず自民主導の連立政権を樹立する考えを示した。連立の対象については「基本政策の一致がないといけない」とし、日本新党や新党さきがけを念頭に置いていることを示す一方、新生党や公明、民社両党も排除しなかった。

山花社会、石田公明、大内民社の各党委員長は政治改革実現のため自民党に代わる連立政権を目指す考えを強調、自民党との連立は否定した。共産党の不破委員長は企業献金禁止を選挙で訴えていく考えを示した。

党首討論会は二日間の日程で開かれ、一日目は自民、社会、公明、共産、民社の5党首が総選挙で最大の争点となる政権交代、連立政権、内政・外交政策をめぐって、意見を戦わせた。

不信任案可決に衆院解散で応した首相は総選挙で敗れた場合の政治責任について「過半数維持のため全力で戦う」と述べた。「過半数」に言及したことは、自ら責任ラインと認めたと言えるが進退は言及しなかった。

首相は社会、新生など5党の「非自民連立政権構想」に対し、「安保、外交政策の合意がない」と厳しく批判。特に社会党の自衛隊、韓国、原発の基本政策について「他野党との間に大きな開きがある」と指摘した。石田、大内の両氏も社会党の基本政策問題での揺れに懸念を示した。

これに対し山花氏は「冷戦後の野党第一党は抵抗の役割が通用しなくなった」とし、連立政権に参加した場合は「国の基本政策は承継する。党独自の政策は大事にするが、それに固執しては連立政権はできない」と述べ、連立政府の政策を優先する考えを強調した。

過半数割れした自民党との連立の可能性について、石田、大内両氏は「国民からも不信任された党とは、とても組めない」(大内氏)などと明確に否定した。不破氏は「金権政治の問題は無傷で残っている」と指摘、「自民党に代わろうという勢力が政策継承を言っている」と社公民の連立構想を批判した。

討論会には3日、新生党、新党さきがけ、社民連、日本新党の各党首が出席する。《共同通信》

【日本新党】選挙公約を発表

日本新党は2日、衆院選に向けた選挙公約となる基本政策を発表した。昨年12月発表した政策大綱では「新しい改憲論」を提唱し話題を呼んだが、今回は政治改革や行財政改革の推進、経済政策、国土政策に力点を置いているのが特徴。総選挙後の政権構想には触れていない。

外交政策では、将来の国連常設部隊創設など国連平和維持活動(PKO)強化のため「あいまいな法解釈をめぐる国内対立を引き起こさないよう確固たる国内体制づくりに早急に着手する必要がある」と強調しているが、表立った「改憲論」は影を潜めている。

政治改革については、政治資金規正法、刑法の罰則強化や政治資金の公的助成などのほか、候補者の公募制度創設や官僚の立候補制限を提唱。選挙制度改革は「小選挙区比例代表、中選挙区連記制、都道府県別非拘束式比例代表制や、その組み合わせなど、与野党が合意可能な制度を採用し、衆参合わせて早急に実現する」にとどめ、望ましい具体的な制度に言及することを避けた。

日本新党は2日、総選挙で高知全県区に永国淳哉氏(53)、和歌山1区に浦口高典氏(38)の両新人を公認候補として擁立するとともに、既に推薦していた福島3区の新人木幡弘道氏(46)を公認候補に変更すると発表した。 また福島1区から出馬する無所属元職の石原健太郎氏(55)、北海道3区の無所属新人の秋田喜美男氏(49)の推薦を決めた。これで同党の候補は公認55人、推薦14人の計69人となり、公明党の公認候補者数54人を上回った。《共同通信》

【政界談話室】

○…宮沢首相は2日、総選挙公示を4日に控え、記者団から「梅雨どきの選挙だが」と聞かれ「本当のところ、あまりありがたくないな。飛行機の欠航なんか出ると困るんだけど」と、追い込まれての解散に依然、無念さが残っている様子。先の国会終盤の6月中旬以降、政局や先進国首脳会議(東京サミット)の勉強会で週末もつぶれ、唯一の健康法のゴルフもできずじまい。最近は自宅で固定自転車の健康器具を使って運動不足を解消しているとかで、「一生懸命ペダルを踏んでいる。それが(ゴルフの)代わりだ」と言うものの、心が晴れない日々のようだ。

○…社会党の赤松書記長は、連立政権を目指す各界緊急集会で「自民党を政権から引きずり降ろすのが今回の選挙の最大の課題だ」と選挙戦の意義を強調。しかし、連立政権で党の政策を変更することに支持層から懸念が出ていることが気になるのか「社会党に近い皆さんからご心配を頂くのは励ましや期待だと思う。社会党は一貫して微動だにしない」と弁明。「連立の際は選挙での議席によって、主導権が取れる。中核となるべき社会党へより多くの議席を与えてください」とひたすらお願いしていた。《共同通信》

【カンボジアPKO】日本人文民警察官、7日に帰国の途

カンボジアの国連平和維持活動(PKO)に参加している日本の文民警察官66人(山崎裕人隊長)について、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)は2日、業務の終了を許可し、全員が7日にプノンペンを出発、帰国の途に就く、と発表した。山崎隊長ら66人はバンコクを経由、早ければ、8日にも成田へ戻る見込み。

今回の帰国はUNTAC文民警察部門(32カ国、約3500人)の撤収第一陣で、日本政府が7月13日までと定めた任期より約1週間早く、昨年10月から9カ月間にわたった任務を終える。

昨年10月の派遣当初、75人だった日本人文民警察官は、5月4日に高田晴行警視=当時(33)、岡山県警出身=が活動中に武装集団の襲撃を受け殺害され、また、同事件で負傷したり、劣悪な任務環境で健康を害した計8人が任務中途で先に帰国している。

日本の文民警察要員に関し、政府は高田警視らの殺傷事件を受け、安全確保を理由に5月末のカンボジア総選挙終了後のできるだけ早い時期に帰国させるよう再三要請してきた。UNTAC側も、総選挙の実施で文民警察部門の任務が事実上終わったため、参加各国と撤収計画の調整を続けていたが、国連本部の最終的了解が得られず、スケジュールの確定が遅れていた。《共同通信》

防衛庁首脳は2日夕、カンボジアの国連平和維持活動(PKO)に参加している陸上自衛隊施設部隊の撤収時期について、9月15日から同26日まで3回に分かれて現地を出る予定がやや遅れ、10月にずれ込むとの見通しを示した。 その理由について「国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の明石代表が日本部隊の残留を望んでいるようだ」と指摘、各国部隊の帰国時期の調整も遅れていることを強調した。《共同通信》

【米・クリントン大統領】対ベトナム融資に反対せず

クリントン米大統領は2日声明を発表し、国際通貨基金(IMF)の対ベトナム融資再開について、これまでの反対を取り下げると表明した。

両国関係の改善について大統領は「ベトナム戦争中の行方不明米兵(MIA)調査問題でのベトナム政府の協力次第」としているが、今回の方針転換で経済制裁の全面解除、国交正常化など関係改善へ向けた大きな障害が取り除かれたことになる。大統領は、近くゴバー復長軍人副長官、ロード国務次官補(東アジア・太平洋担当)ら代表団を派遣し、ベトナム政府に意向を伝える。

フランスや日本は対ベトナム融資の早期再開を働き掛けてきたが、米国が反対したため、IMFは実施に踏み切れなかった。今月中旬のIMF会合で再開が正式に決まる見通し。融資額の1億4000万ドルはベトナムの債務返済に充てられるが、今後の新規融資への道も開かれた。

クリントン大統領は行方不明米兵の家族の心情に配慮し、関係改善に慎重な姿勢を取ってきた。しかし、ベトナム市場への参入が遅れることを懸念する米経済界は融資再開、それに続く、制裁の全面解除を求めてきた。《共同通信》



7月2日のできごと