平成1628日目

平成5年6月23日(水)

1993/06/23

【新生党】旗揚げ

自民党を離党した羽田グループ44人は23日午後3時から東京・紀尾井町の事務所で総会を開き「新生党」結成を宣言した。この後、党首に就任した羽田孜前蔵相(57)が記者会見し「結党宣言」と「基本綱領」を発表した。自民党は「新党さきがけ」結成に続き、1955年保守合同以来の大規模分裂となった。

羽田氏は会見で「長く続いた政治に終止符を打って新しい政権の中核になるとの使命感を持っている」と述べ、今回の総選挙で自民党から政権を奪取する決意を表明。「本当に政治改革をやり遂げるグループに呼び掛ける」と政治改革を軸に広範な非自民勢力による連立政権を目指す考えを示した。羽田氏は24日、社会、公明、民社など各野党党首を訪ね、選挙協力とともに政権協議を呼び掛ける意向だ。

「新党さきがけ」結成に続く新生党の誕生による初の大規模な自民党分裂で、総選挙の結果次第では、1955年の保守合同以来38年に及ぶ一党支配に終止符が打たれ「非自民連立政権」の新時代を迎えることになろう。

新生党結成には、22日離党した自民党旧羽田派の前衆院議員35人と参院議員8人に小沢辰男元厚相の計44人が参加。代表幹事に小沢一郎元自民党幹事長を選んだ。結党宣言では「今、この国の政治を変えたい」として「自立と共生の理念」と「漸進的改革を信条とする新しい保守主義」の基本理念に基づき「人類、世界、日本の発展のために全力を尽くす」と強調している。

基本綱領では、政治改革の実現を掲げて自民党を離党したことを踏まえ「抜本的政治改革の速やかな実現」を第一に挙げている。そのほか①規制緩和と社会的公正による健全な市場経済の発展②世界から信頼される新しい日本をつくる③地方中心の活力あふれる政治、経済、文化の発展④かけがえのない地球を守る生活者の視点に立った諸政策の実行―を柱としている。

新生党は、総選挙での躍進のため、直ちに選挙対策本部を発足させ、第一次公認候補として前職36人と元職・新人18人の計54人を発表した。

自民党結成以来最大の分裂劇の主役となった羽田派は新党結成の23日、緊張の朝を迎えた。午前11時前、議員宿舎に姿を見せた羽田代表は「大変ないばらの道だ」と心境を語った。

羽田氏は廊下を埋めた約30人の報道陣を見て「すごいな」とまず一言。「昨晩は各方面と電話で話し、寝たのは午前4時」とやや疲れた表情。「命懸けで道を切り開く」「仲間の政治生命を背負っているので重いものを感じる」と話し「責任感」を強調した。

東京・紀尾井町の羽田派事務所。午前9時半すぎ、降りしきる雨の中、車を降りた小沢元自民党幹事長は「いよいよですね」との報道陣の呼び掛けに「はいはい」とこたえ、顔をほころばせた。羽田新党の党本部となるだけに、事務所には要人警護の私服警官や制服姿の警察官が頻繁に出入り)し慌ただしい雰囲気。

羽田派関係者によると、「日本新党など他のグループからのくら替え組も含めこれまでに数十人の元議員らから公認申請が来ており、選定作業に追われているという。《共同通信》



【政界談話室】

○…宮沢首相は23日、「首相が亡くなると(自民党は選挙で)大勝利かもしれない」という武藤外相発言について記者団に聞かれると「いや、ジョークだ。気にしない」と取り立てて問題にしない姿勢。重ねて「ジョークだから、いちいち“論争”しないということか」とたたみ掛けられても「ジョークだから気にしない」とにこにこ。前日、外相発言が伝わった直後は官邸側も「何を言っているんだ。論評する意味もない」とピリピリしていたが、首相本人はおうように、冗談として無視することにしたらしい。

○…この日、社民連の江田代表は自民党を離党した羽田グループが「新生党」を結成したのを受けて記者会見。「古い時代は終わり、新しい時代が始まった。自民党は確実に崩壊している。宮沢内閣はしんきろうだ。遠くからは見えるが、近くに寄ると足元に何もない」と感慨深げ。少数勢力の悲哀に歯を食いしばりながら、早くから政界再編を唱えていただけに「旧野党でも再編、新党への動きが当然来る」。もっとも「将棋の指し方を間違わない保証はない」と慎重に付け加えるあたり、「旧野党」の体質には一抹の不安も。《共同通信》

【WBAジュニアウェルター級タイトル戦】吉野弘幸選手、戴冠ならず

世界ボクシング協会(WBA)ジュニアウエルタータイトルマッチ12回戦は23日、東京・後楽園ホールで行われ、挑戦者の同級7位、吉野弘幸(ワタナベ)はチャンピオンのファン・コッジ(アルゼンチン)に5回2分15秒KO負けし、王座奪取が成らなかった。

吉野は1回から得意の左フックで積極的に攻め、互角に打ち合った。しかし、徐々にコッジが重い左のフック、アッパーでリズムをつかんだ。5回、まず、強烈な左で吉野を崩し、右フック、左右のストレートと攻撃を緩めず、2分15秒、3度目のダウンを奪ってKO勝ちを決めた。コッジは今年1月に王座に返り咲いてから2度目の防衛。日本のジムに所属する現役世界王者は依然、WBAジュニアバンタム級の鬼塚勝也(協栄)、世界ボクシング評議会(WBC)フライ級のユーリ・アルバチャコフ(協栄)の2人のまま。

【雲仙・普賢岳】大火砕流、30棟焼く

長崎県雲仙・普賢岳で23日午前3時前、継続時間が3分50秒と2分40秒の規模の大きな火砕流が相次いで発生。いずれも火口北東の中尾川方向に流れ下り、先端は島原市千本木地区を越えて同市上折橋町付近まで達した。島原署によると、南千本木町などで民家など約30棟が焼失、熱風で約20棟が倒壊したという。

同地区は立ち入り禁止の警戒区域や避難勧告地域に指定されており、人の被害はないもよう。島原市は午前11時45分、避難勧告地域の同市北千本木町などを警戒区域に指定するとともに、新たに上折橋町の一部に避難を勧告した。火砕流による民家火災は北東側方向では初めてで、昨年8月8日に同県深江町大野木場地区で民家など16棟が燃えて以来。

また午前11時すぎにも再び大きな火砕流が発生、上折橋町付近まで達したもようで自衛隊などが確認を急いでいる。雲仙岳測候所はこの日2回、警報に当たる緊急火山情報を出し警戒を呼び掛けた。市災害対策本部によると火砕流の先端は千本木地区と島原市の中心街を結ぶ県道を突破。火口から約4.5キロ流れ、北東側斜面ではこれまでで最大規模。

九州大島原地震火山観測所の太田一也所長は「厳重な警戒が必要で、避難勧告地域には絶対に立ち入らないでほしいと話している。一方、大雨洪水警報が23日、解除されたのを受け、島原市と深江町は土石流警戒による避難勧告を解除した。《共同通信》

大規模火砕流が頻発し、住宅が焼失するなどの被害が出た長崎県雲仙・普賢岳ふもとの島原市上折橋町で23日、陸上自衛隊災害派遣隊が男性1人の遺体を発見、収容した。島原署が確認したところ、男性は家族から捜索願が出ていた同市、大工Aさん(51)と分かった。火砕流による犠牲者は、死者40人、行方不明3人が出た一昨年6月3日の惨事以来である。

自衛隊によると、市民から市火災対策本部に「男性が倒れている」との連絡があり、捜索していたところ、上折橋町の上折橋バス停付近の草むらにいたAさんを発見したが、既に死亡していた。熱風によるやけどが死因とみられる。《共同通信》

【東京都渋谷区】統一教会本部に発砲

23日午前5時40分ごろ、東京都渋谷区松涛、世界基督教統一神霊協会(統一教会)本部の玄関シャッターに短銃が撃ち込まれたと同教会から110番があった。渋谷署で調べたところ、同本部1階玄関スチール製シャッターの高さ1.5メートルの所に弾の貫通した痕跡が3カ所あり、シャッター内側のガラス戸が割れていた。弾は3発ともシャッターとガラス戸の間で見つかっており玄関前路上には薬きょう2個が落ちていた。

同教会などによると、夜間は宿直員1人が玄関わき」の事務所に泊まっているが、午前4時50分ごろ、外で「ポン、ポン」という音を聞き、不審に思って玄関を調べ、弾痕を発見した。同署は同時刻ごろに何者かが発砲したとみて、目撃者捜しなどを急いでいる。宿直員によると、車の急発進の音などは聞いていないという。今回の発砲事件について統一教会広報部は「犯行動機は分からない。大変遺憾なことだ」と話している。《共同通信》



6月23日のできごと