平成1620日目

1993/06/15

この日のできごと(何の日)

【自民党】政治改革法案の今国会成立を見送り

宮澤首相と自民党の梶山幹事長ら党四役は15日夕、政治改革法案の処理をめぐって大詰めの協議をした。その結果、党内状況から対野党妥協案作りを断念、単純小選挙区制の党議決定を堅持することを最終確認した。これにより今国会での改革法案成立が見送られることは確定し、野党側は「首相の公約違反」として内閣不信任決議案を早ければ17日にも提出することで足並みをそろえた。自民党内の羽田派が不信任案同調の構えを見せていることもあって、政局は20日の国会会期切れに向け、衆院解散・総選挙含みで緊迫化してきた。

法案の処理をめぐっては、「継続審議」とする案とともに衆院政治改革調査特別委員会で自民党原案のまま「採決」する案が浮上している。首相も党四役との協議の中で「これ以上党内で同意点を見いだせる状況にない。原点に戻るしかない」述べた。

党内の改革推進、慎重両派とも原案「採決」では大筋致しており、党内融和を重視する立場からの選択みられる。しかし改革見送りを前提とした採決に野側は一段と反発することが予想されることから、具体的な法案の処理方法については16日、首相と四役が再協議して決め、総務会に首相も出席して報告することになった。

会期について梶山幹事長や佐藤総務会長は「延長なし」の方針を固めているが、この日の主要との協議の中で三塚政調会長が「政治改革の火を消さない意味でも会期延長していくことが大事だ」と強調したことで、今後の調整課題となっている。

首相と党四役との協議に先立って開かれた総務会では、最後に梶山幹事長が「党議決定の枠内で総裁、党四役に一任」を求め、了承された。

論議の中では、羽田派の佐藤守良、奥田敬和両氏が「単純小選挙区制が譲れないというなら、粛々と採決を行うべきだ」などと主張。「これまで野党との妥協に慎重な姿勢を示してきた石原慎太郎、中山太郎、山崎拓、世耕政隆の各氏らも自民党提出法案の「採決」を求めた。

総務会の開会前に、「両院議員総会を開催せよ」と叫ぶ改革推進派が佐藤総務会長を取り囲み、10分間にわたってもみ合うなど、党内の意見対立の厳しさを見せ付ける一幕もあった。《共同通信》

「総務会なんかで決められてたまるか」「君らそれでも国会議員か」。むせ返るような熱気の中、怒号が飛んだ。15日午後の自民党総務会。政治改革を先送りしようとする慎重派と、改革推進派の双方が激しい言葉の応酬と、汗みどろのもみ合いを展開した。

東京・永田町。自民党本部6階の総務会室前では、午後2時半ごろから、石破茂氏ら政治改革推進派の議員らがピケを張るようにして待機。総務会のメンバー一人ひとりの行く手を遮って「両院議員総会でお決めくださるよう、お願いします」と訴えた。

そのうちに、慎重派議員との押し問答が過熱。狭い廊下には自民党議員のほか、約200人の報道陣や、秘書、党職員らが詰め掛け、身動きできないすし詰め状態で大混乱になった。事実上総務会メンバーの入室を阻止する形になり「総務会はたった30人じゃないか」「党が割れるぞ」「手を出すな」などと、怒号が飛び交い、転倒して踏み付けられる人も。廊下は汗びっしょりの自民党議員やカメラライトの熱気で蒸しぶろのようになる中、午後3時10分すぎ、ようやく総務会が始まった。

約2時間後、総務会は終了。議員秘書が人垣でつくった通路を出て来た推進派の佐藤守良衆院議員は「政治改革を公約してきた自民党はうそをついたことになる」と一気にまくし立てた。傍聴していた石破茂衆院議員は「5年間も議論してきたことは何なのか、党内の6割が改革を望んでいることは何なのか」。総務会を阻止する行動に出たことについて「弁明はしません。なぜしなければならなかったかを酌んでほしい」と無念の表情を見せた。

総会後、会見した佐藤孝行総務会長は「党議決定は厳然と生きている。宮澤総裁との話し合いは党議決定が前提」と、事実上決着したと言わんばかりだった。《共同通信》

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【政界談話室】

○…今国会での政治改革の先送りが確実となった15日は、閣議前の閣僚の雑談も何となくざわついた雰囲気。小泉郵政相が「次の閣議は解散(を決める)閣議だな」とロ火を切り、村上労相が「物騒なことを言っているな。また官房長官におしかりを受けるよ」とたしなめたが、郵政相は「暑い(時期の)解散か。悪くないなあ。選挙が終わると夏休みが取れるし」と言いたい放題。田名部農相は「選挙が強い人はいいなあ」と深刻な表情だったが、参院からの入閣で解散のない労相は、「7月18日の日曜は日がいい。投票は18日がいい」と気楽に追い打ち。

○…社民連の江田代表はこの日の記者会見で宮澤内閣不信任案提出に同調することを決めたと発表。「(衆院で)46人の公明党は既に決定している。社民連の4人が決めたことで、不信任案提出権のある51人まであと1人になった」と強調。続けて、「進歩党の田川誠一さんもいるし、よく見るともう1人いますね」とニヤリ。もう1人とは、先ごろ社会党が除名したシリウスメンバーの渋谷修氏を指したようだが、慌て気味に「決して社会党に不信感を持っているわけではありません」《共同通信》

【大阪府警】短銃15丁を密輸入、日本航空教官逮捕

大阪府系捜査四課と曽根崎署などは15日、日本航空(本社東京)の乗員訓練センター教官が米国から短銃などを密輸入していたなどとして、銃刀法違反の疑いで、横浜市港区、日本航空運行乗員訓練部担当次長、A容疑者(50)を逮捕した。

同容疑者はこれまでに計約15丁を米国から持ち込んだと供述している。捜査四課は、A容疑者が昭和58年まで国際線の機長などをしていたことから、こうした立場を利用していたのではないかとみて追及している。《共同通信》

【新潟県両津市】高速船が座礁

15日午前9時ごろ、新潟県両津市(佐渡)梅津沖約10メートルの浅瀬で、佐渡汽船所属のジェットフォイル「ぎんが」(277トン)が座礁した。同船には乗客241人が乗っていたが、修学旅行中の新潟市立木戸小学校教諭Aさん(29)が足の骨を折って重傷、同小の6年生ら23人が軽いけがをした。両津署は船長が船の操縦を誤った可能性が強いとみて業務上過失傷害の疑いで調べている。《共同通信》

【北陸新幹線・新倶利伽羅トンネル】石川県側も着工

北陸新幹線石動—金沢間の新倶利伽羅トンネルは15日、石川県津幡町大畠地内で安全祈願祭を行い、石川県側(西工区)の工事に着手した。県内での北陸新幹線事業は金沢駅舎整備に続くもので、「レール」部分では初の工事となる。完成は7年3月末を見込む。

祈願祭には石川県の谷本副知事(知事代理)、大幸県議会議長はじめ、鉄道建設公団北陸新幹線第二建設局、JR西日本関係者ら約100人が出席し、石川県側の本格建設を祝った。《北國新聞》

【H2ロケット】噴射試験成功

初の純国産大型ロケットH2の主エンジンの性能を調べる実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)が15日、宇宙開発事業団の種子島宇宙センター(鹿児島県)で行われ、実際の打ち上げと同じ350秒以上の噴射に成功した。事業団は来年2月の初打ち上げへの準備がほぼ整ったとして、9月から同センターの施設点検など地上作業に入る。

試験は主エンジンの「LE7」をロケット本体に取り付けて点火。これまでの最長時間100秒を大幅に上回る353秒の噴射に成功した。

H2は衛星打ち上げのための次期主力ロケット。静止軌道への打ち上げでは約2トンと、これまでのH1の3倍以上の能力を持っている。

この大推力を得るため開発されたのがLE7。液体水素と液体酸素を燃料とするが、事故などのトラブルで当初予定より開発計画が遅れていた。《共同通信》

【宮中饗宴の儀】

皇太子ご夫妻の結婚を祝う天皇陛下主催の「宮中饗宴の儀」が15日午後、「国の儀式」として皇居の宮殿・豊明殿で開かれた。宮中饗宴の儀は17日まで昼夜計6回開かれ、延べ約2700人が招待される。

正午すぎ、出席者が起立して迎える中、両陛下と皇太子ご夫妻、その後ろに皇族方の順で豊明殿へ入場。メーンテーブルの席に立たれたところで宮内庁楽部が「君が代」を演奏した。

この日は天皇、皇后両陛下、皇太子ご夫妻をはじめ皇族方、天皇家の親族と雅子さまの両親の小和田恒外務事務次官夫妻ら小和田家の親族のほか宮澤首相ら三権の長、閣僚、都道府県知事代表ら約448人が出席した。

天皇陛下が「ここに饗宴を共にし、皆さんと喜びを分かつことを誠にうれしく思います」とお言葉を述べられた。これに対して出席者を代表し宮澤首相がお祝いのあいさつをした。この後、桜内衆院議長の音頭による乾杯と続き、宴は約40分で終了。午後7時からは2回目が行われ、国会議員らが出席。16日の昼と夜は国会議員と各界代表者ら、17日昼は都道府県の知事、議会議長と各界代表者ら、最後の17日夜は各国大使ら外交団が出席する。《共同通信》



6月15日 その日のできごと(何の日)