平成1581日目

平成5年5月7日(金)

1993/05/07

【日本人文民警察官殺傷事件】高田警視、無言の帰国

カンボジアでの日本人文民警察官殺傷事件で犠牲となった岡山県警出身の高田晴行警視(33)=二階級特進=の遺体が7日午前、妻A子さん(31)や両親に付き添われ日航機で大阪国際空港に到着、約7カ月ぶりに無言の帰国をした。

港には岡山県の実家から高田さんの長男Bちゃん(3つ)と二男Cちゃん(1つ)のほか、政府の柳井俊二国際平和協力本部事務局長、警察庁の井上幸彦警務局長、岡山県警の式部静警備部長ら政府、警察関係者約100人が出迎えた。

午前8時15分、遺体を乗せた日本航空728便が9番スポットに到着した。先に降りた喪服姿のA子さんや両親、飛行機近くに止めたマイクロバスの中の幼い2人の子ら親族が見守る中、日の丸と国連旗に包まれた高田さんのひつぎは大阪府警儀じょう隊員の手で飛行機から降ろされ、故国の土を踏んだ。

ワゴン車に乗せられたひつぎは、敬礼する儀じょう隊の中をパトロールカーに先導され、空港内のホテルにいったん安置。遺体は検視を終え、白装束に着せ替えられ、和式のひつぎに移し替えられた後、両親、妻子とともに岡山県へ車で向かった。ひつぎには、高田さんの同僚の日本人文民警察官2人も、ベレー帽姿で付き添った。

岡山県では高田警視が小隊長を務めていた岡山市いずみ町の岡山県警機動隊に運ばれ、かつての同僚らが別れを告げた後、平沢勝栄県警本部長らが迎える倉敷市水島の実家に、午後4時ころ帰宅する。《共同通信》



【宮澤喜一首相】故・高田警視に特別褒賞贈呈へ

宮澤首相は7日、カンボジアの日本人文民警察官殺傷事件で死亡した故高田晴行警視=2階級特進=に対し「総理大臣特別褒賞」を贈ることを決めた。河野官房長官が同日午後の記者会見で発表した。

河野長官が9日、岡山県での通夜に参列する際、遺族に対し表彰状を手渡す。これと併せて特別褒賞金1000万円を贈る。

政府はこのほか、PKO協力隊員に対する補償制度を最大限活用し、賞じゅつ金5000万円と公務災害補償を5割増しして支給することにしている。《共同通信》

【小泉純一郎郵政相】カンボジアPKO「撤退すべき」

政府は7日午前、閣議に先立って「カンボジア安全対策関係閣僚会議」を開き、日本人文民警察官殺傷事件を受けて国際平和協力業務安全対策本部会議が決めた国連平和維持活動(PKO)への派遣計画維持の基本方針を了承するとともに、今後の安全対策などについて協議した。

小泉郵政相は閣議後の会見で「血を流してまで国際貢献しなくてもいい」と述べ、カンボジアでのPKO活動からの撤退を検討すべきだ、との考えを表明した。

河野官房長官を中心にした対策本部会議の協議で①文民警察官、選挙監視要員の警護態勢強化②配置先の再検討―を国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)に申し入れる方針を決め、選挙監視要員の辞令も6日に予定通り発令し派遣。計画全体に変更のないことを確認している。

政府としてはこうした安全対策上の措置に併せて、カンボジア情勢は局地的な停戦違反はあってもPKO参加5原則の停戦合意は確保されているとの判断から、国連安保理での国際社会の一致した行動の呼び掛けを続ける一方、外務省の池田アジア局長と今川駐力ンボジア大使を中国に派遺。北京に滞在中のカンボジア最高国民評議会議長のシアヌーク殿下と総選挙実施に向けた協議を進める。《共同通信》

【ポル・ポト派】パリ和平協定は失敗

カンボジアのポル・ポト派スポークスマンは7日、同国西部のプノンマライで記者会見し「パリ和平協定はカンボジアの平和と国民和解をもたらすことができなくなっている」との声明を発表、和平協定実施の事実上の失敗を指摘するとともに、シアヌーク殿下が提案している救国暫定政権構想が難局打開の唯一の道であると強調した。

ポト派は国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)が現情勢を統制できなくなっていると非難しており、パリ和平協定離れを一層鮮明にして、シアヌーク殿下の救国構想を生き残り戦略として進めていくことになりそうだ。

シアヌーク殿下の構想は、UNTAC撤退後、ポト派を含め全4派で暫定政権を樹立するとの提案で、3月初めに殿下が示した。

ポト派スポークスマンは、ベトナム軍とプノンペン政権軍がポト派などへの攻撃を強めており、UNTACがこうした情勢の統制に完全に失敗し「ベトナム侵略者とかいらい(プノンペン政権)の人質となっている」と非難した。

また、こうした情勢下での総選挙実施はカンボジア人にとって受け入れ難く、パリ和平協定に反するとし、ベトナムの侵略と占拠を合法化するものでしかないと強調した。

スポークスマンは、6日の北京での各派の非公式協議に参加しなかった理由として「明石UNTAC代表の宣伝でしかなく、何の成果ももたらさないからだ」と表明。そしてキュー・サムファン議長がシアヌーク議長の救国構想を協議する会議にはいつでも参加し、この構想による暫定政権を強く支持すると述べた。《共同通信》

【政界談話室】

○…宮澤首相は7日、首相番記者から「今日で日本新党が…」と尋ねられると、問いを遮って「一周年だってな」と切り返し、結党一年を迎えた同党への関心をのぞかせた。以前、平成維新の会をめぐり「大前(研一)さんてだれ」とはなも引っ掛けなかったのとは大違いの対応で「政党になるのは大変な努力がいりますよね。いろいろ努力しておられるんだと思いますが」と大政党の党首からのねぎらいの言葉も。だが「政策面がよく分からないんだ」と付け加えるのも忘れず、うわベの関心とは裏腹に、政党としては未完成とでも言いたげ。

○…その日本新党の細川代表は、党の都議選選対本部の発足式であいさつ。最近細川氏や党が自民党はじめ他党の機関紙や週刊誌で“攻撃”されていることに触れ「同じ土俵で相手になるのではなく、不当なものには法的措置を含めて既に対応を始めている。大部分は相手にするに足らない」と批判した。結党以来高まる一方の支持率や地方首長選での好調ぶりに意気軒高な細川氏だが、女性問題までもにおわせる怪文書などにはさすがにうんざりし切った様子。「(政治という)本筋で勝負すべきだ」と語気を強め、都議選での躍進を訴えた。《共同通信》

【社会党】札幌で対話集会

社会党は7日、札幌市の大通公園で「聞かせてくださいあなたの声を=政治改革の実現に」と題した市民との対話集会を開催、赤松書記長が政治改革などについて演説後、街宣車を降りて公園内の市民と対話した。政治改革が選挙制度の改革論議に偏り過ぎ、政治の腐敗や政治資金の規制の訴えが足りないとの党内の声を受けたもので、今後、全国の主要都市でも開く予定。

昼休みとあって公園内のベンチでくつろぐ市民も多く、約30分間に9人の市民がマイクを取ったが、既成政党への不信を反映してか「口ばかりでなく政治改革を実現しろ」「社会党は煮え切らない態度を取らず堂々と意見を言ってほしい」といった厳しい意見が相次いだ。《共同通信》

【スリランカ】ウィジェトンガ大統領選出

1日に爆弾テロで暗殺されたスリランカのプレマダサ大統領の後任を選ぶ国会(一院制)が7日開かれ、ディンギリ・バンダ・ウィジェトンガ首相(71)=大統領代行=を与野党の満場一致で第3代大統領に選出した。新大統領の最優先課題は治安の確立だが、少数派タミル人との民族対立の根は深く、多難なスタートといえる。

新大統領の任期はプレマダサ前大統領の残りの任期である来年末までで、事実上暫定政権の色彩が濃く、政局運営に苦慮する事態も予想されよう。新首相にはウィクラマシンハ工業・科学技術相(44)が任命された。 選出後、ウィジェトンガ新大統領は記者団に対し「国民の再統合を目指す」と強調、北東部で分離・独立闘争を続けているタミル人過激派組織タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)に対し、平和的対話に応じるよう呼び掛けた。 新大統領は経済面では、前大統領が敷いた経済自由化路線を踏襲すると言明。野党陣営は、スリランカ自由党のバンダラナイケ元首相の擁立を一時検討したが、国家の非常事態という見地から候補者指名を見送った。7日の議会で、野党各党は新大統領への異例の支持を表明、特に民族和解に向け最大限の努力をするように注文を付けた。憲法の規定では大統領が死亡した場合、後任大統領は国会で議員の中から選出される。《共同通信》

【中日・落合博満内野手】両リーグ200号到達

中日の落合博満内野手(39)は7日、ナゴヤ球場での横浜4回戦の七回、有働投手から7号本塁打し、史上初の両リーグ200本塁打を記録した。

落合博は1979年から86年まで在籍したロッテで242本塁打。中日に移った87年から昨年まで193本塁打をマークしていた。通算本塁打で歴代11位の落合博は、10位の長嶋茂雄(現巨人監督)の444本まであと2本となった。《共同通信》

【サッカーW杯アジア一次予選】日本、最終予選に進出

サッカーの1994年ワールドカップ(W杯)米国大会アジア一次予選F組2回戦は7日夜(日本時間8日未明)、アラブ首長国連邦(UAE)のアルアインなどで2試合を行い、日本はUAEと1―1で引き分け、通算7勝1分け(勝ち点15)でUAEの6勝1分け1敗(同13)を抑えて同組1位となり、最終予選へ進出した。

アジア2代表を争う最終予選の期日、試合方法、開催地は未定だが、日本のほか、既にC組で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が最終予選進出を決めている。 これまで7戦全勝と好調の日本だが、この日はUAEの積極的な攻撃もあって前半は互角の展開だった。しかし後半、暑さでやや動きの鈍くなった日本は守勢に回り、35分にはPKを取られるピンチ。これはシュートがポストに当たる幸運に恵まれたが、37分、アブドルラザクの個人技からこの予選初めて先手を取られた。 しかし日本はその1分後、ラモス(川崎)の左センタリングからチャンスをつかみ、後半交代出場の沢登(清水)が豪快な右足シュートを決め、引き分けに持ち込んだ。

バングラデシュとスリランカは、バングラデシュが3ー0で勝った。スリランカはこの予選8戦全敗だった。《共同通信》

【NATO】対セルビアの圧力強化

北大西洋条約機構(NATO)は7日、ブリュッセルで加盟国大使会議を開き、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の包括和平案を拒否したボスニアのセルビア人勢力に対する軍事行動の可能性などについて協議。軍事筋によると、和平達成のためセルビア人勢力に対する圧力を強める必要があるとの点で一致した。

また和平成立後に備え、既に大筋策定済みの6万人規模の多国籍平和維持軍派遣の計画をさらに推進、各国の具体的派遣人数の提示を急ぐことで合意した。

軍事行動については、ユーゴスラビア(セルビアとモンテネグロで構成)が発表したボスニアのセルビア人勢力への補給遮断の実施を見守りながら、空爆およびボスニアへの武器禁輸解除の選択肢を残しておくことで一致したもようだ。また軍事介入をめぐる米国と欧州側の不一致の解消を目指すことが確認されたとみられる。

国連統括下での平和維軍派遣計画では、国別の派遣人員の特定に加え、指揮命令系統について米国が主張するようなNATOを中心としたものにするか、あくまでも国連の直接指揮の形をとるかで論議、双方の歩み寄りがみられたという。《共同通信》



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