平成1980日目

平成6年6月10日(金)

1994/06/10

【天皇、皇后両陛下】訪米

天皇、皇后両陛下は10日午前、東京・羽田空港から政府専用機で米国訪問に出発された。クリントン政権初の国賓で、26日まで17日間の日程。13日(現地時間)にホワイトハウスでの歓迎式典に出席するほか、11都市で各界要人や文化人、在留邦人らと交流、親善を深められる。

歴代天皇の米国訪問は、昭和50年の昭和天皇以来19年ぶり2回目。両陛下の外国訪問としては昨年9月のイタリア、ベルギー、ドイツ以来で、米国は皇太子時代の昭和35年、同62年に続き3回目になる。帰国までの間、国事行為は皇太子さまが臨時代行を務められる。

出発に先立ち羽田空港で行われた歓送行事で、天皇陛下は「今回の訪問が伝統的に存する日米両国の友好、親善に増進するならば誠にうれしいことです」と述べられた。《共同通信》

米国入りした天皇、皇后両陛下は10日午後(日本時間11日未明)、アトランタ市内のマーチン・ルーサー・キング・センターを訪問、黒人公民権運動の指導者故キングの業績をしのばれた。 両陛下はセンター敷地内の牧師の墓に花輪をささげ、黙とうした後、コレッタ夫人(67)ら遺族と会見。陛下は「このセンターに来ていることに深い感動を覚えます」と語り、非暴力による差別撤廃を訴えた牧師の活動に共感を示された。

宮内庁によると、階下は南アフリカでのマンデラ政権誕生を「牧師の活動が実った良い例」と評価。「世界各地で紛争が起きていることを考えると、牧師の運動を継承することが大切だと感じます」と述べられたという。夫人は訪問に感謝するとともに「平等の実現のために人類は共通の運命で結ばれています」と話した。

これに先立って、両陛下は宿舎のホテルで開かれたミラー・ジョージア州知事主催の昼食会に出席し、カーーター元大統領夫妻と再会された。カーター氏は近く朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と韓国を訪れることを紹介。「今からワシントンで核兵器開発問題で説明を受けなければならないので…」と途中で退席した。

両陛下は11日午前、アトランタ歴史博物館を訪れた後、南北戦争の最初の舞台となった南カロライナ州チャールストンに向かわれる。

天皇、皇后両陛下が10日、米アトランタの宿に到着された際、ジョージア州在住の中国系米国人ら約70人が宿舎近くで「日本政府は中国侵略について公式に謝罪せよ」などと叫び、抗議行動を展開した。しかし、特に混乱はなかった。中国系、韓国系米国人らは12日、ホワイトハウス前で大規模な抗議デモを計画している。《共同通信》



【柿沢弘治外相】北朝鮮軟化を期待

参院予算委員会は10日午後、1994年度予算案に関する2日目の総括質疑を続けた。柿沢外相は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発疑惑に絡む米朝交渉に関連し「北朝鮮も国際社会が一致して制裁措置をとるかもしれないと真剣に受け取って(米朝交渉を前提に)査察を受け入れてもよい、とのメッセージを発している」と述べ、北朝鮮側の軟化に期待感を表明した。

羽田首相は、北朝鮮が国際原子力機関(IAEA)の査察に応じれば、米韓両国とともに北朝鮮の民生向上に協力可能との考えを重ねて強調した。

首相は、連立与党の合意にある「普遍的安全保障」には軍事的措置を含むと示唆した上で、「憲法9条が禁じる武力行使を含む軍事的措置に参加することができないのは当然だ」と述べ、日本としては軍事的措置に参加しないことを強調した。

社会党の種田誠氏は国連憲章の集団的安全保障と憲法の関係を規定した憲法の条文を明らかにするよう要求。大出内閣法制局長官は「国連憲章に加入しているため、わが国との関連が出てくる。憲法上の具体的条文はない」と答弁したが、種田氏は納得せず、残りの質問時間を13日に持ち越した。

委員会は、斎藤大蔵事務次官らの税制改革への協力要請行脚に関する9日の藤井蔵相答弁の取り扱いなどをめぐり、開会が1時間半遅れた。

参院予算委員会は10日、平成6年度予算案に関する公聴会を20日に開催することを決めた。これにより審議が順調に進めば、予算案は24日にも成立する見通しとなった。《共同通信》

【政界談話室】

○…柿沢外相は10日の記者会見で、自らの韓国、中国訪問の閣議決定を報告。朝鮮民主主義人民共和国の核開発問題を緊急協議するという重い課題を背負っての旅だというのに「他の閣僚から意見は」との質問が飛んでも「ありませんでした」と気のない返事。一呼吸置いて「外務大臣を全面的に信頼するという発言もありませんでしたが、無言だったのは信頼の表れということですかね」と自問自答したかと思うと突然げらげらど天笑い。記者団はあっけに取られるばかりだったが、予算委員会で古巣の自民党から攻めたてられ、無言の閣内にホッとした?

○…この日、役員会後の記者会見に現れた自民党の森幹事長は「士気にかかわる」と、津島政調会長代理の“内閣不信任案提出反対発言”に不満たらたら。「予算が成立したら総裁の考えに従ってもらう」と河野総裁の羽田内閣倒閣路線は微動だにしないとばかりに語気を強めた。ところが津島氏の責任問題に話が及ぶと「直属の上司の橋本政調会長に真意を聞いてもらう。それに宮沢派だから粕谷幹事長代理にも聞いてもらう。その上で私が聞くこともあるかもしれない」と途端に逃げ腰に。弱体執行部だけに事を荒立てたくないとの本音が見え見え。《共同通信》



6月10日のできごと