平成1405日目

1992/11/12

この日のできごと(何の日)

【防衛庁・宮下創平長官】「クーデター容認論」陸自三佐を懲戒免職

宮下創平防衛庁長官は12日、週刊誌に自衛隊クーデター容認論を発表した陸上自衛隊高射学校(千葉市・下志津駐屯地)の戦史教官・柳内伸作三佐(45)を、自衛隊法違反により同日付で同法46条に基づく懲戒免職処分にした。処分の理由は、①現職幹部自衛官が、個人的意見とはいえ、週刊誌に民主主義制度を否定するクーデターを肯定・容認する見解を発表する行為は、いかなる状況の下でも許されない②自衛隊に対する誤解と不安を国民に与え、自衛官としての信用を傷つけ、自衛隊の威信を損した—の二点で、こうしたケースで懲戒免職処分の適用となったのは初めて。

柳内三佐は「遺刊文春」10月22日号の論文で、昨今の政治腐敗を断ち切るには「革命かクーデターしかない」と断言。「クーデターは国家、国民の将来を考えてなされる場合も少なくない」と正当性を主張するなど、自衛隊によるクーデターに肯定的な論旨を展開した。防衛庁・陸上自衛隊では、同誌が発売された先月15日から事実関係の調査を開始、柳内三佐本人からも二度にわたり聴取した。その結果、文章は本人が執筆し、全体として、自衛隊クーデターを容認していると判断でき、隊員としての品位を保つ義務を規定した自衛隊法58条違反との結論に達した。

当初は、憲法で保障された思想・表現の自由との兼ね合いも考慮して停職、降任(階級を下げること)が適当との議論もあった。しかし、「表現の自由は、公共の福祉による制約を受ける」(秋山昌広人事局長)ことに加え、シビリアン・コントロール(文民統制)の見地からも、合法的実力組織である自衛隊の一員であるだけに、「到底許される行為ではない」(宮下長官)として最も厳しい免職を適用した。

処分にあたり、宮下長官は「柳内三佐の今回の意見発表は、まったく個人的かつ特異な事例と認識している」とのコメントを発表、自衛隊全体にクーデター容認の空気があるとの見方を強く否定した。《読売新聞》

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【サッカー・三浦知良選手】来年夏に結婚します

“カズ”の愛称で知られる日本サッカー界のスター選手、読売日本SCの三浦知良選手(25)とタレントの設楽りさ子さん(24)の2人が12日、東京都内のホテルで記者会見し、来年7月か8月に結婚することを正式に発表した。

大相撲の関脇貴花田と宮澤りえさんとの婚約発表に続く、人気スポーツ選手とタレントのカップル誕生。会見場にはカメラマン100人を含む報道関係者300人が詰め掛け、熱気に包まれた。《共同通信》

【大相撲九州場所】5日目

大相撲九州場所5日目(12日・福岡国際センター)全勝対決は、曙が右の巻き落としで琴錦を下し、武蔵丸、平幕の春日富士とともに5連勝。大不振の役力士では霧島、貴花田は初日を出したが、水戸泉は取り直しの末、久島海の右下手投げに屈し、5連敗。《読売新聞》

【社会党・田辺誠委員長】内閣退陣重ねて要求

社会党の田辺委員長は12日夕、東京・日比谷公園で開いた同党の「金権腐敗政治に怒る国民集会」であいさつし、佐川急便疑感や「皇民党事件」に関連し、「金丸信・前自民党副総裁に次いで竹下元首相は議員を辞職するべきだ」と述べ、竹下氏に議員辞職を迫っていく考えを強調した。

田辺氏はさらに「最終的には宮澤首相の責任をはっきりと追及しなくてはならない。首相が(真相解明のための)大いなる決断を示さなければ、退陣を求めて断固とした行動をとる」として、今後の対応次第では宮澤内閣に退陣を要求する考えを重ねて示した。また、社民連の江田五月代表は「皇民党事件」に関連し、小沢一郎・元自民党幹事長の証人喚問を要求していく考えを示した。

【宮澤喜一首相、渡辺美智雄外相】派閥弊害除去で一致

宮澤首相は12日午前、渡辺美智雄外相を首相官邸に呼び、昼食を取りながら約40分間、会談した。自民党の派閥の弊害除去が中心テーマとなり、閣僚や党役員人事での派閥のごり押し回避など派閥の弊害除去のための制度面の整備を急ぐことで一致。また、先送りとなっている内閣改造の時期についても協議した模様だ。

宮澤首相は同日午後、同党政治改革本部の党改革部会に出席する予定であることから、当面の政治改革、党改革に対する渡辺氏の意見を聞くとともに、協力を求めた。また、竹下派の混迷を受けた政局運営、景気対策などについても話し合った。《読売新聞》

【宮澤喜一首相】派閥弊害除去検討を指示

宮澤首相は12日午後、自民党本部で開かれた政治改革本部の党改革部会(河野洋平部会長)に出席、厳しい批判にさらされている派閥政治の弊害について(1)派閥中心の人事(2)派閥からの資金援助(3)派閥本位の選挙、の3点を指摘、これらの弊害を除くための手順、方法を部会で検討するよう指示した。

首相が派閥政治の弊害除去を強く求めたのは、佐川急便事件で露呈した派閥とカネをめぐる政治の在り方に対する世論の声にこたえるとともに、これまで「数の論理」を背景に協力な影響力を持ち続けた「竹下派支配」の政治構造を打破したい、との狙いがあるものとみられる。《共同通信》

【ブラジル・コロル大統領】起訴

ブラジルのジュンケイラ検事総長は12日、汚職疑惑で議会の弾劾裁判を受けているフェルナンド・コロル大統領を、刑法の収賄罪、犯罪組織結成罪で最高裁に起訴した。

刑事裁判の開始には下院の3分の2による承認が必要だが、既に下院は圧倒的多数で弾劾裁判開始を可決しており、承認は確実。このため、職務停止にはなってはいるものの、立場上は現職の大統領が刑事法廷に立たされる異例の事態となる。

検察庁によると、コロル大統領は、90年3月の大統領就任後、首都ブラジリアにある私邸や、地元マセイオにある私有アパートの改修なのため、同大統領の大統領選挙時の会計責任任者パウロ・セザル・ファリアス氏から架空名義の口座を通して支払いを受けた疑い。コロル大統領が受けった金額の総額は示されていないが、検察庁広報では、「約900万ドル(約10億8000万円)」としている。この支払いは、ファリアス氏が、大統領側近の立場を利用して政府契約業者などから受け取ったリベート合計約5500万ドル(約66億円)の一部のため、わいろとされた。《読売新聞》



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