平成1334日目

平成4年9月2日(水)

1992/09/02

【ロシア・エリツィン大統領】北方領土に厳しい姿勢

渡辺美智廷外相は2日昼(日本時間同日夕)、クレムリンでエリツィン・ロシア大統領と約40分間会談した。大統領は、北方領土問題について、「(ロシアに)圧力をかけると、解決を困難にする」などとして、日本側の対応を批判するとともに、日本の対ロ支援の不十分さを指摘、経済力と演土問題の同時並行処理を強く求めた。さらに、外相が大統領の領土問題解決への考えをただしたのに対し、大統領は「宮沢首相との会談で考えを伝えたい」と述べるにとどまり、領土問題が実質的に進展するかどうかは、13日からの大統領来日時の日ロ首脳会談にすべてゆだねられる見通しとなった。

会談は予定時間を20分短縮して行われ、渡辺外相はエリツィン大統領の主張している五段階返還論について「時間がかかり過ぎる。問題は極めて明確で、歯舞、色丹両島返還を明記した1956年の日ソ共同宣言が当然の出発点であり、問題は国後、択捉だ」として北方四島の日本の主権を認めるよう主張。「領土問題解決で得られる経済面、他の分野での大局的プラスを考えて、英断を下して欲しい。そうすれば最大限の支援を考えたい」として、大統領の決断を求めた。

これに対し、大統領は「口日間のいかなる問題も前提条件をつけて話すべきではない」と注文をつけ、「経済協力などの話も領土の話し合いも同時に進めなければならない」と強調した。

また、渡辺外相が「大統領来日準備のために大統領の北方領土についての考えを聞きたい」としたのに対し、エリツィン大統領は自分のところには12の提案が出てきている。それを考題して、自分の考えを宮沢首相に伝えたい」と述べ、具体的な考えを示すことを拒否。さらに、大統領は日本側のこれまでの対ロ姿勢についても、「自分の国内の対応を難しくした面がある」と不快感を表明し、「圧力をかければかけるほど解決を困難にする」と述べた。

これに関連し、アンドレイ・コズイレフ外相は「一つ一つ(交渉を)積み重ねて突破口を開いていく必要がある」と発言、領土交渉が長期化するとの見通しを示した。《読売新聞》



【米政府】F16戦闘機を台湾へ売却

米政府は2日、過去10年の禁輸方針を転換しF16戦闘機150機を台湾に売却すると発表した。中国は台湾への武器輸出に関する82年の米中コミュニケの順守を米国に求めており、反発が予想される。

2日午前サウスダコタ州に向かう遊説機中で発表されたもので、さる7月にF16機を生産するゼネラル・ダイナミックス社のテキサス州フォートワース工場が不況で5800人の従業員解雇を発表した直後、米政府はF16機の対台湾禁輸方針の再検討を約束していた。

また米政府は、中国がロシアから最新鋭のSU27型戦闘機を購入したことで中台間の戦略バランスが崩れたと指摘、F16の対台湾売却の理由を説明している。《読売新聞》

【日経連・永野健会長】「銀行も給与水準を公に」

「政府の対策で金融機関を救済しようという時代なのだから、銀行も自助努力を進めるべきだ。少なくとも銀行員の給与水準をオープンにして欲しい」

2日の記者会見で日経連の永野健会長は、日経連に春闘の妥結水準などの公表を拒否してきた銀行界に情報の開示を強く求めた。

政府が打ち出した総合経済対策に金融救済色が強いとの批判があり、産業界に比べ経営の合理化が遅れている金融界の早急な体質改善を求める声が高まっているのを背景とした発言。開示されれば「30代前半で年収1000万円超」と言われる都市銀行の実質的な給与水準が、改めて大きな反発を招き、世間並みに是正することを求める議論にもつながりそうだ。

日経連では、銀行界に賃上げ水準などを他産業同様、報告するよう求めているが、「教えてもらえず、初任給は世間並みだが、ある年代になると高くなる、というぐらいしか把握していない」(小川泰一専務理事)という。こうした実情に、永野健会長は、「銀行員には特殊なプライドがあるのではないか」と批判を加えた上で、「公的資金で(金融機関が抱える)土地を買い上げる構想まである以上、オープンにしないと世間が許さない」と主張した。《読売新聞》

【国連】日本政府にPKO派遣を正式要請

国連は2日午後(日本時間3日朝)日本政府に対し、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)へ要員を派遣するよう正式に要請した。要請の内容は停戦監視員8人、文民警察75人、施設(工兵)部隊600人の計683人。これを受けて政府は8日の閣議で、既に派遣要請を受けているアンゴラへの選挙監視員3人の派遣と合わせて、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づく国際平和協力隊のUNTACへの派遣実施計画と派遣要員への手当などを定める関係政令を決定する。

国連からの要請は、ブトロス・ガリ事務総長の波多野敬雄国連大使あて2日付口上書という形で行われた。口上書は、日本の要員派遣についてカンボジアの紛争当事者と国連安全保障理事会の同意を得ていることを明記、派遣要員の任期については①停戦監視員は6−12か月②施設部隊は6か月で交代を原則とする③文民警察は9か月で延長もあり得る―としている。また、停戦監視員と文民警察に関しては、要員の階級の内訳を指定。派遣の時期などは今後、事務レベルで協議することになっている。

日本政府の実施計画案によると、まず今月11日にも、アンゴラへ選挙監視員を派遣。UNTACについては、17日に停戦監視員を派遣、施設部隊派遣は第一次先遣隊約30人を23日ごろ、第二次先遣隊約180人を10月1日ごろ、本隊の約400人は同13日と、三段階で派遣される。文民警察の派遣は10月中旬になる見通しだ。

UNTACへの国際平和協力隊派遣は、交代要員や輸送要員も含めると派遣要員は計約1800人にのぼる見込みだ。《読売新聞》

【宮沢喜一首相】ドミニカ・チャールズ首相と会談

宮沢首相は2日、官邸でドミニカのチャールズ首相と会談した。チャールズ氏は「カリブのサッチャー」とも呼ばれる豪腕の女性宰相。会談後、宮沢首相は「なかなかのリーダーなんですよ。米国のグレナダ侵攻の時、カリブのコミュニティーのリーダーで、いろいろ意見がある中で米国支持を選択したんです」と「サッチャー」たるゆえんを記者団に説明。

「なかなかの指導力がある人なんだ」と感嘆していたが、1980年以来12年首相の座にあるカリブのサッチャーから宰相学の秘伝を盗めたかどうか。《共同通信》

【NATO】ボスニア派兵を決定

北大西洋条約機構(NATO)は2日、ユーゴ問題について加盟16か国の大使級会議を開き、ボスニーア・ヘルツェゴビナへの人道援助物資輸送支援のための国連への兵力提供と、先のロンドン和平国際会議で合意されたボスニアでの重火器類監視への協力を決めた。兵力数は公式には明らかにされていないが、軽武装の6000人部隊規模が想定されていると見られる。

また、NATOのウェルナー事務総長は、会議後の声明の中で、ボスニア問題への「他の国からの貢献も歓迎する」と述べ、冷戦構造時代には敵国だった東欧諸国などを想定した異例の協力呼びかけも行った。

ユーゴ問題での軍事貢献についてNATOは、当初10万人規模の派兵を検討したが、ゲリラ戦での泥沼化を嫌うなど慎重な見方が強まって後退し、最終的に最小規模の兵力を国連指揮下に提供するという形での関与決定となった。《読売新聞》



9月2日のできごと