平成872日目

1991/05/29

この日のできごと(何の日)

【雲仙・普賢岳】溶岩塊、民家に迫る

活発な火山活動を続ける長崎県雲仙・普賢岳(1359メートル)の地獄跡火口で29日午後、これまでで最大規模の火砕流が相次いで発生。高温のガスとともに溶岩塊などが、巨大な噴煙を上げながら火口東側斜面を下り、ふもとの島原市北上木場町の民家近くまで迫り、住民に一段と緊張感が高まっている。

雲仙岳測候所の地震計はこの日午前0時から24時間に火砕流の発生を示す波形を31回記録、雲仙岳測候所は午後7時40分、人命に危害が及ぶ状況の時に出す火山活動情報を発表、警戒を呼びかけた。

午後3時30分ごろ起きた火砕流は赤茶色に黒色が混じった噴煙をあげながら東側斜面を下り、先端は北上木場町の民家から約500メートルの地点に達した。7時6分にはさらに大きな火砕流が発生。同町からはこれまで火砕流の先端を見ること息ができなかったのが、肉眼でもはっきり確認できた。先端は民家の近くにまで迫ったとみられている。

この火砕流で山火事も起きた。4台の消防車が消火に向かおうとしたが危険な状態で近づけず、燃えるにまかせるまま。炎は同町の民家から約300メートルまで迫った。山火事は幸い、1時間後にほぼ自然鎮火したが、一部は深夜までくすぶり続けた。

島原市災害対策本部は同10時50分、北上木場町の水無川流域で警戒していた消防団員ら22人を、1キロ下流に退去させた。報道各社にも、協力を要請した。九州大島原地震火山観測所の太田一也所長から「大きな火砕流が発生する危険が高い」との連絡があったため。《読売新聞》

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【自民党・小渕恵三幹事長】「次の首相はボスに」

自民党の小渕幹事長は29日、群馬県高崎市で開かれた後援会の会合で、秋の自民党総裁選に触れ、「今の段階では、海部総裁(首相)を含め、すべての人が(次期)首相になる資格がある」と前置きしながら、「竹下先生(元首相)も有力な候補の一人であることは言うまでもない」「私の思いとしては、私のボス(の竹下氏)にと思っている」と述べ、竹下氏の再登板に期待感を表明した。

ただ小渕氏は、これに続けて、総裁候補として、海部首相とともに、「若い(昭和)世代の人」「大正世代の宮澤喜一さん(元副総理)、渡辺美智雄さん(元政調会長)」も挙げ、「要するにだれも分からない」とも述べた。

この小渕氏の発言は、同氏の地元後援会の席ということに加え、竹下内閣の官房長官を務め、竹下氏の側近と言われている中で、同氏の心情を率直に吐露したものと見られる。《読売新聞》

【海部俊樹首相】政治改革は現内閣で

第3次行革審の鈴木永二会長は29日昼、官邸に海部首相を訪ね、政治改革の推進などをめぐって約1時間、意見交換した。この中で鈴木氏は「国民は政治改革を重要な問題だと思っている。海部内閣の大きな目玉だ」と述べ、首相に政治改革の断行を求めた。

これに対し首相は「(政治改革の)路線は敷かれている。自分の内閣で手をつけたい。自民党の協力を得てやっているので応援してほしい」と、決意を示すとともに協力を求めた。《共同通信》

【エチオピア】反米デモ

反政府ゲリラ、エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)が制圧した首都アディスアベバ市内で29日、若者を中心とした数千人規模のデモが発生した。デモは、EPRDFによる首都制圧とそれを求めた米国に対する抗議を表明、一部は米国大使館に投石するなどしたため、EPRDF兵士はデモ隊に発砲した。現地の情報の中には、8人死亡との情報もあり、社会主義政権崩壊後のエチオピアの新体制作りに暗雲を投げかけている。

ゲリラ連合組織であるEPRDFの主勢力はティグレ州のティグレニア族を中心としたティグレ人民解放戦線(TPLF)。首都はアムハラ系住民が多く、デモの背景には部族間の反目もあるとみられる。TPLFはアムハラ系ゲリラ組織エチオピア人民民主運動(EPDM)と共闘してEPRDFを結成したが、ティグレ色を隠すことはできなかった。

西アフリカ、リベリアと並びアフリカで数少ない独立を守ってきたエチオピアの首都住民としては、米国の「指示」により、ティグレ族の首都進攻を招いたことで民族の誇りを傷つけられ、双方に対する反感が募ってきたものとみられる。《読売新聞》

【大相撲・武蔵丸関】十両昇進

大相撲に6人目の外国出身関取が誕生した。29日の名古屋場所番付編成会議で兄弟子の和歌乃山(19)と一緒に新十両に昇進した武蔵丸(20)。

1メートル90、161キロの均整のとれた体。ハワイの高校でアメフト、レスリングをやっており、そのパワーを生かした突き、押しで順調に出世してきた。平成元年秋場所の初土俵から11場所かかっての昇進は、年6場所制になってからでは貴花田の10場所に遅れるものの、話題の若花田、曙を1場所上回る5番目のスピード出世でもある。

「うれしいです。早く(幕内に上がって)小錦関や曙関とやりたい」。師匠の武蔵川親方(元横綱三重ノ海)、和歌乃山とともに東京・東日暮里の部屋で記者会見した武蔵丸は、たどたどしい日本語で喜びを語った。八人兄弟の四番目で、ハワイの実家に仕送りを欠かさない孝行息子でもある。初めて月給(51万8000円)をもらえるのもうれしいことだ。昇進のご褒美として親方からは29日から5日間の里帰り旅行をプレゼントされた。

武蔵川親方も「うれしさで胸がいっぱいだ」。昭和56年に部屋をもって、昨年九州場所でやっと大輝煌が関取になったと思ったら、今度は一度に二人。和歌乃山にしても63年春初土俵で、同期生95人の中では花田兄弟、曙に次ぐ出世だ。武蔵川部屋にも遅い春がやって来た。《読売新聞》

【東京入管】韓国人45人摘発

東京入国管理局は29日までに、千葉県沼南町のプレハブ住宅に住み、滞在期間が切れたあとも不法就労を続けるなどしていた韓国人計45人を出入国管理及び難民認定法(入管法)違反の疑いで摘発し、身柄を収容した。

同時に、韓国人を雇っていた同町内の建設サービス会社社長からも事情を聞いている。摘発されたのは女性4人を含む24歳から65歳までの45人。

これまでの調べでは全員が短期滞在ビザで、一昨年10月から今年5月までの間に入国。同社所有の二階建てプレハブ住宅に住み、毎朝会社の指示で数人単位となり車で出かけ、ビルの清掃などをして一日当たり1万1000ー1万6000円で働いていた。女性は食事作りなどに当たっていた。

一日当たり食事代、布団代として1280円を差し引かれていたという。この社長は本社の取材に対して、「ビザが切れていることは薄々感づいてはいたが、仲間が仲間を呼んで増え、解雇しても本国には帰らないと思い、また、是非置いてくれと頼まれると断り切れなかった」と話している。《読売新聞》

【クロアチア】独立を宣言

ユーゴスラビアの国営タンユグ通信によると、ユーゴスラビア・クロアチア共和国のトゥジュマン大統領は29日、共和国の連邦からの独立を宣言した。

現地の消息筋によると、宣言は直ちに法的、政治的効果を持つものではないが、これによりユーゴスラビアを連邦制から、独立主権国家による、より緩やかな連合へ移行させようという動きが一段と進んだことになる。

クロアチアでは今月19日、国民投票が実施され、圧倒的多数が独立を支持している。《読売新聞》



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