平成871日目
1991/05/28
この日のできごと(何の日)
【北朝鮮】国連加盟申請へ
28日の朝鮮中央通信によると、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)外務省は27日発表した声明で、朝鮮民主主義人民共和国政府は南朝鮮(韓国)側が「国連単独加盟」政策が不変だと再三主張し、国連に単独で加盟するとの状況の下、一時的な難局を打開する措置として現段階で国連に加盟する道を選ばざるを得なくなったことを宣言する、と述べ、北朝鮮の国連加盟を申請すると発表した。
同声明は、朝鮮民主主義人民共和国政府は国連憲章を終始支持して来た立場から出発し、当該の手続きに基づき国連事務総長に正式に国連加盟申請書を提出する、と発表し、「我々の国連加盟は、南朝鮮当局者の分裂主義的策動により作り出された情勢に対処し、不可避的に取った措置だ」と指摘、「朝鮮の南北が国連にそれぞれ加盟しなければならない今日の非正常的な事態は、祖国統一を実現する道で、今一つの大きな難局となる」と指摘した。
さらに「南朝鮮当局者が国連に単独で加盟するとする状況下、これを放置するなら、国連舞台で全朝鮮民族の利益と関連した重大な問題が偏見をもって論議され、それから重大な悪い結果が招来されうる」と指摘し、「朝鮮の南北が国連に別個に加盟せねばならなくなった今日の状況は、決して固定化されてはならず、今後も、変わりなく、国連で南北が一つの国号で一つの議席を占めるよう期待する」と強調した。《読売新聞》
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【独・コール首相】憲法改正に意欲
ドイツのコール首相は28日、報道各社の在京政治部長会の訪独代表団と会見、国際情勢、日独関係、ドイツ国内問題などについての見解を明らかにした。
コール首相はドイツ基本法(憲法)改正について「国連の平和維持軍に協力するだけでなく、将来の『ヨーロッパ合衆国』をもにらんで、ドイツが世界政治の中で、きちんとした地位を占めるためにも必要だ」と述べ、ドイツ国防軍の北大西洋条約機構(NATO)域外派兵に強い意欲を示した。首相は、さらに、日本による旧東ドイツ地域への投資に期待感を表明したほか、今後のドイツの国家目標が、欧州の政治・経済の統合にあり、最終的には「ヨーロッパ合衆国」の構想にある点を強調した。より一層の国際貢献を行うため、ドイツが取り組んでいる憲法改正論議は、日本にも影響を与えるとみられる。
コール首相の会見は、約1時間半にわたり、ボンの首相府で行われた。
コール首相は、憲法改正論議が、現在、野党・社民党(SPD)も巻き込んで進んでいるため、「何年かの間に話をまとめる」として配慮を示したが、国連の枠内での平和維持軍への参加、さらに、コール首相自身が、“私の夢”と位置づけたヨーロッパ統一後の安全保障体制下でのドイツにふさわしい立場を築く目的もあり、憲法改正は絶対に欠かせない措置だと指摘した。
コール首相は、ロンドンで七月に行われる先進国首脳会議(サミット)へのゴルバチョフ・ソ連大統領の出席問題に触れ、「私はゴ大統領を助けたい。しかし、今、この問題に答えられない」と述べた。さらに、コール首相は、対ソ支援に関し「ペレストロイカ、市場経済への移行など成果を上げることが前提だ」としながらも、一方で「全体主義に戻ったら大変だ。軍備拡張となり、かえって金がかかる」と、アメリカや日本とは違う対ソ観をのぞかせた。
また、ヨーロッパ合衆国の構想について「この十年間に、経済統合から政治統合に進めたい。出来なければ、欧州は二流ということになる。国際政治の三極の一つにならない」と語り、「最終的にはヨーロッパ通貨の発行だと指摘した。
わが国がドイツ、イタリアなど第二次大戦の敗戦国に同調を求めている国連憲章の中の旧敵国条項削除については「削除を要求する考えはない。憲章全体を改正し、国連強化を考えた方がいい」と述べた。《読売新聞》
【エチオピア】ゲリラ、首都制圧
エチオピアの首都アディスアベバに28日未明突入した反政府ゲリラ組織エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)は、2時間余りの戦闘の末、大統領官邸、各省庁、放送局など拠点を占拠、同日午後までに市内全域を制圧した。
ゲリラ側の首都進攻・制圧は、和平交渉の仲介役である米国が「秩序回復」を求めたのに呼応したもの。これにより先週国外逃亡したメンギスツ前大統領の後を引き継いだテスファイエ暫定政権は事実上崩壊、ハイレ・セラシエ皇帝追放(74年)後発足した社会主義政権は終幕の時を迎えた。
この日の戦闘で政府軍は官邸を守る大統領護衛隊を中心に抵抗を試みたが、ゲリラ側は戦車砲で官邸の弾薬庫を粉砕、官邸を押さえた。政府軍の一部がな国防省に立てこもって抵抗、さらに未確認情報として、軍事空港での戦闘も伝えられるが、ゲリラ側に降伏するのは時間の問題と見られる。
政府側は最高指導者のメンギスツ氏をはじめ多数の高官、高級将校が既に国外脱出、指揮系統は壊滅している。エチオピアの新体制は27日ロンドンで始まった和平交渉の行方にゆだねられるが、政府軍の無力化により、EPRDF、さらに同組織と友好関係にあるエリトリア人民解放戦線(EPLF)、オロモ解放戦線(OLF)の三者が新体制の核となる情勢だ。《読売新聞》
【海部俊樹首相】カナダ・マルルーニー首相と会談
海部首相と来日中のカナダのマルルーニー首相が28日、東京・元赤坂の迎賓館で会談し、終了後に共同記者会見した。この中で両首相は、対ソ支援問題が焦点となる7月の先進国首脳会議(ロンドン・サミット)にゴルバチョフ・ソ連大統領を招待するかについて、サミットの実質討議終了後なら招いてもよい、との考えを表明した。《共同通信》