平成859日目

1991/05/16

この日のできごと(何の日)

【金賢姫元工作員】「ウンへ先生とすぐ分かった」

1987年11月の大韓航空機爆破事件の犯人で死刑判決を受けた後に特別放免された金賢姫(キム・ヒョンヒ)元北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)工作員は16日午前、ソウル市内のプレスセンターで内外記者団と会見した。

金元工作員は、自身の日本人化教育係、李恩恵(リ・ウンヘ)の身元が割り出されたことについて、「(15日に日本側捜査員が提示した何枚かの)写真を見た瞬間、『あっ、ウンヘ先生だ』とすぐ分かった。何枚目の写真だったかも、はっきり覚えている」と証言し、埼玉県出身の元ホステスが「ウンヘ」であるとの確信を示した。

金工作員は、元気そうな表情。記者団の質問にも、はっきりした口調で応じ、「答えは日本語で」の日本人記者の要望に、核心部分は流暢な日本語で答えた。

金元工作員は、「写真は(北朝鮮にいた時より)やや太っていたが、本人に間「違いない」とも。自身の証言が、日本側の捜査で裏付けられたためか、時折、笑みをうかべるなど安堵した表情だった。

さらに、「ウンヘ先生が私に『引っ張られてきた』(日本語)と打ち明けた。万一、先生が自主的に北に来たのなら日本に帰っているはずだ。拉致されたのは確実だ。ウンヘ先生はある晩、酒に酔って『金正日書記の誕生パーティーに行った時、他の日本人も出席していた』と話した」と言明した。

「ウンヘ」の身元が判明したことに対しては、「先生の身に危険が及ぶのではと心配している。でも、(逆に)身元が明らかになった以上、北は先生の『処理』は難しくなるだろう」と複雑な心境をのぞかせた。

「ウンへ」は、最初の一か月は泣き続け、「いつ日本に帰れるのか」「子供に会いたい」と金元工作員に漏らしていたという。《読売新聞》

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【自民党竹下派】海部首相続投「不支持」

ポスト海部の行方にかぎを握る自民党の竹下派は16日、海部首相の10月以降の続投不支持の方針を固めた。同派会長の金丸元副総理が同日、政治改革は次の内閣に先送りする考えを表明、幹部の梶山国対委員長が総裁選の1カ月繰り上げを小渕幹事長に進言したのに続き、同夜、金丸氏と会長代行の小沢前幹事長、奥田事務総長、橋本蔵相が会談、次期総裁選で同派の自前政権実現を目指す方向となったためだ。

橋本氏の擁立を軸に、各派が一致して推す場合は、竹下元首相の再登板も視野に入れて対応する構えだ。《共同通信》

【橋本龍太郎蔵相】小沢一郎氏と会談

自民党竹下派幹部の橋本龍太郎蔵相と小沢一郎前幹事長が16日夜、都内の料理屋で会談、今後の政局への対応などについて意見を交わした。同派事務総長の奥田敬和・前自治相が、小沢氏の会長代行就任あいさつを兼ねて設定したもので、同派会長の金丸信・元副総理も同席した。

出席者によると、今年10月の総裁選への同派の対応について①あくまでも金丸氏、竹下元首相を中心に一致結束していく②最終的には、金丸会長の裁定に従うーとの方針を確認したという。

橋本、小沢両氏は、共に竹下派光景の有力候補で、ポスト海部の総理・総裁の座をうかがう位置にあるが、政治手法や肌合いの違いもあって「一・龍戦争」が取りざたされるなど、ぎくしゃくした関係が続いていた。その両氏が、金丸、奥田両氏をはさんだ形とはいえ、会談するのは極めて異例。

安倍晋太郎元幹事長の死去後、竹下派内の独自候補擁立論が高まり、橋本蔵相を軸に竹下派内の調整が進む可能性が強まっている中で、橋本氏と小沢氏が会談したことは党内で大きな関心を呼んでいる。《読売新聞》

【中ソ国境協定】調印

江沢民・中国共産党総書記兼中央軍事委員会主席に同行して訪ソ中の銭其琛・中国外相は16日昼(日本時間同日夕)、ベススメルトヌイフ・ソ連外相との間で、中ソ国境の東部地区に関する協定に正式調印した。中ソの東部国境は中ソ対立最中の69年3月に珍宝島(ソ連名=ダマンスキー島)武力衝突事件が発生するなど、新中国建国(49年)以来の長年の係争地で、中ソ両国が交渉により領土問題を平和解決したことの歴史的意義は大きい。

東部国境協定の正式調印は一昨年5月の関係正常化後の中ソ平和共存を象徴しており、中ソ国境兵力削減と併せて極東地区の緊張緩和を一層促進することになりそうだ。また、パミール高原を中心とした西部国境の問題解決にもこれで弾みがつく見通しが出てきた。

江総書記に同行している中国外務省のスポークスマンは16日夕の記者会見で、中ソ東部国境の最大の懸案である黒瞎子島帰属問題で、中ソ双方はさらに未解決の島々の解決に向けて交渉を継続していくと語り、同日調印された中ソ東部国境協定には帰属が決定した地区としては記載されていないことを確認した。

また、首脳会談後に発表が予定されている中ソ共同コミュニケについて、すでに双方の協議により、内容が固まったことを明らかにし、江総書記の訪ソ終了時に発表する、と語った。

江総書記はこの日の二回目の首脳会談で、東部国境問題について「引き続き未解決部分の交渉を急ぎ、全面解決したい」と、早期解決に強い意欲を表明した。

中ソ国境交渉は78年にいったん中断した後、87年2月に再開。東部河川国境には主要航路の中心線よりも中国側にありながら、ソ連が実効支配している川中島が約六百あったが、主要航路の中心線を国境とすることで中ソが合意し、この原則に基づいて両国政府代表団の間で共同測量、文書起草、作業の3専門グループに分かれて折衝が続けられてきた。《読売新聞》

【大相撲夏場所】5日目

大相撲夏場所5日目(16日・両国国技館)一人横綱の旭富士が攻めを急ぎ苦手の安芸ノ島に戦場所に続いて敗れる波乱となった。安芸ノ島の金星獲得は13個目で、高見山(東関親方)を抜いて単独で史上1位。

小錦は両まわしを引きつけ、琴ヶ梅をさばき5連勝で単独トップに立った。霧島は小城ノ花に逆転勝ち。若花田は平幕でただ一人全勝の春日富士を倒したが、貴花田は3連敗。《読売新聞》



5月16日 その日のできごと(何の日)