平成850日目
1991/05/07
この日のできごと(何の日)
【創価学会】23億円修正申告
宗教法人「創価学会」(本部・東京都新宿区、秋谷栄之助会長)が東京国税局の税務調査で、平成二年三月決算期までの三年間に墓石販売収入の運用益など約23億8000万円の申告漏れを指摘され、7日、四谷税務署に修正申告した。
販売した巨大墓地の墓石収入の一部やその運用益を「宗教活動の一環で非課税」として未申告だったが、これを課税対象と認定され、修正したもの。ルノワール疑惑など、周辺で不透明な問題が相次いでいる学会に対し、本格的な税務調査が入ったのは初めて。
しかし、墓石販売収入の大部分(80億円以上)はすでに、時効が成立していたうえ、学会の巨額の収入の流れはまだ十分にチェックできておらず、宗教法人の経理や国税当局の調査のありかたを巡って議論を呼びそうだ。
修正申告に伴い納付した税額は、法人税だけで約6億4000万円。修正申告を受けて、同局は近く過少申告加算税を課す。
この税務調査で主に問題にされたのは、学会が昭和40年半ばから全国6か所で建設してきた巨大墓苑事業。53年にまず、戸田記念墓苑(北海道厚田村、4万5000基)、55年に富士桜自然基地公園(静岡県富士宮市、5万基)、62年には、はるな平和基苑(馬県渋川市)を、昨年も中部池田記念墓地公園(三重県白山町)など3か所を完成させた。
寺に墓を作る場合、寺に永代供養料を払って墓地を借り、石材業者に据え付け料込みの墓石代を払うのが普通。墓石収入は石材業者がその所得を申告するのが従来のパターンだった。
ところが、学会はこれら24万基の墓地について、「墓地使用許可納付金」などを名目に、永代供養料と墓石代などをセットにして一基40万5000円から89万円で学会員に事実上、販売。数百億円の収入を得て、墓苑特別会計に組み入れながら、墓苑事業は宗教活動で非課税だとして一切申告していなかった。
これに対し、国税局は管轄外のはるな墓苑を除く5か所を調査し、①学会が得た墓苑収入のうち、墓石収入や同収入を貸付信託などにして得た運用益は収益(営利)事業で、課税対象②戸田、富士桜墓苑の二つが申告時期が過ぎているが、既に大部分が三年の課税時効を過ぎていた③結局、戸田、富士桜苑が最近3年間に追加募集して得た数千万円の墓石収入と、その運用益のうち最近3年分、そして残り3墓苑の事前の預かり金運用益が実際の追徴対象ーと認定した。
国税局はこのほか、学会の経費を、聖教新聞社の経費として処理し、収益を圧縮していた同新聞社の申告漏れ分約2億円とともに修正申告するように求めた。残る3墓苑の墓石収入は3年3月決算分として来月申告されると見られる。《読売新聞》
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【海部俊樹首相】政治改革「後退させない」
海部首相は、7日午前の閣議終了後、国会内大臣室に吹田愰自治相を呼び、自民党政治改革本部(伊東正義本部長)で作業を進めている政治改革関連法案のとりまとめについて「月中に法案をまとめたい。自治省としてもできるだけの協力を行ってほしい」と指示。政治改革法案策定に政府としても全力を挙げるよう要請するとともに、9日に首相が出席する予定の同本部と選挙制度調査会の合同総会に吹田自治相も出席するよう求めた。
政治改革法案のとりまとめについては、5日のマニラでの記者懇談で、同法案を審議する臨時国会の早期召集に首相が慎重姿勢を示したことから、「政治改革への取り組み姿勢が後退したのでは」との見方が出ていた。
この日、首相が吹田自治相に対し指示したのは、自民党内に臨時国会の早期召集に否定的な空気が出始めていることなどを配慮、政治改革実現に改めて意欲を示したいとの思惑があるとみられる。
閣議に先立って首相は記者団に対し、「政治改革への取り組み姿勢は後退ではない」と再三にわたり強調した。《共同通信》
【海部俊樹首相】歴史教育充実を指示
海部首相は7日、国会内で井上裕文相に、近現代史を中心とした歴史教育について、「教科書検定や学習指導要領などで、これまでの(歴史教育の)仕組みや経過はわかっているが、もう少し(歴史教育を現場で)生かせるよう、カリキュラム(教育課程)を考えてほしい」と指示した。
これは、首相が先の東南アジア諸国連合(ASEAN)五か国歴訪中にシンガポールで行った演説の中で、戦前、戦中を通じてアジア諸国に多大の被害を与えた過去の歴史を、わが国の青少年が、正確に理解するよう、今後、歴史教育を充実させる考えを示したことを受けたものだ。
これについて井上文相は閣議後の記者会見で、①平成元年に改定した学習指導要領で、中国などに多大な影響を与えたことを学校で教えるよう指導してある②指導要領の変更についての指示は受けていないーと述べ、指導要領や教科書には問題はないとの考えを示した。
さらに井上文相は「新たに対応することはないが、一層、現場で努力してもらいたい」と述べ、授業の内容構成の改善などで対応していく意向を示した。《読売新聞》
【自民、公明、民社党】PKOについて協議
自民、公明、民社三党は7日午後、国会内で幹事長・書記長会談を開き、国連の平和維持活動(PKO)協力の新組織づくりについて、昨年11月の自公民三党合意をもとにまず政府・自民党が大枠のたたき台をつくり、さらに三党幹事長・書記長会談で詰めていくことを決めた。
また、社会党も含めて超党派で5、6月にニューヨークの国連本部とPKOで実績のある欧州に議員調査団を派遣することも確認、PKOの具体化作業はようやく動き出すことになる。ただ、三党協議への社会党の参加は、公明、民社両党が難色を示しているため、当面は見送られる見通しだ。
PKO協力の新組織づくりをめぐっては、昨年11月に自公民三党で、新組織を自衛隊抜きとすることなどで合意したものの、海岸戦争への対応や統一地方選対策に追われたこともあって、具体化作業は足踏み状態となっていた。
この日の幹事長・書記長会談では、自民党の小渕幹事長が「三党合意を再確認して一日も早く法案課作業にかかるようにしたい」として、三党の政調・政審会長レベルで具体的に協議するよう要請した。
それに対し、公明・市川、民社・米沢両書記長とも、三党合意の再確認には同意したものの、具体的作業は政府がまず行うのが三党合意の際の約束だとして、政調・政審会長レベルにゆだねることに反対した。
結局、政府・自民党内でPKOをめぐる問題点などを整理した。中間報告(小渕幹事長)をまとめ、これを受けて三党幹事長・書記長会談で詰めていくことになったものだ。自民党としては「秋口にも成案を得たい」としている。
この日の会談でも、公民側から「カンボジア和平にきちんと対処することを念頭に作業を進めなければならない。出来れば年内にも片付けたい」(米沢書記長)との考えも示されたが、具体化の段階では自衛隊の取り扱いなどで難航が予想される。《読売新聞》
【社会党】各派が相次ぎ会合
社会党は7日、先の統一地方選の敗北を受け、中央執行委員会で党改革と執行部の責任問題についての論議を再開したが、党内の派閥・グループも同日、相次いで会合を開き、党再建策を討議した。
この中で、最大派閥の右派「水曜会」や、新人衆院議員の集まりである「ニューウェーブの会」は、安保・自衛隊問題、対原発政策など同党の基本政策の見直しや新党結成の模索を提言するなど、政権政党への脱皮に向け、抜本的な改革を求める動きを示した。
田辺誠副委員長が率いる「水曜会」は人事問題について「党改革を優先する」としながらも「党改革に関する臨時大会を開催し、その段階で人事刷新を要求する」ことで意見が一致した。また、「二大政治勢力の時代」に向けて、公明、民社党などとの新たな政党の枠組み作りへの協議を提唱。さらに自衛隊、日米安保、韓国、天皇制、企業に対する基本政策の見直しを「五つの和解」として提言した。
また「ニューウェーブの会」は、党の綱領的文書で「ある新宣言」に代わる「新々宣言」が必要とし、その上で、たたき台として現段階での原発の容認に現段階での自衛隊の国連平和維持活動(PKO)への参加の容認などを挙げている。《読売新聞》
【米・ワシントン】人種暴動
米国の首都ワシントンで、中南米系を中心とした住民が、警察の住民に対する取り扱いを差別としてこれに抗議するため、二日間にわたりバス焼き打ち、店舗略奪などを働く暴動事件があり、7日朝までに50人以上が逮捕され、警官13人が負傷した。
このためディクソン市長は6日夜、約1.6キロ四方にわたる地域に深夜(0時から午前5時まで)外出禁止令を発令した。ワシントンでマイノリティー(少数民族)による暴動が起こったのは、公民権闘争の黒人指導者、マーチン・ルーサー・キング牧師が暗殺された直後の1968年以来のこと。
暴動は、ホワイトハウスから約1.5キロ離れた市の北西部、マウントプレザントと呼ばれる地区で起きた。5日夜、パトロール中の警官が路上で酒を飲んでいた中南米系住民を逮捕しようとした際に銃を撃ち、重傷を負わせたことがきっかけ。市警側は、その住民がナイフで警官に襲いかかったため防衛措置として撃ったと説明、しかし住民側は「人種差別」と反発した。
暴動は商店の窓ガラスを壊したり、レストランに押し入ったり、車を焼くなどエスカレート。これに対し、警察は、催涙ガスで応戦。一方で黒人女性市長のディクソンさんが住民代表と会い、説得に当たったが効果はなく、現場付近一帯に外出禁止令が出された。
マウントプレザント地区は、内戦の続くエルサルバドルから最近、米国に移り住んだ難民、不法移民が多く、失業者があふれている。このため、警察の取り扱いをきっかけに、日ごろの不満が一挙に噴き出したようだ。
ワシントンは住民の72%を黒人が占め、中南米系は10%。暴動に参加した一者の間からは、「政府は同じマイノリティーでも黒人に対しては数々の優遇策を採るのに中南米系には何もしてくれない」と連邦・市政府の中南米系住民に対する無策への不満の声が強く上がった。
米国では、21世紀にはテキサス州、カリフォルニア州の一部で中南米系が人口の過半数を占めるようになると予測されているが、人口のわずか10%しかいないワシントンでの暴動騒ぎは、中南米系移民が今後の米社会の大きな問題となっていく可能性を改めて浮き彫りにした。《読売新聞》
【ペプシコーラ】CM中止はコカコーラの圧力?
日本ペプシコーラ社(東京)は7日、「テレビコマーシャルを今月から民放キー五局で放映できなくなったのは、日本コカ・コーラ社(同)が放映しないよう局側に圧力をかけたためによる疑いがある」として、公正取引委員会に独占禁止法違反(不公正な取引方法)容疑事件として調査するよう申告した。
問題のCMは、今年3月以降、一回30秒のものが、民放キー5局や80以上の地方局で合計約250回放映された。しかし、先月初め、キー局は、ペプシ側が5月分の放映枠を発注したのに対し、「受けられない」と拒否。その後、キー局側が、コカ・コーラ側から圧力をかけられたことをうかがわせる説明をしたため調査を申告することにしたという。
CMの内容は、米国の人気歌手が歌う調子がコカ・コーラを飲むと静かになるが、ペプシ・コーラを飲むとアップテンポなものになり、コンサートが盛り上がるというもの。ライバル製品との比較広告としては、わが国初の本格的なCMとして話題になったが、ペプシ側は、公取委の事前指導で「商品の優劣を指摘してなく、相手の商品を見せる際に中傷していない」との理由で「特に問題ない」とのお墨付きをもらっていたと主張している。
これに対し、コカ・コーラ側は「テレビキー局に『ペプシのCMに使われている当社の商標は、使用を認めたものではなく、内容も誤解を招き、中傷するものだ』と通知したが圧力はかけていない」としている。《読売新聞》
【ユーゴスラビア】予備役を招集
ユーゴスラビア連邦軍は7日、激化するクロアチア共和国の民族衝突阻止を理由に、予備役の招集を開始した。「過激行動は武力鎮圧する」との6日の国防相声明を受けた措置。
軍は、クロアチアの海港都市スプリットのデモで兵士が殺害された後、この強硬声明を発表した。軍当局が7日明らかにしたところによると、犠牲になった兵士はデモ隊にまぎれこんだクロアチア人警察官に射殺されたという。
これに対し、ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国のモスタルでは同日、クロアチア系住民数千人がバスや乗用車で道路を封鎖し、軍の“介入”に抗議した。軍は既に、クロアチア共和国内のクロアチア人とセルビア人の武力衝突が頻繁に発生していることから双方の緩衝役として警戒行動を続けており、クロアチア東部とセルビア共和国ボイボディナ自治州を結ぶ橋などで市民の出入りを厳重に管理している。
一方、連邦幹部会は7日、スプリット事件にからみ緊急会議を6日に続き再開、国防相声明に対する対応を深夜まで協議した。幹部会は8日も続開するが、クロアチアのHINA通信によると、クロアチアの危機解決はクロアチア当局に任せるか、あるいは軍を招き入れるかで見解が対立、行き詰まり状態にあるという。《読売新聞》
【民社党訪米団】米副大統領と会談
大内委員長を団長とする民社党訪米団は、7日午後(日本時間8日早朝)、大統領府にダン・クエール副大統領を表敬し、約40分間会談した。
この中で、クエール副大統領は、7月3日で期限切れとなる米国の対中国最恵国待遇の延長問題について、「米政府としては延長したいと思っている」と述べ、今後、米議会に対しても積極的に働きかけていく意向を表明した。
ただ副大統領は、人権弾圧問題とシリアなど第三国に対する中国のミサイル技術供与問題を指摘し、「中国の現状には極めて憂慮している」と述べるとともに、最恵国待遇が延長されるとしても、議会の意向に沿い、なんらかの条件付き延長」になるとの見通しを示した。
日本の対ソ連経済援助について、北方領土問題が前進しない限り本格的な経済協力をすべきでないとする大内氏の考えに副大統領は賛同したうえ、「ソ連は今、そのような信用供与に値する経済状況にはない。ゴルバチョフ大統領は改革派から反動派に変身したようにも見え、公的支援は慎重にすべきだ」と厳しい見方を示した。
さらに副大統領は、日本の国際的役割に関連し、イラクのクルド難民救済問題も含め、「政治大国としての責任を果たして欲しい」と述べ、財政支出以外に、人的側面でも援助をするよう暗に要請した。《読売新聞》