平成753日目

平成3年1月30日(水)

1991/01/30

【社会党・土井たか子委員長】湾岸戦争の政府支援策を批判

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社会党の第56回定期大会が30日午前10時すぎから、東京の九段会館で三日間の日程で始まった。

土井委員長はあいさつで、湾岸戦争を一刻も早く中止させることの必要性を強調するとともに「平和憲法の名において、多国籍軍への1兆2000億円の追加支授に強く反対せざるを得ない。いわんや自衛隊機の海外派遣は絶対に容認できない」と述べ、政府の支援策への強い反対の意向を表明した。

湾岸戦争について「生物・化学兵器や核兵器の使用にまで及ぼうとし、人類はかつてない文明の危機にさらされている」と指摘。「最近の政府、自民党の動きに関して「300万の同胞の生命と2000万のアジアの人々の生命を犠牲にした歴史を忘却の彼方に追いやろうとしている」と厳しく批判した。

その上で「政令による自衛隊機の中東派遣は法治国として断じて許されない。使途や積算(根拠)を明らかにしない追加支援は不法な予算措置だ」と強調した。

土井氏はまた「平和と政権を担う党へ」という大会のスローガンには「世界とアジアの平和を確保するための努力を通じて政権への展望を開く決意が込められている」とし、政権担当能力を持つために「今は国民から信頼され期待される野党として立派に責任を果たすことが必要だ」と訴えた。

土井氏は他野党との連携については「野党第一党として公明党をはじめとする野党との協力関係を築くために全力を挙げる」との立場を表明するとともに、4月の統一地方選に向けて連合や総評センターなど平和を求めるすべての団体、個人との共闘を可能な限り拡大したい」と述べた。《共同通信》



【社会党・山口鶴男書記長】連合政権協議立て直す

東京の九段会館で30日始まった社会党大会は同日午後、山口書記長の一般党務報告に対する質疑を行い、湾岸戦争や野党共闘・連合政権協議、消費税問題などをめぐって論議した。

質疑に立った代議員12人のほとんどが政府が自衛隊機の派遣と90億ドルの追加支援を決めたことを厳しく批判、「護憲の党」として反対闘争の取り組み強化を訴えた。

これに対し山口書記長は国会、野党外交、大衆運動を組み合わせて国民的な機運を盛り上げていく考えを表明した。

また連合政権問題をめぐって、山口氏は来年の次期参院選の選挙区選挙で“反自民”の統一候補擁立を模索する中で野党の連合政権協議の立て直しを図っていく方針を示した。

質疑で左派代議員は「政府の対応の背景には日米安保体制がある。昨年夏の書記長談話などを見ると党中央には安保容認論があるのではないか」と追及。山口氏は「書記長談話の真意は安保条約を容認するものではない。安保条約が必要ないような状況をつくるため努力している」などとかわした。

一方で「社会党が国連平和協力法案廃案後の自公民合意に参加しなかったのは疑問だ」との意見も出た。

湾岸支援策の反対闘争について、山口氏は「ヨルダン政府に対する外交的努力を通じて不当なやり方を阻止する。国会では赤字国債発行の特例法案、増税法案阻止に全力を挙げる」と述べた。

消費税の緊急是正問題で山口氏は、「予算委で緊急是正を迫るとともに、両院合同協議会の開催を求めていく」とだけ述べた。《共同通信》

【橋本龍太郎蔵相】歳出削減に含み

国会は30日午前10時すぎからの参院本会議で、海部首相の施政方針演説などに対する最終日の各党代表質問を行った。

この中で橋本蔵相は、多国籍軍に対する90億ドルの追加支援の財源問題に関連して「歳出削減(での対応)は非常に厳しい」としながらも「今後の審議の中でこたえていく」と述べ、歳出削減措置に含みを残した。これは公明党の鶴岡洋氏の質問に対する答弁。

海部首相、橋本蔵相は財源の取り扱いについて、これまで一貫して増税およびその税収が入るまでの赤字国債発行の意向を表明してきた。しかし、増税法案の成否のカギを握る公明党が政府自らの歳出削減努力など平成三年度予算の見直しを強く求めていることを配慮し、何らかの前向きの姿勢を示唆したものと受け止められている。《共同通信》

【参院】傍聴の男、靴投げる

海部首相の施政方針演説に対する代表質問が行われていた参院本会議場で30日午前10時14分ごろ、共産党の沓脱タケ子氏(大阪)の質問に首相が答弁中、東側傍聴席にいた男がジョギングシューズを脱いで、速記者席付近へ投げた。横にいた別の男も靴を投げながら「侵略戦争反対」と叫ぶなど騒いだため、衛視が2人を捕まえ外に連れ出した。

本会議場で騒ぎを起こしたケースとしては昭和46年10月、沖縄国会の際、衆院で爆竹が鳴らされたことがあるが、参院本会議場では初めてという。《共同通信》

【政界メモ】靴投げ込まれ怒り心頭

○…海部首相は30日午前の参院本会議で答弁中に傍聴席から靴を投げ込まれ、怒り心頭に発した様子。昼の休憩で議場を出るなり「ああいうのを見てどう思うかね」と顔をひきつらせて記者団に質問。

記者団から「首相の答弁への不満もあるのでは…」との厳しい声が出ると「ああそうですか」。むっときたのか、あとは何を聞かれても「もう結構」の一点張り。昼食後にはやや落ち着いて「平和について議論している国会で、靴を脱いで投げつけるなんて間違っている」と、“公式見解”を示したものの、いつまでも怒りは冷めやらぬようだった。

〇…この日午前の衆院予算委理事懇談会で、片山内閣時代のことがひとしきり話題に。そこに中野民社党政審会長が「話は変わるけど、いいこと教えてあげましょう」ともったいつけて口を挟んだ。

各理事が何事かと耳を傾けると「きょう党の国対で審議ぐらいしろという注文がついた。おれは、泣く子と社会党には勝てぬと答えておいた」と紹介。「それにフセイン(イラク大統領)も付け加えようと思ったが、失礼だと思ってやめたんだ」と解説すると、社会党理事も「辛らつだなあ」と苦笑するばかり。《共同通信》

【湾岸戦争】多国籍軍、カフジを奪回

サウジアラビアの国境地帯でイラク軍の越境攻撃を受けた多国籍軍は30日深夜からカフジを占拠中のイラク軍に対し激しい反撃に転じ、同日正午までにカフジ全域を奪回した。

しかしカフジから55キロ離れたクウェート領内のカフラには戦車約250両を保有する5,6個師団規模のイラク軍約5万人が集結していると米海兵隊は指摘しており、イラク軍の新たなサウジ侵攻があるとみて多国籍軍は警戒を強めている。《共同通信》

【ソ連軍】バルトから部分撤退

プーゴ・ソ連内相は30日付のソ連紙ラボチャヤ・トリブナとのインタビューで、リトアニアなどバルト地方共和国への投入で、流血の惨事を引き起こしたソ連空てい部隊の全部隊と内務省軍の3分の2が29日までに撤退したと言明した。

リトアニア共和国最高会議も30日、ソ連側から公式の連絡はないとしながらも、同日首都ビリニュス北方の基地から部隊が移動するのが目撃されたとして、撤退とみられる軍の移動を確認した。

ソ連軍の撤退に関しては、ラトビア、エストニアが既に公式、非公式に連邦との協議を活発化させているが、これら部隊の撤退が進めばゴルバチョフ政権との対決色を最も強めていたリトアニアとの間にも対話ムードが生じるとみられ、バルト情勢は全体として鎮静化の方向に向かい始めた。

プーゴ内相は、バルト地方の状況について「少しずつ落ち着いてきている」とした上で、空てい部隊に続き残りの内務省軍も「情勢が鎮静化すれば、恒常的に駐留することはない。バルト地方にはソ連軍が今後も残るが、それは10年前の状況と同じだ」と言明。

徴兵作業の正常化を名目として今月バルト地方に投入した部隊を近く完全に撤退させる方針を明らかにした。

だが、ラトビア共和国最高会議当局者は30日、共同通信の問い合わせに対し「ソ連の部隊が引き揚げているという情報はない」と述べ、エストニア共和国当局者も同様に撤退の確認を避けた。《共同通信》



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