平成703日目

平成2年12月11日(火)

1990/12/11

【自民党・小沢一郎幹事長】内閣改造で首相と会談へ

自民党の小沢幹事長は11日午後、党本部で竹下、安倍、宮沢、渡辺、河本の各派閥事務総長と相次いで会談し、内閣改造・党役員人事に関する党内、派内の状況を聞くとともに、同日夕予定されていた五派事務総長会議を取りやめるよう要請した。

この中で河本派を除く竹下、安倍、渡辺の三派は年内改造を重ねて主張、宮沢派も党内の大勢に従う考えを明らかにした。このため小沢氏は週内にも、首相と会談、「年内改造論が大勢との空気を伝え、党内の意見も尊重するよう進言する考えを示した。

各事務総長とも対応は、小沢氏に一任、最終判断は首相にゆだねる考えを一致して示し、焦点の改造問題は首相と小沢氏の会談で決着が図られることになった。党内の意見が年内改造でほぼそろったことから、首相の年内見送りの意向にも影響を与えそうだ。

この日の会談で、小沢氏は「首相の意思は当面の問題に全力を挙げて取り組んでほしいということだ」と説明、これに対し渡部・竹下、三塚・安倍、山口・渡辺の三派事務総長は「人心一新し、内外の諸情勢に強力な布陣で当たるため改造が必要」(渡部氏)「ぜひ改造を進めてほしい」(三塚氏)「首相は党内の空気を察知して改造し、新しい力を投入し、新年のスタートを切る方がいい」(山口氏)とこれまで通り年内改造を求める考えを示した。年内改造に慎重な姿勢だった宮沢派の粕谷事務総長も「党内の大勢が早期改造なら、異論は差し挟まない」と同調した。

近藤・河本派事務総長は「首相が党内意見を配慮して決定するのは当然」としながらも「改造は首相の専権事一項、時期、内容は首相に任すべきで、首相の気持ちに反することは好ましくない」とあくまでも首相の意向を尊重する必要を強調した。

これを受け、小沢氏は予算編成後の年末改造を念頭に「時機を見て首相に党内、派内の空気を十分に伝える。皆さんの意見も尊重するよう申し上げる」と約束、各氏も了承し、同夜の会合を中止した。《共同通信》




【海部俊樹首相】コメは自給を堅持

海部首相11日の閣議で、関税貿易一般協定(ガット)の新多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)が農業貿易交渉をめくり行き詰まっていることに関連して「早急に実務担当者も入れた(政府与党)調整の場を設け、対応を協議する」と述べ、年明けの協議再開に向け日本の新たな対応策の検討に入るよう指示した。政府与党協議は年内にも開かれるが、米国からの圧力が予想されるコメ市場開放問題が最大の焦点となりそうだ。

閣議ではまず中山外相が「新ラウンドは残念ながら妥結しなかったが、米議会への報告期限が3月1日で残された時間がない。失敗すれば保護主装への傾斜を抑えるのが困難になる」との厳しい見通しを示し、これを受けて橋本蔵相が「今後、政府としてどう対応するか指示してほしい」と海部首相に求めた。

しかし焦点のコメ問題に関し山本農相は、武藤通産相が日の記者会見で何らかの妥協を促す発言をしたことを取り上げ「自民党の会議で従来の方針と違うと問題にされた」と激しく反発。これに対して武藤通産相が「(記者会見で)コメとは一言も言っていない」とやり合うなど「険悪」(出席閣僚)な雰囲気で、早くも“調整”の困難さを見せつけた。

首相の政府与党連絡会議の場設置の指示は、通産相発言を遮って出された。首相は「政府は閣議でウルグアイ・ラウンドに臨む基本方針を確認して、こういう結果になった。改めて従来の基本方針に沿っていくことを確認したい」と、あくまでコメ国内完全自給の主張を貫く意局を強調した。

橋本蔵相は、連絡会議での協議について「今までのことではなく、これから先どうするかをやってもらいたい」と「注文を付け、前向きな対応方針に取り組むよう促した。《共同通信》

【海部俊樹首相】ソ連に食料援助へ

国会は11日午前10時すぎから参院本会議を開き、平成二年度補正予算案に関する橋本蔵相の財政演説に対する各党代表質問を行い、海部首相らの見解をただした。この中で首相は、経済危機に見舞われているソ連について「人道上考慮すべきだ。いかなる対応が可能かを考えていきたい」と述べ、食料援助など対ソ協力に前向きに取り組む意向を表明した。

首相は来年4月のゴルバチョフ・ソ連大統領訪日の際、シベリア抑留者問題で、「抑留死亡者の墓地の調査、遺骨の引き取りなどに関し政府間文書が作成されることを期待している」と述べた。

首相は中東貢献策に関連して「自公民三党も国際協力の新しい在り方について六項目の合意をした。これらを踏まえできるだけ早い時期に成案を得るべく目下努めている」と述べ、国連平和協力法案に代わる人的協力を盛り込んだ新たな法案の作成に向け改めて強い意欲を示すとともに、野党側に協力を要請した。

代表質問には細谷昭雄(社会)、梶原清(自民)、白浜一良(公明)、近藤忠孝(共産)、池田治(連合参議院)、三治重信(民社)の六氏が立った。

細谷、梶原両氏らが湾岸危機、中東貢献策に対する政府の姿勢をただしたのに対して、海部首相は「あくまで平和的解決を希望し、日本としても粘り強く対応していきたい」と平和解決を強調した。橋本蔵相は補正予算案に計上された1300億円の拠出金について「全額湾岸平和基金に拠出され、(支援国の)航空機、船舶借り上げや防暑機器などに使われる」と述べた。《共同通信》

【政界メモ】火消し役が火消し予算陳情

○…海部首相は11日、焦点の内閣改造について「ミスリードしてはいけないのでもう言いません」と手を横に振って記者団の質問をシャットアウト。自民党内でも“年内、年明け”、と水面下で綱引きが続き、新聞でも連日のように書きたてられ、もう触れてほしくないという様子がありあり。

たまりかねた首相は「これは私の専権事なんだから。たった一言を取り上げてああだ、こうだと書かれてもね。今、こうして国会に出てるでしょ。政策課題に取り組んでいるんです」と、いらだち紛れで記者団をけむにまいたが、改造をめぐる連日の質問攻めにいささかうんざり。

○…浜田幸一自民党消防議員連盟会長はこの日の役員会で、消防関連予算16億円の確保を小沢幹事長らに陳情した。そばにいた西岡総務会長が目ざとく見つけて「なんだ浜幸さんはいつも火付け役なのに火消しもやるんですか」とからかうと場内は爆笑の渦。

この後、国会内の廊下で記者団に取り囲まれた浜田氏は「私は少々悪者になっても、ぜひ記事にしてください。記事にしていただければ、その予算は間違いなくつきますから」と、ひたすら低姿勢で記者団に頭を下げて陳情。。年末の予算編成を目前に控えているだけに、いつもの威勢の良さもどこかへ吹き飛んだ様子だった。《共同通信》

【政府】対ソ食料援助へ検討着手

政府は11日、欧州共同体(EC)と米国が相次いで対ソ緊急食料援助実施を打ち出したことを受け、日本も食料援助に踏み切る方向で本格検討に着手した。来年4月のゴルバチョフ大統領来日の環境整備のためにも人道的観点から米欧と協調して対ソ緊急支援を行うことが得策だとの判断からで、来年1月初旬に予定されている中山外相訪ソまでに具体策をまとめる方針だ。

政府は既に数億円規模の医薬品をソ連に贈与することを決定。食料についても検討してきたが①効果的な援助にするためには膨大な資金が必要②来年度予算では緊急援助としては間に合わないーなど予算措置をどうするかがネックとなっている。

このため外務省は、日本輸出入銀行の融資を使った援助を行う方針だが、省内には「援助をする以上、無償にしたい」という声も強く、大蔵省との調整を急いでいる。

外務省はこれまで食料援助については技術的問題点に加え、「ソ連は小麦も豊作で、本当に食料危機に陥っているか見極める必要がある」として慎重な姿勢だった。しかし、米欧の動きもあり、国内でも与野党から援助実施を求める声が高まり、海部首相も11日の参院本会議で前向きに検討する方針を示した。

政府としては、食料援助は純粋に人道的な観点から検討するもので、政経不可分の原則とは関係ないと位置付けているが、外相訪ソの際にソ連側要請に正式にこたえることで、ゴルバチョフ大統領来日に向けた雰囲気づくりをしたい考えだ。《共同通信》

【自民党・安倍晋太郎元幹事長】渡辺元政調会長と会談

自民党の安倍元幹事長は11日午後、都内のホテルで渡辺元政調会長と約1時間会談し、内閣改造問題などで意見を交換した。この中で両氏は、党内の空気は年内改造を求めているとの認識で一致。同日の小沢幹事長と各派事務総長との会談を踏まえて「海部総裁(首相)と小沢氏が話をして、総裁が判断するべき問題だ」として、海部・小沢会談を見守ることになった。渡辺氏は「年末改造」の必要性を強調、「早期改造に支障はないのではないか」との見解を示した。

安倍氏は安倍派内部にも早期改造を待望する空気が強いことを指摘する一方で「改造がなかったとしても海部政権を支えていく姿勢に変わりはない」との態度を示した。両氏は「今後も緊密に連絡を取り合う」ことでも一致、「お互い余力が残っているから、国のために頑張ろう」と一エールを交換したという。会談には途中から三塚、山口の両派事務総長も同席した。《共同通信》

【千葉県】各地で竜巻

11日夜、千葉県茂原市や鴨川市などで竜巻が相次いで発生、茂原市中心部では民家が倒壊するなどした。県消防防災課によると、同市内で4人が重傷、35人が軽傷を負った。このほか鴨川市でも2人が負傷した。茂原署によると、同日午後7時15分ごろ、茂原市高師、小林などJR茂原駅周辺の4ヶ所で竜巻が発生。高師では製パン店、雑貨店が全壊したほか、民家の屋根が吹き飛ばされたり、電柱が倒れるなどして39人が重軽傷を負い、約30人が病院で手当てを受けた。《共同通信》

【西武・秋山幸二外野手】厚い1億円の壁

西武の秋山幸二外野手は11日、埼玉・所沢の球団事務所で契約更改交渉に臨み、1500万円増の年俸9800万円を不服として契約を保留した。前日9500万円の提示を指否した渡辺久信投手に続き、球界初の二十歳代1億円プレーヤー誕生はこの日も成らなかった。

無口な秋山もこの日は「最低でも1億欲しいと思った。半信半疑で来たけど、これだけの評価しかしてくれないのかな。頭の中がこんがらがっている」とほおを紅潮させて不満を並べた。

今季は打率こそ2割5分6厘だったが、35本塁打、91打点。初の盗塁王(51個)となり、大リーグ級と評される守備でも優勝に貢献した。

「今の日本のやり方ではこういう風にしかならない。個人的にはアメリカに近づいてほしい」とフリーエージェント制を導入後、年俸高騰が続く大リーグをうらやましがった。《共同通信》

【プロ野球・ロッテ】亜大総監督と初接触

ロッテの金田監督、醍醐スカウト部長は11日夜、東京都小平市の矢野亜大総監督の自宅を訪ね、ドラフト1位指名しながら入団拒否の意向を示している亜大・小池秀郎投手(21)側との入団交渉を進めたいとの意向を示し、矢野総監督が交渉を継続することに応じた。かたくなにロッテを拒んできた小池側の態度軟化とも受け取れ、11月24日のドラフト会議以来こう着していた事態が進展をみた。

金田監督は矢野総監督と初めて会い、約1時間半話し合った。会談後、同監督は「ロッテの意見、オーナーの気持ちはきちんと伝えた。交渉の継続には応じてくれたと思う」と語った。さらに「この後、2、3日のうちにできるだけ交渉を重ねたい」とも述べ、早期決着の希望も示唆した。

矢野総監督は「金田監督には(ロッテを拒否している)小池の気持ちを伝えた」としているが、同時に「次回は小池本人も(ロッテとの交渉に)出席させる」とも言明した。金田監督は当初、14日に矢野総監督と会談する予定だったが、会談予定が急きょこの日に繰り上がった。《共同通信》

【米ソ外相会談】イラク対話時期で一致

ベーカー米国務長官とシェワルナゼ・ソ連外相は米ソ外相会談二日目の11日午後、共同記者会見し、①ペルシャ湾岸危機の平和解決を探る米、イラク直接対話は、米側が要求している来年1月3日までに行う②危機解決後にイラク、イスラエルを含めた中東の包括的軍縮を実施する必要性について双方の見解が完全に一致したーと表明した。

しかし、シュワルナゼ外相は、ソ連は湾岸危機の平和解決をあくまで目指し、軍事行動への参加は全く考えていない、と強調し、対イラク武力行使では米国と一線を画すとの従来の立場を改めて内外に表明した。

共同会見に先立って、両外相は米ソ地下核実験制限条約(1974年調印)と平和目的核実験制限条約(76年調印)の2条約に付属する検証議定書の批准書を交換、両条約は正式に発効した。

しかし、軍備管理交渉の焦点だった米ソ戦略兵器削減交渉(START)では、双方の主要戦略兵器の内枠規制や取り扱いで合意したものの「極めて技術的な問題」(ベーカー長官)が専門家レベル協議の最終課題として残った。このため、START条約調印のための米ソ首脳会談日程の決定は先送りされた。

両外相の説明によると10、11両日の会談の大半が湾岸危機への対応策に関する協議に費やされた。ベーカー長官は、長官自身のバグダッド訪問の時期を1月12日としたイラク側の提案は来年1月15日以降の対イラク軍事力行使を容認する国連安保理決議の最終期限を事実上無意味にすることを狙っていると批判した。

一方、シェワルナゼ外相は危機解決後、中東地域を「非核・非化学・非生物兵器地帯」とし、イラク、イスラエルを含めた中東諸国の通常戦力を「防衛十分性」の水準にまで削減することが必要だとの点でベーカー長官と一致したと表明した。

対ソ食料援助について両外相は、市場経済体制への移行一を目指すソ連の経済改革の「短期および中、長期的展望に立って行うべきである」との点で一致した。ベーカー長官は、ブッシュ大統領が今回の外相会談の結果を受けて米政府の方針を決定する見通しだ、と述べた。

一方、地域問題では、双方はアフガニスタンの民族和解政権樹立の手続きの大枠で合意したが、ナジブラ政権と反政府ゲリラ組織への武器供給停止時期で一致せず、共同声明の発表には至らなかった。《共同通信》




12月11日のできごと