平成704日目

平成2年12月12日(水)

1990/12/12

【イラク人質事件】155人が帰国

4カ月近く人質としてイラク国内に軟禁されていた日本人78人全員と出国が禁止されていた在留邦人のうちの63人、クウェートの日本人大使館員14人の計155人らが12日午後3時すぎ、成田空港着の日航特別機でバンコク経由、帰国した。帰国を待ち切れない一部の家族約20人は、同機に搭乗してバンコクに先乗りし、一足早い対面を済ませたが、成田空港にはこのほかの家族や企業関係者ら約400人が出迎え、肉親らとの再会を果たした。

空港ロビーには「お帰りなさい」などと書かれた横断幕やノボリが並び、人質だった夫らが次々に姿を現すごとに、出迎え陣のあちこちから拍手がわき起こった。

帰国した人たちは会見などで「この日を夢にまで見てきた」「富士山を機上から見て涙が出そうになった」と帰国の喜びを語った。人質だった78人が帰ってきたことで、邦人人質は全員の帰国を完了。イラク国内には、まだ51人の在留邦人が残っているが、政府は22日ごろには、今回と同様のルートでイラクを出国できる見通しとしている。

人質だった人たちは8月2日のイラク侵攻でクウェートから出国できなくなり、同月下旬、イラクに移動。その後、イラク国内の戦略拠点に軟禁されていたが、今月7日の「全外国人人質解放」決定に基づき出国を認められた。《共同通信》




【松平健さん、大地真央さん】赤坂・日枝神社で挙式

テレビ時代劇「暴れん坊将軍」で知られる人気俳優松平健さん(37)と、元宝塚スターでミュージカルなどで活躍中の女優大地真央さん(34)が12日、東京・赤坂の日枝神社で結婚式を挙げた。既に11月20日、東京都大田区役所に入籍届を出している。

夕方催された都内での結婚披露宴を前に二人そろって記者会見した。松平さんは「浮気は絶対駄目、と言われています」と話し、大地さんは「夫婦というより一番の親友同士でいたい。明るい家庭を作りたいが、仕事優先」といい、アツアツの中に“婦唱夫随”の気配。北海道へのハネムーン後、外国へ観劇旅行する。《共同通信》

【西武・清原和博内野手】20代で初の1億円到達

西武の清原和博一塁手(23)が12日、埼玉県・所沢の球団事務所で契約更改交渉に臨み、今季の6800万円から3200万円増の年俸1億円でサイン。プロ野球史上5人目、20代では初めての最年少1億円プレーヤーが誕生した。

来季がプロ6年目の清原は新人の1986年のシーズン途中から常勝西武の四番に座り、異例の昇給を果たした。現役では今季1億6500万円(未更改)の落合(中日)、来季1億3000万円の門田(ダイエー)に次ぐ球界3位(外国人選手除く)の高給選手となった。

清原は午後3時すぎから清水球団代表と約40分間交渉した。希望額をねられて「自分の心は一つです」と答え、1
億円の提示を受け入れた。

今季の清原は打率3割7厘、37本塁打、94打点といずれもプロ五年間で最高の成一績。オールスターゲームではパ・リーグの四番を打ち、巨人との日本シリーズでも主砲の存在感を見せつけた。

記者会見では珍しく緊張の色を浮かべた。「久々に神経と筋肉が縮み上がった。すごくうれしいのにうまくしゃべれへん」と大阪弁を交えて感激を語った。(金額は推定)《共同通信》


車好きな清原は「特別な日にしか乗らない」と決めているイタリア製の最高級スポーツカーで球団事務所へやってきた。交渉を終えて記者会見場に現れたときの表情は硬く、先輩の秋山、渡辺久に続いてまたも1億円に届かなかったように見えた。

ところが「大台に乗りました」と第一声。プロ入り5年目の23歳3カ月、史上最年少の1億円プレーヤー誕生だった。

交渉の席に着くと、清水球団代表から希望額は?と聞かれたそうだ。「自分の心は一つ(1億円)です」と清原がうつむきながら答えると、その通りに1億円ちょうどの提示が示されたという。「数字を見て少し間があってから、うれしさがこみ上げてきた。体中の神経と筋肉が一瞬、縮み上がるような感じ」と清原はその瞬間を表現した。

会見が進んでもなかなか笑顔が浮かんでこない。「まだ興奮していてうまく表現できない。自分でも何を言っているのか分からないくらいです」。打席で怪物と恐れられる男は、1億円という大金とその責任の重さをかみしめている様子。

名実ともにプロ野球の顔となった清原は「心の中で一つの区切りが付いた。来年はもう一度一から頑張って2億、3億ともっともらえるようになりたい」と抱負を述ベ「今まで通り僕らしい豪快なホームランを打ち続けます」ときっばり言い切った。《共同通信》

【プロ野球・ロッテ】小池投手獲得を断念

ロッテは12日、ドラフト1位指名されながら入団拒否の意向を示していた亜大・小池秀郎投手(21)の獲得断念を発表した。これを受けて小池投手も記者会見し、改めて社会人野球入りを表明。これによりアマチュア球界で最高の評価を得ていた同投手のプロ入りは、早くても二年後になることが事実上決まった。

ロッテの松尾球団代表は同午前、東京・西新宿のロッテ本社で金田監督らとともに緊急会見し、希望球団(巨人、西武、ヤクルト)以外からドラフト指名された場合は社会人に進むとしていた小池投手の意志は予想以上に固かった、との理由で、同投手の獲得を断念する旨の声明文を発表した。

ドラフト1位指名選手のプロ入団拒否は、昨年ダイエーの指名を受けた元木大介内野手(上宮高—巨人)に続くもので、ロッテでは1979年1位指名の竹本由紀夫投手(新日鉄室蘭―ヤクルト)以来4人目。今回はドラフト会議後、18日目という異例の早期断念宣言となった。

ロッテは3日に醍醐スカウト部長が岐阜県羽島市の同投手の実家で初めて指名のあいさつをしたが、同日小池投手は入団拒否声明文を発表。その後もロッテは接触を続け、11日夜には金田監督が亜大・矢野総監督に直接交渉していた。


ドラフト会議から18日目、ロッテ拒否の意志を貫き通した小池が午前11時半ごろ亜大で待ちわびた知らせを聞いた。午後3時から、亜大構内の会議室で矢野総監督とともに記者会見。3日、ロッテ拒否を表明した時と同じように自分で書いた便せん3枚の声明文を読み上げた。

「希望した3球団以外から指名された場合、ロッテ球団でなくても最初から断るつもりだった」。その表情には、さすがに安どの色がのぞく。

今後については「社会人入りしたらバルセロナ五輪の代表になれるよう頑張る。そして金メダルを獲得し、またプロから指名されるように技術を磨きたい」。気持ちは早くも二年後のアマチュア野球のひのき舞台に飛んでいる。

前夜開かれた金田一矢野会談の感触をその夜のうちに知らされていたようだ。この日は朝からさっぱりした顔付き。ロッテの断念を予想していたような笑顔で亜大へ向かった。これで世間の注目からは解放される。「社会人チームについてはこれからゆっくり考えます」と、“静かな日々”が戻ってくるのがうれしそうだった。《共同通信》

【海部俊樹首相】ゆとりある社会実現を

国民生活審議会(首相の諮問機関)は12日午前9時から首相官邸で総会を開き、海部首相から「ゆとりと安心、安全の確保できる国民生活の実現」について諮問を受けた。審議会は1992年秋をめどに答申をまとめる。

審議会はまず、永井道雄前会長(元文相)の後任に、加藤一郎成城学園学園長(元東大学長)を互選した。

今後の審議では、高齢化、出生数の減少、女性の社会進出、国際化の進展など国民の生活環境が大きく変化する中で、あるべき社会経済制度の姿を探る。

エネルギー危機、災害、事故への対応など安心できる国民生活の条件についても検討、特に欧米諸国に比べ遅れている製造物責任制度(PL制度)について本格的に論議する。PL制度は製品の欠陥により被害が出た場合、メーカーが責任を負う制度で、消費者保護の立場から導入を検討する。

加藤一郎国民生活審議会会長は総会後記者会見し「PL制度については本答申前の一年後をめどに中間報告を出したい」と述べた。

PL制度そのものについても「欧州共同体(EC)では法律ができており、日本でも議論が高まっているのでやる時にきていると思う。審議会は成案に近い内容をまとめるべきだ」と積極姿勢を示した。また「委員の中には、審議会に外国人委員も含めるべきだとの意見がある」と、外国人も参加する“開かれた審議会”を目指す姿勢を強調した。《共同通信》

【海部俊樹首相】対ソ支援「領土で譲歩求める」

衆院予算委員会は12日午後も、湾岸危機への対応を中心に平成二年度補正予算案の審議を続行した。この中で、海部首相は来年四月のゴルバチョフ・ソ連大統領の来日をにらんで、経済危機に直面するソ連への金融支援などについて「北方領土問題を横に置いても良いとの考え方にはなれない。拡大均衡でパッケージの中でソ連側にも考えてもらわなければならない」と述べ、領土問題でのソ連側の譲歩を飲める考えを示した。

橋本蔵相は多国籍軍への資金協力に関連して「(現状では)これ以上追加の支出をする状況ではない」としながらも「事態が今と違う状況になれば、その時に日本が果たしてこれでいいのかということは全く別の問題だ」と、武力衝突が起きた場合の追加拠出に含みを残した。

質問に立ったのは社会党の加藤万吉、串原義直、公明党の二見伸明、共産党の三浦久、民社党の中野寛成、進民連の楢崎弥之助の各民。

越年した関税貿易一般協定(ガット)の新多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)の決着で焦点となるコメ自由化問題について、首相は「コメ自給の方針は原則的に堅持する」との考えを改めて強調した。

しかし、武藤通産相は「今後の見通しとして、農業を含め、どこの国も妥協していかねばならない時が来るのではないか」と述べ、今後コメ問題も含め譲歩せざるを得ない可能性を示唆した。

平成二年英補正予算案に盛り込まれた中東地域に展開中の多国籍軍への追加支援10億ドル(1300億円)の使徒について中山外相は「武器、弾薬の購入に使用されることはない」と述べ、米軍を中心とする多国籍軍への戦費協力にはならないとの見解を表明した。

しかし、外務省の松浦北米局長は航空機、船舶の借り上げなど輸送協力では「何を運ぶかはチェックしない体制になっていると答弁し、野党が指摘している兵員や武器、弾薬の輸送に使用される可能性を否定しなかった。《共同通信》

【政界メモ】知事選の台所事情もチラリ

○…海部首相は12日午前、首相官邸で福岡県知事選の自民党推薦候補に決まった前総務庁審議官の重富吉之助氏に推薦状を手渡した。重富氏と首相が記念写真に収まると居合わせた同県選出国会議員団の間から「これで10万票増えたぞ」の掛け声。次いで国会議員もわれ先にと首相との写真撮影に殺到したこともあって、最近官邸不在の内閣改造論議に表情さえなかった首相もまんざらでもない様子で「地方の人だけと言ったのにしょうがないなあ」。

ところが北海道知事選候補に取りざたされている金石首席秘書官を見て「北海道と福岡の知事が勢ぞろいだ」の声が飛ぶと一転渋面に。

○…自民党の小沢幹事長はこの日昼、党本部で開かれた統一地方選挙本部の本部開きで壇上に立ち「全力を挙げ勝ち抜こう。党執行部としても協力は惜しまない」とまずは型通りのあいさつ。ところが続いて「地方選挙は国政選挙とは違い地域の特殊事情、地元選出国会議員、県議会議員の利害が複雑に絡み合う。われわれも同志として調整し(困難を)乗り越えて何としても勝利を勝ち取りたい」と異例の解説を付け加えた。

保守系候補一本化の見通しが立たない福岡、青森、候補者難の北海道、高齢・多選問題を抱える東京など、知事選挙の苦しい台所事情が思わず口をついた。《共同通信》

【南北首脳会談】優先課題めぐり対立

韓国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の第三回南北首相会談は12日午前10時からソウル市内の新羅ホテルで始まった。基調演説で韓国側は相互の体制認定や内政不干渉を含む「南北関係改善のための基本合意書」の採択を優先させなければならないと強調したのに対し、北朝鮮側は、これまで主張してきた不可侵宣言と交流・協力宣言を一本化した「南北不可侵と和解協力に関する宣言」を新しく提案、基本姿勢で依然大きな食い違いを見せた。

また北朝鮮は、韓国が日本と北朝鮮の関係改善を妨害しているとして韓国側の姿勢を非難、南北対話の中で初めて日朝関係改善について言及した。

会談には韓国側から姜英勲首相ら、北朝鮮側から延亨黙首相ら双方各七人が出席。

韓国の姜首相は基調演説で、北側が主張する不可侵問題を解決するためにも基本合意書が必ず採択されなければならないと強調、前回提案を一部修正した十項目から成る基本合意書案を示した。

また1972年の7.4共同声明で双方がひぼう中傷しないとしておきながら、その後「南侵用トンネル」が発見されたり、83年のラングーン爆弾テロ事件や87年の大韓航空機事件が発生したと指摘し「北朝鮮のテロ行為」を非難した。

また基本合意書が採択されれば、政治・軍事分科会で北朝鮮が主張する不可侵問題を協議しようと呼び掛け、八項目の「南北不可侵に関する案」を提案した。

これに対し北朝鮮の延亨黙首相は「人道・交流問題を解決することに賛成するが、軍事・平和問題の解決を後回しにすることはできない」と強調、核兵器や在韓米軍の撤退を強く要求した。その上で前回会談での南北不可侵宣言案を修正した「南北不可侵と和解協力に関する宣言」を新たに提案した。また日朝関係改善について、韓国側は矛盾した姿勢を示し妨害していると非難した。《共同通信》




12月12日のできごと