平成702日目

平成2年12月10日(月)

1990/12/10

【 TBS・秋山豊寛記者】地球に帰還

日本人として初めて宇宙を飛んだ東京放送(TBS)の秋山豊寛さん(48)はモスクワ時間10日午前9時8分、ソ連カザフ共和国アルカリクの平原にソ連の2飛行士とともにソユーズTM10飛行船の帰還カプセルで無事、着陸した。

2日の打ち上げから約190時間、秋山さんは地球を124周。宇宙に飛び出た初のジャーナリストとして日本周辺の海や、砂漠化が進むアジアやアフリカの様子を宇宙から生々しくリポートするなど、日本の宇宙開発の歴史に輝かしい足跡をしるした。

回収班や報道陣のヘリコプターが旋回する中をゆっくりと降下してきたソユーズTM10宇宙船の帰還カプセルは、着陸寸前に底部のエンジンを地上に向けて噴射し、雪の大地に舞い降りた。

ゲンナジー・マナコフ船長(40)に続きカプセルを出た秋山さんは「やっぱりきれいですね。青空が。やー、お腹が減っちゃって……」と帰還第一声。3飛行士は簡単な医師のチェックを受けた後、特別機でモスクワ郊外「星の街」の宇宙飛行士訓練センターに向かった。《共同通信》




【第120通常国会】召集

第120通常国会が10日召集された。午後、衆参両院本会議で橋本蔵相の財政演説、衆院で各党の代表質問を行った。

通常国会の召集は12月下旬が通例で、それ以前の召集は昭和五59年の第102国会(12月1日)以来。早期召集となったのは人事院勧告の完全実施に伴う公務員の給与改善、多国籍軍への追加支援などを盛り込んだ平成二年度補正予算案や給与法など関連法案の年内早期処理のためで、補正予算案や関連法案は早ければ18日までに成立する見通し。

通常国会はこの後、年末年始の自然休会に入り、来年1月下旬に再開。平成三年度予算案や国連平和協力法案に代わる新たな国際貢献策、選挙制度改革を柱にした政治改革、予算案とも絡む消費税問題や土地税制などの重要課題をめぐる本格攻防が展開される。会期は来年5月8日までの150日間。《共同通信》

国会は10日午後、衆院本会議で橋本蔵相の平成二年度補正予算案に関する財政演説を受けた各党代表質問が行われ、野党各党は中東貢献問題を中心に政府の見解をただした。

海部首相は湾岸問題で、武力行使が起きた場合の対応について「湾岸地域の平和と安定の回復のため活動している各国を支援すべきという立場に変わりなく、追加の10億ドルを含め、既に発表した貢献策については可能な措置を速やかに実施する方針だ」と述べ、政府の中東貢献策に変更がないことを明らかにした。

国連平和協力法案の廃案について首相は「厳しく受け止めている」と述べた上で、先の国会での自公民三党合意に基づき、同法案に代わる新たな法案を今国会に提出する考えを強調した。

質問には社会党の村山富市、自民党の関谷勝嗣、公明党の坂井弘一、共産党の山原健二郎、民社党の川端達夫の各氏が立った。《共同通信》

【坂本三十次官房長官】竹下元首相と意見交換

坂本官房長官は10日午前、都内の事務所で竹下元首相と政局の焦点となっている内閣改造問題を中心に意見交換し、重要な政策案件がめじろ押しになっているとの状況認識を確認、年内改造は見送る方向で一致した。

坂本長官は新多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)の合意成立が越年、コメ市場開放問題が今後の焦点となるほか、年末から来年初めにかけて次期防衛力整備計画策定、来年度予算編成、首相の韓国、東南アジア訪問、日ソ外相会談など政策課題が山積していることを説明し、海部首相が懸案処理のため年内改造見送りの意向を固めたことに理解と協力を求めた。

これに対し竹下氏も懸案処理の重要性に理解を示した、という。

先週に行われた坂本長官と安倍元幹事長、渡辺元政調会長ら自民党各派領袖との一連の会談では、「人心一新」の立場から年内の改造断行を求める声が依然として強く出され、首相の意向が内に浸透していないことが改めて明らかになった。

この日の会談で坂本長官は、海部政権の事実上の“後見役”ので、早期改造に慎重論をとる竹下氏の認識を確かめるとともに、党内取りまとめのための助力を要請した。

これに対し竹下氏は「党内の取りまとめは小沢幹事長に任せればよい」と述べ、海部首相と小沢幹事長が意見を調整した上で最終判断すべきだとの考えを示した。

自民党内では11日には年内改造を強く求めている山口敏夫元労相、三塚博元外相らが各派事務総長会議を開き年内改造に向け積極的に巻き返しを図る構えで、竹下氏の意向がどう反映するか注目されている。《共同通信》

【政界メモ】年内改造なしをアピール

◯…海部首相は通常国会が召集された10日の午後、衆院本会議の開会を告げる本鈴が響く国会内を歩きながら「ああ、このベルが鳴って(いよいよ)始まったなあ」と“いざ出陣”の構え。記者団に意気込みを聞かれ「内外の問題が山積しているから、それを一つひとつ片付けるということかなあ」と“答弁”。

今国会のネーミングを求められると「いろいろあるからねえ。突然言われても…」としばし考え「“内外の問題がたくさんある国会”ということだ」と強調。問題山積を表向きの理由として年内内閣改造を見送り-たい首相だけに、ここでも「年内なし」の意向をアピールしたかった?

◯…土井社会党委員長はこの日、同党代議士会のあいさつで、行きそびれたイラク訪問の話に触れ「本来なら12月10日はバグダッドにいたかもしれなかった」と切り出し、訪問の当面延期を説明。さらに「もし私が行って一人でも二人でも人気の解放ができたら、留守家族にとって喜ばしいことになったかも」とやや言い訳気味に続けると、出席議員の中から「それなら(すぐに)行けばよかった」と厳しいヤジ。

それでも土井氏は「(自分の)出発直前に全員解放が実現することになったのは大変うれしかった」と力を込めたものの、アントニオ猪木参院議員が解放実現の“英雄”として帰国しただけに、表情にはせん望と後悔の念がありあり。《共同通信》

【西武・渡辺久信投手】大台乗らず

西武の渡辺久信投手(25)は10日、埼玉・所沢の球団事務所で契約更改交渉に臨んだが、球団提示額は1億円に乗らず交渉は決裂した。「18勝を挙げ野茂(近鉄)と並び最多勝のタイトルを獲得した渡辺久は、二十歳代では球界初の1億円プレーヤーを狙っていた。しかし提示は2400万円増の9500万円にとどまり約3分の話し合いは物別れに終わった。

現役投手としては最高給の提示だったものの、渡辺久は「ショックのひとことに尽きる。希望と大きく懸け離れていて納得がいかない。日本一を奪回してタイトルを取れば大台(1億円)に届くと思った」と怒りをあらわにまくし立てた。

一昨年から15勝、15勝、そして18勝と安定した成績で優勝に貢献している点を強調する若きエース。清水球団代表は1億円ラインをめぐっての攻防を「1億円には相当なステータスやプラスアルファが必要と説明した。軽い金額ではない」と話し、両者譲る気配はない。次回の交渉はハワイ優勝旅行出発の15日までに行われる予定。(金額は推定)《共同通信》

【イラク・アジズ外相】米との対話、期限ない

アジズ・イラク外相は10日、米CNNテレビとの会見で湾岸危機をめぐる米国との直接対話について「あらゆる問題が取り上げられるべきであり、特にパレスチナ問題は大きな関連がある」と述べ、中東の諸問題が話し合われてこそ事態解決の糸口が見いだせるとの立場を強調し、国連安保理決議によるイラクのクウェート撤退期限の来年1月15日を話し合いの最終期限とは認めていない、と述べた。

外相は「ブッシュ大統領は(訪米中の)シャミル・イスラエル首相に対して占領地からの撤退を要請してほしい。米国がイスラエルから明確な返答を引き出せるなら、イラクに対しても同様の影響力を持つことができるだろう」と述べた。

同外相は、両国外相の相互訪問日程が確定しないことについて「われわれの提案を受け入れようとしない米政府に責任がある」と批判した。

イラクが提示したベーカー国務長官招請の1月12日が「国連の対イラク武力行使容認期限である1月15日に近接しすぎているとの指摘に関し、外相は「イラクは国連決議自体も1月15日を最終期限とすることも認めていない」と突っぱねた。さらに「その日以後にプッシュ大統領が攻撃を決定するなら、米国の歴史で最大の過ちとなろう。われわれは決して屈服はしない」と語った。《共同通信》




12月10日のできごと