平成608日目

平成2年9月7日(金)

1990/09/07

【日本、ソ連】共同新聞発表

ソ連のシュワルナゼ外相は7日午後、公式日程を終了、羽田発の特別機で帰国の途に就いた。離日に当たって中山外相とシュワルナゼ外相は、来年4月中旬のゴルバチョフ大統領訪日を日ソ関係の歴史的転機とする意義を強調、外相定期協議の成果を盛り込んだ共同新聞発表をした。

両国外相は中東湾岸危機へ共同対処を確認した共同声明を発表、大統領訪日準備の覚書などに署名、北方領土問題の政治的解決に向け重要な一歩を踏み出した。

日ソ両国は9月下旬、ニューヨークの国連総会に外相会談、年末か来年1月にモスクワで第11回外相定期協議、年内に平和条約作業部会とアジア安保・日ソ間の信頼醸成措置を話し合う政策企画協議を開く。一連の協議で、日ソ新時代の象徴となるソ連最高首脳の初来日に備えることになる。

共同新聞発表はシュワルナゼ外相が海部首相に、ゴルバチョフ大統領の口頭メッセージで来年4月訪日の意向を伝達したことを明記。中山、シュワルナゼ両外相が「大統領訪日は日ソ関係の最大の転機となる」との認識で一致したことをうたっている。

また、両外相は平和条約締結問題など二国間関係での「実質的な前進に向けての合意が、最高レベルの話し合いで達成されることについての共通の期待を表明した」と強調。大統領の訪日準備のため両外相が、個人的会合も含め、今後定期的に意見、情報を交換するとしている。

ただ、焦点の北方領土問題については「双方が両国関係に存在する困難の除去に関する諸側面についての認識を述ベ」と、昨年5月の宇野外相(当時)訪ソ時の共同新聞発表と同じ表現にとどまった。

今回の外相定期協議の成果として①チェルノブイリ事故被災に対する日本の医療協力などに関する覚書署名②中東湾岸情勢に関する共同声明ーなどを挙げ「実務的かつ有益だった」と締めくくっている。《共同通信》




【天皇陛下】ソ連・シュワルナゼ外相と会見

天皇陛下は7日午前、来日中のソ連のシュワルナゼ外相を皇居に招き、宮殿・竹の間で会見された。この中で、同外相は個人的な感想として「陛下にソ連においでいただければありがたいと思います」と訪ソへの希望を述べ、陛下は「政府間で決める問題です」と答えられた。

天皇陛下がソ連要人と会われるのは、昨年11月のヤコブレフ共産党政治局員兼書記夫妻以来だが、外相との会見は昭和51年1月、昭和天鳥と当時のクロムイコ外相夫妻以来14年ぶり。《共同通信》

【ソ連・シュワルナゼ外相】北方領土、解決は可能

ソ連のシュワルナゼ外相は7日午前、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見した。この中でシュワルナゼ外相は、ソ連が東西ドイツ統一や中国との国境線画定など領土問題をめぐる交渉に応じていることを挙げ、北方領土問題について「日本とも平和条約の交渉を行っているが、(北方領土の)正確な位置付けは交渉をベースに合理的アプローチの下で可能になる」と述べ、北方領土問題を国境線画定交渉の一環として解決することは可能との見解を示した。

これまでソ連側は戦後の国境線を画定したヘルシンキの最終文書(1975年)に基づき「戦後の現実の承認」に立って、日本の北方領土返還を拒否してきた。外相発言はドイツ方式などを参考に北方領土返還の余地を示したとも受けとられる。

北方領土に展開中のソ連軍の撤退について「この地域の軍事的ポテンシャルの削減はあり得るし、日ソ対話が進めば軍縮の方向で大胆なステップをとる用意がある」と将来の撤退の可能性に言及した。外相は日ソ両国内で学者グループを中心に北方領土の二島返還論などさまざまな見解が出されていることを踏まえ、今回の中山外相との会談で「日ソ両国の学者を集め、政府間交渉の枠内で意見を求めてはどうか」と提案したことを明らかにした。

【中山太郎外相】内容濃い意見交換で有意義

中山外相は7日午前、外務省で記者会見し、シュワルナゼ外相との日ソ外相定期協議の結果について「内容の濃い意見交換ができ、極めて有意義だった」と評価するとともに、来年4月中旬のゴルバチョフ大統領の訪日を「日ソ関係抜本的改善の重要な転機」とするため、準備を進める考えを示した。

【東京外国為替市場】円続騰、終値140円25銭

7日の東京外国為替市場は円が続騰、前日終値と比べて1円40銭円高ドル安の1ドル=140円25銭で取り引きを終えた。一時は140円ちょうどまで急伸して年初来最高値を更新、終値でも昨年10月始め以来約11ヶ月ぶりの円高水準となった。《共同通信》

【海部俊樹首相】米財務長官と会談

中東情勢への協力態勢協議のため来日したブレイディ米財務長官は7日夕、官邸に海部首相を訪ね、約1時間会談した。この中で長官は、紛争周辺国援助、多国籍軍支援で日本の一層の貢献を具体的な数字を挙げて求めた。

これに対し首相は「日本としてもできる限りの協力を行っていく」と協力を約束した。

政府は既に多国籍軍に対する10億ドルの拠出を柱に中東貢献策を発表しているが、ブレイディ長官の要請により周辺国援助、多国籍軍支援の上積みで政治決断を迫られることになった。

ブレイディ長官は湾岸危機の対応に関し武力行使の可能性もあるとの考えを示した。米側が日本に求めた数字は明らかにされていないが、経済協力、多国籍軍支援で20億ドル前後ともみられている。

会談には日本側から中山外相、橋本蔵相、坂本官房長官の3閣僚、米側からイーグルバーガー国務副長官、アマコスト駐日米大使らが同席した。

ブレイディ長官が湾岸危機への基本的考え方を説明。①サダム・フセイン(イラク大統領)のむき出しの侵略に対し明確な対応を示す②1990年以降のポスト冷戦の世界にどのように対処するかが問われている③世界の自由な石油市場、流れを確保する–の目標を示した。

長官は「経済制裁を含め各国が協調努力し、制裁について実効的なものにすべきだ」と述べ、対イラク経済制裁強化の必要性を強調した。その上でエジプト、トルコ、ヨルダンの国名を挙げて紛争周辺国支援に力点を置いて具体的な必要額を提示、日本の努力を求めた。

首相は、先にまとめた日本の貢献策を説明するとともに①湾岸の平和破壊に対して米国が決断して、今も続けている努力に敬意を表する②国連決議のもとに各国が努力を結集していくことは当然–との考えを示した。《共同通信》

【自民党・小沢一郎幹事長】“中東貢献策”思い切った決断が必要

自民党の小沢幹事長は7日午後、東京・虎ノ門で開かれた共同通信社全国報道局長会議で講演し、中東貢献策に関連して「日本が置かれた立場を考え、腹の据わった選択をしなければならない」と述べ、政府が思い切った決断をする必要性を強調した。

小沢氏は中東問題に関し「国際社会での日本の在り方を国会で論議するのは有意義」と臨時国会の意義を認めたが、社会党などの意見がまとまっていないことを理由に挙げ「実態として開くまでに至るかどうか」と召集を疑問視し、当面は閉会中審査で対応する考えを示した。

また、消費税問題についても「野党第一党がまとめようという気がない以上、どうしようもない」と述べ、現状では税制問題両院合同協議会での取りまとめは困難との認識を示した。

小沢氏は、国際的な緊急事態に対する日本のこれまでの姿勢に触れ「戦後、一貫して安全保障問題を避けて通り、何か起きるごとに応急的にしのいできたが、今日の世界では通用しない」と強調。特に「今回のイラクの侵略行為は民主社会を否定するものであり、ソ連までが加わり、制裁の国連決議がされた」と国際協調行動の必要を指摘した。

その上で、自衛隊派遣の是非をめぐる国内議論について「いずれも日本の将来に対す冷静な判断が必ずしも働いしているとは思えない」「単純な(派遣)積極論だけではいけない。長い目で見たプラス、マイナスを十分に見極め、果断に決めなければならない」と冷静な論議を踏まえた決断が必要との認識を明らかにした。《共同通信》

【渡辺謙さん】カムバック

昨年8月、カナダで映画の撮影中に急性骨髄性白血病にかかって以来、闘病生活を送っている俳優の渡辺謙さん(30)は7日、東京・永田町のホテルで記者会見し、9日から収録に入るテレビドラマで本格的に仕事に復帰することを明らかにした。

復帰作は10月7日放送のTBS系日曜劇場「息子のご帰還」で、主役を演じる。渡辺さんは薬の副作用などで頭髪が抜けているため、かつら姿だが「現在は全く自覚症状はなく、普通の仕事なら問題はない。今後は応援してくれた人たちに一つひとついい作品に出ることでお返しをしたい」と元気に復帰の喜び語った。《共同通信》

【大阪地裁】オウム教の主婦4人に子供10人引き渡し命令

「オウム真理教」(総本部静岡県富士宮市)に入信した大阪府内の主婦4人が子供計11人を連れて家出し、道場にこもったことから、夫らが妻に子供の引き渡しを求めた人身保護請求の判決が7日、大阪地裁であった。

下方元子裁判長は、1−12歳の子供10人について「このまま教団の施設内で生活させると、将来成人しても社会への適応能力を欠く事態になりかねない」として父親への引き渡しを命じ、14歳の女児1人については「既に十分な意思能力があり、自分の意思でオウムの道場にいると認定すべきだ」として夫側の請求を棄却した。夫側は女児1人の敗訴部分について上告、妻側も近く上告する方針。

オウム真理教に関連する人身保護の判決は全国でも初めて。

判決で下方裁判長は「オウムの道場は劣悪な生活環境で子供たちは学校にも通学しないなど教育環境も不十分」と認定、自分のことを判断する意思能力のない年少の子供は父親と暮らす方が幸福と判断した。《共同通信》




9月7日のできごと