平成583日目

平成2年8月13日(月)

1990/08/13

【プロ野球・オリックス】本拠地の神戸移転を決定

プロ野球オリックス球団は来季から専用球場を現在の阪急西宮球場から神戸市営のグリーンスタジアム神戸へ変更することを決め、宮内義彦オーナーが13日午後、神戸市内のホテルで記者会見して発表した。

この移転を機に、これまでのイメージを一新し、市民球団として再スタートを切る一つの方法として、長年ファンに親しまれてきた「ブレーブス」の愛称に代わる新ニックネームを公募することになった。

オリックスは阪急から球団を買収して2シーズン目を迎えているが、阪急時代でも課題だった観客動員の伸び悩みが問題となっていた。宮内オーナーは、これが移転の「非常に大きな要素だった」とし、約150万人の市民を抱える神戸市にオリックスの移転を希望する市民グループの熱心な誘致運動があったことが、神戸移転の決め手となった。

新本拠地となるグリーンスタジアム神戸は収容人員3万5000人で1988年に開業したばかり。これまで阪神、オリックス(阪急)の主催で年間10試合前後、試合が開催されている。猿渡球団社長は、来季のプランについて「神戸で年間50試合はやりたい。西宮でも数試合行うことになるだろう」と話しており、西宮球場でのプロ野球の灯は少ないながらも守られる見通しだ。《共同通信》




【海部俊樹首相】中東歴訪を延期

海部首相は15日から予定していた中東5カ国歴訪を延期し、代わりに中山外相を訪問予定国に特使として週内の17日ごろ派遣することを決めた。これを受けて坂本官房長官は13日午前11時すぎに会見し、延期を正式に発表するとともに、中東情勢の緊迫化に対応する具体的献策を早急にまとめた上で、10月上旬にも首相の中東訪問を実現したいとの方針を明確にした。

訪問直前に延期に踏み切った理由について坂本長官はイラク軍のクウェート侵攻により事態が激変、首相歴訪の意味が大きく変わったことを指摘したうえで、「拙速より充実した貢献を考えるべきだ」と述べ、単なる友好関係強化にとどまらず、具体的な貢献策の策定が日本人としての国際的責任を果たすことにつながると強調。イラク海上封鎖や多国籍軍展開などの新たな事態に対応した中東対策を作るための「時間的余裕」が必要と説明した。

しかし直前まで「行くと決めた以上は行きたい」と訪問実現に強い意欲を持っていた首相にとっては、苦渋の決断となった。《共同通信》

【政界メモ】「雲より雨の方がいい」

◯…坂本官房長官は13日午前、緊急記者会見し、海部首相の中東歴訪延期を発表した。延期の理由として、友好親善を深める程度の考え方では国際的責任を果たせないことなどを挙げたが、記者団から「今、訪問して相手国の事情を聴いたり、元気づけることも必要ではないか」と賞問されると「拙速よりは充実した貢献を考えている。アラブのことわざに“言葉は雲で、行動は雨”というのがある。雲より雨の方がいいのではないか」と説明。

首相は10月上旬にも中東訪問を実現させたい意向だが、「雲をつかむ」ような話ではなく、「干天の慈雨」となるような外交を展開できるかどうか–.。

◯…自民党の安倍元幹事長はこの日、地元下関市の記者クラブで会見した。12日の旧制山口中学の同窓会総会を発熱のため欠席したことに触れ「熊本であっちこっち歩いて発熱した。きょう、ようやく熱が下がった」と残念そうだったが「健康の回復にぼちぼち自信を持ってきた。幸い政局も安定しているので8月は十分に休ませてもらい、9月から動き出したい」と、9月以降、ソ連訪問を皮切りとする政治活動には意欲滅々。

しかし週刊誌などで「やせた、やせた」と書かれていることはかなり気にしている様子で、会見後、顔見知りの同市幹部に「あと5キロ太りたい」とポツリ。

【クウェート侵攻】多国籍軍、徐々に優位に

カイロの西側軍事筋は13日、政治的に追い詰められているイラクが軍事的にはまだサウジアラビアに侵攻し得る優位を保っていると述べた。しかし、米、英など多国籍軍を中心とするサウジ側部隊が徐々に優勢になる見通しで、イラク軍がサウジに侵攻する絶好の機会は過ぎつつあるとみている。

同筋によると、イラク軍が劣勢に追い込まれても「自暴自棄」になって攻撃に出る可能性はあり、最も考えられるのはペルシャ湾岸沿いのサウジ油田地帯に侵攻、石油基地を押さえ、これを人質にとってサウジ経済を破壊すると脅迫して政治的攻勢に出るケースだという。

このほか①内陸砂漠地帯のイラク・サウジ国境に近いサウジの油送管を攻撃する②バーレーン、カタールやエジプトのスエズ運河などにソ連製地対地ミサイル、スカッドBを改良した国産ミサイル「アル・フセイン」(射程650キロ)を撃ち込み、脅迫する―などが想定されるが、同筋はこれらの確率は極めて低いと述べた。

これに対し、サウジ支援の多国籍軍は、現在約4万人の緊急展開部隊を中心とする米軍が機械化歩兵師団を大量に投入し始めれば、クウェートに空海軍力を中心に一斉攻撃をかけ、二日間以内にクウェート展開のイラク軍(現在約15万人)を撃退、クウェートを制圧できる能力を持つようになるとみられている。

またホルムズ海峡の外側に展開する米空母艦隊から精度が高い巡航ミサイルをバグダッドに向け発射すれば、フセイン大統領の官邸を狙うことも可能。同所は、こう着状態が長引けば、経済制裁と米英両海軍を中心とした海上封鎖による石油輸出阻止と、食糧など流入物資のルートを断つ“兵種攻め”の作戦が次第に効果を発揮するとみている。

【ヨルダン・ハッサン皇太子】米軍の撤退を求める

ヨルダンのハッサン皇太子は13日、首都のアンマンンの王宮で日本人記者団と会見し、イラクのクウェート侵攻について「中東の紛争の中で米国がこれだけ性急かつ過剰に反応した例はほかにない」と述べ、米軍の撤退を求めるとともに、紛争が長期化するとの見通しを示した。

また、海部首相がサウジアラビア、ヨルダンなど五カ国の歴訪を延期したことについては「現時点における日本の事情は理解できる」と語り、「中山外相が代わりに訪問することは、日本が中東を重視している姿勢に変化がないことを示していると受け止めている」と述べた。

皇太子は、米国がペルシャ湾とサウジアラビアに艦船と空てい部隊を急派したことがアラブの民衆の反米感情を一挙にかき立て、紛争の解決を阻む最大の要因となっていると指摘し「この問題はアラブの枠組みの中で解決しなければならない」と強調した。

ヨルダンのフセイン国王は、米軍が撤退すればアラブ軍に加わり、イラク軍のクウェート撤退を要求するとの方針を明らかにしているが、ハッサン皇太子は「ヨルダンは武力による占領、併合を認めないし、クウェートの新政府も承認しない」と述べ、クウェートの原状回復を実現した上で「(侵攻の原因になった)イラク・クウェートの歴史的な領土問題を外交交渉によって決着させる必要がある」との考えを示した。《共同通信》

【ソ連、海上封鎖に不参加】

13日付のソ連政府機関紙イズベスチヤは、ペルシャ湾には現在ソ連艦船は一隻も配備されておらず、ソ連軍当局は西側諸国との国際的な同湾封鎖への参加を計画していないと伝えた。ソ連外務省のグレミツキフ二情報局第一次長は先に、ソ連が中型対潜駆逐艦など2隻をペルシャ湾方面に派遣したと述べており、同紙の報道が事実とすれば、ソ連船2隻はペルシャ湾の入り口のホルムズ海峡かその周辺海域に展開、依然同湾には入っていないとみられる。《共同通信》




8月13日のできごと