平成579日目

平成2年8月9日(木)

1990/08/09

【国連安保理】イラクのクウェート併合は無効

国連安全保障理事会は9日午前、公式討議を開催、イラクのクウェート併合を無効と宣言し、イラクに対して併合を撤回するよう要求する決議を全会一致で可決した。

決議案は①イラクによるクウェートの併合を法的に無効と決定する②クウェートの地位を変更しようとするイラクの他のいかなる行動をも法的に無効とする③すべての国と国際機関に対し、併合を承認せず併合を間接的に承認すると解釈され得るいかなる行動も差し控えるよう呼び掛ける④イラクに対し、クウェートの併合を取り消すよう要求する–の4項目から成っている。

クウェート併合を一方的に宣言したイラクに対し、既に来園はじめ各国は厳しい非難の声を上げており、安保理の併合撤回決議で、国威的なイラク包囲網は一層強まることになる。

決議採択は、クウェートのジャビル政権を含む湾岸協力会議(JCC)六カ国の要請に基づく。安保理はイラク侵攻直後の2日、イラク攻軍の即時無条件撮退の要求を決議し、6日にはイラクに対する包括的な集団制裁決議をいずれも全会一致に近い形で可決した。《共同通信》




【長崎】45回目の「原爆の日」

長崎は9日、45回目の「原爆の日」を迎えた。長崎市松山町の平和公園で海部首相をはじめ約2万4000人が参列し「被爆四十五周年原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が営まれた。

ベルリンの壁が崩壊、米ソ両国も戦略核削減交渉で基本合意に達するなど東西対立の構図は大きく崩れ始めたが、イラク軍のクウェート侵攻など戦火は絶えず、核なき世界を求める被爆者の切実な願いを無視するかのように大国の核実験は続いている。ナガサキはこの日、世界の恒久平和と核廃絶を強くアピールするとともに、外国人被爆者への謝罪も表明し日本の加害責任を考える中で新たに平和を誓った。

式典は午前10時45分に開始。長崎県警音楽隊による「慰霊の曲」が流れる中、本島等長崎市長と遺族代表らが厚生省の死没者調査などで新たに確認された犠牲者8692人の名簿を奉安箱に納めた。これで名簿に記載された総数は8万8426人となった。

海部首相や広島市民代表、在日外国人被爆者代表らが次々と供花。原爆投下時間の午前11時2分に花火が打ち上げられ、教会の鐘、サイレンが鳴り響く中、全員が一分間の黙とうをささげた。

昨年妻を亡くした長崎市の団体役員平野英男さん(73)が、被爆者遺族を代表して「平和への誓い」を朗読した。続いて、本島市長による「平和宣言」。本島市長は、日韓併合から長崎に原爆が投下されるまでの歴史を振り返り「私たちは戦争を心から反省し犠牲者への償いを考えねばならない」と指摘。特に強制連行された上、被爆した朝鮮人に「速やかに謝罪、実態調査をし援護しなければならない」と訴えた。また、日本が原爆投下をめぐって対米賠償請求権を放棄したことを挙げて国家補償の必要性を強調、被爆者援護法の制定を求めた。

この後、海部首相や参院議長が来賓あいさつ、市内の女子高生による合唱「平和は長崎から」で式典は終了した。原水禁、原水協のそれぞれの世界大会も同日、アピールを採択し閉幕した。

【海部俊樹首相】中東訪問は予定通り

海部首相は9日昼、原爆犠牲者慰霊平和祈念式に出席後、長崎市内で記者会見し、15日から予定している中東5カ国歴訪について「訪問の予定は変化ない」と現時点では訪問日程に変更がないことを強調するとともに「中東との関係を一層緊密にするとともに、中東地域に平和が確保されることを願っている」と述べ、日本としても各国との政治的対話を一層深めることで相応の役割を果たしたいとする強い決意を表明した。《共同通信》

【政界メモ】反発はいまだ収まらず

◯…海部首相は9日、長崎市での原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に出席した後、原爆養護ホーム「恵の丘」を慰問し、大歓迎を受けた。金色に黒の水玉模様のネクタイを締めた手作りのクマの人形をプレゼントされ、首相は「これはかわいい。水玉だ」と自らのトレードマーク付きに大喜び。

小旗を振って迎える人たちと両手で握手しながら「ありがとう」を連発。102歳のお年寄りの前では「ぜひあやかりたい」と政権の“長寿”を願う本音もちらり。この日で就任一周年を迎えた首相は、高支持率を実証するかのような歓迎ぶりに終始感激の体。

◯…社会党はこの日の中執委で、2月の総選挙で引退した党三役、衆院副議長経験者らの顧問就任を了承した。記者会見でこれを発表した田並広報局長は「ただ石橋前委員長だけは快諾がいただけなかった」と渋い表情。

取材に応じた当の石橋氏は「委員長を辞めた時から断っていること。顧問なんて意味がないし、(今回は)6人も顧問になっているのだから私がなることはない」と、全く興味なしの風情。同氏は連合政権に向けた党執行部の対応の物足りなさが引退の引き金になった経緯があるだけに、党本部への反発はいまだ収まらずといった様子がありあり。《共同通信》

【自民党・小沢一郎幹事長】整備新幹線「12月決着」

北村正哉知事ら青森県の新幹線建設促進期成会の代表が9日午前、小沢自民党幹事長、坂本官房長官、運輸省などを訪れ、東北新幹線盛岡ー青森間の「平成三年度着工実現」を訴えた。

午前11時前に東京・永田町の自民党本部に集まった代表団は、小沢幹事長に①公共投資十カ年計画に盛り込まれた整備新幹線の早期実現②来年度予算に盛岡ー青森間の本格着工予算計上③建設費の将来にわたる財源確保と建設日程の明確化–の要望書を手渡した。小沢幹事長は「月末に各省の概算要求が出そろうが、(新幹線を含む)生活関連枠については12月に政治的判断で決着していく。地元の事情はよく分かっている」と前向きに対応する姿勢を示した。

北村知事は「何としても平成三年度で(本格着工の)芽を出させてもらうことが必要」と強調。地元側からは知事選や六カ所村の核燃料サイクル施設建設問題などを抱え、整備新幹線の扱いでこれ以上政治不信を招かないようにしてほしい―との声も出た。

また、運輸省では大塚秀夫国鉄改革推進総括審議官が応対し「初めて整備新幹線で本格的な着工予算を要求する。最後のチャンスだ」と、来年度予算要求に意欲的に取り組んでいる状況を説明した。陳情には北村知事のほか工藤省三県議会議長、佐々木誠造青森市長、中里信男八戸市長らが加わった。《共同通信》




8月9日のできごと