平成580日目

平成2年8月10日(金)

1990/08/10

【台風11号】静岡県御前崎に上陸、帰省の足を直撃

中型で並の強さの台風11号は10日午前7時ごろ、静岡県御前崎付近に上陸、関東地方を直撃した後、勢力を弱めながら東北南部を北上し同日午後5時、小型で並の規模となった。11日未明には三陸沖の海岸に抜けた後、北海道の東沖に達する見込み。台風の進路は依然、大雨の恐れがあり、気象庁は引き続き厳重な警戒を呼び掛けている。

台風の本土上陸はことし初めて。水不足が深刻化していた首都圏には恵みの雨となった。しかし、東海道新幹線が一時全面ストップするなど在来線を含め帰省客ら約60万人の足が乱れたほか、東名高速道路などで通行止めが相次ぐなど交通機関は大混乱となった。《共同通信》




【東京ドーム】初の試合中止

10日、東京ドームで行われる予定だったプロ野球セ・リーグ公式戦の巨人ー中日戦は、東海道新幹線が台風11号の影響で一時不通となり中日球団が移動できなかったため中止になった。東京ドームの試合が中止になったのは一昨年のドーム開設以来初めて。

前日(9日)ナゴヤ球場でナイターを行った中日は、この日午前10時すぎの東海道新幹線で上京し、東京ドームで午後6時開始予定の試合に臨むことになっていた。しかし、新幹線が台風による架線事故で一時不通となったため、ナインは名古屋駅前のホテルで待機したあと、東京行きを断念した。《共同通信》

【味の素】カルピスとの提携発表

積極的な多角化を進める調味料最大手の味の素は10日、飲料分野拡充のため乳酸飲料トップのカルピス食品工業と資本提携を含む広範囲な業務提携で合意した、と発表した。《共同通信》

【なだしお事故】双方に同等の責任

昭和63年7月、神奈川県横須賀沖の東京湾で釣り客ら30人が犠牲となった潜水艦釣り船衝突事故の海難審判二審は10日、東京・霞が関の高等海難審判庁で開かれ、君島通夫裁判長は「なだしお、第1富士丸のいずれの回避措置も不適切で、同等の責任がある」と認定、第1富士丸のK元船長(33)=受審人=に三級海技士免状の業務一ヶ月停止の懲戒処分をするとの採決を言い渡した。《共同通信》

【公明党】コメ自由化で具体案

公明党の神崎政審会長は10日行われたNHK番組の録画撮りで、コメの輸入自由化問題について触れ「1992年に10万一20万トンの輸入枠を設定、毎年10%ずつ増やし、10年後(2002年)に(輸入量を)最大50万、とすることも一つの考え方だ」と述べ、部分自由化を検討している同党として初めて具体的な自由化案を明らかにした。

さらに神崎氏は「(逆に言えば)コメの生産量1000万トンのうち950万トンは国内で生産できる。国内自給体制を維持しながら政策転換をした方が日本の農業を守れるのではないか」として、部分自由化を選択した方が、米国からの完全自由化要求から日本農業を守るためかえって有効であるとの考えを強調した。

6月に石田委員長が「部分自由化の検討」を表明、自由化論議のきっかけをつくった公明党としては「新多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)の交渉経過は厳しく、深刻な結果が出かねない」(神崎氏)との認識をさらに深めており、政府、自民党の一部にも部分自由化容認論が出始めたことから、この時期に具体的な提案を明らかにすることで国民の理解を得たいとの考えがあるとみられる。《共同通信》

【イラク】アラブ諸国の説得に応じず

イラクのクウェート併合、米軍のサウジアラビア派遣など緊迫する中東情勢の中でアラプ自身が解決の道を探る緊急アラブ首脳会議は10日午後(日本時間同夜)、チュニジアを除くアラブ連盟の加盟国が参加してカイロで開かれた。

しかしムバラク・エジプト大統領が基調演説でイラク軍の即時撤退などを求めたのに対しイラクは譲歩の姿勢を見せず、合意に達しないまま閉会の可能性が極めて強く、アラブ首脳による調停工作は事実上失敗した。

会議にはクウェートを追わ れたジャイル首長、米軍の派遣を受け入れたファハド・サウジ国王が顔をそろえ、イラク側からはラマダン第一首相らが出席したが、ジャビル首長は開会を待たず途中で退席、避難先のサウジに向かった。会議の進め方やイラクの強硬姿勢に対する強い不満を示したとみられる。

冒頭、ムバラク大統領が①イラク軍の撤退②ジャビル・クウェート正統政権の復帰–を挙げ、イラクも含めた各国の同意を呼び掛けた。またアラブ内部で粉争を解決できなかった場合には、米国など外国勢力が介入する機会を与えることになると強く警告した。

ムバラク演説は開会前に各国外相などが練り上げた決議案に沿ったもので、休憩を挟んで再開された非公開の討議では、イラク側がこれに激しく反発、受け入れる姿勢を見せず、会議は暗礁に乗り上げた。

首脳会議は当初9日夜に始まる予定だったが、イラクのクウェート侵攻を中心議題にしようとするホスト国エジプトなどに対し、イラクは①併合されたクウェートの代表の出席は認めない②米国などの介入を議題にすべきだ–と主張して対立、開幕が延期された。

各国間で微夜の調整を続け、17時間以上遅れてようやく開会にこぎつけた。消息筋によると出席した各国元首など代表のほとんどは同日中にカイロを離れ、帰国する予定で、会議はアラブ諸国の一致した方向を見いだせなかった。

【米・ブッシュ大統領】ペルシャ湾封鎖へ

米国はイラクに対する経済制裁を完全実施するため、多国籍艦隊によるペルシャ湾の海上封鎖に近く踏み切る見通しだ。ブッシュ大統領は10日、休暇先のメーン州ケネバンクポートに向かう専用機内で記者団に「イラクからの輸出を抑えるのに必要なあらゆる手段を講ずる用意がある。原油を積んだイラクの船は出港しないよう忠告する」と述べ、イラクに対する警告と対決姿勢をより明確にした。

フセイン・イラク大統領が「聖戦」を呼び掛けたことに対する反発であり、ブッシュ大統領は米軍のサウジアラビア駐留期間が「どのくらいに「なるかは分からない」として、長期戦の構えを示した。米国は海上封鎖の具体策をめぐり関係国と大詰めの協議中だが、封鎖実施によってペルシャ湾情勢は一気に緊張が高まろう。

ブッシュ大統領は休暇先への出発に先立ち、ホワイトハウスでチェイニー国防長官と軍事的対応について協議した。大統領は「米国をはじめ英国、フランスの艦船が(ペルシャ湾に)向かっており、カナダも派遣を表明した」と述べ、海上封鎖はこれらの国を中心にして多数の国で共同実施したい意向を明らかにした。

またフィッツウォーター大統領報道官は「米国は短時間で封鎖できる用意がある」と語った。ブッシュ大統領はフセイン大統領の「聖戦」声明が「過激な論理であり、絶望的な試みだ。フセインは国際世論に追い詰められた」と強く非難した。

またイラク軍が現在サウジアラビアに侵攻する兆候はないと述べたが、米国人を含む外国人が拘束されていることに憂慮を表明、イラクが自由出国に応じるよう求めた。イラクのテロ行為への懸念も示した。大統領は休暇先に25日間滞在する予定だが、各国首脳とは電話で緊密に協議を続けるという。

【政界メモ】今年もバラの絵を出展

◯…海部首相は10日午前、日ごろ絵の手ほどきを受けている洋画家の松木重雄氏と、公邸でしばし絵画談議。首相は毎年、政経文化画人展に出品しており「今年もかいたらどうですか」と持ち掛け)られると「暇を見つけてかかなきゃならんなあ」と意欲満々。

新潟県・小木町の美術館で展示中のバラの絵は「一番の目玉作品」とかで、町から展示期間延長の申し入れを受けるなど、首相の腕もなかなかのもの。この日の話題も首相お気に入りの題材のバラで「今年もバラの絵を出品することになりそう」(首相側近)という。政権二年目、秋から難しい政治課題に直面するが、さて思い通りの絵がかけるかどうか。

◯…この日、「自民党渇水対策本部」の初会合が、党本部で開かれた。終了後、記者会見に臨んだ座長の唐沢俊二郎氏は、折から関東地方を襲った台風11号の豪雨を窓越しに見詰め「台風の日に渇水対策本部を開いてしまって、おかしいようで….」といささか照れ臭そう。

「雨が期待された台風10号は結局来なかったが、11号は関東地方に雨を降らせた。出席者の皆さんの念力、祈りが通じたのかもしれない」と前置きしながらも「利根川水系の状況はやや改善されるかもしれないが、これでも7月23日に10%の取水制限を決めた時と同じ水準。まだまだ楽観できない」と座長らしく、引き締めを図ることしきり。《共同通信》




8月10日のできごと