平成343日目
1989/12/16
この日のできごと(何の日)
【中国民航機ハイジャック事件】
16日午前11時45分ごろ、北京発ニューヨーク行き中国民航981便ボーイング747(乗客200人・乗員23人)が北京空港を離陸直後に中国上空で乗っ取られた。同機は韓国ソウルの金浦空港への着陸を求めたが韓国当局に拒否され、午後2時52分、福岡空港に着陸した。
午後3時半ごろ、犯人とみられる男は乗員に、開いたドアから滑走路に突き落とされ、骨盤骨折と第一腰椎圧迫骨折で4-6ヶ月の重傷を負って福岡市内の病院に収容された。機内にいた男の妻と子供とみられる2人も乗員に取り押さえられた。乗員、乗客は全員無事。乗客は中国人が大半で日本人はいなかった。
重傷の男は福岡県警の事情聴取に対し、中国・河北省の綿機工場長、張振海(35)と名乗り、「天安門事件で中国が嫌になった。飛行機を乗っ取って台湾に行こうと、妻と子供の3人で乗った」「凶器は持っていない。爆弾を所持していたが、北京のホテルの浴室に置いてきた」などと供述している。
福岡県警は同日夜、捜査員を機内に入れ、張容疑者の妻子から事情聴取するとともに、機長ら乗員への聴取と機体の検分を終えた。乗客は機内から降り、空港国際線ロビーに一時収容された。張容疑者の妻子は機内にとどめられ、中国総領事館員が事情聴取した。
運輸省、福岡県警などの調べによると、中国民航機は北京発、上海、サンフランシスコ経由のニューヨーク行き定期国際線で、北京離陸の約10分後に乗っ取られた。
張容疑者がスチュワーデスに「ソウルに行かないと自爆する」とのメモを手渡し、ソウル行きを要求。スチュワーデスが断ると、張容疑者はコックピットに入り、機長を羽交い絞めにして「ソウルへ行け、それ以外に行ったら爆破する」と脅迫した。
同機は午後1時39分、韓国の済州島上空を通過、金浦空港へ向かったが、韓国・大邱の管制塔が無線で着陸を拒否した。
燃料が残り40分間分しか一残っていなかったため、機長は福岡空港に着陸を求め、許可を受けて緊急着陸した。この事件のため福岡空港は午後3時から45分間閉鎖された。《共同通信》
◇
政府は中国民航機乗っ取り事件で16日午後7時半から首相官邸で「中国民航機ハイジャック対策本部」(本部長、森山官房長官)の幹事会を開き、容疑者の身柄の取り扱いなど今後の対応を協議した。
この結果、政府としては事件の処理に当たって(1)容疑者についてはハイジャック防止条約に従って中国側に引き渡す方向で国内法上の手続きを開始する(2)捜査に必要な機体の検分、乗員らの事情聴取について中国側に協力を求める(3)機体、乗客らについては事情聴取などが済み次第速やかに返還する―の基本方針を決めた。
ハイジャック犯人の身柄引き渡しは中国側の強い要請に基づくもので、会議終了後、石原官房副長官は「今回の事件の態様、日中関係を総合的に判断した」と述べ、日中友好を優先にして決定したことを明らかにした。外務省はこの方針を同夜、唐家璇駐日公使を招いて伝えた。《共同通信》
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【大蔵省】日本たばこ株上場先送り
大蔵省は16日、1990年度中に予定していた日本たばこ産業の株式上場を見送る方針を固めた。同社の幹部社員が汚職事件で警視庁に逮捕される不祥事が起き「企業イメージが悪くなった」(同省幹部)のが原因で、上場は91年度以降に先送りとなる。
上場すれば国庫に入るのは約6600億円。来年度はこの分だけ歳入が不足することになるが、同省は来年度も税収が順調に伸びると予想、十分穴埋めできると判断した。
日本たばこは85年、株式上場を前提に日本専売公社を民営化した会社。資本金は1000億円で、全額国が保有している。90年3月には民営化して5年経過するなどの上場基準を達成することから、同年度中に東京証券取引所などに上場する準備を進めていた。《共同通信》
【第116臨時国会】閉幕
第116臨時国会が16日、80日間に及んだ全日程を終了して、閉幕した。これによって、今国会最大の焦点であった消費税廃止関連9法案(社会党など参院野党4会派共同提案)は参院から送付されたまま、一度も実質審議されず衆院で審議未了、廃案となった。
次期通常国会は今月25日に召集され、例年と同様、直ちに年末、年始の自然休会に入る。再開は来年1月22日ごろとなる見通しで、ここで衆院が解散される公算が大きい。与野党は今国会の開一幕を受けて、2月下旬に予想される投票日に向けて、一斉に総選挙態勢に入る。
9月28日召集された今国会は夏の参院選後初の本格的与野党攻防の場となった。特に今国会冒頭、与野党逆転を受けて野党側が議員立法の形で、参院に提出した消費税廃止関連9法案をめぐり、激しい与野党の対決が展開された。9法案は野党の賛成多数で参院本会議で可決、衆院へ送付された。しかし野党提出の与野党対決法案が一院(参院)を通過したのは戦後、国会史上初めてで、与野党逆転時代の本格的到来を強く印象付けた。しかし、9法案は衆院送付後、一度も審議されないまま、廃案となった。《共同通信》
【消費税廃止法案】選挙後に衆院提出
山口・社会、市川・公明、米沢・民社の野党3党書記長は16日午前、NHKテレビ番組の録画撮りの中で、今国会で廃案になった消費税廃止関連法案の今後の取り扱いについて、次の通常国会、総選挙後の特別国会でともに参院に代わって衆院に提出することを一致して表明した。
米沢氏は提出する法案の内容については(1)参院税特委の論戦の中で指摘された点を考慮してもう一回議論して練り直す必要がある(2)衆院選挙の結果も影響する―との考えを示した。
山口氏は「通常国会に廃止関連法案を出したあと解散・総選挙で決着することになる。(絵選挙後の)特別国会では国民連合政権ができれば政府提案になる」と述べた。市川氏も「消費税廃止を実現するためにぜひ衆院で与野党逆転させてほしい」と訴えた。
米沢氏は自民党が衆院で過半数を維持した場合の国会運営について「衆院と参院の意思が違う場合、徹底的に議論して一致点を見いだす議会制民主主義の原点に返るべきで、政党同士の組み合わせで考えてはいけない」と述べ、与野党のパーシャル(部分)連合を提唱した竹下元首相の発言を批判した。《共同通信》
【森山真弓官房長官】消費税見直し案は政府提出
森山官房長官は16日午前、収録されたNHKテレビの番組の中で、自民党が今月初めにまとめた消費税見直し案の扱いについて「政府としても自民党案を勉強して、法律案にすることにあろう」と述べ、政府提出法案の形で次期通常国会に提出するため作業を進める方針を明らかにした。
法案提出の時期について、同じ番組に出席した自民党の山下幹事長代理は「なるべく再開国会の早い時期に出すことになろう」と述べ、衆院解散前にも国会に提出する意向を示唆した。《共同通信》