平成328日目

1989/12/01

この日のできごと(何の日)

【ナディア・コマネチさん】ニューヨークに到着

1976年のモントリオール五輪の金メダリストで「白い妖精」と呼ばれたルーマニアのナディア・コマネチさん(28)が1日午後、亡命先である米国のニューヨーク・ケネディ国際空港に到着した。コマネチさんはフランス人の男友達と一緒に空港ロビーに姿を見せ、記者会見で「ずっと米国に来たいと思っていた。それが実現できて本当に嬉しい」と語り、亡命が自らの意志であるものであることを強調、動機については「自由がほしかった」と述べた。表情は、緊張気味ながらも、うれしさを隠せない様子だった。

空港当局によると、コマネチさんはウィーン発の米パンナム航空29便で、同日午後4時40分に到着した。コマネチさんはブルーのデニムのジャケットにジーンズで荷物は何も持っていなかったという。

コマネチさんは11月28日、ルーマニア国境を越えてハンガリーに逃亡、同国当局に亡命を申請した。その後、一時行方が分からなくなり、ハンガリー国内でルーマニアの秘密警察に捕らわれルーマニアに連行されたとの説も出たが、米国到着で亡命が確認された。

米国務省当局によると、コマネチさんはその後ウィーンんお米大使館に米国への入国を申請。大使館側は直ちに難民として受け入れることを決定したという。コマネチさんは米国に1年滞在後、移民の地位を獲得、その5年後には米国市民権を得ることになる。《共同通信》

昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。

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【X】シングル「ENDLESS RAIN」発売

【法政大・葛西稔投手】阪神入団決定

阪神にドラフト1位指名された法大の葛西稔投手(22)の入団が、1位指名選手としては12球団トップを切って内定した。契約金6000万円、年俸600万円。

田丸スカウトが川崎市内のホテルで交渉、内定したもので、葛西は「最低でも6月には一軍で投げたい。今年は同じ大学出が多いので負けたくない」と抱負を語った。《読売新聞》

【海部俊樹首相】前面で旗振り裏目に

自民党が1日決定した消費税見直し案には「小売り段階での食料品非課税が盛り込まれており、「全流通段階非課税」に固執していた海部首相も一応は面目を保った格好となった。

政府首脳は「何としてでも消費者との接点だけは非課税にしたいと行っていた首相の考えが通った。首相の頑張りがなければ(一部とはいえ)非課税は残らなかった」と首相の粘りを評価する。

反面、調整作業の経過などから「首相の指導力のなさが露呈し、世間の党内基盤の弱さを改めてさらけ出した」(自民党若手議員)との見方を自民党内に強く印象付けたのも事実。「歴代首相として異例」と言われるほど、前面に進み出て見直し作業の旗振りをした首相の思惑は「裏目にでた」と見る向きが強い。《共同通信》

【政界メモ】物言えば啓無しの心境?

◯…海部首相は1日、自民党の消費税見直し案の決定が首相の約束した11月末から持ち越しになったことについて、記者団から質問攻め。「みんなが一生懸命努力しておってくれると私は理解している」と苦しい説明をしていたが、「公約違反ではないか」と追及されると「それは…」と言葉に詰まり、「(今日中に決着するか)こちらから皆さんに聞きたいよ」と言い出す始末。

見直し案の内容に関しても「私は予断と憶測で、物を言わないと申し上げているし、言ったことはない」。見直しの過程で党内から首相はしゃべり過ぎとの批判が出ているとあって、いつもの雄弁は姿を消し、物言えば啓無しの心境?

◯…この直後、国会内で開かれた社会党の代議士会で、清水国対副委員長は、参院本会議で昭和62、63年度一般会計予備費支出のうち、首相外遊費用など3件の支出が不承諾となったことについて、「こういった先例は一度もない。法律的に問題はないが、政治的に内閣の責任が解除されていない」と胸を張って報告。

さらに「今後も起こり得るので内閣の責任をどう問うか議運に提案したい」と政治責任を追及する構えをみせたが、今回不承諾となったのは竹下内閣時の件。「野党連合政権が実現して、土井政権が誕生したら、それ以前の自民党政権時の責任を負うのかな」と陰の声も。《共同通信》

【フィリピン】国軍が反乱

フィリピンで1日未明、アキノ政権打倒の軍事クーデターを目指す国軍の将兵約1200人が決起し政府軍との間で戦闘となった。アキノ大統領は在フィリピン米軍の介入を要請、ブッシュ米大統領は米ソ首脳会談でマルタに向かう途中の専用機上から出動を承認した。これを受けフィリピンでの米クラーク基地から複数の戦闘機が出動、アキノ大統領は戒厳令も辞さない態度で政府軍にあらゆる手段を使って反乱軍を鎮圧するよう指示した。

緒戦では反乱軍が奪った戦闘機で首都圏のマラカニアン宮殿(大統領府)や国軍中枢のあるアギナルド、クラメ基地を攻撃、市街戦が拡大するなどクーデター側に有利な展開となりアキノ政権は1986年2月の発足以来、最悪の危機に陥った。しかし米軍の支援開始で、劣勢の政府軍の反抗が本格化する見通しとなった。《共同通信》

【インド】新首相にシン総裁

インドの野党連合「国民戦線(N)」は1日午後、新議員総会を開きジャナタ・ダル(JD)のビシュワナート・シン総裁(58)を議員団長に満場一致で選出、ベンカタラマン大統領はこれを受けて、シン総裁を首相に指名した。組閣は2日に行われ。シン新内閣が発足する見通し。

NFに対しては既に、野党第二党のインド人民党(BJP)と、左右両派共産党など左翼政党が閣外協力して三者で多数派を形成し、NF政権を実現することで合意しており、総選挙で大敗したガンジー政権の退陣を受けて、12年ぶりにガンジー派国民会議派以外の政権が誕生する運びとなった。《共同通信》

【ソ連・ゴルバチョフ書記長】プラハの春介入は誤り

イタリア、バチカン公式訪問を終えたゴルバチョフ・ソ連共産党書記長兼最高会議議長は1日、イタリア北部のミラノで記者会見し、1968年のチェコスロバキアの民主化運動「プラハの春」は正しかったとして全面的に肯定するとともに、ワルシャワ条約軍が軍事介入したことについて「当時のソ連指導部は政治的手段を完全に使い切らなかった」と述べ、事実上誤りであったことを認めた。ソ連の指導者が、従来の介入正当論を覆し、誤りだったとの立場を公式に表明したのは初めて。

米ソ首脳会談のためマルタに向かう直前に行われた記者会見で、書記長は、チェコ介入の評価に関する質問に答えて「私個人はもとより、ソ連指導部全員がプラハの春を認める。プラハの春は当時も今も正しい」と発言、「プラハの春」の表現をそのまま使って肯定した。

介入について、当時の政治的背景を踏まえて分析する必要がある、との留保をつけながらも「チェコスロバキアは当時、ソ連、西側の双方からの干渉にさらされていた。だからこそ、(ソ連が)チェコスロバキアに対して取った態度は適切ではなかった」と述べ、軍事介入の正当性を否定した。



12月1日 その日のできごと(何の日)