平成327日目

1989/11/30

この日のできごと(何の日)

【オウム真理教】坂本弁護士失踪との関連を否定

横浜の弁護士失踪と何らかの関連があるのではないかと指摘されている新興宗教団体、オウム真理教(総本部、静岡県富士宮市)の麻原彰晃教組(34)ら最高幹部4人が30日午後、外遊先の西ドイツのボンで会見し、オウム真理教には弁護士一家をら致する動機も、事件に結びつく証拠もないと述べ事件との関連を全面的に否定した。会見したのは麻原教祖と夫人(31)、早川紀代秀総務部長(40)、上祐史浩外報部長(26)の4人。

麻原教祖は外遊中に記者会見に応じたことについて、事件との関連がマスコミに騒がれ日本国内の信者に迷惑が掛かっているため、公式の見解を緊急に出す必要にかられた、と説明。今回の西ドイツと米国の訪問は以前からの計画だった、と強調した。

失踪したまま行方不明になっているのは横浜弁護士会所属の坂本堤弁護士(33)と妻都子さん(29)、長男竜彦ちゃん(1つ)の3人。坂本弁護士はオウム真理教の入信をめぐるトラブルで被害を受けた、とする「被害者の会」の代理人として教団側との交渉にあたっており失踪後の自宅からはオウム真理教の信徒がつけるバッジ1個が見つかっている。

麻原教祖は、教団が坂本弁護士と交渉してきた経過を踏まえて(1)教団側に同弁護士を排除しなければならない理由は何もない(2)バッジが弁護士の自宅で見つかったという確実な証拠はない(3)仮にバッジ数万個のうち1個が弁護士の自宅にあったとしても事件と教団を結びつけることはできない、と述べた。

また一家の行方を捜している神奈川県警による事情聴取が信者の一人に対して既に行われていることを認め、国際電話で捜査への協力要請があったことを明らかにした。《共同通信》

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【沢村貞子さん】引退

映画、テレビなどの名わき役で鳴らしたベテラン女優沢村貞子さん(81)が30日、東京・丸の内の東京会館で記者会見し、60年余りに及ぶ女優業の引退を表明した。

「私より年上で立派にやってる人もいますが、そういう方は花があって芸がある。残念ながら私にはどちらもない。だから年があるんです。一生懸命、できるだけのことはやったので悔いはありません」と、引退の理由を語った。

東京の下町・浅草で生まれた沢村さんは、日本女子大を中台し、昭和4年、新築地劇団に入る。同9年、日活に移り以後、映画、舞台、テレビのシャキッとした江戸っ子の母親役などで活躍。溝口健二監督の映画「赤線地帯」で毎日映画コンクール女優助演賞を受賞した。《共同通信》

【上宮高・元木大介選手】社会人行きは白紙

ダイエー入りに態度を軟化させているドラフト1位指名、上宮高・元木大介内野手は30日、大阪市天王寺区の同校で「(ダイエー側から)話をうかがって、もしイメージと異なっていたとしても、それですぐに社会人行きや米国留学などを考えるつもりは「ない」と語った。

ドラフト会議前、巨人に指名されなかった場合として挙げていた社会人入りなどの進路を白紙にするというもので、日増しにプロ入りに気持ちが傾いていることをうかがわせた。

一方、同校の山上野球部監督は「今は心の中で押し問答を繰り返している状況だろう」と教え子の胸の内を思いやりながらも「本人がじっくりと考えて結論を出した方がいいが、近いうちに何らかのメドも立てなければいかんでしょう」と述べ、早期にダイエー側と会う可能性もあることを示唆した。

報道陣との会見はこの日から一日一回の定例となったが、元木は「(心境は)いつもと変わりはない。最終的にプロに行きたい気持ちも以前と一緒です」と淡々とした口調で質問に答えた。《共同通信》

【ソ連、イタリア】東欧の改革を支持

イタリアを公式訪問中のゴルバチョフ・ソ連共産党書記長兼最高会議議長とアンドレオッチ・イタリア首相は30日午前、ローマで両国共同宣言に調印、東欧諸国での変化を民主主義への変革であると認め、あらゆる国が自らの発展の道を選択する主権を尊重すべきである、との点で一致した。

東欧諸国での激動が始まって以来、ソ連が西側との間で、各国の政治路線選択の自由を認める立場をはっきり示したのは初めて。《共同通信》

【政界メモ】怒りにまかせ論理も飛躍

○…自民党の消費税見直し作楽が大詰めを迎えた30日昼「消費税は参院選でリコールされた」を持論とする金丸元副総理のかんしゃく玉が久々に破裂した。

「私は内容が「分からないうちに(竹下派会長として)対応を任されたが、(どんな案でも)ハイそうですかと引き下がるわけにはいかない」と見えを切った金丸氏、軽減税率案に話が及ぶや「姑息なことをやられると迷惑だ。こんなことで国民生活の安定が図れるか」と、ボルテージを上げた。揚げ句には金丸氏「米ソ両国急接近の事態を考えると、この案がいいのか良識で判断してほしい」と、論理の飛躍もものかは、怒り心頭。

○…社会党の土井委員長はこの日、61回目の誕生日を迎えた。記者団から好物のキャンデーをプレゼントされると「この年になると恥ずかしいような気持ちになる」と言いながらも「1928年生まれなのに、昭和28年生まれと言うと信じる人がいて“やった”という気がします」と女心をチラリ。

しかし来年の抱負を聞かれると「目の前の選挙で頭がいっぱい。何とか勝ちたいという気持ち」と顔を引き締めた。骨折した左手のギブスも外れ、1日には仙台で衆院選へ向けた遊説の第一声を上げる予定の土井氏は「さあ始まりだという気がします」と、“昭和28年生まれ”を地でいく元気印。《共同通信》



11月30日 その日のできごと(何の日)