平成325日目

平成元年11月28日(火)

1989/11/28

【ナディア・コマネチさん】亡命

ハンガリー国営MTI通信によると、1976年のモントリオール五輪の女子体操金メダリスト、ナディア・コマネチさんが28日、ルーマニア国境を越えてハンガリーに逃亡、ハンガリー当局に亡命を申請した。また、29日付のハンガリー紙モイノットによると、コマネチさんは南部セゲド市内のホテルに滞在中で、29日中にも車でオーストリアの首都ウィーンに脱出する計画だという。

コマネチさんは28日タ、仲間のルーマニア人6人と計7人で国境を越え、ハンガリー領南東部に入った。プタペスト放送によると、コマネチさんはハンガリー国境警備隊員に対し「亡命計画は事前に準備され、ルーマニア人男性の案内で国境までたどり着いた」と語った。

ハンガリー系といわれるコマネチさんは亡命の理由について「西側でコーチをすることや国外旅行を禁じられているため」と言っており、ルーマニア国内にアパート、車、家財道具などを一切残して逃亡したという。

コマネチさんは13歳だった75年の欧州選手権で史上最年少のチャンピオンに輝き、モントリオール五輪では個人総合、段違い平行棒、平均台の3種目に優勝。五輪史上初の10点満点をマークする華麗な演技で、“ルーマニアの妖精”と日本でも人気が高かった。84年、22歳で現役を引退し、コーチを務めていた。《共同通信》




【西独・コール首相】両独統一へ10項目

西ドイツのコール首相は28日、連邦議会での演説で、究極的なドイツ再統一に至る前段として「国家連合」を築く構想を明らかにするとともに、段階的に東ドイツとの協力関係を強化することを内容とする10項目の提案を行った。

ドイツの再統一を基本法(憲法)でいたっている西ドイツ政府の首班が統一へ至るプロセスを具体的に提案するのは戦後の一時期を除いて初めて。東欧諸国における民主化の進展と東ドイツのモドロウ政権の発足によりドイツ再統一への機運が強まっていることを反映している。《共同通信》

【自民党】消費税見直し本部を設置

消費税見直しをめぐる自民党内の調整は28日、「30日中の決定」に向けて大詰めの段階に入った。自民党税制調査会(西岡武夫会長)は同日午後、党本部での総会で見直し案の取りまとめについて西岡会長一任を決めた。さらに同日夜、海部首相も出席して「消費税見直し実施本部」(本部長、三塚政調会長)の初会合を開き、挙党一致による見直し案の作成と円滑な実施を確認した。

西岡会長は同日夜にかけて税調の加藤六月会長代理、野田毅小委員長らと具体案の詰めに入ったが、「全食料品の全段階非課税」の方針では一致しているものの、農家の不満に対応するため消費税相当分を税額還付する方式については税調内部に賛否両論が出てまとまらず、難航した。《共同通信》

【高原須美子経企庁長官】高原景気と命名したい

「“高原(たかはら)景気”なんておこがましい。あれは冗談です」―高原経済企画庁長官は28日午前の会見で、今回の大型景気について「一部でいわれている高天原(たかまがはら)景気と高原状態の景気にちなんで高原景気、と命名したい」と宣言したのもつかの間、午後には釈明の記者会見を開き「私には景気ネーミングの権限も資格もない」と撤回した。

一部マスコミに報じられ、周辺から「長官の個人名を定するなど軽率です」とやんわり諭されたためらしい。

午前の会見で、京長官は「こんな時期に長官になったのは非常にラッキー」と時らしげに語り「景気に名前がないのも何だから、食京気と名付けたい」と打ち上げた。「公式提案ですか」との問いにも「公式です」とを張った。

今回の大型景気は今月で丸3年を迎え、来年5月には戦後2番目に長かった岩戸景気(42カ月)に並ぶ。ところが、大型景気に付きものの呼称がいまだにない。「いざなみ」「卑弥呼(ひみこ)」「平成」「藤ノ木」から果ては「漢文」「古野ケ里」景気といったものまでいろいろ取りざたされているが、いずれもいまひとつ。そこで高原長官が自ら名乗りを上げたというわけである。

高原長官は就任早々の8月中旬「コメの自由化は検討すべきだ」と発言し、思わぬ波紋を広げた。それ以来、めっきり発言が保重になって「経済評論家代の持ち味が薄れた」との評が専ら。久しぶりの高原節は、好景気に浮かれてまたも勇み足の一幕となった。《共同通信》

【政界メモ】カメラの縁で仲しっくり

○…森山官房長官の亡夫、欽司元運輸相が収集した日本製カメラ約500台を展示する「日本カメラ博物館」(東京・一番町)の開館式が28日行われた。館長の森山官房長官は海部首相を案内して回ったが、首相も写真館の長男に生まれただけに旧型のカメラに興味深げ。

首相が昭和55年に南極で撮影した写真も展示してあり、官房長官の気配りに「子供のころはカメラを引っ張り出して触っていた。蛇腹とか展示してあったが、懐かしいなあ」と記者団に語り上機嫌。官房長官の衆院転出問題でややギクシャクしたといわれる二人の仲も、カメラが取り持つ様でしっくり。

○…参院税特委でこの日、自民党の梶原清民が自動車の物見復活に関する野党案について、民社党の勝木健司氏に集中質問。運輸省出身の梶原氏は民社党が物品税復活に賛成したのがよほど腹に据えかねたらしく「友達だからと信じていたのに、どうしてこんなことになったのか。不思議でならない」と、再三にわたって勝木氏の見解を求めた。

これには勝木氏は「いろいろ心配していただいていることを党執行部に伝えたい」と逃げの一手で、“友達”の攻撃に頭を抱えるばかり。《共同通信》




11月28日のできごと