平成1432日目
1992/12/09
この日のできごと(何の日)
【米軍】ソマリアに上陸
200万人近い国民が飢餓の危機にあるソマリア救済のため、国連が派遣を承認した多国籍軍の中核となる米軍の第一陣が9日未明(日本時間同日午前)、インド洋の米艦隊から首都モガディシオなどの港、空港に上陸、「希望回復」作戦が始まった。人道援助を目的とした多国籍軍の派兵は例がなく、その成果は今後の国連機能強化の行方を定めるものとなろう。多国籍軍は計3万6000人がソマリア全土に展開、飢餓民に救援物資の円滑な搬送を可能にする治安回復を目指す。
上陸した第一陣は、ソマリア沖に停泊している米海軍の揚陸強襲艦「トリポリ」「ジュノー」「ラシュモア」にいる海兵隊1800人で、モガディシオの海岸には9日午前0時(日本時間同日午前6時)過ぎ、まず特殊部隊が上陸した。海兵隊の上陸作戦は、モガディシオのほか、ソマリア国内で現在最も武装勢力同士の衝突が激しい南部のバイドア、バルデラ両市でも開始されたとみられる。米軍は各武装勢力の抵抗を受ければ、応戦する方針で、上陸した兵士は全員が機関銃と対戦車ロケット弾を身につける重装備。倉庫周辺の警戒にあたる兵士は、ソマリア人が約60メートル近くまで来ると、実弾を威嚇射撃した。
装軌式上陸用車両で上陸した米軍はただちに空港周辺に展開。空港の格納庫付近を取り巻いていた統一ソマリア会議(USC)所属の武装勢力やソマリア人の見物人計十数人を取り巻き、銃を突きつけて腹ばいにさせた。
上陸に先立ち現地入りしていたロバート・オークリー米特使によると、上陸初日は多国籍軍の本格上陸と援助物資搬入に不可欠な空港と港の安全確保を優先させる計画。同特使は8日、モガディシオを二分して争う武装勢力、USCのアイディド議長、マハディ暫定大統領と会談、米軍上陸に際し、空港、港に近づかないとの約束を取り付けており、作戦は混乱なく進むとみられる。9日朝現在、米軍との間の戦闘は伝えられていないが、モガディシオ市内の各所では、散発的な銃声が続いている。
米軍は海兵隊員1万6000人、陸軍1万人など計2万8150人の兵士を派兵する予定。このほかフランスが2100人を派兵、エジプト、トルコ、クウェート、ジンバブエなども派兵方針を表明しており、総勢3万6000人程度に上る見込み。《読売新聞》
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【チャールズ皇太子、ダイアナ妃】別居
メージャー英首相は9日午後、チャールズ皇太子とダイアナ妃が正式に別居することになったと発表した。発表によると、皇太子とダイアナ妃は11年間の結婚生活の後、正式に別居することになった。しかし当面は離婚せず、皇太子とダイアナ妃は今後も別々に職務を遂行する。皇太子とダイアナ妃に関する憲法上の立場には影響しないという。
英王室メンバーの離婚はこれまでまず別居生活が発表され、別居生活中に離婚条件が協議された後正式離婚することになっている。《共同通信》
◇
英王室のチャールズ皇太子とダイアナ妃の別居発表は9日、ただでさえ不景気で沈みがちな英国民に大きな衝撃を与えた。ロンドンでは、別居を速報するテレビを市民が食い入るようにみつめ、クリスマス飾りが輝く夕暮れの街で、夕刊が飛ぶように売れた。
英王室は今年、皇太子夫妻の不仲問題や、エリザベス女王の二男アンドリュー王子とセーラ妃の別居、さらに、女王の別邸であるウインザー城の一部焼失など災難続き。英王室にとって今年は、女王の言葉通り「ひどい年」となってしまった。
二人の不仲が報じられたのは今年6月、「ダイアナ妃の真実」と名付けられた本が出版されたのが発端。同書は、ダイアナ妃が手首をかみそりで切るなど過去5回にわたって自殺を試みた、などとショッキングな内容を含んでいた。
これをきっかけに、「皇太子は、結婚する前からのガールフレンドと交際している」といったスキャンダルや、ダイアナ妃がボーイフレンドに、結婚生活の不満を電話でぶちまける様子を録音したとされるテープの存在が暴露されるなど、英マスコミは連日のように二人に関する記事を掲載し続けた。
こうした記事を裏付けるように、ここ一年ほど二人は公式の席に同席することが少なくなり、独自行動が目立つようになった。11月14日は、皇太子の誕生日だったが、ダイアナ妃は一人でフランスを訪問していた。
11月に、二人は久々に二人で韓国を訪問、「一体感の旅」を演出したが、二人の表情からは冷え冷えとしたよそよそしさが感じられ、演出がかえって裏目に出てしまった。《読売新聞》
【宮澤喜一首相】抜本政治改革に全力
参院予算委員会(遠藤要委員長)は9日、東京佐川急便事件に関する集中審議を行い、午前中は、石川弘(自民)、種田誠(社会)の両氏が質問した。
宮澤首相は答弁の中で政治改革について、「一両日中に自民党の抜本改革案が決まる。各党の持つ改革案と(の間で)合意を発見していただけるなら、次の国会に合意の結果が提案され、成案になることを期待する」と述べ、次期通常国会での抜本政治改革の実現に全力を挙げる考えを表明した。
種田氏は、渡辺広康・元東京佐川急便社長が8日の出張尋問で、証言拒否を繰り返したことについて「証言拒否罪に当たることは明らかだ」として、委員会が告発を行うよう迫った。《読売新聞》
【宮澤喜一首相】内閣改造へ
宮澤首相は9日夜、官邸で加藤官房長官らと協議した結果、臨時国会閉幕翌日の11日夕に首相就任後初の内閣改造を断行することを決めた。組閣は11日中に完了、新閣僚の認証式は12日になる。組閣に先立って首相は党の新執行部体制も確定させ、佐川急便事件で支持率が急落している政権の立て直しを目指す意向だ。
既に、渡辺副総理兼外相の留任と、「梶山静六幹事長、三塚博総務会長、佐藤孝行政務会長」の新三役人事が確定している。内閣の要となる官房長官は河野洋平・元科技庁長官の起用が固まった。《共同通信》
【従軍慰安婦】6人が証言
戦争責任について考える「日本の戦後補償に関する国際公聴会」が9日、東京・千代田区の「カンダパンセ」で開かれ、韓国、フィリピン、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、オランダ、中国、台湾の6人の元従軍慰安婦の女性が次々と壇上で証言した。一人ひとりの口から生々しく語られる証言に、満員の会場は重苦しい雰囲気に包まれた。
北朝鮮から来日した金英実さん(68)。証言によると、金さんは17歳の時、日本の軍人から「いい職場を見つけてあげよう」と誘われ、日本軍の慰安所に監禁された。
多い時には一日に40人もの兵隊の相手をさせられ、また禁止されていた母国語を使った仲間の女性が首を切り落とされたこともあったという。ある日、日本兵に抵抗して逃げだしたが、連れ戻されて鼻から水を流し込まれるなどの暴行を受けたこともあった。
中国・山西省から来日したのは万愛花さん(64)。証言によると、15歳の時、自宅から連行された。日本兵の機嫌が悪いと食事も与えられず、「ビンタをあびて右耳の肉がイヤリングもろとも引きちぎれた」と傷跡の残る右耳を見せた。二度にわたって脱走したが、捕まってあばらの骨を折られるなどの拷問をうけた。万さんは「骨折し、曲が一ったままの体を見てほしい」と叫びながら立ち上がり、そのまま気を失ってしまう場面もあった。
6人は日本政府の態度を口々に批判。11日には内閣外政審議室におもむき謝罪と補償を求めて交渉する予定。《読売新聞》
【米・クリントン次期政権】倫理規定を発表
ビル・クリントン次期米大統領の政権移行チームのウォーレン・クリストファー総括責任者は9日、アーカンソー州リトルロックで記者会見し、クリントン政権の政治改革の一環として、次期政権の高官の退職後のロビー活動を厳しく制限する次期政権倫理規定を発表した。
新規定はクリントン大統領によって任命される各種政府職員のうち、特に地位の高い職員(約1100人)を対象とし、①高官は退職後5年間、自分の勤務していた省庁(ホワイトハウス職員の場合は関係省庁)に対するロビー活動を禁止される②高官は終生にわたり外国政府、外国の政党の利益代表(エージェント)にならない③通商代表の交渉担当者は退職後5年間、外国政府及び企業のためのロビー活動を禁止される―の三点を骨子とする。
違反が発見された場合は、政府は裁判所に対し、違反者に活動差し止め命令を出すよう訴えるほか、違反者の在任中の給与を「納税者に返還」する形で国庫に没収する。対象となる高官は、年収10万4000ドル以上の職員と規定され、具体的には各省庁の次官補、副長官クラスも含む。
米国の現行法は、政府高官に退職後のロビー活動を1年間禁止しているが、クリントン政権の倫理規定はこれよりはるかに厳しい内容。クリントン氏は選挙期間中に共和党政権の高官が「回転ドア」のように民間企業幹部や有力ロビイストに転職していることを厳しく攻撃していただけに、新規定は、公約を早速実行に移したことになる。《読売新聞》