平成336日目
1989/12/09
この日のできごと(何の日)
【作家・開高健さん】死去
「裸の王様」「輝ける闇」などの小説、ベトナム戦争や釣りなどのルポルタージュでも知られる行動派の作家、開高健さんが9日午前11時57分、食道腫瘍のため、東京港区の済生会中央病院で死亡した。58歳。
開高さんは今年春、食道がんの手術を受け、八月にいったん退院したが、その後同病院に再入院していた。
昭和24年、大阪市立大法学部に入学。翌年谷沢永一氏らの同人誌「えんぴつ」に参加、ガリ版で出した「あかでみあ めらんこりあ」が一部で注目された。また在学中に詩人の牧羊子さんと結婚。羊子さんの勤務していた寿屋(現サントリー)に羊子さんの退社と交代で入社。雑誌「洋酒天国」の名編集長として、柳原良平氏らとともに寿屋宜伝部の黄金時代を築いた
32年「パニック」を発表、平野謙氏が絶響して出世作となった。翌年「裸の王様」で芥川賞受賞。大江健三郎氏の「死者の奢り」との争いになったこの時の芥川賞は大きな話題になり、「大江・開高」時代と呼ばれた。
39年末にはベトナム戦一争を現地取材し、解放戦線軍に包囲されて九死に一生を得、この体験が契機となって、その後何度もベトナムに足を運んで書いた長編「輝ける闇」は毎日出版文化賞を受けた。初期のベ平連運動の推進役の一人でもあった。
屈指のルポルタージュ作家でもあり、「ベトナム戦記」のほか、趣味の釣りでは「フィッシュ・オン」「オーパ!」、南北米大陸縦断記「もっと遠く!」「もっと広く!」などがあり、56年、ルポルタージュ文学の業績によって菊池寛賞を受けた。《共同通信》
昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。
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【バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2】ロバート・ゼメキス監督作品公開
【金丸信元副総理】施政方針演説前の解散「あり得る」
自民党竹下派の金丸元副総理は9日、別府市内のホテルで開かれた地元衆院議員の講演会であいさつし、通常国会が1月22日に再開されるとの見通しを示した上で、衆院解散の時期に触れ「ここまでくれば早い方がいい。総理の権限だが、再開国会で議場に入ったところで解散してもいいのではないか。だいたいそこから1週間が危険状態だ」と述べ、早ければ海部首相の施政方針演説前、遅くとも代表質問後には解散されるとの見通しを示した。
金丸氏は消費税の見直しについては「思い切った見直しをやったと思う。(見直し額は)1兆2800億円に上り、昨年にさかのぼって4兆5000億円の所得税減税もして(財源を)吐き出している状態だ。これで駄目と言うなら自由社会はどうなる」と述べ、消費税の見直しは国民の理解を得られるとの考えを示した。《共同通信》
【東独・社会主義統一党】新党首にキジ氏
体制の危機を党再生によって乗り切りを図るため開かれた東ドイツ社会主義統一党の臨時大会は9日午前11時(日本時間午後7時)すぎ、新党首に改革派の若手弁護士、グレゴール・ギジ氏を出席代議員約2700人のうち95%の信任で選出し、いったん休会に入った。16日に議事を再開し二日間にわたって新党名の決定や規約、綱領の改定について討論を行う。
8日夜に始まった大会はこれより先、徹夜の討論を終えて今後の党改革のたたき台となる政策文書を採択、同時に廃止された政治局と中央委員会の党最高指導部に代わる幹部会員100人を選出した。
党の改革については大会準備のための作業委員会が作成した「もう一つの民主的社会主義を目指して」と題した文書に基づいて討論を行っただけで党の今後の政策の基本方針については正式の決定はなかった。
9日に採択された文書は討議用の文書に基づいて作成されたもので党を「民主主義的社会主義の党」と規定、スターリン主義的な中央集権的党指導と党と国家の癒着が今日の東ドイツの危機的状況を招いた、と旧来の党の在り方を厳しく自己批判し、民主化要求デモに立ち上がった市民に対する感謝を表明している。
またドイツ再統一問題については東ドイツの国内危機に関連して強まっている再統一論議に強い警戒心を示すとともに、モドロウ首相が提唱している条約体系の整備による東西ドイツの協力強化、いわゆる条約共同体提案を支持している。大会の論議の中ではスターリン主義との決別を明白にするため党名を変更することも決定されたが、新党名については続開大会で正式に採択する。《共同通信》
【米国、中国】関係改善に意欲
スコウクロフト米大統領補佐官(国家安全保障担当)らの米大統領特別使節団が9日午後、事前の発表なしに特別機で北京を訪れた。イーグルバーガー国務副長官らも加わった一行は同日夕、銭其琛外相と会談、夕食会に臨んだ。
6月の天安門事件で米中関係が悪化して以来、初の高官接触となったこの席で、双方はともに関係改善への意欲を表明。10日午前には李鵬首相、江沢民総書記、鄧小平氏と会談する予定で、こう着状態打開の糸口となるかが注目される。
中国は最近も在米中国人留学生の滞在延長問題で、ブッシュ政権が取った措置に対し、両国関係を損なうものであると「最大の怒り」を表明、米政府に抗議しているが、夕食会のあいさつで銭外相は対米批判はしなかった。《共同通信》
【EC】通貨統合へ前進
フランス東部のストラスブールで開かれていた欧州共同体(EC)首脳会議は9日、通貨統合の推進をうたった共同声明、東欧支援と東西両ドイツ再統一に条件付きで支持を表明する政治宣言を採択して、閉幕した。
通貨統合では、欧州中央銀行の設立、EC統一通貨の発行について協議する政府間会議を来年末までに開くことを決めた。ECは当面の目標である1992年の市場統合だけでなく、その後の政治統合への一歩となる通貨統合にも本格的に動き出すことになった。
また注目されたドイツ再統一問題については「自由な自決権」に基づく再統一を、ヘルシンキ最終合意文書の枠内で行うなどの厳しい条件を付けた上で承認する共通の立場を表明した。その一方で今回の会議ではサッチャー英首相のEC内での孤立が一層鮮明となり、今後英国がどのような対応を示すか注目される。
共同声明はECを強化し欧州統合への進展を加速することが全欧州諸国の利益にかなうとした上で、当面の最大の焦点であるECの通貨統合推進の重要性を強調。欧州中央銀行の設立やEC統一通貨の発行に道を開くローマ条約(ECの憲法)改正問題などを討議する政府間会議を来年後半、イタリアで開くことを明らかにしている。《共同通信》