平成1000日目

1991/10/04

この日のできごと(何の日)

【海部俊樹首相】続投を断念

海部首相は4日、自民党総裁選への再選出馬を断念、30日の総裁任期限りで退陣することが決まった。政治改革関連三法案の廃案とこれに伴う与野党協議機関の設置をめぐり、解散権をかざした首相の対応に党内の批判が集中、海部政権を支えてきた最大派閥の竹下派が解散に同意せず、続投も支持しない方針を決定したため、竹下元首相、竹下派会長の金丸信氏らに伝えた。

首相は3日夜から4日朝にかけ、解散反対派の閣僚に解散の署名に協力するよう電話で要請したが自民党内では三塚、宮澤、渡辺の3派が解散阻止の方針を強固にした。竹下派も解散には同意できないとの方針を確認。こうした状況から同日午前の定例閣議では解散、総辞職などは一切、話題にならなかった。《共同通信》

週末の政局を激震が襲った。不退転の決意で臨んだ政治改革三法案の廃案に反発した「重大な決意」発言が命取りとなって、4日、再選断念に追い込まれた海部首相。クリーンなイメージと雄弁さで国民の高い支持を受け、続投が有力視されていただけに、永田町力学のわかりにくさを改めて見せつけた。

一方、宮澤、三塚、渡辺ミッチーの“3M”は、きょう5日の総裁選出馬表明へ向けアクセルを一気に加速。しかし、最大派閥・竹下派の動きがカギを握り、政治改革の行方はもちろん、国政の新しいカジ取り役も混とんとして、視界ゼロのままだ。

衆院本会議が終わって、官邸にこもった海部さん。二階の執務室には女房役の坂本三十次官房長官らが出入りを繰り返す。午後6時半前、ようやく執務室から姿を見せた海部さんは思いのほかにこやかな表情で、取り囲んだ記者団に開口一番「皆さん、長時間お疲れさまでした」。「総裁選出馬断念について聞かれると、「私の考えはしかるべき時にきちっと言います」とだけ言い残し、早々と公邸に引き揚げた。

志半ば、ハシゴをはずされての続投断念。海部さんは、この日午後1時過ぎからの衆院本会議では、得意の雄弁を振るったヒナ壇でなく、議場最後部の議員席に座った。懸命のばん回工作が実らなかった悔しさだろう。両手でモモをたたいたり、顔を覆うしぐさも何度か見せた。そして1時半すぎには官邸へ。臨時国会を振り返っての感想を記者団に求められると、「ソ連のクーデターでゴルバチョフのこともあったし、エリツィンと電話もした。あの一週間は忘れられないね」。

いつもは記者団を振り切るように執務室へ入ろ海部さんが、この日はドアの前で立ち止まって話し、窓の外をしみじみと眺めやった。

「これは、サヨナラの“合図”か」。ピンと来た記者団が一斉に近くの電話へ走り出す。

官邸にはこの後、鈴木宗男外務政務次官がバルト三国訪問前のあいさつのため訪れた。鈴木次官によると、海部さんは「マルタとかべルリンの壁とか、この2年2か月を振り返ると、何十年にも匹敵するようだ」と話していたという。《読売新聞》

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【プロ野球・広島】逃げ切りマジック「5」

広島2−1中日◇4日◇ナゴヤ

四回までに挙げた2点を、巧みな継投で守った広島が2年ぶりに中日戦の勝ち越しを決めるとともに、マジックナンバーを「5」とした。

広島は一回、右中間三塁打で出た先頭の正田を一死後、野村が中前打でかえし先制した。さらに四回は一死二塁から西山が左越えに適時二塁打し2−0とした。広島はその裏、北別府が一発を浴び1点差に詰め寄られたが、五回途中から石貫ー紀藤ー大野とつなぎ、逃げ切った。最後を締めた大野は30セーブポイント目をマークした。

中日はライアルのソロ本塁打で3試合連続の完封を免れるのがやっとだった。八回二死満塁の好機も逃し、このカード6連敗を喫した。《共同通信》

【北朝鮮・金日成主席】訪中

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金日成主席は4日午前、特別列車で北京入りし、同日午後、江沢民共産党総書記と首脳会談を行った。また、同日夜、江総書記、楊尚昆国家主席主催の歓迎宴に臨んだ。訪問を事前に公表しての訪中はさる87年5月以来約4年5か月ぶり。

中国側はこの日朝、両指導者のほか、李鵬首相、劉華清・中央軍事委員会副主席ら党、政、軍の要人が勢ぞろいして北京駅に金主席を出迎え、抱き合うなどの熱烈歓迎ぶりを示し、社会主義の退潮に拍車がかかる中での“盟友国”の強いきずなを見せつけた。

新華社電によると、江総書記との会談は午後3時半から約2時間、北京市内の釣魚台国賓館で行われ、江総書記は金主席の39回目の訪中を歓迎するとともに、「このことは中朝間の特別な関係を示している」と強調。

江総書記はさらに、「国際情勢がどのように変わっても、中国は、金日成主席と毛沢東、周恩来、鄧小平ら古くからの革命家が育てた中朝の友誼を強固にし続ける」と述べた。これに対して金主席は両国の友誼を高く評価、両党と両国の関係が良好であると友好を強調した。

今回の訪中では、中朝両国の友好協力関係強化のほか、朝鮮半島情勢、中韓関係、日朝正常化交渉などが協議されると見られる。《読売新聞》

【鄧小平氏】台湾の独立志向けん制

4日付の香港の英字紙「サーウスチャイナ・モーニングポスト」は、台湾で高まっている独立の動きに業を煮やした中国の最高実力者、鄧小平氏と楊楊尚昆・国家主席がこのほど人民解放軍に台湾武力解放の詳細な計画を策定するよう命じたと伝えた。

計画策定は、台湾の対岸に位置する広州、南京の両軍区が担当、①台湾海峡封鎖②空爆などによる一部軍事施設破壊③台湾全島への全面攻撃の三段階―に分けて検討しているという。

台湾では最近、野党、民主進歩党の呼びかけで開催された民間憲法制定会議が台湾の国名を「台湾共和国」とすることを定めた新憲法草案を採択するなど、大陸からの分離傾向に拍車がかかっている。中国側が大きな国際非難を招く台湾武力侵攻を実行するとは考えにくいが、武力解放計画の策定は台湾の動きに対する中国側のいら立ちを示すものとはいえるだろう。《読売新聞》

【天皇、皇后両陛下】ジャカルタから小旅行

インドネシア滞在中の天皇、皇后両陛下は4日午後、首都ジャカルタの東550キロにあるジャワ文化発祥の地ジョクジャカルタを訪問、伝統芸能の人形劇や、ヒンズー寺院遺跡のブランバナン寺院を背景にした舞台で、古代から伝わる叙事詩「ラーマーヤナ」の舞踊を鑑賞された。

きょう5日は、9世紀に完成した仏教美術の最高傑作といわれるボロブドゥール寺院を見学し、午後、ジャカルタに戻られる。《読売新聞》



10月4日 その日のできごと(何の日)