平成6822日目
2007/09/12
【安倍晋三首相】辞意表明
安倍晋三首相は12日、インド洋での海上自衛隊の給油活動継続の見通しが立たないことなど国政混迷の責任を取って、辞任する意向を表明した。
首相は午後、官邸で記者会見し「今の状況では国民の支持、信頼の上で政策を進めていくことは困難だ」と指摘、参院選惨敗による与野党逆転などのけじめをつけ、局面転換を図る考えを示した。ただ臨時国会で所信表明演説を終えたばかりの突然の辞意表明に政界に困惑が広がっている。安倍氏は昨年9月、戦後生まれ初の首相として就任したが、内閣発足から約1年で退陣となった。
首相は自民党幹部と会談、できるだけ早期に総裁選を実施し、新総裁を選出するよう指示。後継選びは安倍首相を支えてきた麻生太郎幹事長らを軸に進むとみられる。首相の辞意を受け、12、13両日の衆院本会議での代表質問は流会となった。
首相は会見に先立ち、与党幹部に辞任の理由について「自らの求心力がない」と述べた。会見では海自活動継続をめぐる小沢一郎民主党代表との党首会談が実現しないことも理由に挙げた。
首相は参院選後も「政治空白をつくるべきではない」と、引き続き政権を担う方針を強調。党役員人事、内閣改造で「人心一新」を図り、立て直しをしたばかりだった。
今月9日の訪問先のシドニーでの記者会見では、海上自衛隊の活動継続に「職を賭して取り組む」と発言、実現しない場合に退任の考えを示していた。
一方、8月27日の改造直後に遠藤武彦農相が組合長理事を務める農業共済組合で国からの補助金不正受給が発覚し、遠藤氏は辞任。さらに鴨下一郎環境相、上川陽子少子化担当相と相次いで不透明な政治資金処理問題が発覚。野党側は首相の任命責任を問題視し、問責決議案提出も視野に攻勢を強めていた。
安倍内閣は昨年9月26日に発足。中韓両国との関係改善に着手、教育基本法改正、憲法改正のための国民投票法制定など、「戦後レジーム(体制)からの脱却」に取り組んだ。
しかし、昨年12月に政治資金問題で佐田玄一郎行政改革担当相が辞任。今年5月には事務所の光熱費問題などを問われた松岡利勝農相が自殺。さらに原爆投下発言で久間章生防衛相、松岡氏の後任である赤城徳彦農相がそれぞれ辞任するなど、閣僚のスキャンダル、失言が相次いだ。
年金記録不備問題への対応への批判もあって、7月29日投開票の参院選では自民党の獲得議席が37まで落ち込む歴史的な敗北を喫した。《共同通信》
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【共産党・志位和夫委員長】「前代未聞」
野党各党は12日、安倍晋三首相の突然の退陣表明について「無責任の極み」(共産党・志位和夫委員長)などと批判、与党に衆院解散・総選挙で民意を問うよう求める構えだ。
民主党の鳩山由紀夫幹事長は記者団に「首相の会見では国民への謝罪がなかった。参院選で民意が示された時に辞めるべきだったのに、このような辞め方は国民に対して失礼だ。引き際はもっと美しくなければいけない」と批判した。
志位氏は「所信表明演説の直後に首相の職を投げ出すのは前代未聞」と強調。「自民、公明両党による路線的破たんが根本にある。誰が首相になろうと、その路線を進める以上、解散・総選挙に追い込む」と述べた。
社民党の福島瑞穂党首は記者団に「所信表明演説して投げ出すのは無責任。『ぼくちゃん投げ出し内閣』だ。民主党の小沢代表に面会を申し込んで断られたのが理由だとすれば、子どもっぽい理由だ」と批判した。《共同通信》
【倖田來未さん】シングル「愛のうた」発売
【2007スマトラ沖地震】
米地質調査所によると、インドネシア・スマトラ島南部沖のインド洋で12日午後6時10分ごろ、マグニチュード(M)8.2の地震があった。同島各地で建物が倒壊、政府当局者は7人が死亡、10人以上が負傷したと述べた。
当局者は震源地に近い同島南部ブンクルで少なくとも1人が死亡、数十人が負傷したと地元ラジオに述べた。《共同通信》
【この日の民主党】
「早期解散求める考えは変わらない」 小沢代表
小沢一郎代表は、12日午後党本部で、安倍首相の辞任表明を受け記者会見した。このなかで、小沢代表は、総裁、総理が代わったからといって、早期解散を求める考えに変わりはないと表明した。
また、首相が辞任の理由の一つとして、党首会談を小沢代表に拒否されたことを挙げている点について、「党首会談の申し入れは本日昼前にあっただけでそれ以前にはない。従って拒否したこともない」とした上で、報道陣に対しても事実と違う報道をしないよう求めた。さらに、本日の申し入れについても、会談内容が「ご挨拶」ということだったので、「その内容では」と返事したことを官邸・首相がどう受け止めたか、「それは分からない」と説明した。
今後の国会、対自民党対応については、「個人が代わっても自民党の体質は変わらない」として、「我々は参議院選挙で示した我々の考え、テロ特措法、イラク特措法、年金などの政策を変えることはあり得ない」と言明した。
また、「多数となった参議院で国民と約束した政策の実現を図りつつ、衆議院選挙で国民の過半数の理解を得られるようにするとの一点」と今後の党活動の基本が何ら変わらないことも表明した。
安倍首相の辞意表明への感想を聞かれ、「7月の選挙で国民の支持を得られなかった。その状況のなか、総理で居続け、先月は内閣を改造、一昨日は所信表明を行い、今、代表質問を受けようという時の辞任表明。これは40年近い私の政治生活のなかでも初めて」とした。
国民のため政治空白を一時も作らないため努力 代議士会で確認
国会内で12日午後、代議士会が開かれ、同日昼に安倍首相が辞意表明したことを受け、報告と様々な意見が交わされた。
山岡賢次国会対策委員長は安倍首相が辞任の理由として「小沢代表との党首会談が実現しなかった」ことを挙げたことに対して、(1)本日与野党国対委員長会談の席上で初めて会談の要請があったこと、(2)小沢代表自身は与党側から正式に要請を受けていなかったこと――を報告し、安倍首相の責任を他人のせいにするような会見での発言を改めて問題視し、不快感をあらわにした。
また山岡国対委員長は、今後の国会対策について、「新しい首相が決まらないと話しにならないが」とした上で「政治の空白期間を一瞬たりとも作らないように野党が一丸となって対応していく」と述べた。
続いて鳩山由紀夫幹事長も安倍首相の辞任表明の会見について、「国民に対する謝罪が全くなかったことは、国民をバカにしている」と一刀両断。「国民の生活が停滞し混乱が続くような状況を作ってやめるのはいかがか」ときびしい口調で批判した。
さらに鳩山幹事長は小沢代表からの伝言として「我々は参議院からしっかりとわが党の考えを訴えていく。浮き足立つことなく、最善の努力を冷静に行なっていく。ここで一致団結した行動をとっていくことが大切である」と述べ、政権交代に向けて一致団結していく決意を述べた。
緊急街頭演説を実施
民主党は12日夕、安倍首相の辞意表明を受けて、東京・有楽町で緊急街頭演説を行った。
冒頭、小沢鋭仁国民運動委員長は、13時から開始予定の衆院本会議を前にした代議士会の最中に、河野議長を通じて延期要請があり、辞意表明の一報を得たと経緯を紹介。国民の皆さんへのメッセージを欠く無責任な政治を変えるため、全員一丸で頑張る決意を表明した。
代表質問に立つ予定であった長妻昭政策調査会長代理(『次の内閣』ネクスト年金担当大臣)は、参院選でお示ししたマニフェストを実行するために、民主党は日々、部門会議などで政策の議論や年金や公務員再就職、補助金関連などの資料要求を行っていると報告。
さらに、緻密な質問原稿を用意して代表質問に備えたが、実際には首相の辞意表明で実現しなかった経緯を説明した上で、新たなる国会論戦を通じて閣僚の答弁を勝ち取り、国を動かすと力強く決意を示し、「2年以内に必ずある衆議院選挙で、皆さまの審判をいただいて、ねじれ国会を解消して政権交代し、生活主権の国を作る」と主張した。
参加議員を代表して、菊田真紀子、馬淵澄夫両衆議院議員、白眞勲、米長晴信両参議院議員がマイクを握り、「国民の生活が第一」というメッセージを掲げて取り組む民主党への更なる支援を訴えた。《民主党ニュース》