平成1965日目
1994/05/26
この日のできごと(何の日)
【南極海】捕鯨全面禁止に
国際捕鯨委員会(IWC)メキシコ総会は26日、南緯40-60度以南の海域を全鯨類の禁漁区とする新たな南極海サンクチュアリ(聖域)案の採決を行い、賛成23、反対1、棄権6の賛成多数で可決した。反対票を投じたのは日本だけ。日本と並ぶ捕鯨推進国のノルウェーは会議に出席したが投票に参加しなかった。
日本が提案したミンククジラを対象外とするクジラの聖域案も採決されたが、賛成6、反対23、棄権2で否決された。これで、日本が目指していた南極海での商業捕鯨再開の道は閉ざされることになり、今後、IWC脱退を含め厳しい対応を迫られることになる。
可決された聖域案はフランスなどが出した南緯40度以南を全鯨類の全面禁漁区とする案を基本に、チリ、アルゼンチンなど南米諸国の周辺海域では200カイリ経済水域を侵さないよう聖域を南緯60度以南に設定するーなどの内容で、10年ごとに見直しを行う。25日、フランス、米国、チリなど19カ国が共同で提案していた。
IWCは1982年に商業捕鯨の全面禁止(モラトリアム)を決定。日本は異議申し立てをしたが、米国の経済制裁措置などを避けるため85年に申し立てを撤回。87年に南極海での商業捕鯨から撤退した。日本は商業捕鯨中止後、頭数の多いミンククジラを対象に南極海で調査捕鯨を開始。IWCの科学委員会などにデータを提出して、商業捕鯨再開の条件づくりに努力したが、今回、唯一の捕鯨対象としてきたミンククジラが禁漁となったことで南極海での捕鯨再開の道は断たれた。
採決結果について日本政代表の島一雄水産庁次長は「近い将来、人口増や食料不足の問題が深刻化していくのは確実なのに、このような不条理な決定がなされた。これはIWC総会の信用にかかわる問題だ。異議申し立てなど会後の対応については、帰国後、首相らに相談して決めたい」と話した。
捕鯨推進国のうちアイスランドは92年にIWCを脱退、ノルウェーは脱退していないが93年に商業捕鯨を再開している。《共同通信》
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【羽田孜首相】総辞職を拒否
社会党の久保書記長は26日朝、羽田首相と会談し、予算成立後に内閣が自主的に総辞職することが社会党の政権復帰の前提になるとの考え方を公式に提起した。首相は「今は考える段階ではない」として、事実上、総辞職を拒否する姿勢を示した。
久保氏の「自主的総辞職・再連立」構想については、少数与党政権からの脱却を目指す新生党が評価。渡部代表幹事代行は25日の講演で「今国会の会期末には互いにまっさらになり、新内閣をつくることもあり得る」とし、羽田内閣の総辞職が有力な選択肢の一つとの認識を示した。
連立与党を主導する小沢新生党代表幹事の意向は明らかではないが、久保氏が首相にこうした構想を直接申し入れたことから、今後、「再連立」をめぐる与党内での議論が活発化しよう。
久保氏は首相との会談で、「少数与党の基盤を強化し、新しい立場で第三期連立政権をつくるため、自主的な内閣総辞職も考えられる」と迫った。同時に、自民党か社会党のいずれかが提出した内閣不信任案が可決された場合を挙げ「衆院解散か総辞職の道しかないが、総辞職したら野党第一党(自民党)に政権を渡すしかない。解散なら、現行制度(中選挙区制)での選挙しかない。連立政権の継続は時代的要請だ」と強調し、内閣不信任案が出される前の総辞職を求めた。
これに対し、首相は「内関に与えられた責任を果たすため、一日一日を一生懸会やっていくだけだ。今、どうこうすると言う立場ではない」と述べた。《共同通信》
【政界談話室】
○…羽田首相は26日昼、比叡山延暦寺の小林隆彰代表役員執行から信楽焼の絵皿を贈られた。絵皿に書かれた「忍」の文字に目を細め、「これだ、これだ」とぼそり。朝、社会党の久保書記長と会談した首相は、同氏の唱える自発的総辞職論について記者団から聞かれると「そんなこと、一切答えない」。会談跡も「私としては誠心誠意仕事をするだけだ」と、雑音を振り払うように答えた。衆院予算委員会の最中にも総辞職をうんうんされ「(何を)言われても、乗っちゃいけないんだよ」。絵皿の「忍」の文字を心に刻み込んでいるようだった。
○…自民党の石原慎太郎元運輸相はこの日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で講演した。米ニューズウィーク誌記者の「永野前法相は辞任すべきだったと思うか」との質問に「永野誌の責任は南京虐殺の虚構をはっきりさせなかったこと。これは数の問題だ。人口20万人の都市で30万人も殺せない」と持論をひとくさり。作家らしく、当時南京に従軍していた故石川達三氏が「あれは訳が分からん話だ」と言ったエピソードも紹介。「ナチスのユダヤ人虐殺は国家意思があったが、南京虐殺にはなかった」と熱弁を振るったが、脱線気味の長口舌に首をかしげる外国人記者も。《共同通信》
【自民党・森喜朗幹事長】自社連携に期待感
自民党の森幹事長は26日夕、党本部で講演し、社会党の久保書記長が平成6年度予算成立後に羽田内閣が総辞職し、連立を組み直すよう求めていることについて「総辞職後に、もう一度新生党と一緒に内閣をつくるというのは筋が違うのではないか。それで社会党員が容認するとは思えない」と述べ、久保構想を強くけん制した。
その上で、森氏は「羽田内閣の責任追及について(自社両党は)登り口は違うかもしれないが、(最後の)頂を目指す時に合意ができても不思議ではない。それで穏健な政治体制ができ上がるのではないか」と述べ、社会党との連携に強い期待感を表明した。
内閣不信任案の提出問題については「国会審議の過程で与党がどうするか、対応を見極めながら判断したい」と述べた。予算審議に関しては「6月29日の会期末までに、予算も関連法案も(衆参両院で)上げるよう国対委員長に指示している」として、会期内成立に協力していく考えを示した。《共同通信》
【米・クリントン大統領】中国の最恵国待遇更新
クリントン米大統領は26日、ホワイトハウスで記者会見し、中国に対する最恵国待遇を更新、今後は最恵国待遇問題を人権問題と切り離すが、不十分な人権政策に対する制裁措置として、中国製の銃砲、弾薬の米国への輸入を禁止すると発表した。
大統領は、中国が核保有国かつ国連安全保障理事会常任理事国で、朝鮮民主主人民共和国(北朝鮮)の核問題でも米国と「利益を共有している」と言及するなど、アジア・太平洋地域における中国の重要性を指摘、米中関係は「もっと大きく、建設的な枠組みに入れる必要があり、最恵国待遇更新で中国の孤立化は避けられよう」と、決定の理由を説明した。
この結果、大統領は大統領選挙戦の最中から掲げてきた、中国に人権問題改善を迫る手段として最恵国待遇を利用するという公約を放棄したことになる。
ホワイトハウスによると、銃砲などの輸入禁止で、中国側に与える打撃は約2億ドル(1994年)にとどまり、中国にとっては対米黒字が227億ドル(93年)に上る中、影響はほとんどない。
大統領は、人権と最恵国待遇を絡めた「政策の有用さは終わり、新しい道をとる時だ」とし、中国側の過去一年間の実績について、絶対条件としてきた①出国の自由②刑務所製品の輸出禁止ーなど「重要な分野で進展があった」と評価。しかし「大幅な改善がなかった」分野もあると述べた。
中国政府の措置は不十分とする人権重視派、中国の巨大な市場への参入の遅れを懸念する経済重視派がそれぞれの立場から更新の是非を主張。大統領は、来月3日の決定期限が迫る中、議会指導部など、賛否双方との意見調整を進め、クリーストファー国務長官の勧告一を待って最恵国待遇更新を決めた。《共同通信》