平成2923日目
1997/01/08
この日のできごと(何の日)
【ナホトカ号重油流出事故】重油回収は難航
島根県沖の日本海で沈没したロシア船籍のタンカー「ナホトカ」の重油流出事故で、大量の重油が漂着した三国町では8日朝から、第八管区海上保安本部が沖合でヘリコプターによる処理剤の空中散布をするなど、被害の拡大防止策を行った。
海岸では地元の町職員や漁業組合員らがバケツなどで懸命の除去作業をはじめた。海上保安庁の潜水調査で、同町安島沖合に座礁した船首部分から油の流出が起きていることが確認されたが、海上は依然、しけ状態で抜き取りなどのめどが立たず、作業は難航を極めている。《福井新聞》
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座礁したタンカーの船首の周囲にどす黒いドロ状の塊が浮かぶ。そこから約100メートル離れた海岸に黒い波が容赦なく打ちつける。黄色いオイルフェンスが黒みを帯び、上空からは海上保安庁のヘリが中和剤散布を始めた。重油漂着から一夜明けた8日、北國新聞社ヘリ「あすなろ」から見た福井県三国町の海はギラギラした油にまみれ、陸海空から展開される油処理作業に重苦しい緊張感が漂った。
雄島の北西方向には船首部が海岸へ向けて漂流してきた跡を示すように油の帯が延々と続いている。雄島に架かる赤い橋の下の浅瀬には黒い重油がこびりつき、黄色いオイルフェンスが黒みを帯びているのが上空からも確認できた。橋上では新しいオイルフェンスの準備作業が慌ただしく進められている。
沖合の巡視船からボートが出て、船首部の近くで調査が始まった。第八管区海上保安本部のヘリも油処理剤の容器をつり下げ、本格的な処理作業に乗り出したようだ。
一方、加賀市の橋立漁港上空では、黄色いオイルフェンスがくっきりと見え、塩屋海岸では住民らが集まり、パトロールを続けてい一る。加賀から松任市の沿岸部では油の漂流は確認できなかったが、小松沖約10キロ付近では幅約200メートル、長さ約500メートル以上の範囲で重油の帯が北東方面に向かって延びている。
梯川河口沖合約5キロ地点でも直径数十センチぐらいと思われるチョコレート色の重油の塊が無数に点在していた。さらに沖合には金沢海保の巡視船2隻の船が航行している。
油が固体化した場合、中和剤散布に大きな効果は期待できず、船上からひしゃくなどですくい上げるといった人為的な手法に頼らざるを得ない。座礁した船首部から大量の重油が流出する恐れがあるだけに、福井から石川に続く海岸線の緊張は上空からもはっきり見て取れた。《北國新聞》
石川県加賀市に漂着
島根県沖の日本海で沈没したロシア船籍タンカー「ナホトカ」(13,157トン)の重油流出事故で、8日午後6時40分、加賀市片野海岸に重油が漂着しているのを同市消防本部職員が確認した。石川県内の海岸への漂着確認は初めて。重油はその後、同市の塩屋から黒崎にかけての約5キロの海岸線で広く確認された。
第九管区海上保安本部(新潟市)などでは、同日中に県沖で見つかった重油が9日、金沢港以北の海岸へ漂着するのは必至とみており、県は沿岸の厳重な警戒を呼び掛ける一方、9日朝から加賀海岸での重油除去作業に全力を挙げる。
九管本部によると、加賀市片野海岸には波打ち際から沖合30メートルの幅で、厚さ7、8センチのどろどろした油塊が漂い、塩屋海岸でも波打ち際から沖合10メートルの幅で最大10センチの厚みの油が確認された。8日夜、金沢海上保安部職員らが確認のため現場へ急行するとともに、巡視船「のと」が現場海域にオイルフェンス300メートルを運んだ。
第九管区海上保安本部は8日午前に重油が見つかった石川県沖の海域で、巡視船による油処理剤の散布や重油の回収作業に努め、一部は海流に乗って拡散、消失した。しかし、同本部の予測では、金沢港西沖で見つかった重油の帯は9日正午ごろには金沢港から内灘にかけた海岸線に、橋立沖の油塊も同日未明には橋立海岸に漂着すると予測している。
一方、福井県三国町沖で座礁し約2800キロリットルの重油が残っているとみられる船首付近から少量の重油が漏れ続けているのをダイバーが確認した。付近住民らによる重油のくみ取り作業で、8日中に約30キロリットル分が除去された。
運輸省の油回収船「清竜丸」(3,526トン)は8日夜、悪天候のため停泊していた鳥取県境港を出港、福井県沖に向かいながら兵庫県、京都府沖の重油処理に当たる。《北國新聞》
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【全国高校サッカー】市立船橋2年ぶりV
サッカーの第75回全国高校選手権最終日は8日、東京・国立競技場で決勝を行い、市船橋(千葉)が2−1で桐光学園(神奈川)を破って、2年ぶり2度目の優勝を達成した。
市船橋は前半27分、右サイドで斑目からパスを受けたエース北島が前に出たGKをかわす巧みなゴールで先制。北島は6試合連続得点で、通算最多得点記録を16に伸ばした。後半8分には、斑目の豪快なミドルシュートでリードを広げた。 桐光学園は後半3分に黒川が1点を返したが、及ばなかった。
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あまりにも冷静で、高校生ということを忘れさせる大人の戦いぶり。2大会ぶりに制覇した市船橋のブルーのシャツは実際より大きく見えた。 戦術的な勝利だった。前半20分までは桐光学園のパスワークに振り回された。しかし、慌てなかった。パスの出どころやパターンが分かってくると、対応が速かった。
中盤選手へのプレッシャーを徹底。その上で、ゾーンの守りで相手の攻撃のスペースを消し、桐光学園の持ち味を見事につぶした。DF佐藤は「大会の一カ月前から守備だけを指導され、きのうのミーティングもその再チェックだけ。狙い通りにできた」と満足そうに振り返った。
守備を重視できたのも前線の選手の能力の高さがあったからだろう。前半27分には斑目、北島のFW二人のコンビで先制。斑目がオフサイドを意識して浮き球で出した縦パスに、飛び出した北島がGKの動きを見て軽くGKの頭を越した技ありのループシュートだった。後半33分にも斑目が追加。今大会6試合で得点の破壊力は群を抜いていた。 しかし市船橋イレブンは決して技におぼれることはなかった。
6試合連続で大会通算も16得点と伸ばした主将の北島はこう言う。「自分たちが弱いと分かっていた。そのために、戦術を理解しようという意識が強かったからだと思う」 布監督は「このチームは弱いと言われたが、楽しみだった。どこまで選手を伸ばすことができるかの答えが出る大会だった」と振り返った。監督の期待通り、攻守にバランスの取れたチームに育ち、最高の形に結実した。《共同通信》
【大相撲】曙、貴乃花関が奉納土俵入り
大相撲初場所(12−26日・両国国技館)を控えた8日午後、曙、貴乃花の両横綱が東京都渋谷区の明治神宮で恒例の奉納土俵入りを行った。日本相撲協会の境川理事長(元横綱佐田の山)ら協会役員が見守る中、曙、貴乃花の順で力強い雲竜型の土俵入りを披露。詰め掛けた約3000人のファンや参拝客から大きな拍手が送られた。
初場所で1場所ぶりの優勝を目指す曙は「ここで土俵入りをすると一年の始まりという感じがするね」と気持ちを新たにしていた。《共同通信》
【在ペルー日本大使公邸占拠事件】
テレ朝記者、拘束解かれず
リマの日本大使公邸に取材に7日入った後にペルー国家警察テロ対策本部(DINCOTE)に身柄を拘束されたテレビ朝日系列の広島ホームテレビの人見剛史記者(26)ら2人は、8日朝(日本時間8日夜)も拘束を解かれていない。
一時は8日朝までに拘束が解かれるとの見方も出たが、2人は引き続き公邸へ入った経緯や背景について事情を聴かれているもようだ。同本部が人見記者が取材したビデオテープなどを押収するかどうかは依然、不明だという。 テロ対策本部での事情聴取には、テレビ朝日の現地事務所の弁護士が付き添っている。
人見記者は、広島ホームテレビから出向の形でテレビ朝日ニューヨーク支局に勤務。テレビ朝日側は、人見記者は独自の判断でゲリラ側との事前の接触なしに直接、邸内取材を試みた、としている。《共同通信》
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ペルーの日本大使公邸人質事件で、テレビ朝日系列局の人見剛史記者ら2人が7日(日本時間8日)に公邸に入った問題でペルー国家警察テロ対策本部は、8日夕(同9日午前)現在も2人の身柄を拘束し、事情聴取を続けた。
テロ対策本部は、日本外務省の現地対策本部の問い合わせに対し、「テロ、スパイなどの場合は警察は10日間まで予防的に拘束できる」と定めたペルー憲法第2条24項Fに基づき拘束していると回答しており、拘束が長期化する可能性もある。
現地対策本部筋によると、身柄拘束について、ペルー側は「逮捕」とはせず「あくまで事情聴取のため」と説明しているが、住居侵入や「他人の生命を危険にさらした」などの罪で2人を起訴する可能性もあることを現地対策本部に伝えた。
テレビ朝日が付けた弁護士によると、テロ対策本部はビデオテープなどを押収し内容を詳しく調べている。テレビ朝日現地取材団は「通訳は間もなく釈放され、記者は事情聴取に時間がかかっているが、近く釈放されるだろう」と楽観的な見方を示し、8日未明のホテルの部屋などの家宅捜索については「ゲリラと関係があるかどうかの調査が目的で、関係を示す物はなかった」と語った。《共同通信》
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日本民間放送連盟(民放連)の氏家斉一郎会長は8日、ペルーの日本大使公邸人質事件で、テレビ朝日系の記者らが公邸内に入り取材したことに関し、次のようなコメントを発表した。
今回の行為は、ゲリラ側のPRに利用される可能性がある。多数の人命にかかわる人質事件という極めて緊迫した状況の中にあって、最も冷静かつ的確な判断力を求められるジャーナリストの行為として、疑問があり、大変残念である。《共同通信》
フジモリ大統領「対話で解決」
ペルーのフジモリ大統領は8日、米CNNテレビとの単独会見に応じ、日本大使公邸人質事件について「人質に危害が加えられない限り、武力に訴える考えはない」と言明し、依然として対話による平和的解決を最優先する方針を確認した。
発生以来23日目を迎えた人質事件は、この日も仲介役のミニング赤十字国際委員会ペルー代表が邸内に入ったものの新たな人質の解放はなく、これで連続7日間人質の解放がないままに過ぎだ。
またこの日、貧困層が住むリマ市内のビヤリカ地区を視察した大統領は、同行した記者団に対し「日本の企業が(ゲリラグループの)圧力に屈しないことを望む」と述べ、仮に身代金の要求があっても退けるよう日本企業に求めた。
フジモリ大統領はCNNとの会見で、人質74人とともに邸内に立てこもる極左ゲリラ、トゥパク・アマル革命運動(MRTA)の要求に対しては「テロリストの脅し」には断固たる姿勢を維持すると繰り返した。
ゲリラ側との交渉について、現段階では政府側の交渉役となっているパレルモ教育相との対話が、一部報道陣とゲリラ側の記者会見などがあり途絶えていると述べ、「今はこう着状態で、対話再開に好ましい環境(ができるの)を待っている」と語った。
また大統領は、ゲリラグループの第三国への出国の可能性を「考慮の一つ」としながら「他のこと(選択肢)も考えられる」と述べ、明言を避けた。
一方、日本政府の現地対策本部筋によると、邸内にはこの日からシャワーが使えるように電気の供給が再開されることが決まった。しかし、ゲリラグループに外部情報を与えないため、テレビを見られないようにする技術的問題が残っているという。
前日、テレビ朝日系列局記者ら二人が警察の規制を無視して邸内に入ったことで、地元警察は周辺に私服警官を増員して警備を強化した。《共同通信》
【長野県・吉村午良知事】ミズスマシ発言撤回
年頭の記者会見で「スピードスケートは面白くない。ミズスマシのようだ」などと発言した吉村午良長野県知事が8日、あらためて記者会見し「スピードスケートそのものを批判、中傷する意図はなかったが、軽率で、迷惑をかけた。発言を撤回したい」と述べた。吉村知事は9日午後、日本スケート連盟の幹部と長野市で会談し、発言の真意について説明したいとしている。
8日の会見で吉村知事は「7−10人で滑り、スリリングな国体に比べて、タイムレースの五輪では見る人からは緊迫感に若干欠けると思っていたので、そう言ってしまった」と説明。「ミズスマシのようだ」と発言したことについては「ミズスマシはすいすい動き、あんなふうに泳ぎたいと思っていたくらい。すいすい走るといういいイメージで述べたことが誤解を与えた」などと釈明した。
日本連盟が「スケート界とスポーツ界への侮辱」などと反発していることについて、吉村知事は「スピードスケートが駄目だと言ったことはない。説明をすれば分かってもらえると思う」として、発言の撤回が連盟に対する謝罪ではないとの認識を示した。
吉村知事の年頭会見は6日に行われ「スピードスケートは二人で回るだけで面白くない。ミズスマシのようだ」などと発言した。
【政界談話室】
○・・・民主党の菅直人代表は8日、国会内で年頭の記者会見を行い、「建設的野党として前の国会でスタートを切れた。(新しい)政党として比較的まとまって行動でき、よい形で年が明けた」と、まずまずの感想。さらに4日から行った都内での街頭演説について「支持率はイマイチだけれど、気持ちを強くした。元気が出た」とやる気を見せた。だが与党志向の強い菅氏と、「(建設的野党を)続けたいという思いが強い」鳩山由紀夫代表とでは、政権に対する考え方の違いが大きくなっており、党内とりまとめに菅氏の力量が問われる一年となりそう。
○・・・新進党の西岡武夫幹事長はこの日、友愛会の三役会議であいさつ。「(新年)おめでとうという言葉も出しづらい。皆様にご迷惑をお掛けし、おわびしたい。選挙の前後に離党者が出て、太陽党まで結成されて責任を痛感している」と、出るのは愚痴ばかり。西岡氏は「野党勢力が分散する形になってしまい、早急にこのような状況を解消しなければ」「責任ある政策を打ち出し、経済政策を中心に国会で議論し、期待にこたえられるよう努力したい」などと野党勢力結集に意欲も見せたが、「党内の意見集約をしないと戦いにならない」とぼやくなど、やはり何より足元固めか。《共同通信》
【橋本龍太郎首相】マレーシア・マハティール首相と会談
東南アジア諸国連合(ASEAN)歴訪中の橋本龍太郎首相は8日、第2の訪問国マレーシアに到着。同日午後からクアラルンプール市内で約2時間、マハティール首相と会談した。
橋本首相は、日本とASEANの定期首脳協議の場を設置し、経済中心の関係から、環境、福祉、文化、麻薬問題など幅広く協議する関係に発展させるよう提起。マハティール首相は「日本との関係をより幅広くすることを歓迎する」と答え、ASEAN議長国として、加盟国と前向きに協議していく意向を表明した。
両首脳は、ペルーの大使公邸人質事件でマレーシアの駐ペルー大使も人質となったことを踏まえ、事件決着後に両国間でテロ事件に関する情報交換を緊密に行うことで合意した。ペルー事件では橋本首相が、事件へのマレーシア政府の協力を感謝するとともに、ペルーのフジモリ大統領への支持を求めた。これに対しマハティール首相は青木盛久駐ペルー大使が駐マレーシア大使の解放に尽力したことに謝意を示した。
マハティール首相は「先進国首脳会議(サミット)の決定が、途上国に決定的な影響を及ぼす」として、為替問題を例にして、日本が途上国の意見をサミットに伝達するよう要請した。また日本の成功に学ぶ「東方政策」を2000年以降も継続させる考えを表明。今後も日本が留学生、研修生を積極的に受け入れることとなった。《共同通信》