令和457日目
2020/07/30
この日のできごと(何の日)
【台湾・李登輝元総統】死去
台湾の民主化を進め、初の直接選挙による総統を務めた李登輝元総統が30日午後7時24分(日本時間同8時24分)、入院先の台北栄民総医院で死去した。97歳だった。李氏は今年2月、自宅で牛乳を誤嚥して病院に搬送され、肺浸潤がみられるとして投薬による治療を受けた。その後も入院を続けていた。
李氏は終戦前から台湾に住む「本省人」として初の総統に就任した。中国大陸由来の国民党政権による一党独裁体制を内側から変革し、「台湾民主化の父」と呼ばれた。中国からは「台湾独立派」と批判されたが、流暢な日本語と親日的な言動で、多くの日本人に親しまれてきた。
李氏は日本統治時代の1923(大正12)年、台北郊外(現新北市)で生まれた。京都帝大農学部農業経済学科に進学し、在学中に出征したが終戦で帰台。台湾大卒業後に研究職に就き、米コーネル大で農業経済学の博士号を取得した。
台湾農業に関する報告が評価され、総統だった蒋介石の長男、蒋経国に抜擢され、71年に国民党に入党。農業担当の政務委員(無任所大臣に相当)や台北市長などを経て、総統となっていた蒋経国から副総統に指名された。88年1月、蒋経国の死去により総統に昇格した。
2000年までの12年間の総統在任期間に、憲法を6回改正し、1949年の中台分断以降、改選されていなかった立法院(国会)の全面改選を行うなど民主化を推進。96年の総統選を直接投票とし、自ら初の民選総統に当選した。また、中国全土の統治を前提とした政治体制から、実効支配する台湾に合わせた体制への改編を進めた。李氏が行った教育改革は「台湾人」意識の向上につながった。
中国は一連の改革を台湾独立の動きとみなし、96年の総統直接選に合わせ弾道ミサイル発射など軍事演習を実施、米国が2個空母打撃群を派遣し「第3次台湾海峡危機」となった。99年に李氏はドイツの放送局の取材で、中台は「特殊な国と国の関係」と発言し、中国側の反発を招いた。
退任表明後の2000年の総統選では後継候補の擁立問題で党が分裂。民主進歩党(民進党)の陳水扁氏が当選し、初の政権交代となった。李氏は責任を問われ国民党籍を剥奪された。
日本との関係では、01年に心臓手術で訪日する際、ビザの発給が政治問題化した。16年夏までに計8回訪日し、07年には実兄が祭られている靖国神社に参拝。台湾も領有権を主張する尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐっては、台湾内で批判を受けながらも「日本の領土だ」と公言し続けた。
李氏は、自由と民主主義のために闘う「正論路線」を発展させた言論活動に贈られる「正論大賞」で、令和元年の特別賞に選ばれていた。
中国の習近平国家主席は台湾に「一国二制度」の受け入れを迫っているが、その台湾統一の野望を阻む最大の砦(とりで)は、李登輝氏が総統時代に政治改革や教育政策などを通じて確立させた台湾人意識だ。台湾の主体性を重視するこの意識は今や党派を超えた台湾民意の主流となり、李氏の死去で揺らぐことはなく、習指導部に残された手段は限られている。
台湾統一は習氏が掲げる国家目標「中華民族の偉大な復興という中国の夢」の中核だ。だが2012年の習指導部発足以降、台湾独立志向の民主進歩党を率いる蔡英文氏に二度の総統選当選を許すなど台湾政策の成果は乏しい。特に今年1月の総統選は、香港への統制強化が台湾社会に一国二制度への不信感を募らせる結果となり、中国側の“オウンゴール”に終わった。
焦りを隠せない習指導部は5月、党序列3位の栗戦書政治局員が、台湾独立の動きがあった場合に武力行使することを規定した「反国家分裂法」に基づく軍事力の発動を示唆した。
中国が武力侵攻に踏み切る可能性はあるのか。李氏は18年10月、産経新聞の取材に「米国がどの程度関与してくるかは不明で(台湾も)過大な期待を持つべきではない」としつつ、中国側にもリスクは大きいとの見方を示した。北京の中国人ジャーナリストも「もし台湾側に三峡ダムを爆撃されたら下流の江蘇省や浙江省は水没する」と指摘し、習指導部が政治的賭けに出る可能性は低いとみる。
李氏は総統退任後、台湾を「正常な国家」とするための新憲法制定を掲げ、中国が領有権を主張する尖閣諸島(沖縄県石垣市)も「日本のものだ」と公言。中国の左派を「現代最大の漢奸(かんかん)だ」(中国紙・環球時報電子版)と逆上させた。中国ではこうした批判の声が大勢を占める一方、改革派の中には「台湾の民主改革を穏健に実現した」(北京の政治学者)と評価する声もある。《産経新聞》
台湾民主化の父、李登輝氏が97歳で亡くなった。日本統治時代の台湾で生まれ京都帝国大(現京都大)で学び、「私は22歳まで日本人だった」と語るほどの親日家だった李氏。その根底には、日本から学んだ「日本精神」があった。2000(平成12)年に台湾の総統を退任して以降、計9回にわたり来日。俳人、松尾芭蕉の「奥の細道」を歩き、東日本大震災の被災地にも足を運ぶなど、日本を愛し続けた人生だった。
1回目の訪日は平成13年。岡山県倉敷市の病院で持病の心臓病の治療を受けた。16年末から17年にかけては、日本統治時代の台湾で治水事業に活躍した八田與一(よいち)や尊敬する哲学者の西田幾多郎の出身地である石川県や、自身が通った京大のある京都府などを巡った。
19年には、かねて念願だった「奥の細道」を探訪。芭蕉も参詣した宮城県松島町の瑞巌寺(ずいがんじ)を訪れ、日本三景の一つ、松島を見て「松島や 光と影の 眩(まぶ)しかり」と自作の句を詠み、後に句碑も建立された。
このときの滞在では、先の大戦で日本人として出征しマニラで戦死した兄がまつられる靖国神社(東京)に参拝。「62年ぶりに兄に会えて、涙が出ます。温かい気持ちになりました」と、思いを語った。
20年に沖縄県を訪問した際には、仲井真弘多知事(当時)などとの昼食会の席上で尖閣諸島(同県石垣市)を「日本の領土」だと改めて表明。21年には、「台湾の民主化と政治改革に大きく影響した」と語った幕末の志士・坂本龍馬の故郷、高知県などにも足を伸ばした。26年には大阪府、東京都、北海道を訪れた。
27年には国会議員超党派有志による要請を受け、台湾総統経験者として初めて国会施設で講演。福島県と宮城県も訪問し、同県岩沼市の「千年希望の丘」で東日本大震災の慰霊碑に献花し、犠牲者に追悼の祈りをささげた。
28年には石垣島を訪れ、30年の最後の訪日先も沖縄だった。李氏は講演で「日中間における尖閣諸島や南シナ海の問題など、絶えず周辺国家との緊張状態を作り出し、潜在的な軍事衝突の可能性を生み出している」と中国の強硬な海洋進出を批判。民主主義と自由を共有する日本と台湾が連携していく重要性を、最後まで訴え続けた。《産経新聞》
昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。
情報量が少ない日は随時加筆中です。
引用記事は名前、住所など一部修正の上、抜粋してあります。
外国の方のお名前、地名などは現時点で一般的に通じるものに書き換えています。(例・ロシアのプーチン氏はかつてプチン氏と表記されていました)
古い記事の多くは「書き写し」のため、誤字脱字が多数あります。見つけ次第修正しています。
【福島県郡山市】改装工事中の飲食店で爆発
30日午前9時前、福島県郡山市島2丁目の飲食店「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」で爆発があった。消防や県警などによると建物が全壊、男性1人の遺体が建物跡から見つかり、18人が重軽傷を負った。うち、40代の女性2人が重傷だが、命に別条はないという。県警はガス漏れがあり、爆発した可能性があるとみて調べる。郡山市は現場付近の住民向けに避難所を開設した。
県警などによると、鉄骨平屋(延べ床面積約164平方メートル)が全壊し、壁が吹き飛んで骨組みだけが残った。店はプロパンガスを使っていた。新型コロナの影響で休業し、31日に営業再開するため内装工事をしていた。《共同通信》
◇
大規模な爆発が起きた福島県郡山市の飲食店「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」で、爆発前日の29日に、ガスこんろからIH調理器に交換するため、店の調理場にコンセントを増設する工事が急きょ行われたことが30日、分かった。同店をチェーン展開する会社を傘下に持つ外食大手コロワイドが記者会見して明らかにした。
福島県警は、ガス漏れにより店内に充満したガスに、何らかの原因で引火したとの見方を強めている。業務上過失致死傷の疑いもあるとみて捜査を進めている。県警は遺体の身元を、店の内装工事の現場責任者を務める仙台市太白区の会社員(50)と明らかにした。《共同通信》
【東京株式市場】
30日の東京株式市場の日経平均株価(225種)は続落した。新型コロナウイルス感染者増への懸念から、売りが優勢だった。
終値は前日比57円88銭安の2万2339円23銭。東証株価指数(TOPIX)は9.57ポイント安の1539.47。出来高は約13億42万株だった。《共同通信》
【山形県】断水が5000世帯超
記録的な大雨の影響で最上川が氾濫した山形県では、30日朝の時点で、尾花沢市、大石田町、大蔵村の計5465世帯で断水が続いており、計1万6870人に影響が出ている。給水車を出すなどして対応している。
水道事業者の「尾花沢市大石田町環境衛生事業組合」によると、断水は大石田町のほぼ全域と尾花沢市の一部。大石田町豊田にある水源の井戸や貯水施設が氾濫で冠水、濁りが出たため水道水として使えなくなった。両市町8カ所に給水車を派遣している。組合の担当者は「復旧の見通しが立たない」と語った。
吉村美栄子知事は水源を視察後、「できる限りのことをしていきたい」と述べた。
◇
大雨により最上川など河川の氾濫が相次いだ山形県の吉村美栄子知事は30日午後、陸上自衛隊第6師団(同県東根市)に対し、断水が続く尾花沢市と大石田町に給水支援のための災害派遣を要請した。県内では3市町村計5465世帯で1日以上断水が続いている。
広範囲の農地浸水で収穫間近だった特産の果物が冠水するなど、農作物にも大きな被害が出た。県と鶴岡市によると、30日夕時点で床上、床下を含め25市町村で約690棟が浸水した。
最上川が氾濫した大石田町はスイカの名産地。氾濫現場となった豊田地区の「深堀ふれあい農園」では、収穫直前のスイカ約4千個(数百万円相当)が水没した。《共同通信》
【大相撲7月場所】
大相撲7月場所12日目(30日・両国国技館)横綱白鵬が関脇御嶽海に土俵際で突き落とされ、連敗で2敗目を喫した。新大関朝乃山が平幕北勝富士をすくい投げで退け、平幕対決で玉鷲を寄り切った照ノ富士とともに11勝1敗でトップに並んだ。御嶽海は9勝目。
関脇正代も9勝目を挙げ、小結大栄翔は大関貴景勝の休場による不戦勝で勝ち越した。
1敗の朝乃山、照ノ富士を2敗で白鵬が追い、3敗は両関脇と平幕琴恵光の3人となった。十両は水戸龍が3敗で単独首位を守った。《共同通信》
【プロ野球・30日】
ロ3―4楽
楽天は2―3の六回に島内の二ゴロとロメロの適時打で2点を奪い逆転した。救援5投手が無失点でつないで逃げ切り、2番手で五回2死二塁をしのいだ久保が今季初登板で勝利を挙げた。ロッテは2連敗で勝率5割を切った。
ソ0―6西
西武は一回に山川の適時打で先制。三回と五回に森が2打席連続本塁打を放つなど小刻みに加点した。5回無失点の与座が2勝目。ソフトバンクはプロ初先発の板東が五回途中5失点で初黒星。拙攻が続き、今季初の無得点に終わった。
日7―3オ
日本ハムが今季初の3連勝。一回に大田、渡辺、横尾の3者連続適時打などで4点を先制し、三回に大田の2ラン、四回に中田の犠飛で加点した。杉浦は八回途中1失点で3勝目。オリックスは山崎福が四回途中7失点と崩れ、4連敗。
ヤ6―0神
ヤクルトの高橋が8回3安打無失点の好投で今季初勝利。打線は二回に吉田成の二塁打で先制。七回は坂口の内野安打と失策で3点を加え、八回も川端の適時打などで突き放した。阪神は力投の藤浪を援護できず、勝率5割に戻った。
巨2―4D
DeNAは0―1の七回に代打嶺井と倉本の適時打で逆転し、九回に宮崎の6号2ランで加点した。大貫は6回6安打1失点で、3連勝で3勝目。三嶋が2セーブ目。巨人は打線が10安打しながら12残塁の拙攻で2点止まりだった。
広4―4中
中日が2―4の七回にビシエドの2点適時打で追い付き、延長十回の末に引き分けた。五回以降は中継ぎ陣が踏ん張り、無失点でつないだ。四回に堂林の7号3ランで逆転した広島は、2番手の菊池保が打たれて逃げ切れなかった。
【COVID-19】国内新規感染1305人
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京都は30日、都内で酒を提供する飲食店とカラオケ店に対し、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づき、8月3日から営業時間を午後10時までに短縮するよう要請した。都内ではこの日、367人の感染者が新たに確認され、過去最多を更新した。全国の新規感染者も1300人を超えて2日連続で最多を更新するなど、各地で感染拡大が勢いを増している。
営業時間短縮の要請は、4月11日から6月18日まで実施しており、今回は2度目となる。臨時記者会見を開いた小池百合子知事は「感染爆発も憂慮される極めて危機的な状況。今後状況が悪化すれば、都独自の緊急事態宣言も考えざるを得ない」と述べ、要請への理解を求めた。
要請期間は8月3日から31日までで、営業時間を午前5時~午後10時とするよう求める。対象は数万店に上る見通しだ。応じなくても罰則はないが、協力した中小事業者には一律20万円を支給する。
一方、30日の国内の感染者は1305人に上った。東京都のほか福岡県で121人、兵庫県で53人、沖縄県で49人が確認され、いずれも過去最多を更新した。《読売新聞》
【タイ】タクシン元首相に禁錮5年
タイ最高裁は30日、2008年から国外に逃亡しているタクシン元首相に、在任中の汚職の罪で禁錮5年を言い渡した。実質的に所有していた通信会社の税負担を軽減させ、国に660億バーツ(約2200億円)の損失を与えたと認定した。
タクシン氏は01~06年に首相を務めたが、クーデターで退陣した。他にも別の汚職や、新たな宝くじを違法に導入した罪に問われ、有罪判決を受けている。《共同通信》
【香港】議会選で12人の民主派排除
香港政府は30日、9月の立法会(議会)選挙で選管当局が計12人の立候補資格を認めなかったと発表した。地元メディアによると、2014年の大規模民主化デモ「雨傘運動」リーダーの一人、黄之鋒氏らで、12人全員が民主派メンバー。黄氏によると、選管当局は香港国家安全維持法(国安法)を支持していないことを理由に挙げた。
前回の16年立法会選挙では、6人を「独立派」と認定し立候補資格を認めなかったが、今回は倍の12人の大量排除となった。黄氏は「中国当局による香港選挙への過去最大の弾圧だ」と反発するコメントを発表した。《共同通信》