平成6703日目
2007/05/16
【安倍晋三首相、民主党・小沢代表】党首討論
安倍晋三首相は16日午後、民主党の小沢一郎代表と今国会初めての党首討論で、補助金や交付税の見直しに関し「改革の加速」を宣言するとともに「教育現場の刷新」を強調、国と地方の役割関係の見直しや教育刷新など身近な問題で改革に取り組む姿勢を打ち出した。《共同通信》
小沢一郎代表は16日午後、党首討論で、安倍首相に対して、国家のあり方を論じ、補助金の無駄遣いの典型例を挙げ、本当の地方分権を実現し、税金の無駄遣いをなくしていくべきだと主張した。
首相は、この問題に限らず、相変わらず質問の趣旨を理解しないで考えを繰り返した。
また、防衛大学での訓示に触れ、自衛官に個々の判断を求めるのは政治家、最高指揮官としてどうかと、代表が質したのに対しても、「そんなにおかしいでしょうか」と首相は答えるなど、最高指揮官として責任、政治家としての責任、資質に問題があることを露呈させた。
主なやり取りは以下の通り。
■天皇制
代表 「美しい国へ」のなかで、日本の国柄を現すのは天皇制と述べている。また、歴史は天皇を中心として組み立てられたとも。総理の美しい国の根幹は天皇制にあるのだなと思った。私は天皇制を否定しないし、勤皇の志は人並みに持っている。しかし、国や社会の仕組みの価値判断の基準を天皇制に求めるとの考えは持っていない。
首相 天皇を中心に考えていることは全くない。美しい国は、自然・文化・歴史・伝統を大切にする国でありたい。■防衛大学の卒業式での訓示について
代表 いわば若い将校に、これから直面する危機は右と左を足して2で割ってでは対応できない、的確な判断で行動するべきだとしたが、自らの判断に基づいてというのを、自衛隊の幹部になる人にいうのは理解できない。
首相 机上の論理で片付かない。時間的な猶予もない。考え方、行動の基準を持っていなければならないと、最高指揮官として訓示した。
代表 今の話では、最高指揮官として個別の戦闘への心構えを説いたのか。
首相 人の命がかかっているかもしれないとの心構えを述べた。侵略された際にはそういう判断を彼らがしなければならない。
代表 侵略された場合は国家的危機。個々の行動とは違う。大きな判断は政治家がすべきではないか。
首相 その心構えはそんなにおかしいでしょうか。前に出るかどうかの判断が彼らに求められる。
代表 最高指揮官には個別の訓示はふさわしくないと思い質問した。■戦後の教育制度について
代表 戦後の教育制度の柱は何か。
首相 60年間の経済成長で、価値の基準を損得としたのではないか。損得を超える価値があることを教える必要があるのではないかとして新教育基本法を作った。
代表 質問と違う。占領下で変えられた教育制度の柱は何かと聞いている。
首相 仕組みの一つが教育委員会。国と地方の役割分担においてそれぞれが責任をもつ。教育委員会にも問題があり、研修もしていただくし、保護者にも委員会に入ってもらう。
代表 国が「指導と助言」で正面から責任を持っていない。我々は日本国教育基本法案で、教育委員会の改革を条項としても出している。■地方分権、補助金改革
代表 全国を回ったが、県庁所在地でもシャッターが下りている。過疎地はどんどん過疎が進んでいる。この5、6年のうちに、8兆円から9兆円の増税、保険料の負担増があった。財政が厳しいのは理解できるが、無駄遣いをなくすことを第一に心がけなければならない。福井県の美山町、今は福井市だが、道路の融雪施設がほしいとして、国土交通省に補助金をもらいにいくと、それだけではダメといわれ、スキー場も一緒に造ることになった。道路の融雪施設が、3800万円から900万円、スキー場が4000万円、合計8000万円の補助金。ところが、スキー場は12年間一人も利用客がいない。市でもスキー場をやめようと決定した。スキー場建設の地元負担は1億円。こうした無駄遣いを洗いざらい整理すべきだ。
首相 9兆円の負担だが、社会保障の給付も11兆円増えている。一切無駄遣いゼロを宣言している。公務員も5.7%削減しようとして法案を出している。言うだけでなく責任を果たす。
代表 中央で全ての箇所付けをしている、各省庁の作ったメニューでなければ補助金が出せないところから無駄遣いが出てくる。これを改めて、一括して自主財源として自由に使えるよう地方分権を実現すると、我々は主張している。政権を取れば実現させる。口だけで批判しているだけではない。
首相 施政方針演説でも、メニューを決めるやり方はとらないと宣言した。19兆円のうち、14兆円は教育と社会保障。そこからどうやって3割をカットするのか。
代表 宣言は行政のなかに実行されていない。中央主権型の国を改め地方分権型にし、国は国本来の仕事に限定しなければ。■薬害肝炎について
代表 判決も出た。司法の場で責任が明確になった。早急に対応をとるべきだ。
首相 時間をかけ検討していかなければならない。
代表 時間をかけている間に、病気は進行し、亡くなる方はなくなる。考える時間を省略して対応策を出してほしい。《民主党ニュース》
昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。
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【ニコラ・サルコジ氏】第23代フランス共和国大統領就任
パリの大統領府であるエリゼ宮で16日、ニコラ・サルコジ新大統領の就任式が行われた。退任するジャック・シラク大統領から権限を移譲されたサルコジ氏は、急速に変化する世界に適応できるフランスを目指し、抜本的な改革を誓った。
左右激戦となった選挙戦を勝ち抜いた右派のサルコジ氏は、1958年以降の第5共和制で6人目の大統領で、任期は5年。サルコジ氏は大統領執務室で、エリゼ宮を去るシラク前大統領から、核兵器の起動コードなど権限の移譲を完了した。《AFP》
【この日の安倍総理】
アジア・ゲートウェイ戦略会議(第9回)
平成19年5月16日、安倍総理は第9回アジア・ゲートウェイ戦略会議を開催しました。
本日の会議では、「日本文化産業戦略」の策定も含めた、ヒト、モノ、カネ、文化、情報の流れにおいて、日本がアジアと世界の架け橋となってともに成長していくための「アジア・ゲートウェイ構想」がとりまとめられました。安倍総理は挨拶で、「アジアオープンスカイ(航空自由化)や大都市圏国際空港の24時間化などの航空路線や空港の問題は国民的な関心が大変高いため、国際的にも我が国の姿勢を示すことが大切であり、ほかにも貿易手続きの改革、留学生政策や日本の魅力、対外発信などの課題もいずれもアジアのゲートウェイとなるための必要な課題であろうと思います。」と今後の取組について述べました。《首相官邸》
【この日の民主党】
すりかえ、逃げは天下人のやることではない 党首討論後に代表
小沢一郎代表は16日、党首討論後に国会内で会見し、首相との3回目となった討論の印象を問われ、「小泉さんのときもそうだが、正面からの議論に応えてくれない」と語り、本質的な議論をひたすら回避する安倍首相の姿勢を問題視した。
討論時間が短いせいもあるがと前置きしたうえで小沢代表は、憲法やその他のテーマについて首相は著書『美しい国へ』のなかでは激烈な言葉で記述しているにもかかわらず、党首討論では明確に主張しなかった点について、「考え方が違うなら違うでいいと思うが、言葉で隠そうとする、逃げようとするのは天下人のやることではない」と指摘した。
憲法問題を討論のテーマとした意図を問われたのに対しては、首相が著書で「日本の国柄をあらわす根幹が天皇制である」と断定した記述について議論すべく取り上げたことを明らかにした。「考え方は個人それぞれなので、それでもいい」とした小沢代表は、「そういうわけではない」と、すりかえに終始した安倍首相について、根幹でなく枝葉末節の部分だけの議論だったと分析した。
教育の議論についても著書にあるからこそ取り上げたと説明するとともに、「政府の教育制度改革は何ら教育制度改革に踏み込んでいない」と批判。文部科学省が正面から責任を負わずに歪んだ形で教育に干渉することになる政府の改革案について「舅の言いがかりの権限を強くしたようなもの」と語り、安倍首相が主張し続けている戦後教育制度の白地からの作り変えには似ても似つかないものであるとの見方を示した。
また、参議院選挙の1人区行脚などを通じて、地域社会の疲弊ぶりを目の当たりにしてきた経験を踏まえ、党首討論のテーマとしたことを表明。「そうした問題をはじめ、同時に大都会でも雇用や所得など、いろんな格差が広がっている。だからそれをクリアにしたかった」と語った。さらに、松岡農水相の政治とカネの問題をなぜ取り上げなかったのかとの問いには、「(党首討論は)基本の仕組みや制度、内外の大きな問題について話をするところだ」と語り、個別の事案については委員会等で議論すべきとの考えを示した。
最後に小沢代表は「日程が決まればいつでもいい」と述べ、安倍首相さえ用意が整えばいつでも党首討論に臨む考えを改めて表明した。
[次の内閣]参議院選挙に向けて わかりやすい政策作りを確認
民主党『次の内閣』は16日午後、国会内で閣議を開催し、参議院選挙に向けての政策とりまとめについて協議した。
冒頭、挨拶に立った鳩山由紀夫ネクスト国務大臣(幹事長)はこの日行われた党首討論について「器の違いが見えた。安倍首相は声を大にしていたが言い訳としか聞こえなかった」と感想を述べた。参院選に向けては、わかりやすさを重点に政策を積み上げ、争点化していく意向を示した。
閣議ではまず、松本剛明ネクスト官房長官(政策調査会長)から選挙政策の取りまとめについて報告が行われ、現在あるものをさらに精査し、最終的には全分野を網羅する政策リストを月内に取りまとめる方針を確認した。
報告・協議事項では、蓮舫ネクスト文部科学副大臣が、民主党議員立法「学校教育力の向上3法案」について説明。修士をとるにあたっての奨学制度を充実させる等3つの変更点を含め、参議院提出法案の内容を了承した。近藤洋介ネクスト経済産業大臣、北神圭朗議員は、参院選に向けた経済産業部門の政策として、「日本国中小企業憲章」「大企業者による中小企業者に対する不当な行為の防止等に関する法律案」について説明。「中小企業の味方民主党」を主張する内容になっており、政策の概要、方向性を了承した。平岡秀夫ネクスト法務大臣は、「少年法等の一部改正案」に対して参議院で提出する修正案の概要を説明。衆議院提出のものと同趣旨であり提出を了承した。
法案等の取扱いでは、近藤洋介ネクスト経済産業大臣が民主党議員立法「官製談合防止法等改正案」について説明。(1)公務員のみならず公務員OBも対象にすること(2)公取の改善措置要求のもと省庁等が策定した防止策は国会・地方議会等に報告義務を課すこと(3)事件が発生すれば第三者による調査委員会を設置すること――など概要を示し、閣議として法案を了承した。
閣議後の記者会見で松本政調会長は、中小企業対策について、財政、制度の支援とともに中小企業の声がしっかり届く仕組み作りを目指すことを強調した。
なお、閣議の冒頭には党首討論、会見を終えた小沢一郎代表が地方日程へ出かけるまでのわずかな時間を利用して顔を見せ、各大臣の労をねぎらうとともに、一層の取り組みを要請した。《民主党ニュース》