平成6023日目

2005/07/05

【郵政民営化法案】衆院通過、自民党51人が造反

今国会最大の焦点である郵政民営化関連法案は5日午後、衆院本会議で採決が行われ、自民党から51人の造反者を出しながらも、自民、公明両党の賛成多数で可決、参院に送付された。賛成233、反対228で、わずか5票差だった。政府と与党執行部は、8月13日までの会期内に法案を成立させたい考え。だが、参院は衆院よりも少ない18人の反対で否決される計算で、反対派の抵抗が根強く、審議や採決は緊迫化しそうだ。

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衆院本会議での採決では、自民党から綿貫民輔前衆院議長や亀井静香元政調会長ら37人が反対票を投じ、古賀誠元幹事長ら14人が退席・欠席で棄権し、造反者数は計51人に上った。



自民党執行部は採決直前まで、党議拘束に反し造反した場合は、選挙で公認しないなど厳しい処分で臨む方針を示し反対派への説得工作を行い、辛うじて可決できる数まで押さえ込んだ。政府や党の役職者を除く造反者全体の処分については、直ちに厳しい処分を行えば参院の反対派を刺激しかねないと判断し、処分決定は参院での法案採決後に先送りする方針だ。

一方、政府は法案可決後に首相官邸で臨時閣議を開き、反対票を投じた衛藤晟一厚生労働、滝実法務両副大臣、森岡正宏厚労、能勢和子環境両政務官の計4人の罷免を決定した。

党執行部の切り崩し工作に対抗し続けた反対派は、5日も会合を開いて結束を呼びかけ、党執行部の予想を超える造反者を集めた。与党は法案の参院送付を受け、今週中に参院に特別委員会を設置し、来週から審議に入りたい考えだが、反対派の動向は参院審議の行方に影響を与えそうだ。

野党は、民主党が竹中平蔵郵政民営化担当相らの不信任決議案を提出することも検討したが、自民党議員の造反の状況を見極めるとして、閣僚らの不信任案の提出は見送り法案採決にかけた。野党各党は今後も法案に反対していく方針。

郵政民営化関連法案は平成19年4月に日本郵政公社を解散し、持ち株会社の下で郵便事業会社、窓口ネットワーク会社、郵便貯金銀行、郵便保険を設立することが柱。《産経新聞》

小泉純一郎首相は5日夕、衆院本会議で小差で可決、参院に送付されたことについて「際どい勝負だった。しかし整然と採決が行われホッとしている。予想以上に反対者が多かったが(可決は)党執行部などが懸命に努力してくれたたまものだ」と述べた。官邸で記者団に語った。《共同通信》

【この日の民主党】

都議選の報告、今後の党務・政務への取り組みを確認 常任幹事会

5日午前、国会内において第339回常任幹事会が開催され、東京都議会議員選挙の報告、郵政法案への取り組みなどについて報告・承認が行われた。

鹿野道彦常任幹事会議長が、本日は特に緊張した日であること、また都議選の勝利で久しぶりに民主党が新聞の大見出しになったことに触れ、開会を告げた。

冒頭、岡田克也代表が挨拶に立ち、都議選の結果を受けて、(1)石原都政に対して言うべきことをはっきり言うことが都民への公約となった、(2)都議選での候補者擁立方針を踏まえて統一自治体選挙に向けての対応を急ぐべきだ、などと述べた。また、郵政民営化法案については、廃案をめざしてぶれのないしっかりした対応をすると語った。

続いて、川端達夫幹事長が報告に立ち、都議選では現有19議席が35議席にまで伸びたこと、11選挙区で複数候補を擁立し、5選挙区において2名当選を果たしたことなどを報告するとともに、都議選の応援における不規則な支援の問題については、精査した上で、次回の常幹に提案を行うことを述べた。また、同日に行われた兵庫県議選補選でも勝利したことを報告した。

鉢呂吉雄国会対策委員長は、郵政民営化に関する特別委員会においては、わが党の17名の委員が109時間を超える長時間審議をたたかい抜いたことを報告し、郵政民営化特別委員会での総括質疑から採決に至る経緯を説明し、本会議における否決の可能性について触れた。

輿石東参議院幹事長は、衆議院の動きを見守りつつ、役員会などを設定して対応していくと報告した。仙谷由人政策調査会長は、7月14日に『次の内閣』を臨時に開き、中期的課題について論議することを報告した。

川端幹事長が、2005年度の党員・サポーター定時登録の結果について、139,963名の登録があり、昨年に比べて約3万人増加したこと、党大会での20万人の目標などに達していないので秋に向けて追加の登録を行うこと、定時登録者に対しては党本部より御礼の葉書を送付することをなどを報告して、承認された。

次に報告・承認事項に移り、まず川端幹事長が、「サラリーマン増税対策本部」の設置、国会議員年金制度見直しについて各派協議会に臨む基本方針、参議院選挙制度改革の基本的考え方、および民主党シンクタンク設立準備委員会の設置について報告し、承認された。玄葉光一郎選挙対策委員長は、岩手県議補選、川崎市議補選における公認決定、各都道府県連における統一自治体選挙に向けた道府県会議員および政令市会議員の候補者擁立作業について報告し、承認された。

次に協議事項に移り、玄葉選対委員長より、川崎市長選の候補者として阿部孝夫氏を推薦することを提案し、承認された。また、国会運営などについて、石井副代表をはじめとして活発な意見交換が行われた。

[衆院本会議]理念無き民営化に反対、小泉内閣は退陣を 伊藤議員

衆議院本会議が5日午後開かれ、郵政民営化関連法案と与党提案の修正案に対し、民主党・無所属クラブを代表して伊藤忠治衆院議員が反対討論を行い、郵政民営化法案に「断固反対、即刻廃案」を求め、明快な討論を行った。討論後の採決では、自民党から造反議員が続出。結果、5票という僅差でかろうじて衆議院では同法案は可決された。

伊藤議員は冒頭、「ひたすら小泉総理が今月6日にサミットに出発する外交日程に合わせ、強行採決を行い、本日の本会議に強引に上程したことを、私どもは断じて許すことができない」として、「怒りを込めて、断固抗議する」と与党側の対応をまず批判。郵政民営化法案に関する小泉内閣のルール違反として、中央省庁等基本法33条問題や、今国会にこだわらず十分議論をすべきとの多くの国民世論や地方議会の決議を全く無視したことを取り上げて、「これが民意を吸収した民主政治と言えるのか」とし、小泉政治を「強権政治、独裁政治そのものだ」と厳しく指摘した。

また小泉首相らが言う郵政公社の先細り論についても、「具体的数字をあげた根拠・説明がない」とした伊藤議員は、わが党の小沢鋭仁議員による20年後の郵政公社の経営状況の試算を紹介。そして、公社全体で3417億円の黒字などの数字は、「三事業一体の経営は十分可能であることを示している」とした。また伊藤議員は、郵便局ネットワークの維持の必要性や窓口での金融・保険サービスのカットへの懸念を示し、社会・地域貢献基金についても、「基金の配分基準も明らかになっていない」などと批判を加えた。

また政府が、民営化の新規事業の展開によって収益増が見込まれるとの説明を行っていることについても伊藤議員は、「全く逆だ」とし、民営化後のビジネスモデルについて追及すると政府側は、「それは経営者が判断することだ、と一転して逃げを打つ」ことを指摘し、「いかにずさんなゴマカシ法案であるか、明白だ」と切って捨てた。また自民党の修正案に対して小泉首相が、これが政府の方針であり法的効果は不変である、などと繰り返し明言したことを、「明らかに修正案を否定するもの」だとして、「ルール違反を平然とやってのける答弁をかつて耳にしたことがない」、「まさに傲慢無礼もここに極まれりだ」と厳しい指摘を行った。

郵貯資金の問題についても伊藤議員は、今や「郵貯・財投・特殊法人の赤字、という図式は成立しなくなっている」と指摘。国債市場暴落への懸念や200兆円の資金を擁する超巨大銀行の出現についても言及し、民業圧迫の現実を小泉首相は直視すべきであるとした。

伊藤議員はこうした問題点を具体的に指摘した上で、「国民は民営化によってより良いサービスを受けられるのか、答えはNO!だ」と断じ、民営化後の様々な悪影響を列挙。「地域住民の安全・安心を守る拠点として、かけがえのない役割を果たしてきた、国民共有の財産である2万4700の郵便局ネットワークが破壊されるとしたら、これこそ国家の重大な損失であり、取り返しのつかないことになる」とした。

最後に伊藤議員は、「ただ勘に頼ってのみ行う民営化は、日本社会の現状を無視した、拙速・無思慮な悪政である」との自見元郵政相の言葉を敢えて紹介し、「理念無き郵政民営化に反対し、即刻廃案にすること」を要求するとともに、「即刻、小泉内閣の退陣を要求する」として討論を締めくくった。

この後、郵政民営化関連法案は一括して採決が行われた。自民党からは造反議員が続出したものの、投票総数461票、賛成233票、反対228票の僅差で、かろうじて衆議院では可決された。

郵政採決結果は事実上の不信任 小泉内閣は即刻退陣を 岡田代表

岡田克也代表は5日午後、党本部で定例の記者会見を開き、直前に行われた衆議院本会議での郵政民営化関連法案の採決について、「小泉総理に対する事実上の不信任」だとし、欠席者を含めれば、法案反対の声の方が多かったという「この事実を重く受け止め、即刻退陣すべきだ」と厳しく指摘した。

岡田代表は、会見冒頭の発言では郵政法案採決の一点にのみ触れ、除名処分や公明党が選挙で応援しないなどの、「あらゆる恫喝手段を用いながら、わずか5票差の結果であったということは、小泉総理に対する事実上の不信任だと考えている」と述べるとともに、欠席した議員も考えれば、郵政法案を「支持しないという意見が、明らかに多かったことも事実だ」として、「小泉総理はこの事実を重く受け止め、即刻退陣すべきである」と厳しい口調で述べた。

また、郵政法案に対するこれまでの国会対応に関して問われた岡田代表は、「郵政関連法案を廃案に追い込むことが最大の目的」であり、「その目的に向かってベストの選択をしたと考えている」と所感を述べた。

衆議院郵政民営化に関する特別委員会の民主党委員のたたかいぶりについても、岡田代表は、「現場は非常にがんばっていただいた」と述べ、高く評価するとした上で、委員会での議論についても、「いい議論がなされた」として、「この議論を見て今回反対に回った自民党の議員もいると思う」などとした。《民主党ニュース》



7月5日 その日のできごと(何の日)