平成5616日目

2004/05/24

この日のできごと(何の日)

【地村保志さん】一家で福井へ

北朝鮮から帰国した子供3人と一緒に過ごしていた拉致被害者地村保志さん(48)の一家は24日午前8時半ごろ、東京都内のホテルを出発し、自宅のある小浜市に向かった。羽田発小松行きの航空機に乗り、午後2時すぎ小浜に到着の予定。

地村さんと妻富貴恵さん(48)、長女(22)、長男(20)、二男(16)の5人で、22日の再会後、ホテルに滞在していた。

ホテルの玄関で、福井県の西川一誠知事が「気を付けて福井に戻ってください」と声を掛けると、地村さんは「ありがとうございます」と答え、子供たちも笑顔でうなずき、足早にバスに乗り込んだ。

子供たちは帰国時と同じとみられるスーツ姿。見送りのホテル関係者らに、窓側の席から手を振っていた。

地村さんは23日に「わずかな時間で以前の和やかな家庭の雰囲気を取り戻すことができた」との談話を出した。

関係者によると、一家は23日夜、ホテル最上階のレストランで食事し、子供たちは東京の夜景を興味深そうに眺めていたという。《北國新聞》

拉致被害者の地村保志さん(48)、富貴恵さん(48)夫妻と、北朝鮮から22日帰国した子供3人は24日午後、夫妻の住む小浜市に帰郷した。記者会見で地村さんは、子供たちが帰国の5日ほど前に、北朝鮮当局から日本へ行くよう伝えられたことを明らかにし「日本で両親に会って帰ってこい、と言われたようだ」と述べた。

また23日に帰郷した蓮池薫さん(46)は新潟県柏崎市で記者会見し、自分たちが拉致されたことを2人の子供に説明したと話した。

蓮池さんによると、24日朝、自宅で長男(19)、長女(22)の順に「お父さん、お母さんが拉致されたことを知っているか」と聞くと子供は「知っている」と答えた。「どう思う」と尋ねると無言で、困惑しているような表情が見えた。蓮池さんは「じっくり話そうと計画したが(話す)タイミングだと思った」と述べた。

さらに蓮池さんは「おまえらが憎くてこっちにとどまったんじゃない」と付け加えたという。

地村さん一家は同日朝、東京都内のホテルを出発し、羽田空港から小松行きの便に搭乗。バスを乗り継いで午後2時20分すぎ、小浜市文化会館に着き、市民ら約300人の出迎えを受けた。

会見で、保志さんは子供たちの日本名について「本人たちには伝えたが、3人は日本人であることをまだ十分自覚していない」として公表を控えた。

会見に同席の予定だった富貴恵さんは、歓迎セレモニーで子供が動揺したとして欠席した。

新潟県佐渡市に23日帰郷した曽我ひとみさん(45)は、24日は仕事を休み、自宅で一日を過ごした。《北國新聞》

伯父から渡された紙。そこに日本名が書いてあった。北朝鮮から帰国した地村保志さん(48)、富貴恵さん(48)の子供3人は、初めて自分たちの日本名を知った。地村さんは24日、小浜市で記者会見し、子供たちが日本名を受け入れることは「大丈夫だと思う」と話した。

この日の夕方、親せき約20人が地村さんの新居で歓迎会を開いた。食卓に並んだのはすしや刺し身など日本の味。3人はにぎりずしを初めて見た様子で、少し驚いた顔で口にほおばると「おいしい」とにっこりした。

北朝鮮で暮らしていた3人の子供たちが当局者から「お母さんのいる日本に帰りなさい」と言われたのは日朝首脳会談の5日ほど前だった。「嫌だ」と答えた3人。「すると『命令だ』と言われたから、帰ってきたんだよ」

父母が姿を消して1年7カ月。本当は離れ離れの生活はつらかった。「ずっと泣いていた」と打ち明けたという。再会した夜は緊張していたが、水入らずで話すとすぐうち解けた 。「本当に1年7カ月も離れていたのかなあ」と冗談も出た。

小浜市に戻る途中、長男(20)は田んぼを見て「なんで農民の人がいないの」。きれいにイネが植わっていることにも驚いた。北朝鮮でよく聞いた機会化が、実際に進んだ風景。地村さんの説明に長男は「うーん」とうなった。二男(16)は、道路がきれいで車が多いことに目を引かれた。

地村さんは、子供たちからゆっくり話を聞き、日本の生活に慣れさせたいと思っている。「どうしろああしろとは強要しない」。北朝鮮のバッジを着けていることにも、口を出していない。

子供たちは北朝鮮から「贈り物」を持ってきた。地村さんは会見で「家に帰ったら見せてくれる」と話した。《北國新聞》

「拉致されたんだ」こう切り出した父親の言葉に、北朝鮮で生まれ育った娘と息子はショックを受けた様子を見せた。蓮池薫さん(46)は24日、拉致被害者と告白。「おまえらを捨てたんじゃない」。1年7カ月の空白を埋める父の説明を2人は黙って聞き続けた。

新潟県柏崎市に23日に帰郷した蓮池さん一家は、韓国の人気ドラマ「冬のソナタ」を深夜まで楽しんだ。和やかなだんらんから一夜明けた24日朝、突然、告白を思い立った。

「われわれが拉致されたと知っているのか」。いきなり尋ねた。「知っている」と長男。「どう思う」との問いに黙りこくった。困惑した表情がのぞいた。

母親の祐木子さん(48)はその場にいなかった。「強制的に連れて行かれたんだ」。この後、長女にも同じように告げた。「2人とも反応は淡々としていた。わたしの口から初めて具体的に、実際に強制的に連れていかれたということを知ってショックを受けたようだ」と蓮池さん。

「おまえらを憎くて捨てようとこっち(日本)にとどまったんじゃない」。北朝鮮に戻らなかった理由も説明した。

2人ともむっつりした表情。だが真摯に説き続けた父への反発はなかった。《共同通信》

政府は24日、北朝鮮による拉致被害者の曽我ひとみさんと夫で元米兵のジェンキンスさんが再会する「第三国」について①査証(ビザ)の取得が容易で無期限滞在ができる②米国に身柄が引き渡される懸念が少ない-などを条件に、再会場所の選定に入った。

将来的には一家そろって日本で永住することを目指すが、曽我さんが望めば、第三国への移住も視野に対応する方針だ。

今週末にも再会日程、場所を確定させる考え。ただ、日朝首脳会談やその後の小泉純一郎首相とジェンキンスさんの面談で出た「北京再会案」については「北京と平壌は近すぎて、自由に発言できるムードにない」(政府筋)として慎重論が出ている。首相も記者団に北京には「こだわっていない」と述べた。

外務省は24日、日米間の「犯罪人引渡し条約」と同様の取り決めを米国と交わしている国をリストアップした。米軍から脱走したとして身柄を米国に引き渡されることを懸念しているジェンキンスさんが、そうした可能性がある第三国では面会に応じないことも危ぐされるためだ。

ただ外務省幹部によると「米国と条約を結んでいる国は約百カ国あった」といい、与党内で有力候補地に挙げられていたスイスも同様の取り決めがあることが判明した」という。政府筋は「今週中に段取りをつけて、今週末か週明けにも会わせたい」と述べたが、選定作業が難航することも考えられる。

政府が期限を切らずに滞在できる第三国での再会を検討しているのは「曽我さん一家が静かな環境で、自由意思に基づき将来を話し合ってもらう必要がある」(同省筋)との判断からだ。また短期間の再会で、ジェンキンスさんが北朝鮮に戻った場合、次の機会をいつ設定できるか分からないうとの懸念もある。《共同通信》

「私って何てややこしい人生になってしまったんでしょうね」。曽我ひとみさんは日朝首脳会談が行われた22日夜に、夫の元米兵ジェンキンスさんら家族との再会場所が第三国になったことについて、こんな心境を漏らしていた。中山恭子内閣官房参与が24日の静岡県浜松市内での講演で明かした。

曽我さんは22日に「家族と自由に意見を出し合って話ができる場所を提供してほしい」と政府関係者に求め、小泉純一郎首相が同日夜の曽我さんとの面会で「家族4人が話し合える場所を用意する」と応じたという。

首脳会談の結果をめぐり拉致被害者家族会が首相への反発を強めていることについては「今は内輪もめしている場合ではなく、日本が一体となって北朝鮮にあたっていくべきだ」と強調した。《共同通信》

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【小泉純一郎首相】与党に会談結果説明

小泉純一郎首相は24日の与党党首会談、政府与党連絡会議で、北朝鮮の金正日総書記との会談結果を説明、「時間がたてば国民にも理解してもらえる」と自信を示した。出席者からは、曽我ひとみさんと夫の元米兵ジェンキンスさんの再会や安否不明者の再調査について注文が相次いだ。

首相は、ジェンキンスさんに対し曽我さんから託されたビデオや手紙を見せるなどして説得に当たったほか、安否不明者についても「家族は生存していると考えており、再調査してもらいたい」と要求したと説明した。

自民党の安倍晋三幹事長は、曽我さんらの再会について「ゆっくりと自由な雰囲気の中で話ができる場所でなければならない」と北京以外の第三国で実施すべきだとの考えを強調。行方不明者の再調査についても「北朝鮮が調査結果を出してきた場合、それが正しいか反証できる態勢をとってほしい」と求めた。

公明党の神崎武法代表は、22日帰国した拉致被害者家族5人の教育のため政府が全面的に支援する必要性を指摘。曽我さんの再会についても「一日も早く実現できるよう努力してほしい」と述べた。

森喜朗、中曽根康弘、宮沢喜一氏ら首相経験者が24日、首相官邸で小泉純一郎首相から北朝鮮の金正日総書記との会談結果について報告を受けた。

中曽根氏は、死亡などとされた拉致被害者の安否確認に進展がなかったことについて「もうU少し粘って金総書記の認識を改めさせることが大事だった。外交は急いだ方が損をする」と苦言を呈した。

小泉首相が日朝平壌宣言を順守する限り経済制裁は発動しないと明言したことにも「北朝鮮は核拡散防止条約(NPT)脱退を表明しており平壌宣言をもう破っている。そういう時に、制裁を実行しないというのは言い過ぎだ」と厳しく批判した。

宮沢氏が「日朝国交正常化交渉をこれからやる気なのか」とただしたのに対し、小泉首相は「それは合意されているので、事務当局に話を進めさせたい」と述べた。《共同通信》

北朝鮮の金正日総書記が22日の小泉純一郎首相との会談で、安全保障問題をめぐり「(北朝鮮の)ミサイルは日本を向いていない。日本を攻撃するためのものではない」と言明していたことが分かった。政府筋が24日、明らかにした。

日本のほぼ全域を射程に置く北朝鮮のノドンミサイルは発射台付き車両に搭載され移動運用されており、日本政府関係者は「照準を外しているというより、自衛手段であることを強調したかったのだろう」としている。《共同通信》

【自民党】拉致問題解決へ与野党一体

自民党の「北朝鮮による拉致問題対策本部」は24日、小泉純一郎首相の訪朝を受け党本部で会合を開き、拉致や核、ミサイル問題の解決へ政府与党が一体で取り組む方針を確認した。安倍晋三幹事長は北朝鮮船舶への適用を想定した特定船舶入港禁止法案の今国会成立を目指す考えを強調した。

会合では拉致被害者の家族会などが首相の訪朝を批判していることに対し「家族会の言いぶりはいかがなものか。拉致問題のためだけに北朝鮮外交をやっているのではない」との声が上がったが、安倍氏は「家族を責めるのは酷だ」とたしなめた。《共同通信》

【民主党・岡田克也代表】首相訪朝を批判

民主党の岡田克也代表は24日、共同通信社のインタビューに対し、日朝首脳会談の結果について「小泉純一郎首相が行かなくても5人は帰ってきた。国内に弱みを抱え『失敗できない』という弱い立場で訪朝し、切る必要のないカードを切った」と、あらためて厳しく批判した。

参院で審議中の年金制度改革関連法案に関しては廃案を目指す考えを強調。「7割を超える国民が『この法案には納得できない』という中で(成立に)国民の理解を到底得られない。廃案に追い込むため、できる限りのことはする」と述べた。

また日本歯科医師連盟(日歯連)事件などを例に「自民党の政治は数少ないパイを特定の利害関係者に配分する利権政治に完全に成り下がっている」と批判した。《共同通信》

【米・ブッシュ大統領】イラク復興へ5段階

ブッシュ米大統領は24日、米ペンシルベニア州の陸軍大学で今後のイラク政策について演説し、6月30日の主権移譲や治安回復の確立に向けた支援など5段階の復興プロセスを明らかにした。多国軍の中核として、13万8000人規模のイラク駐留米軍を「必要な期間」とどめるとし、米軍増派にも前向きな姿勢を表明。イラク人虐待事件の舞台となったバグダッド郊外の旧アブグレイブ刑務所は解体すると言明した。

イラク情勢の混迷や虐待事件の発覚で支持率が急降下するブッシュ大統領は、刑務所の解体で虐待問題に区切りをつけ、早急な治安回復により復興を加速し、イラク安定化を実現する決意を表明。国際社会に対し理解と協力を呼び掛けた。

大統領は演説で、米軍主体の多国籍軍展開などを承認する米英て提示の新たな国連安全保障理事会決議案を採択する必要性を強調。米英は新決議案の草案で、多国籍軍について「1年後、あるいは暫定政権が求めた時に見直す」としたが、大統領は「必要な期間」とだけ述べ、具体的な駐留期間は触れなかった。イラク暫定政権については今週中に人選が終わる見通しを示した。

5段階復興について大統領は、6月30日の主権移譲に加え①治安回復②インフラ(社会基盤)③整備による復興支援④本格的なイラク政権樹立に向けた総選挙の準備-を示した。

旧アブグレイブ刑務所で「少数の米兵による不名誉な行為があった」ことを認め、これを解体の理由に挙げた。《共同通信》



5月24日 その日のできごと(何の日)