平成5268日目
2003/06/11
この日のできごと(何の日)
【党首討論】
小泉純一郎首相は11日午後行われた今国会4度目の党首討論で、イラクで大量破壊兵器がいまだに見つかっていないことについて「いずれ見つかる」と述べ、大量破壊兵器の保有を前提に米英軍のイラク攻撃を支持したことに問題はなかったとの認識を強調した。
共産党の志位和夫委員長が保有の具体的な根拠をただしたのに対する答弁。首相は根拠は示さないまま「フセイン大統領はいまだに見つかっていない。見つかっていないから、イラクに大量破壊兵器が存在しなかったとは言えない」などと強弁した。
また首相はイラクの現状について「主要な戦闘は終結した」との認識を表明。その上でイラク復興支援特別措置法案に基づく自衛隊のイラク派遣に関して「武力行使ではなく、復興支援に行く」と述べ、集団的自衛権の行使に当たるとの社民党の土井たか子党首の批判に反論した。
在日韓国人への地方参政権付与問題に関しては「非常に難しい問題もはらんでいるので議論を重ね、日韓両国民が理解しあえる形で結論を出すよう努力していかなければならない」と述べるにとどめた。
民主党の菅直人代表が、次期衆院選に当たって、数値目標や財源、期限を明記した公約集「マニフェスト」を自民党として出す考えをただしたのに対し、首相は「名前が変わっても『公約』だ。政党が公約を掲げて戦うのは当然。マニフェストが良くて、公約が良くないとは思わない」と述べ、明確な姿勢を示さなかった。菅、志位、土井各氏のほか自由党の小沢一郎氏への答弁。《共同通信》
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【サッカー】
サッカーのキリンカップ第2戦、日本ーパラグアイは11日、さいたま市の埼玉スタジアムで行われ、日本は決定力不足が響き、0−0で引き分けた。代表強化月間の国内3戦は1分け2敗。ジーコ監督は、8日のアルゼンチン戦先発から9人を入れ替えた。
故障の中山(磐田)に代わりコンフェデレーションズカップ代表入りしたU-22(22歳以下)代表のFW大久保(C大阪)が初先発し、再三、ゴールに迫る活躍。後半にはヘディングシュートを決めたがオフサイドと判定され、ゴールはならなかった。
守備陣は坪井(浦和)が代表デビュー、三都主(清水)が左サイドに入るなど、フレッシュな布陣で臨み、安定した守りを見せた。日本は13日にコンフェデレーションズ杯に向けフランスに出発する。《共同通信》
【ボクシング】
ボクシングの元日本ライト級チャンピオンで、日本王座22度連続防衛の日本記録を持つ米国人選手リック吉村(38)が11日、日本ボクシングコミッション(JBC)が定めたコミッションドクターの特別診断を受けて「異常なし」と診断され、年齢制限に関する新制度を適用して現役復帰する最初の選手となった。所属する石川ジムの関係者によると、復帰戦を年内に行う予定。
従来の規則では現役チャンピオンなどを除き、満37歳になった時点で自動的にボクサーライセンスが失効していた。しかし、5月のJBC理事会でライセンス保持に関する規則が一部改正され、日本タイトル以上の王座保持経験者、顕著な実績を有する選手に限り、37歳以上になってもコミッションドクターの特別診断を受けることを条件に試合出場が許可されることになった。《共同通信》
【政界談話室】
○・・・民主党のツルネン・マルティ参院議員は11日の参院本会議で初質問し、外国で生まれ育って日本国籍を取得した思いを披露。「議員になるまでの35年間、日本で多くの方にお世話になった」と振り返り「参院議員としての任務が私の使命。日本社会への奉仕は私にとってツルの恩返しだ」と決意を表明した。自己紹介の直後には「参院の役割はどこにあるか」と扇千景国土交通相に論戦を挑み、参院改革に向けた「ツルの恩返し」を早くもスタート。《共同通信》
【北朝鮮】平壌宣言の白紙化も
朝鮮中央通信によると、北朝鮮の朝日友好親善協会は11日、貨客船「万景峰92」の運航中断に関して、北朝鮮船舶への監視や検査強化が続けば「日朝平壌宣言の白紙化もあり得る」と警告する談話を発表した。北朝鮮が平壌宣言の白紙化に言及したのは初めて。北朝鮮は不快感を強調するために「白紙化」に言及したとみられる。
同船の運航中断をめぐる北朝鮮の関連団体による対日非難はこれで4日連続だが、10日までは万景峰の運航に直接関係する団体が出していた。同協会が非難に加わったことで、日朝交渉再開の行方がさらに不透明になる懸念もある。
談話は、日本への対抗措置の可能性も示唆。「われわれが対応措置を取らざるを得ない場合、両国関係は最悪の敵対関係に向かい、平壌宣言が白紙化され、アジアと世界の平和と安定に予測できない影響を投げ掛けることもあり得る」と述べた。《共同通信》
【酒井美紀さん】小泉首相と面会
6月11日、小泉総理は総理大臣官邸で、薬物乱用防止キャンペーン・キャラクターの酒井美紀さんの表敬を受けました。
今年も、青少年等に対する薬物乱用防止の啓発を目的とした「ダメ。ゼッタイ。」普及運動の「6・26ヤング街頭キャンペーン」が6月28日、29日を中心に全国で実施されることになっています。
薬物乱用対策推進本部長でもある小泉総理は、キャンペーンに参加する人々に向けたメッセージを酒井美紀さんに手渡しました。また、酒井さんから小泉総理に、薬物乱用防止キャンペーンのポスターと、Tシャツ、携帯ストラップなどの啓発グッズが手渡されました。《首相官邸》
【イスラエル・パレスチナ問題】
エルサレム中心部を走行中の路線バス車内で11日夕、自爆テロがあり、警察当局者によると、犯人を含めて少なくとも17人が死亡、80人以上が負傷した。死傷者はさらに増える見通し。イスラム原理主義組織ハマスが犯行声明を出した。
ヨルダン・アカバで4日、イスラエルとパレスチナ自治政府、米国による3首脳会談が行われて以降、一般市民を対象にした初の自爆テロ。パレスチナ情勢は急速に悪化しており、同会談でようやくスタートしたばかりの米国主導のパレスチナ新和平案(ロードマップ)は早くも危機的状況に置かれた。
イスラエル軍は11日タ、ガザ市でイスラム原理主義組織ハマス活動家2人が乗った車を武装へリコプターからミサイルで攻撃、通行人を含め、6人が死亡した。活動家はイスラエルへのロケット弾攻撃に関与したハマス軍事部門幹部で、イスラエル軍による暗殺とみられる。ガザ市では10日、イスラエルによるハマス最高幹部アブドルアジズ・ランティシ氏の暗殺業遂事件があったばかり。今回の自爆テロは報復とみられる。
警察当局者によると、バスが発車直後に車内の前部で犯人が自爆したという。現場はエルサレム最大のマハネエフダ市場の近く。目撃者によると、バスは車体中央から大破。現場に面した高層商業ビルでも大きな揺れを感じたという。
自治政府のアベドラボ内閣相は米CNNテレビで、自治政府は事件を非難すると述べた。《共同通信》
【MLB】
米大リーグ、ヤンキースの松井秀喜外野手は11日、ニューヨークでアストロズ戦に「6番・中堅」で先発したが、チームがアストロズ6投手の継投の前に無安打無得点に抑えられ4打数無安打に終わった。打率は2割7分5厘。松井は九回二死無走者で一ゴロに倒れて最後の打者となった。松井の打席内容は第1打席から中飛、遊ゴロ、遊ゴロ。アストロズ6投手のリレーによるノーヒットノーラン達成は米大リーグ史上初めてで、ヤンキースが無安打無得点を喫したのは1958年9月以来45年ぶり。ヤンキースは0−8で完敗した。
マリナーズのイチロー外野手はエクスポズ戦に「1番・右翼」で先発し4打数2安打で打率3割3分2厘。三回に右越え二塁打し五回にも中前打を放った。マリナーズは1−3で負けた。
メッツの新庄外野手はレンジャーズ戦に途中出場で1打数無安打。メッツは8−2で勝った。《共同通信》
【この日の民主党】
[党首討論]菅代表、マニフェストなき政府与党の無責任政治を批判
民主党の菅直人代表は11日、今国会4度目の党首討論に臨み、イラク大量破壊兵器問題、「マニフェスト」に対する小泉首相の考えを追及した。主なやりとりは以下の通り。
●イラク大量破壊兵器問題
菅 ブッシュ米国大統領がイラクへの軍事攻撃を決定した翌日、小泉総理は「イラクが隠し持っている大量破壊兵器が他の独裁国やテロリストの手に渡ると極めて危険だ。それを防ぐために米国の武力行使を支持する」と言われた。それに対して私は、「国連中心の査察がかなり効果を上げてきているので、もっと強化して査察を継続すべきだ。武力行使は反対だ」と申し上げた。その後、イラク戦争が始まり、バグダッドが陥落し、フセイン政権が倒れて、もう2ヵ月も経過した。この間、米軍を中心に大量破壊兵器の発見に努めてきたわけだが、今日まで発見されたという報告はない。逆にイギリス議会などでは、情報機関が当時伝えていたことは間違った情報に基づいている、誇張されているとの声もある。あるいはCIAの昨年の報告でも、大量破壊兵器があるとする有力な証拠はないとされている。国連監視検証査察委員会のブリクス委員長も大量破壊兵器は、自分たちの手で廃棄されていたのではないかと言っている。
今、総理が用意されているイラク新法においても、大量破壊兵器の処理を支援するという一項目を入れると報じられている。それは、今日もそれが隠し持たれているということを前提にして、新法を出そうとしている表れ。これから1、2ヵ月、さらに多くの人を動員して調査すると米国は言っているが、発見されない場合、総理はどうされるのか?
小泉 いずれ発見されると思っている。国連の協議でも大方の国はイラクが大量破壊兵器を保有しているだろうとの疑念は払拭しがたいという考え方だった。今後を注視する。
菅 発見されると確信をもたれるのは、個人としては結構。しかしその確信を前提として、政府として米国の軍事行動を支持した。さらにはそれを前提にして新たな法律も出そうとしている。それは単に個人の思いを越えている。だから私は今後発見されない場合、どうされるかをお尋ねしたのだが、相変わらず真正面から答えようとされていない。この問題は、これからの国会審議、あるいは次期総選挙の前までには結論が出る。その時点で、総理の国民に対する態度、国際社会に対する態度を見極めていきたい。
●マニフェストについて
菅 (英国労働党の1997年と2001年の総選挙向けマニフェストを示して)マニフェストはただのスローガンではない。国民と政党との契約と位置づけられている。たとえば97年のマニフェストに挙げられた10項目は「5・6・7歳の子どもたちのクラスを30人以下の学級にする」などと非常に具体的に書いてある。そして01年の春に出されたマニフェストには「今年9月には5・6・7歳の子どもたちのクラスで30人を超えるところはなくなります」とある。つまり、契約が実行されたことがきちんと検証されている。
私たち民主党は次期総選挙に向けて、こうしたマニフェストをつくる準備に入っている。政権与党である自民党がきちんとマニフェストを出し、政権交代を求める民主党も私たちのマニフェストを出し、その2つを比べてどちらがいいかを問う選挙になることが、国民にとって最も望ましいと思うが、小泉総理としては、自民党としてマニフェストを出されるおつもりはあるか?
小泉 マニフェストは国民の多くにとってはなじみが薄い。名前は変わっても公約のことだ。公約をそれぞれの政党が掲げて戦うのは当然であり大事。自民党としては当然公約を掲げ、次の選挙で戦う準備を始める。公約を掲げて戦うのはいかなる政党にとっても大事。
菅 もともとの公約と意味がちがうから申し上げているのだ。これまでの公約は、「活力ある日本をつくりたい」とか、希望的なことを並べた。あるいはその公約が必ず次の内閣で実行されるという、いわゆる国民との契約という認識が薄かった。前回の参議院選挙で、総理は郵政事業民営化を公約に掲げた。しかし、ある自民党公認候補は郵政事業は絶対に国営を守ると訴えた。そしてその候補者と総理は握手したポスターを作った。総理が言うことと、候補者が言うことがバラバラ、こういう党にはマニフェストを出す資格がないのだ。高速道路の民営化についても、総理が選んだ推進委員会はいろいろと民営化の方針を出している。しかし、自民党の道路族議員は高速道路の計画の見直しに反対し、扇大臣が率いる国土交通省までもが、まったく違うことを言っている。こんなバラバラな政党にマニフェストがまとめられるのか。わが党は私が責任をもってまとめる。総理は自民党をまとめあげてマニフェストを出されるおつもりがあるか。はっきりお答えを。
小泉 政党にはいろいろ議論がある。しかし、最終的にはまとめていかなければならないもの。自民党も民主党も、ある問題については意見が違った議員がたくさんいる。最終的には議論が集約するに従ってまとまっていく。過程での議論の賛否両論はいいのだ。結果的には大きな方向に沿って協力していく。寛容と忍耐の精神も大事だ。
菅 多数党が与党となり、内閣を組織して総理を決める。つまりマニフェストは内閣と国民との契約でもあるはず。ところが、自民党は常に党と内閣とが別々に物事を決定する。党はどうなっているかというと、関係省庁の官僚がやってきて、官僚のシナリオにそって、族議員とともにその役所の利益を主張する。そして、官僚は同時に自分の役所の大臣にレクチャーして洗脳し、ほとんどの大臣が、各役所の利益代表になってしまっている。これが現状だ。マニフェストは、単に党の公約を越えて、官僚とは別に、自分たちが多数党となって内閣を組織したときには、このことを実行すると国民に対して示す約束なのだ。「小泉総理はこう主張するが、他の人は別のことを言っても、それは許容と寛容でいい」などとしていては、政権選択の選挙にならない。「郵政民営化なのか否か、公団民営化なのか否か」内閣を組織したときの方針を示さないままに、政権を争う選挙をしようとしているのが小泉総理なのだ。総理就任後2年間、小泉さんがいろいろ格好のいい発言をしても、何一つ物事が進まなかった最大の原因がここにある。
小泉 マニフェストがよくて公約が悪いとは思っていない。国民にとって公約は大事、政党にとっても公約は大事。選挙のときには各政党とも公約を掲げて戦うべきだと思うし、そのなかで各政党の主張を国民にわかりやすく説明するのが政党の責任だと思う。
菅 この議論は今後も続けたい。かなりよく国民のみなさんに理解していただけたと思う。つまりマニフェストは単に政党の考え方の一つを掲げたのではない。国会で多数派を握って内閣を組織した場合はこういうことを実行しますという具体的な約束を提示すること。与党と政府がバラバラで、それぞれが官僚のお膳立てにのったような官僚主導の政権をこれからも続けていいのか。それが日本の行き詰まりの原因だということ、そして私たちが政権を握るときには、それとはまったく違う政権を作り上げていくことを国民のみなさまに申し上げて、私の質問を終わる。
「党首討論で小泉改革頓挫の構造的原因示した」菅代表
民主党の菅直人代表は11日の党首討論終了後に記者団の質問に答え、首相との論戦を振り返って「小泉政権が官僚や各大臣との利害対立を乗り越えて改革を進められない構造的な原因について、国民の皆さんにも理解していただけたのではないか」と感想を語った。
この日の党首討論は、予算委員会の質疑を含めて今国会8度目の“菅vs小泉直接対決”。菅代表は、イラク大量破壊兵器問題と選挙におけるマニフェストの意義をめぐって首相と議論を戦わせた。
イラク大量破壊兵器問題をめぐっては、「2カ月間探して見つからないがどうするのか、と質したが、“必ず見つかる”などと時間かせぎするだけ。イラク新法の案には大量破壊兵器処理の支援まで入っていることを指摘しても、答えない。相変わらず逃げの総理だ」と指弾。また、「このまま見つからないと、総理は時間とともに厳しい状況に追い込まれる。次の衆院選前に、逃げ切れない時点が来る」と述べ、さらにこの問題での追及を強める意向を示した。
また「マニフェスト」をめぐるやりとりについては、「ようするに(首相の考えは)従来型公約だ。政権と国民との約束というのでなく、言いっ放し。途中で状況によって変わるのも仕方ない。これはマニフェストではない。内閣を作った時に国民との約束なしでやってきたから、相変わらず官僚や各大臣の利権に阻まれて何も進められない。小泉改革が進まない構造的原因が国民の皆さんにも理解してもらえたのではないか」とし、「その意味で有意義な議論ができた」と総括した。
[次の内閣]ネット市民立法の政策提案者を招いて議論
民主党『次の内閣』(ネクストキャビネット)は11日、閣議を行い、第3回インターネット政策公募(インターネット市民立法)で採用された政策提案者を迎えて議論を交わした。採用案は今後、立法化を含めて検討するとともに、法案審議や党内での政策議論に反映させていくこととなった。
インターネット政策公募で採用された提案は、下記の通り。
(1) 化学物質過敏症者保護法案
(2) ゴースト・インフラ法案(廃校等の有効活用)
(3) 住民票制度の見直し(外国人住民の住民票記載)
(4) 選挙制度の見直し(戸別訪問の解禁)
(5) 連帯保証人制度の見直しまた閣議では、「北朝鮮問題に対する現段階での考え方(案)」について協議。伊藤英成・外務ネクスト大臣は北朝鮮問題への基本認識として「拉致事件、大量破壊兵器問題等の全面解決を見るまで、国交正常化はするべきではなく、経済援助はあり得ない。核保有・拡散は絶対に認められない。また、日・米・韓をはじめ、中・露などとの政策調整が一層重要である」と説明。その上で、1.国際的な取り組みの強化 2.拉致事件 3.武装工作船・不審船・万景峰号対策 4.大量破壊兵器及びミサイル問題 5.脱北者問題について方針案を提起した。
さらに、与党提出「性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律案」について法案審査を行い、与党との妥協点を探りつつ法制化作業を進める形で賛成することとなった。その他の法案審査の結果は以下の通り。
○政府提出「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部改正案」→修正、附帯決議などを求めていくことで賛成。
○与党提出「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案」→銀行等保有株式取得機構による株式買い取りは銀行救済のための「国家的飛ばし」であり、株式市場を歪め、国民負担を拡大する恐れが大きいことから反対。
○与党議員立法「市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案」→賛成
○政府提出「次世代育成支援対策推進法案」→賛成
○政府提出「児童福祉法の一部を改正する法律案」→賛成記事を印刷する
※以下は、民主党イラク調査団がまとめた報告書の概略を広報・宣伝委員会がまとめたもの。
1. 調査団メンバー及び日程表
(1)団員
末松義規衆議院議員(「次の内閣」イラク問題等PT事務局長=団長)
首藤信彦衆議院議員(「次の内閣」外務副大臣、外務委員会理事=先遣)
若林秀樹参議院議員(国際局副局長)(2)日程
6月2日~8日 ヨルダン(ヨルダン政府高官との会談)及びイラク(各方面の関係者との会談、視察)
2. 報告のポイント
1 戦争被害と支援ニーズ
* 米軍攻撃(バグダット)は、かなり正確なミサイル・ピンポイント攻撃であり、地上戦の痕跡はあまり見られないことから、限定された軍事目標のみ被害をもたらした程度。
* むしろ、主要な被害は、戦争時の広範な強盗・略奪・放火によって生じたもの。さらに、とくに、長年の軍事優先の政策がもたらす社会の疲弊に加え、13年間に及ぶ国連経済制裁による経済的ダメージが大きい。
* 従って、どのレベルまでの回復・復興が必要かという判断の下、短期・中期に支援ニーズを分けて詳細に検討していく必要がある。特に、前政権崩壊から暫定政権樹立までの混乱を最小化するための支援が必要。
2 イラクの治安・統治問題
* 復興における最大の問題は、フセイン・バース党政権追放による統治再編の大混乱を米国とイラク側諸勢力との話し合いの中でいかに収拾・安定化させていけるか否かに尽きる。その意味で、米国主導のしたOCPA(または、CPA。連合国暫定当局)の統治再編過程と、国連主導の国際的な経済復興努力は、車の両輪となるものであり、双方で適切な協力を行っていくことが重要。米国等の占領は、長期化となる見込み。
* 治安維持の要は米英軍が担っており、治安状況はかなり改善されているものの、米軍に対する小規模な反乱はイラク中西部を中心に継続的に生じている。
3 自衛隊派遣問題
* 多国籍軍のメンバーとなり得ない自衛隊の派遣については、治安維持などへの支援ニーズは否定し得ないものの、イラク国民に直接見え、手放しに歓迎されるような復興支援ニーズを特定することは困難。
* 現時点での治安状況では、戦闘区域と非戦闘区域を区別することは困難であり、最近の武装反乱活動などを考えると、現在の防護武器や、武器使用基準では不十分と言わざるを得ない。
* 純粋な支援マターと捉えるよりも、日米関係に焦点を当てた優れて政治的な問題とし認識すべきとの指摘あり。因みに、イラク戦争に反対してきた仏、独、加、露、中国は、軍隊派遣やOCPAへの要員派遣を行っていない。《民主党ニュース》