平成5212日目
2003/04/16
この日のできごと(何の日)
【国連人権委員会】北朝鮮非難決議を採択
国連人権委員会は16日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の人権状況を非難、日本人をはじめとする拉致問題の全面解決を要求した決議を賛成多数で採択した。韓国政府は国連人権委員会での北朝鮮非難決議案採択で、投票に参加せず、賛成、反対、棄権のいずれの意思表示もしなかった。
北朝鮮の非難決議は国連人権委で初めてで、拉致解決問題を目指す国際的な圧力がこれまで以上に強まった。
決議案には28カ国が賛成し、キューバや中国など10カ国が反対。14カ国が棄権した。北朝鮮は人権委のメンバーでないため、投票には加わらなかった。決議案は欧州連合(EU)が10日に提出、日本や米国も共同提出国に名を連ねた。
北朝鮮代表は採択前に演説し「決議案は北朝鮮との対立を目指したものだ」と強く反発。EUと進めてきた人権対話や国連人権委との協力関係に「障害が出ることになりかねない」と述べ、人権問題をめぐる協力停止もあり得ると警告した。
決議は、北朝鮮の人権侵害が「組織的かつ広範で深刻な状況」と明記。服役囚の拷問や強制労働が行われ、言論や結社、女性の基本的自由が著しく侵害されていると批判。外国人の拉致問題では「すべての未解決の問題を明確かつ透明な形で解決」するよう求めた。
また国連人権高等弁務官に対し、北朝鮮政府と人権の改善を目指した協力関係を樹立するよう要請、改善状況を来年の国連人権委で報告するよう求め、今後も監視を強める方針を強調した。《共同通信》
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【サッカー国際親善試合】ジーコジャパン初勝利
サッカーの2002年ワールドカップ(W杯)を共催した日本、韓国代表による国際親善試合が16日夜、ソウルW杯競技場で行われ、日本が後半のロスタイムに劇的なゴールを奪い1−0でW杯4強の韓国に勝った。伝統の日韓戦は2年4カ月ぶりでW杯後は初。日本の勝利は1998年3月のダイナスティカップ以来、5年ぶり。1954年の初対戦以来の通算対戦成績は、日本の12勝15分け35敗となった。日本のジーコ監督は、就任以来4試合目で初勝利(1勝2分け1敗)。
韓国のペースで試合は進んだが、交代出場のFW永井(浦和)が貴重なゴールを決めた。
◇
日本は前半途中から韓国の積極的な攻めに守勢となった。しかし、後半ロスタイムに入り中山(磐田)と交代して出場していた永井が、左サイドで奥(横浜M)からの縦パスを受けてドリブル。韓国DFがクリアしようとしたボールが永井の足に当たり、山なりのボールがゴール右隅に決まった。《共同通信》
【政界談話室】
○…福田康夫官房長官は16日の参院本会議で、野党議員に「記者会見はできるだけ小泉純一郎首相自身が行うべきだ」と指摘され、「法案に関係のない質問ですが…」と前置きした上で「首相の記者会見は適切に行われている。(首相は)よく説明していると思う」と反論。「(首相官邸で行っている)1日2回の記者会見は、政府のスポークスマンである私が行うのが適当」と自らの役割を逆にアピールした。《共同通信》
【小泉純一郎首相】米・ブッシュ大統領と電話会談
小泉純一郎首相は16日夜、米国のブッシュ大統領と電話会談した。首相が、米国がシリア批判を強めていることに関連し「パウエル米国務長官がイラク以外の国を攻撃する計画はないと発言したことに注目している」と指摘したのに対し、大統領は「その通りで、懸念には及ばない」と述べ、シリアに武力行使する考えがないことを明確にした。
大統領は「近々会いたい」と述べ、北朝鮮問題やイラク復興支援などを協議するため主要国首脳会議(エビアン・サミット)前にも首相が訪米する方向で日程調整を進めることになった。
会談で首相は、北朝鮮をめぐる米朝中三者協議について「今後、日韓も含めた多国間の会合に発展することを期待する」と指摘。大統領は「三者協議から日本、韓国を入れる方向でやっていきたい」と応じた。
また首相が「日本は核と拉致問題の包括的解決を目指している」と、拉致問題解決への側面支援を求めたのに対し、大統領は「分かっている」と協力を約束した。
大統領はイラク復興支援で協力を要請。首相は「国際協調再構築のため国連の十分な関与が得られるよう尽力願いたい」と促した。《共同通信》
【民主党・菅直人代表】中国・胡錦濤国家主席と会談
中国を訪問している民主党の菅直人代表は16日午後、北京市内の人民大会堂で、胡錦濤国家主席と会談した。3月の国家主席就任後、胡氏が日本の有力政治家と会うのは初めて。
胡主席は、小泉純一郎首相との日中首脳会談について菅氏が早期の実現を促したのに対し、「私もふさわしい雰囲気と条件の下に両国の首脳会談が不可欠だと考える」と指摘した。
日本政府は首相の訪中による首脳会談を検討しているが、胡主席は菅氏に「歴史に対し双方の責任ある姿勢が不可欠だ」とも述べており、首脳会談の実現には、首相の靖国神社参拝問題の解決に向けた日本側の積極的な条件整備が前提との認識を示したとみられる。
北朝鮮の核開発問題をめぐる米朝中の三者協議に関連して胡主席は「(平和的解決のため)米朝の対話が必要で、対話形式にはこだわらない。できるだけ早くそういう機会が持たれることを期待する」と表明した。
菅氏は、三者協議が将来的に日本、ロシア、韓国も含めた協議になるよう中国側の努力を要請。胡主席は「核開発への日本の懸念は理解している。中国も朝鮮半島の非核化を重視している」と述べた。日中の経済協力について「両国が勝ち組になる形で進めたい」と述べ、内陸部の開発計画へ日本の協力を要請した。《共同通信》
【米・ブッシュ大統領】イラク制裁の解除要求
ブッシュ米大統領は16日、イラクのフセイン政権は「歴史の一部となった」とした上で「イラクは解放されたのだから、国連は制裁を解除すべきだ」と強調した。米ミズーリ州セントルイスにあるボーイング社の戦闘機工場での演説で語った。
これに関連し、マクレラン大統領副報道官は同日、対イラク経済制裁の解除に向け、近く国連安全保障理事会に決議採択を求める考えを示した。
イラクは国連の「石油・食料品交換計画」で食料品や医薬品などを購入する場合に限り原油輸出が認められているが、米国は原油輸出を自由にし、代金をイラク復興に充てたい考え。しかし、米国主導の石油管理を警戒するフランスやロシアが制裁解除をすんなり認めるかどうかは不透明だ。
大統領は演説で、イラク側の「組織的な抵抗は事実上終わった。イラクの主要都市は解放された」と言明。いぽうで、フセイン派残存勢力による攻撃は続いており「米軍はまだ深刻な危険に直面している。勝利が完全となるまで戦う」と述べた。《共同通信》
【MLB】
米大リーグ、ヤンキースの松井秀喜選手は16日、ブルージェイズ戦に「5番・左翼」で先発し、4打数1安打1四球だった。松井は遊ゴロ、二ゴロ、中飛の後、七回二死走者なしの第4打席で右前打、九回二死二塁の第5打席は四球だった。ヤンキースは6−7で敗れた。
ドジャースの石井投手はパドレス戦に先発登板し、3安打無失点と好投して七回までで降板した。試合はドジャースが3−0で勝ち、石井は1勝1敗となった。
エクスポズの大家投手はブレーブス戦に先発し、6回を7安打2失点で降板した。エクスポズは2−3で敗れて、大家は敗戦投手となり1勝2敗。
マリナーズのイチロー外野手はアスレチックス戦に「1番・右翼」で先発出場。左前打、二ゴ口、遊ゴロ、四球で3打数1安打1四球だった。1−4で敗れたマリナーズの連勝は4でストップ。
メッツの新庄外野手は、パイレーツ戦の七回に代打で出場しニゴロ。そのまま中堅の守備に就いた。メッツは3−6で敗れた。《共同通信》
【この日の民主党】
[個人情報特]行政機関の取り組みは各省庁丸投げの実態が露呈
個人情報保護法案の政府案と野党案を並行審議している衆院個人情報の保護に関する特別委員会で16日、野党側が求めていた福田官房長官出席のもとでの質疑を行った。民主党からは15日に続き枝野幸男政調会長、石毛えい子議員が質問に立った。
枝野議員は、再提出された政府案でもなお防衛庁リスト事件のような事案には罰則を科することができないままになっていることについて、「内閣官房としてどのような調整を行ってきたのか」と官房長官の説明を求めた。福田官房長官は、「法案の所管大臣である片山総務相が、全省庁連絡会議を開くなど十分な調整を行った」とし、片山総務相も「現行法でも今回の法案でも、各省庁の個人情報保護の取り組みについて法律の所管大臣として要請し、報告を求め、意見を表明することができる」と答弁。しかし、枝野議員から「では防衛庁リスト事件では、どのような周知不徹底があったのか」と突っ込まれると、片山総務相は「具体的な細部まで知る立場にない」と開き直り、各省丸投げの実態が露呈した。
石毛議員は、前日の質問で民間部門における個別法のあり方や報道に対する適用除外の趣旨などを質したことに続き、この日は、行政機関を被告とする個人情報関係の取り消し訴訟について、政府法案ではその管轄を明確に規定していないことを批判した。
藤原議員、戦略的なエネルギー政策の推進を求める
参議院本会議において16日、内閣提出の「エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案」について趣旨説明と質疑が行われ、民主党・新緑風会を代表して藤原正司議員が質問に立った。
同法案は、海外の工場などにおける二酸化炭素の排出の抑制、使用済物品の抑制や再生部品の利用などに対する支援策を講じるために必要な措置を定めるという趣旨のもの。
藤原議員はまず、今回の法案におけるエネルギー政策の見直しとエネルギー安全保障実現の国家戦略との関係について取り上げ、「これで原子力発電所の新増設などに対応できるのか、それとも原子力を基軸にした『ベストミックス政策』を見直すのか」と質した。平沼経済産業相は、原子力の長期固定電源としての安定化を図る方針に変わりはないとし、今回の法案も原子力長期計画の実施に資するものと説明した。
次に藤原議員は、今回のエネルギー政策の見直しと地球温暖化対策推進大綱との関係、および温暖化対策における原子力発電の位置づけについて質した。「見直し」と「大綱」との関係について政府は、「大綱の見直しではなく、その実現を一層確実にするもの」(平沼経産相)「大綱の第一ステップを促進するもの」(鈴木環境相)などと答弁。原発の位置づけについては、「二酸化炭素削減対策の重要な柱の1つ」(鈴木環境相)とした。
また、今回のエネルギー特別会計の見直しによって石炭が石油税の課税対象に含まれることについて、経産省が検討している温暖化対策税が導入された場合に二重課税にならないか、などと質問。平沼経産相は温暖化対策税について、歳入においてもエネルギーに関する負担を公平にする観点で行うものだとし、温暖化対策税についてはまだ検討中だとした。
最後に藤原議員は、総合的かつ戦略的なエネルギー政策を推進するために原子力の安全規制を司る機関、およびエネルギー行政体制を一元化する機関の設置が必要だとする党の考えを改めて表明し、質問を終えた。
池口議員、道路関連2法案提出の不透明な経緯を追及
参議院本会議で16日、「本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成15年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案」および「高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案」の趣旨説明と質疑が行われ、民主党・新緑風会の池口修次議員が質問に立った。
法案質疑に先立ち池口議員は、政治課題に対する政府の説明責任について追及。イラク攻撃に対する政府の立場が不明確で、説明責任を果たしていないとの批判に対し、小泉首相がその原因はマスコミ報道のあり方によるもので自分の責任ではないとした姿勢を批判し、「一国の責任者としてはなはだ無責任であり、わが国の行く末の舵取りを任せるに値しない」と断じた。池口議員はイギリスのブレア首相はじめ欧米のリーダーにならい、直接国民に語りかけ、説明責任を果たさなければならないと指摘。「ワンフレーズ・ポリティクス」の汚名返上のためにも、現在福田官房長官が行っている定例記者会見を首相自身が行い、説明責任を積極的に果たす形に変えるべきだと提案した。しかし福田官房長官は「イラク攻撃時は(総理は会見を)節目節目で適切に行い、よく説明していた」などとし、会見の体制は現状のままで適切だとの考えを示した。
池口議員は続いて、今回の2法案提出と4公団民営化との関係について質した。小泉改革の金看板であったはずの道路関係4公団民営化の実現に向け、昨年12月に道路関係4公団民営化推進委員会が最終意見を出したにもかかわらず、政府の対処方針の具体的な検討は扇国土交通相に丸投げされ、法案提出は来年の通常国会とされただけで、政治方針は示されていない点を指摘。そうした状況下で昨年12月12日に政府与党間で交わされた「道路関係4公団民営化について」の申し合わせに沿って、この2法案が提出されるに至った合理的な理由の説明を扇国土交通相に求めた。同時に小泉首相の意を受け「必要のない高速道路は作らない」と力説してきた石原行革担当相の考えを質した。
扇国土交通相は「昨年末に出された道路関係4公団民営化推進委員会の意見については、可能なものからできるだけ早期に具体化をはかっていく」などとし、その前提となる関連2法案を今国会に提出したと答弁した。また石原行革担当相は抑揚のなく原稿の棒読みした上で、「今後も必要のない高速道路は作らないとする方針に変わりはない。さらに厳格な事業評価を行い、国民への説明責任を果たすことが重要」などとする言葉のみ力説した。
次に、池口議員は本州四国連絡橋公団の債務の軽減を図るための緊急特別措置法案について質問。「本四公団への1兆3400億円投入の理由は何か」として、国費投入は行わないとしてきた小泉内閣の方針変更の理由を質した。また、「国民につけを回すことを決定したのであれば、(これまでの)巨額債務発生の原因を究明した上、責任の所在も明らかにすることが政治の責任」と断じ、扇国土交通相に説明を求めた。
扇国土交通相は「将来の国民負担の膨張を食い止める必要があるとの観点から本四公団の債務は切り離した上で、国等が提唱して適切な処理を進めるべきと民営化推進委員会の意見でも提言されている」などとするだけで、納得いく答弁はなされなかった。
続いて池口議員は、高速自動車国道法等の一部を改正する法律案について質問。地方にとって本当に必要な道路であれば国と地方の負担で造ることができるとしている法案の中身について、池口議員は「決定済みの9342キロの高速道路整備計画を精査せず、根本的な必要性を曖昧にしたまま、いったいどのようにして建設路線を選定できるのか」として、選定基準の不明確さを指摘した。
さらに池口議員は、道路整備に特定された巨額の財源である揮発油税、石油ガス税などの道路特定財源を一般財源化し、地方の自主性を尊重する観点から一般交付金財源として道路などの社会資本整備に当てるべきとする民主党案を示した。同時に、複雑かつ過重な自動車関係諸税の簡素化・適正化の必要性を指摘し、自動車重量税は本則税率に戻して自動車税と統合し、消費税との二重課税となっている自動車取得税の廃止も提案した。
池口議員は最後に「小泉内閣の目玉とされた高速道路への税金投入見直しも、いったんは道路公団への3000億円の投入を廃止して国民の支持を得たが、今法案で3000億円の税金投入は見事に復活し、自民党族議員の思惑通りに進んでいる」と断じ、首相がどう抗弁しようとも小泉内閣の公約がごまかしだったことは明確だと指摘して、質問を締め括った。
菅代表、胡錦濤中国共産党総書記・中国国家主席と会談
菅直人代表を団長とする民主党訪中団は16日午後3時15分から、北京の人民大会堂で胡錦濤中国共産党総書記・国家主席と会談した。会談では、中国共産党と民主党両党間におけるこれまでの交流の積み重ねで信頼関係を深めてきたことを評価するとともに、両国政府首脳による早期の会談実現の必要性について確認。胡錦濤総書記は「ふさわしい雰囲気と条件のもとで、両国の首脳が会うことを望む」と語った。
菅代表の新たな世紀におけるアジアの地域協力の枠組みの提起に対して胡総書記は、日中両国間、日中韓、アセアン、10プラス3などの現状のメカニズムがそのスタートになるとの認識を示した。とりわけ、日本の資金、技術、経済の力が、「ゆとりある社会」を今世紀の初めのうちに実現することをめざす中国には不可欠であるとともに、日本にとっても大きな機会であり、日中協力はWIN-WINの関係にあると発言した。
また北朝鮮の核開発問題について、米・中・北朝鮮の3カ国での協議が開催される方向との同日の報道を受けて、菅代表は中国の努力を評価し、同協議の成功を期するとともに、2月の盧武鉉韓国大統領との会談結果も紹介。今後の展開の中で日本、韓国、場合によってはロシアも関わる形での協議を求めた。これに対し胡錦濤総書記は、日中両国は多くの関心と課題を共有しているとの認識を示し、朝鮮半島の非核化、対話による平和的解決をめざすこと、そのために米朝間の対話実現が不可欠で、形式にはこだわらず、柔軟に忍耐強く働きかけていくことを強調した。
さらに、西部大開発においては、環境との調和を最優先にしていくこと、従来のように環境破壊の後に対策を講じるのではなく、開発プロセスから環境配慮をしていくこと、日本の技術、経験などで協力する点が多いことが話し合われた。
また、胡総書記も菅代表も、日中の留学生や青年交流に長く関わってきたことから、末永い日中友好の礎として、日中間での青年交流をさらに促進していくことなどが話し合われた。最後に、胡総書記は、次回はもっとゆっくりと時間を取って、是非地方を見て欲しいと発言し、菅代表もぜひ西部地域での植林など地方を訪問したいとの意向を表明、会談はなごやかなうちに終了した。
民主党訪中団はこのほか、王家瑞中国共産党中央対外連絡部部長、賀国強同党中央委員会政治局委員・組織部長、李肇星中国国務院外交部長、周明偉国務院台湾事務弁公室副主任とそれぞれ会談した。代表団は、菅代表のほか、伊藤英成副代表・『次の内閣』外務ネクスト大臣、荒井聰役員室長、ツルネンマルテイ国際局長、直嶋正行参議院議員会幹事長の5人。
ILO・トロットマン労働側理事が民主党に協力要請
政府の進める公務員制度改革についてILO(国際労働機関)が公務員の労働基本権を制約しているとして見直しを求めている問題で、ILOの労働側理事グループ議長のトロットマン氏が16日、民主党本部を訪れ、協力を要請した。
トロットマン理事は、「日本政府から提供された情報に基づいて結社の自由委員会で精査した結果、日本は87号・98号条約に違反していることが明白になった。日本政府が言うようにILOが誤解しているわけではない」と明言するとともに、民主党に対し、「連合と一体となって政府に働きかけ、国内問題として解決できるよう努力をお願いする。国内で解決できなければ、ILOが調査委員会を派遣するなど、日本は国際的にも恥ずかしい立場になる。力を合わせて取り組んでいただきたい」と解決への支援を要請した。
これに対し民主党側から出席した岡田克也幹事長らは、「民主党としても大変重要な問題と考えており、3野党で官房長官に『このままでは国会審議にも影響を及ぼすことになる』と強く申し入れた。民主党としても最大限の取り組みを行って参りたい」と応えた。
要請には、連合から村上副事務局長、中島総合国際局長、同官公部門から北岡副本部長、岩岬事務局次長が同席。民主党は岡田幹事長の他に羽田最高顧問、川端組織委員長(党公務員制度問題対策本部長)、島総務局長(同委員)が出席した。
[次の内閣]緊急事態法制とりまとめ状況を報告
民主党『次の内閣』(ネクスト・キャビネット)が16日、閣議を開き、法案への対応などを協議、決定した。
閣議の冒頭、岡田克也幹事長(ネクスト国務大臣)は、「緊急事態法制についていろいろな議論が出ることは民主党の多様性を示しており、良いことだ」と挨拶の中で述べ、「しかし法案としてまとまったものについては、しっかり尊重すべきだ」と最終的なとりまとめについて見通しを示した。
続いて、前原誠司緊急事態法制プロジェクトチーム座長から、今週から開催されている4部門合同会議での民主党の緊急事態法制に対する考え方の中間報告を受け、さらに今後全議員参加の合同会議を継続する中で論議を進めることで了承された。
法案審査は12本について行われ、そのうち主な案件は以下の通り。
1.「日本郵政公社法の一部を改正する法律案」(賛成)
2.「食品安全基本法」及び「食品安全基本法案・民主党修正」(修正が通れば原案賛成)
3.「食品衛生法等の一部を改正する法律案」(賛成)
4.「健康増進法の一部を改正する法律案」(賛成)
5.「公益法人改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備法案」(賛成)=以上閣法および民主党修正
6.「電波法の一部を改正する法律案」及び「通信・放送委員会設置法案」(賛成)=以上民主党議員立法続いて民主党議員立法「貸金業の規制等に関する法律を一部改正する法律案(ヤミ金融対策法案)」、「監獄法の一部を改正する法律案」の2つが登録された。
「松浪議員は辞職すべき」4野党が認識一致
民主党など野党4党の国会対策委員長は16日、国会内で会談し、保守新党の松浪健四郎議員が、暴力団関係者から秘書給与の提供を受けるとともに、この暴力団関係者の捜査状況を警察に照会していたことについて、「あまりにも明々白々で悪質」だとして、議員辞職すべきだとの認識で一致した。
会談後に記者会見を行った民主党の野田国対委員長は、「野党の認識を公式に明らかにした後、どのような態度をとるのか見守りたい。なお開き直って居座り続けるようなら、次の段階で新たな行動をしなければならないのではないか」と述べ、松浪議員や保守新党の今後の対応次第では、議員辞職勧告決議案の提出も視野に入れていることを明らかにした。
緊急株価対策を断行せよ(談話) 2003/04/16
民主党政策調査会長 枝野幸男
1. 一昨日、平均株価がバブル崩壊後最安値を更新し、20年ぶりの安値をつけた。この最近の底なし沼の株価下落は、小泉経済政策が完全に行き詰まっていることの証明である。実体経済、とりわけ金融システムに重大な問題があるにもかかわらず、そこに手をつけようとしないことが、こうした事態の最大の原因である。
2. 民主党は、かねてより、以下のとおり、株式市場の信頼回復と株式市場を活性化するための税制改正等を主張してきた。現下の憂慮すべき事態に鑑み、政府は面子にこだわることなく、これらの措置を直ちに実施すべきである。
○ 時限的に株式譲渡益課税をゼロ税率化する。
○ 株式譲渡損と他の所得との損益通算範囲を拡大する。
○ 長期間の株式保有を促進するため配当課税を軽減し、配当二重課税を廃止する。
○ 個人投資家の市場に対する信頼を回復させるため、日本版SEC(証券取引委員会)を設置する。3. 本質的には、小泉欠陥予算を民主党予算案のとおりに組み替えるための補正予算を、直ちに編成すべきである。安易な財政出動に頼るのではなく、税金の使い道を変えることで経済は再生できる。また、時価会計凍結などマーケットの信頼を損なう「奇策」ではなく、民主党金融再生ファイナルプランのような「王道」を行き、金融システムを再生すべきである。最近の株価下落の牽引役が銀行株であり、取引先に増資引き受けを押し付けるメガバンクの悪あがき増資が、マーケットの不信任を受けていることを、率直に認めるべきである。《民主党ニュース》