平成4811日目

2002/03/11

この日のできごと(何の日)

【鈴木宗男衆院議員】証人喚問

衆院予算委員会は11日午前、疑惑解明に向けて自民党の鈴木宗男前衆院議運委員長の証人喚問を行った。

鈴木氏は北方四島人道支援事業の国後島「友好の家」(通称・ムネオハウス)や桟橋改修工事の入札で、参加条件を地元・根室管内に限定するよう働きかけたことは認めたが、「特定の業者が頭にあったかと言えば、そういうことは全くない」と業者選定への介入を一切否定した。受注業者からの献金は合法的で不正な資金提供は受けていないと強調した。

入札条件への関与では「領土返還運動の原点である根室を返還運動の一環として政策理念からも大事にしてもらいたい、と管内からも要請があったから、地元に対する配慮があってもいいのではないかという話はしている」と述べ、地元からの要望などに基づく働き掛けだったと釈明した。

駐日コンゴ(旧ザイール)臨時代理大使へのID未発行問題に、私設秘書でコンゴ出身のムルアカ氏とともに関与したことについて「私の知っている情報、知識を(外務省に)話したことはある。言いぶりが威圧的で影響を受けたというなら反省すべき点はある」と一定の関与を認めた。

ムルアカ氏がコンゴの外交官旅券を持っており、「コンゴ通商代表機関代表」を名乗っていたとの指摘に対し「私自身は民間人という認識しか持っていない。本人の格好をつけた言動で誤解を招いたのではないか」と述べた。

受注企業からの政治献金では「政治資金規正法に基づいて、世話になっている。自民党セミナーやパーティーで協力してもらっている」と述べた。

鈴木氏は外務省などへの「圧力」は自らが「頑張りすぎた結果」と主張。反省を連発したが、辻元清美氏(社民)から「うそつき」呼ばわりされると、顔を真っ赤にして反論するシーンもあった。

国会での証人喚問は昨年2月の村上正邦氏以来。冒頭に鈴木氏が宣誓。津島雄二予算委員長が総括的に尋問した後、浅野勝人(自民)、赤松正雄(公明)、上田清司(民主)の各氏らが質問した。

小泉純一郎首相は11日昼、自民党の鈴木宗男衆院議員に離党や議員辞職を求める声が強まっていることについて「出処進退は本人が決めることだ」と、鈴木氏本人の判断に委ねる考えを示した。鈴木氏の証人喚問については「聞いてない。後で状況を聞きます」と、テレビ中継を見ていないとしてコメントしなかった。首相官邸で記者団に語った。《共同通信》

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【セリーヌ・ディオン】シングル「A New Day Has Come」発売

【有本恵子さん】「北朝鮮に拉致」

1983年に欧州で失踪した元神戸外大生の有本恵子さん=当時(23)=について、警察庁は11日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に拉致された疑いがあると認定。警視庁は同日、捜査本部を設置した。よど号事件メンバーの元妻(48)が警視庁公安部の調べに「拉致に関与した」と供述した。

公安当局がよど号関係者から拉致疑惑への関与を認める供述を得たのは初めて。全国の警察が捜査している拉致疑惑はこれまで新潟市の横田めぐみさん=当時(13)=をはじめ7件10人だったが、有本さんで8件11人となった。

元妻は公安部に「80年代に欧州で拉致対象となる人物をよど号の妻らとともに捜していた」「たまたま有本さんを見つけ、北朝鮮の(工作員とされる)外交官とコペンハーゲン経由で連れ出した」と関与を認めている。警視庁は近くデンマークなどに捜査員を派遣、裏付け捜査を進める。

警視庁などの捜査で、有本さんの欧州での足取りと元妻の供述が一致。海外の捜査当局の情報も併せて分析し、有本さんが拉致されたと認定した。

有本さんは82年4月、語学留学のためロンドンに出国。83年10月中旬にデンマークのコペンハーゲンから家族に手紙が届いたのを最後に消息を絶った。

コペンハーゲンの空港で83年7月、モスクワ行きの航空機を待つ北朝鮮の外交官と有本さんが一緒にいるのが撮影されていた。《共同通信》

【石川県警】逃走男、福井で逮捕

9日午後、金沢東署三階の留置場から、覚せい剤事件で拘置されていた。松任市、無職A被告(32)=覚せい剤取締法違反罪で公判中=が逃走した事件で、同署は11日、発生から約48時間ぶりにA被告の身柄を福井県内で確保、逃走容疑で逮捕した。また同被告と行動を共にし、逃走を手助けした金沢市、飲食店経営B容疑者(30)を犯人隠匿容疑で逮捕した。

金沢東署と福井県警によると、11日午前10時20分ごろ、B容疑者の車を運転し、同容疑者とともに福井県美浜町内を走行していたA被告を、警戒中の福井県警の捜査員が発見した。

午後0時50分ごろ、2人が敦賀市内で検問を突破したため、福井県警のヘリコプターとパトカーが追跡を開始。同1時半ごろ、福井県河野村で国道8号を封鎖していたパトカーに体当たりし、同被告は車を乗り捨てて逃走を続けたが、河川敷に転落、捜査員に取り押さえられた。

B容疑者は自分の車を同被告に提供し、逃走に加担した疑い。同被告が逃走に使用したとみられる盗難車が見つかった野々市町の大型家電販売店付近で、自転車が盗まれていたことも判明した。同署は同被告が逃走する際に自転車も使ったとみている。

金沢東署は逃走容疑でA被告を指名手配、360人態勢で、立ち回り先の張り込みや目撃情報の収集など捜査を続けていた。同署は逃走の動機や2日間の足取り、2人がいつ合流したかなどについて調べる。

これまでの調べでは、A被告は9日午後1時10分ごろ、同署三階の運動場から同じフロアの独居房に戻る途中、廊下の格子戸をこじ開けて、約8メートル下の植え込みに飛び降りて逃走した。

同被告は逮捕後、捜査員とともに金沢に向けて出発し、午後5時14分、金沢東署に到着した。《北國新聞》

【大相撲春場所】2日目

大相撲春場所2日目(11日・大阪府立体育会館)横綱、大関陣が安泰。綱とりを狙う大関栃東は栃乃洋を土俵際ではたき込んで2連勝とした。大関昇進を目指す関脇、琴光喜は大関武双山に寄り切られて初黒星を喫した。武双山も1勝1敗。横綱武蔵丸は旭天鵬を押し出して2連勝。残りの大関陣も、千代大海が小結若の里を小手投げで下し、魁皇は琴ノ若を押し出し、ともに2勝目を挙げた。若の里は2連敗。春場所の連続満員御礼は409日でストップした。《共同通信》

【参院予算委員会】

川口順子外相は11日午後の参院予算委員会で、鈴木宗男衆院議員が外務省人事に介入していたかどうかについて「所属課経由で人事当局に(鈴木氏の)意向が伝えられたことはあった。(鈴木氏は)異動が適当でないとか、特定のポストに異動させるべきであると言った」と述べ、佐藤優前主任分析官以外にも人事介入があったことを認めた。

外相は北方四島支援事業に関し「これまでの事業の在り方は望ましい姿かというと決してそうではない」と述べた上で、外務者の責任については、「新たな監査法人による調査を踏まえ、人事面を含め必要な措置を取っていきたい」と強調した。《共同通信》

【民主党・菅直人幹事長】「春に首相退陣、秋に解散も」

民主党の菅直人幹事長は11日午後、CS放送朝日ニュースターの番組収録で、今後の政局について「春に小泉政権が倒れ、秋にも衆院解散ということは十分あり得る」との見方を示した。

菅氏は「例えばペイオフ解禁をめぐって金融危機をクリアできないとなれば、解散できず退陣に追い込まれる。森政権以来、衆院選挙をせず2回内閣が代わることになり、新首相は早い時期の解散を約束しなければ、国民は納得しない」と指摘した。《共同通信》

【小泉純一郎首相】第10回IT戦略本部を開催

3月11日のできごと(何の日)【小泉純一郎首相】第10回IT戦略本部を開催
https://www.kantei.go.jp/

11日、官邸でIT戦略本部(第10回)が開催された。会議では、「通信・放送の融合」及び「IT人材の育成」について議論された。「通信・放送の融合」については、今後の規制のあり方などについて、放送関係者等からのヒヤリングを行った。

会議の締め括りに小泉首相は「通信と放送のあり方については、重要な問題であり、これから腰を据えて議論していきたい」と述べた。《首相官邸》

【アメリカ同時多発テロ事件】発生から半年

世界を揺るがし、アフガニスタンでの軍事作戦を招いた米中枢同時テロは11日、発生から半年を迎えた。世界貿易センタービルが崩壊したニューヨークでは、あの日と同じ快晴の下、約3000人の犠牲者に祈りをささげる追悼式典が開催された。

式典ではブルームバーグ市長が「われわれがテロリストに負けないことを犠牲者も願っている」と宣言、テロとの戦いをあらためて誓い合った。

米テレビ各局は10日夜から特別番組を相次いで放映、テロ数日後から控えられていたビル崩壊などの衝撃的な映像を繰り返し流しており、米市民の愛国心は「半年」を機に再びかきたてられつつある。

一方でテロの最重要容疑者であるウサマ・ビンラディン氏は捕捉されておらず、炭疽菌事件も未解決のままで、ニューヨーク市民は「次のテロ」に不安を抱きながら半年を迎えた。《共同通信》

ブッシュ米大統領は中枢同時テロから半年目に当たる11日、ホワイトハウスの追悼式典で演説し、イラク、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)など、テロ支援国家による大量破壊兵器の開発疑惑を念頭に「テロとの戦いにおいて、行動しないとの選択肢はない」と述べ、軍事力の行使も含めた強硬姿勢で臨む方針を強調した。

大統領はアフガニスタンの軍事作戦に対する各国の貢献に触れ、日本の自衛隊の給油活動に謝意を表明した。さらにテロ組織と大量破壊兵器の開発国の結託の危険を訴えた。

大統領は、テロ組織掃討のため、フィリピン、グルジア、イエメン政府への支援に乗り出したことを説明、「すべての国々はテロリストに聖域を提供しないでほしい」と各国にテロとの戦いへの協力をあらためて呼び掛けた。

また、大統領は「テロとの戦いでは休むことはあり得ない」と語り、テロリスト掃討のために支援要請のない国にも米国が追跡の手を伸ばす方針を示唆した。《共同通信》

【MLB】

米大リーグのオープン戦は11日、各地で行われ、エクスポズの吉井理人投手はフロリダ州ジュピターでのオリオールズ戦に先発し、4回を1失点(自責点0)と好投した。内容は3安打、無四球、2奪三振で三回に味方の2失策から1点を失った。緩急をつけた投球と制球力で安定した内容を見せ、オープン戦を通算し9回を自責点0とし、先発ローテーション入りへ前進した。エクスポズは1−4で敗れた。

マリナーズのイチロー外野手はアリゾナ州ツーソンでのホワイトソックス戦に1番右翼手で先発出場し、4打数1安打。第2打席で左翼線二塁打を放ち、七回に交代した。試合はマリナーズが7−5で勝った。

カージナルスの田口壮外野手はフロリダ州キシミーでのブレーブス戦の七回に代打で途中出場し、1打数無安打。以降、中堅の守備に入った。ジャイアンツの新庄剛志外野手は疲れを考慮しアリゾナ州メサでのカブス戦を欠場した。《時事通信》

【佐川清さん】死去

佐川急便(京都市)を創業した元同社会長の佐川清氏が11日午後、京都市内の病院で死去した。79歳。新潟県出身。

1962年に佐川急便を設立。一代で業界屈指の巨大企業に育て上げ、72年会長に就任した。

90年代初めの東京佐川急便事件で、東京佐川急便(後に佐川急便が吸収)から故金丸信・元自民党副総裁や暴力団幹部への違法な金の流れが明るみに出て、一大政治スキャンダルに発展。事件の責任を取り92年、代表権のない社主になった。《共同通信》

【この日の民主党】

鈴木氏喚問 「記憶にない、覚えていない」を連発

衆議院予算委員会で11日、鈴木宗男議員に対する証人喚問が行われ、民主党からは上田清司議員と原口一博議員が質問に立った。

まず、上田議員は「北方四島が返還されなくていいというような、国益を損ねる発言をしたのか」と質した。鈴木議員は「そのような話はしていない」と否定した。上田議員は外務省のメモをもとに、「北方領土は面子から主張している」「利益にならない」「要求を打ち切り、経済交流に切り替えるべき」と発言しているではないかと追及。鈴木議員は「前後の流れのなかの発言ではないか」と回答した。

続いて上田議員は「ロシアのスミルノフ参事官と会ったことはあるか。参事官の査証発行で外務省、警察庁に圧力、抗議をしたことは」と質したが、鈴木議員は「会ったことはある。査証は憶えていない」と答弁した。

さらに上田議員は、ムルアカ氏の肩書き、通商代表部代表の名刺使用について質したが、鈴木議員は「民間人という認識だった。名刺の使用については知らない」との答弁を繰り返した。上田議員は「機密漏洩罪に当たる。鈍感ではなかったか」と追及した。

上田議員はさらに、収支報告書に記載した以外の献金が島田建設などからあるのかどうかを質したが、鈴木議員は「政治資金規正法に従ってお世話になっている。細かいことは分からない」と回答。大西建設について質したところ、「お付き合いがあるかどうか分からない」と回答。また、三井物産、ダイハツなども「後援会に入っていない」とした。

上田議員に続いて質問に立った原口議員は「スミルノフさんの査証について、警察庁に抗議したのか」とまず確認した。鈴木議員は否定。また原口議員は、タンザニアの学校建設資金の送金について、鈴木議員の政治資金管理団体からの送金かどうかを改めて質した。鈴木議員は「その通り」と回答したが、日付を確認したところ、「12月1日に外務省の職員に渡したかどうか、日付は定かではない。前に渡しているのではという記憶もある」とあいまいな答弁に終始した。また、金したお金の元とされる事務所の保証金を「1350万円が戻ったされるが、どこの事務所か」と質した。鈴木議員は「十全ビル」と答えた。

福山議員、鈴木氏・外務省の黒い癒着に切り込む

11日の参議院予算委員会で、民主党・新緑風会の福山哲郎議員は、午前中に行われた鈴木宗男議員に対する衆議院予算委員会の証人喚問を踏まえ、外務省との癒着による不正疑惑を追及した。

福山議員は冒頭、北方四島へのプレハブ診療所建設問題に関連し、鈴木宗男衆院沖縄・北方特別委員長(当時)が西田外務省欧亜局参事官に対して行った発言を記録した外務省の文書を取り上げた。それによると、鈴木氏は「北方領土問題というのは、国の面子から領土返還を主張しているにすぎず、実際には島が返還されても国としては何の利益にもならない。そうであれば、戦後50年もたって返還されないという事実を踏まえ、わが国は領土返還要求を打ち切って、四島との経済交流を進めていくべきと考える」などと発言している。

福山議員は国の政策と異なる発言ではないかと指摘した上で、「こういう考えをもった議員であることをわかった上で、北方四島人道支援事業を継続してきたのか」と外務省の姿勢をきびしく批判した。

実際、7日の同委員会質疑で、北方四島支援事業の実施主体である「支援委員会」の事務局長は、外務省内で鈴木議員に近いとされる前駐コンゴ大使であることが判明したが、これに加えて福山議員は、現在の外務省ロシア支援室の主席事務官についても追及。これも鈴木議員との密接な関係が指摘されている佐藤優前主席分析官がいた国際情報局分析第一課の人物であることが明らかになり、鈴木議員の外務省人事への介入が鮮明になった。

次に福山議員は、2000年4月3日~5日にテルアビブで開催されたロシア外交政策に関する国際会議の参加費用を、東郷欧亜局長の指示で支援委員会が捻出したと報道された問題について質問。「支援委員会が支出した」とする斎藤欧州局長に対し、ロシア側代表が空席のまま97年から5年近く委員会の会合も開かれていない状況の中で、どのように参加費用捻出の決定が下されたのかを追及した。

決裁書やメモの提出を求めた福山議員に対して、川口外相は「今までとまったく別の監査法人をつかって監査を行い、適切でないものはすべて挙げ、改めていく」とし、「今までの姿は決してあるべき姿ではない」などと答弁した。しかし、福山議員は「改めていく、改革をしていく、ちゃんと調査する、というのは当たり前。不適切だと(外相が)述べているにもかかわらず、起こった問題に対して誰も責任をとっていない。改革しますだけでは許されない」として、厳しく批判した。

さらに、いわゆるムネオハウスやディーゼル発電施設をつくった場所は国有地か私有地か、と追及。「四島の固有の主権を主張しているわが国が、なぜ無断で建物を建てることができるのか」、「百歩譲って国有地であるとしても、国有財産法14条1項の『財務大臣との協議』はなされたのか」などの問題点を質した。

追及に対して斎藤欧州局長は「戦後50年以上にわたり、わが国固有の領土であるがロシアが不法に占拠している。ロシア側の法律を前提にしたような支援をするわけにはいかない。であるがゆえに、支援委員会という国際機関を設立し、支援をしてきた」といった答弁を繰り返し、土地の帰属についてあくまで明確な答弁を回避した。

福山議員は「地権者に国として何の手続きもしないで建築してしまうと、ロシアの主権を認めてしまうことになりかねない」と指摘。そうであるからこそ、河野外相(当時)は支援事業に対して当初は慎重に対処していたことを明示した上で、国益を損なう事態を招きかねない鈴木議員の暴挙を改めて指摘した。

江田議員、鈴木氏の不当な外交介入について追及

民主党の江田五月議員は、11日の参議院予算委員会質疑で福山哲郎議員に続いて質問し、北方四島での診療所建設やディーゼル発電所建設問題、鈴木議員が友好議連会長職にあるアフリカのODA問題、ロシアからの水産物密輸疑惑をめぐって、鈴木議員による外務省への不当な圧力などを厳しく追及した。

江田議員はまず、福山議員の質問との関連で「北方四島への支援は食料や人道に限られていたものが、診療所やディーゼル発電所建設までズルズルと拡大している。政策の変更があったのではないか」と質した。川口外相は「鈴木議員からの影響はあったと思う」「しかし、北方四島への支援のあり方に変更はない」と答え、鈴木議員と外務省の政策変更との関係については明言を避けた。

また、四島への固定施設設置はロシアによる主権侵害の固定化につながらないかという疑問に対して、川口外相は「診療所やディーゼル発電所建設は、プロジェクトごとに口上書を取り交わしており、いかなる工事も両国の立場を害さないこととしている」とし、口上書により国益は担保されていると答弁。江田議員は「口上書を取り交わせばそれで日本の立場は害されないと言いきれるか」とさらに追及すると、外相は「(北方四島への支援は)好ましいものと言えない」ことを認めた。

続いて鈴木議員が友好議連会長職にあるアフリカのODA問題について、江田議員は「鈴木議員が議連会長職にある16か国はフランス語圏。秘書のムルアカ氏の母国語もフランス語であり、鈴木議員とODAとの関係を調査すべきではないか」と質した。小田野アフリカ審議官は「99年2月の時点でムルアカ氏が公用旅券を所持していることを知り得たが、外務省としての対応は至らなかった」と陳謝。西田経済協力局長は「16か国のODAに関するものは72件あり、早急に提出する」と調査報告書の提出を明言した。

ロシアからの水産物密輸疑惑について江田議員は、「密漁、密輸、ポートクリアランス(積み出し証明書)の偽造が行われている疑いがある」ことを指摘。武部農水相は「ポートクリアランスの発行が地方政府で行われているか確認中。現在、税関では写しをとることにしている」と答弁。福田官房長官から「速やかに事実解明に努める」との回答を引き出した。

「再喚問と議員辞職を求める」上田・原口両議員が会見

民主党の上田清司衆議院議員と原口一博衆議院議員は、予算委員会における証人喚問での質問を終えて、11日夕、記者会見し、鈴木宗男議員の偽証は明らかだとして、再喚問と議員辞職を求めた。

上田議員は、鈴木議員は次の3つの点で偽証の疑いが濃くなったとした。1つは「北方領土は返還されなくていい」などと発言した件。上田議員は「これは、外務省が3月6日に私の所に持ってきたメモと明らかに食い違い、しかもこのメモは関係者に配布されている」と述べた。2つ目は、ロシア大使館のスミルノフ参事官の件。鈴木議員は「記憶にない」と証言しているが、上田議員は「警察庁が言っていることと違う」と指摘した。

3つ目はタンザニアの学校建設資金供与の件。上田議員は、「事務所の保証金が戻ってきて、それを充てた」としているが、事務所のある十全ビルのオーナーが「使用している人がいれば、保証金を戻すことはありえない」と証言していること、206号室の家賃は月56万円ほどで保証金はその1年分だから、鈴木議員が主張した1350万円の半分にしかならないことなどを挙げ、偽証の可能性が強いと指摘した。

原口議員は、ムルアカ氏の肩書きの件で、鈴木議員が自民党国防部会長、外務委員会理事の肩書きで、ムルアカ氏のビザの発給を要請している東京入国管理局あての文書のコピーを提示。文書には、ムルアカ氏について「鈴木宗男特別顧問であり、同時に、ザイール日本通商代表機関の常務理事」と明確に書かれており、「民間人という認識だった」という鈴木議員の証言は嘘である疑いが濃厚だとした。

また、タンザニアの学校建設資金についても、外務省職員に送金を依頼したという2000年12月1日の自民党の動きを克明に示してアリバイを崩し、「送金された800万円は外務省のプール金か、ODAの還付金の疑いが濃い」とした。

原口議員はこれについて、「外務省職員の外為法違反、所得税法違反の共同正犯にあたる」と指摘、鈴木議員本人は「大臣の地位利用の背任・横領罪、入札妨害、収賄罪にあたる」として、鈴木議員の再喚問と議員辞職を求めた。また、すべての委員会で鈴木議員の疑惑を解明していくとした。

「偽証とごまかしで疑惑深まった」鳩山代表

11日、衆議院予算委員会で行われた自民党の鈴木宗男議員への証人喚問に対して、民主党の鳩山由紀夫代表が記者団にコメント。あいまいな問題や偽証の可能性も明らかになり、「ますます疑惑は深まった」として、参議院でも喚問を求めるほか、4野党が提出を予定している議員辞職勧告決議案に与党も巻き込んでいく考えを示した。

鳩山代表は、鈴木議員の証言について、「北方領土返還が夢」「民族の悲願のために純粋にやってきた」といった発言や、私設秘書のムルアカ氏が「公務員であるとは知らなかった」と語ったことなどを、「偽証の疑いが大きい」と指摘。また、北方四島支援事業などで、金の問題になると「記憶にない」などと途端にあいまいなったことなどを挙げ、「ますます疑惑が深まった」と述べた。

これを踏まえて今後は、参議院でも証人喚問を要求するなど両院で疑惑追及を強めるとし、野党4党共同の議員辞職勧告決議案については、与党の動向も見ながら「絶妙のタイミング」で提出したいと述べた。

4野党、鈴木議員辞職勧告決議案提出へ大詰め協議

野党4党の国会対策委員長は11日、国会内で会談し、鈴木宗男議員に対する議員辞職勧告決議案の提出について国対レベルで基本的に合意、12日午前までに各党党内調整を行った上で最終結論を出すことを確認した。

この会談に先だって会合を行った野党合同外務省疑惑解明プロジェクトチームは、同PTが現地調査などで明らかにしてきた北方領土支援事業に対する鈴木議員の不正な関与が本日の証人喚問で明白になったとして、野党各党の国会対策委員長に同決議案の提出を申し入れた。上記会談はこれを受けてのもの。

同会談では、証人喚問を踏まえ、法に明らかに触れるいくつかの鈴木氏の行為については、議員辞職勧告だけではなく、刑事告発についても検討することで合意した。今後、野党合同PTで具体的な罪名も含め検討を進める。

会談後記者会見した民主党の熊谷弘国対委員長は、「これで仮に鈴木氏が議員辞職したとしても、厳しく真相解明に努める」と強調した。《民主党ニュース》



3月11日 その日のできごと(何の日)