平成3966日目

1999/11/17

この日のできごと(何の日)

【自由党・小沢一郎党首】連立離脱を否定

自由党の小沢一郎党首は17日午後の記者会見で、介護問題以外にも自自公3党合意に基づいて取り組むべき重要課題があると強調、連立政権にとどまり政策実現を優先する考えを示し、当面の政権離脱を否定した。

介護保険制度見直し対策費を計上した1999年度第2次補正予算案については「賛成できない」とたが、離脱と絡めた争点としないことを明確にしたことから、補正予算案には最終的に反対せず、柔軟対応をする方向が固まった。

小渕恵三首相は同日夜、記者団に小沢氏発言を歓迎する意向を示した。小沢氏は来月15日の会期末に向け、自民党との合流の可能性を模索することになりそうだ。《共同通信》

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【J1】

Jリーグ1部(J1)第12節最終日(17日・駒場スタジアムほか=7試合)2部(J2)降格の危機に立つ浦和レッズとジェフ市原が直接対決し、ベテラン福田の貴重なゴールで浦和が1−0で勝った。

首位を走る清水エスパルスは最下位のベルマーレ平塚を2−1で退け、初のステージ制覇へ着実に前進。平塚はJ2降格が決定的になった。2位の柏レイソルはアビスパ福岡に3−1と快勝し、3位の横浜F・マリノスも京都サンガを2−0で破った。

このほか、名古屋グランバスはガンバ大阪に2−1で競り勝って7連勝。セレッソ大阪はヴェルディ川崎き2−1で下した。《共同通信》

【大相撲九州場所】

大相撲九州場所11日目(17日・福岡国際センター)大関出島が琴ノ若を押し出し、10勝1敗で単独トップを守った。2敗は同じ小結の安芸乃島を寄り切った土佐ノ海1人になった。関脇栃東は小結武双山に押し出され、平幕闘牙は横綱貴乃花に敗れ、ともに3敗目を喫した。両横綱は勝ち越しが決定。武蔵丸は蒼樹山を下し、自己の史上1位記録を更新する55場所連続の勝ち越しとなった。武蔵丸の単独での年間最多勝も決まった。大関同士の一番は、千代大海が貴ノ浪を突き落として8勝目。かど番の貴ノ浪は5勝6敗となった。1敗の出島を土佐ノ海が2敗で追い、3敗で両横綱と千代大海、栃東、闘牙の5人が続いている。十両は大碇と小城錦が9勝2敗でリードしている。《共同通信》

【江藤智内野手】巨人と初交渉

広島からフリーエージェント宣言した江藤智内野手は17日、東京都内のホテルで巨人と初交渉した。入団交渉は阪神、横浜に続き3球団目。長嶋茂雄監督、山室寛之球団代表との約1時間半の話し合いでは、複数年契約を含む条件が提示されたが、江藤は即答を避けた。

交渉では、江藤と同じ背番号の長嶋監督が「33」を譲ってもいいと言葉をかける場面もあった。江藤は巨人の熱意は十分に感じた様子で「すごく強い意志のもと、誘ってもらっていると思った」と述べ、長嶋監督は「チームのけん引役になってほしいと言った。好印象を持ってお別れできた」と話した。

江藤はこれで獲得に名乗りを上げた3球団との一回目の交渉を終了した。次回交渉を待たずに結論を出す。可能性を否定しなかったが「今の段階では球団を選ぶのは難しい。本当にここに行きたい、という気持ちを抱けるまで、ゆっくり考えたい」と語った。

最後の交渉相手の巨人との話し合いを終えた江藤は硬い表情で報道陣の前に現れた。長嶋監督の印象を尋ねられると「すごく強い意志のもとに誘ってくれていると思った」と話したが、背番号33を譲られるという話しには「荷が重いですね」と苦笑した。

これで阪神、横浜、巨人と続いた交渉が終了。「それぞれにいい話しをもらい、いい雰囲気だった。決めるのは難しい。22、3日まではゆっくり考えたい」。一度、広島に戻り、家族と相談して結論を下すという。《共同通信》

【ロシア・エリツィン大統領】「年内訪日ない」

18日からの欧州安保協力機構(OSCE)首脳会議に出席するためイスタンブール入りしたエリツィン・ロシア大統領は17日、日本政府が年内の実現を目指している大統領の日本訪問について「今年はない」と言明した。宿泊先のホテルに到着した際に共同通信の質問に答えた。

大統領が内は訪日しない意向を公の場で直接明言したのは初めて。

日ロ両国政府が平和条約締結の目標期限とすることで合意した2000年を前に、日本政府は、こう着状態にある平和条約交渉の打開を大統領の年内の訪日時の「政治決断」に期待していただけに、日本側が戦略の立て直しを迫られるのは必至となった。

大統領は来年以降の訪日の予定など具体的なことには触れなかった。

エリツィン大統領の次の訪日時には、昨年11月の小渕恵三首相のモスクワ訪問時にロシア側が示した北方領土問題の解決を事実上先送りする内容の平和条約締結案に対し、日本側が回答することになっている。

日本側は引き続き早期の訪日実現を要請するものとみられるが、今後は小渕首相がロシアを再訪問する案が浮上する可能性もある。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・自民党の池田行彦総務会長は17日、都内のホテルで開かれたパーティーで「昔は政策の方向、大枠は見当がついていて、規模とスピードを考えればよかった。今は方向性についていろいろな考えが出ている。連立政権だから、他党との調整も大変だ」と、自自公連立政権のかじ取りの難しさをひとしきり強調した。池田氏が所属する派閥の会長で、最近再び連立批判を強めている加藤紘一前幹事長に対する当てこすりの意味もあったようだが、先にあいさつした加藤氏は既に会場の外。池田氏の思いも空振り。《共同通信》

【児童虐待】犠牲者は41人

子供への虐待の情報などを受けて児童相談所が相談や指導に乗り出していながら、親の暴力などで死亡した子供が平成10年度も8人に上ったことが17日、厚生省の調査で分かった。死後初めて相談所が知ったケースも28件、33人に上り、同省が把握できた一年間の児童虐待の犠牲者は41人だった。

死後に相談所が知ったケースについては今回が初めての調査となる。虐待の相談件数は6932件に上ったことが既に公表されているが、相談所が対応を積極化した結果、子供を親から緊急避難的に引き離す「一時保護」は前年度より400件余り増え2053件となった。

相談所関与後の死者は前年度の15人から半減したが、厚生省は「重く受け止めている。相談所が関与する限り、死者はゼロであってほしい」としている。

相談所関与後の死亡例の内訳は、育児方法の指導中が4人、情報収集など初期段階と指導の終結後がそれぞれ2人で、一時保護を実施した例はなかった。

大阪府では、母親(17)の虐待を受けた生後3カ月の双子の弟が硬膜下血腫で入院、保健所の連絡で相談所が対応に動くさなかに、双子の兄の方が硬膜下血腫で死亡。埼玉県では、2歳の子供を「かわいいと思えない」と虐待者の母親自身が相談に訪れながら死に至った例もあった。

死後に把握できた33人は①心中を含む突発的暴力が15件、18人②食事不与やふろでの水死6件、8人③日常的虐待2件、2人の置き去りや車内放置などネグレクト型4件、4人で、残る1人は乳児の頭部を激しく揺さぶったため脳が損傷する「乳児揺さぶり症候群」が疑われた。

また、ひどい虐待のケースについて、児童相談所が子供を施設や警察などに一時保護する強制的な権限を行使した例は、厚生省が毅然とした対応を求めたこともあって、前年度の1647件から2053件に増えた。

虐待相談6932件の処理結果をみると、面接指導が約70%、児童養護施設や乳児院などへの施設入所が約20%。面接指導のうち、児童福祉司が対応に乗り出す複雑・困難なケースが272件から458件に増え、問題の深刻化を示した。《共同通信》

【小渕恵三首相】補正予算「3党提出を確信」

小渕恵三首相と野党党首による2回目の党首討論会(クエスチョンタイム)が17日午後、参院で実施された。

首相は、介護見直し経費を含む1999年度第2次補正予算案について「内閣が提出する場合には(自自公)3党として提出できる態勢を整えられると確信している」と述べ、自由党の賛成を得るため全力を挙げる考えを示した。自由党との合流問題については「私自信が働き掛けをすることではない。(小沢一郎自由党党首と)今般の問題で話したことはない」と強調した。

民主党の鳩山由紀夫代表は、政府の介護保険負担軽減策について「本来(保険料は)自治体が決めるものであり、国家権力の暴挙だ」と批判。首相は「制度の円滑な実施のために、政府と地方自治体が相協力して進めることは、究極は介護を受ける人のためになる。地方自治体が賛成、協力してくれるよう努力する」と反論した。

首相は10日の1回目の党首討論で逆質問を控えたが、今回は共産党の不破哲三委員長に「保険料を徴収しないで介護の新しい制度をやっていけるのか、伺いたい」と切り返す場面もあった。社会党の土井たか子党首は、政党支部への企業・団体献金の禁止を求めたが、首相は「政党への献金は法的に許される」と突っぱねた。《共同通信》

「保険料は取らないで、介護制度をやっていけると考えるのか」−。小渕恵三首相は17日の党首討論会で共産党の不破哲三委員長にこう質問するなど「反論権」をしきりに行使、野党党首に切り返す場面もあった。

鳩山由紀夫民主党代表が介護保険をめぐる自自公政権の迷走ぶりを追及したのに対し首相は、「民主党は国旗国歌法で考え方が分かれた」と先の通常国会での民主党対応をちくり。小渕政権で国債を50兆円増発したとの指摘にも「民主党は一切国債の発行を認めない、増加はいけないとすると、経済発展はどのようにするのか」と逆に追及。鳩山氏は「この問題は今度、じっくり議論する」と深入りを避けた。

首相は、不破氏が介護保険の負担軽減策をただしたのに対し、共産党機関紙「しんぶん赤旗」の記事を持ち出し「『施設が全部できれば』(保険料を取る)と言っているが、いつまでにどのような施設ができれば保険料を取るのか」と反論、与党席からは拍手がわいた。

討論後、記者団から感想を聞かれた首相は「(野党)党首のみなさんが首相になったらどうするんだ、ということを質問させてもらいたい。こちらのグラウンドでやらせてもらえれば」と述べ、今後の党首討論に自信を持った様子だった。《共同通信》

野党党首と小渕首相が直接討論するクエスチョンタイム(党首討論)の第2回目が17日、参議院第一委員室で開かれた。第1回目同様、民主党から鳩山由紀夫代表が26分の持ち時間で、警察の不祥事や自自公政権、介護保険問題を取り上げ、論戦を挑んだ。

●責任を感じない「人ごと総理」

鳩山代表は、まず最初に警察の不祥事問題を取り上げ、「国民が一番不審に思っているのは、『結局、お巡りさんはつかまらないんですね』ということだ」と口火を切った。小渕首相は、「今回警察で起こった不祥事は言語道断。行政の最高責任者としては看過できない問題」だと答えたが、鳩山代表はさらに「言語道断とおっしゃるならご自身の責任はどうなのか。国家公安委員長の罷免はしないのか」とさらに突っ込んだ。

首相が「(情報が)上がってこないシステムも問題だ。再発しないよう対処するのも責任の取り方」と述べると、鳩山代表は「まるで人ごとのような話で『人ごと総理』と申し上げなければならない。書類送検だけで逮捕もされない」と批判。首相は「総理が逮捕を命ずることは民主主義の基本に反する」などと筋違いな反論をした。

●自自合流話は、政権の末期症状だ

次に、「自由党と自民党との合流話をもちかけたのは、首相か、小沢党首か」と鳩山代表がただしたのに対し、小渕首相は「私は働きかけたことはない」とはぐらかしたが、鳩山代表は「政策の一致ができないから合流するという話が出てくること自体、政権の末期症状だ。小泉(純一郎)さんは『笑っちゃう』とまで言っている。小沢氏に振り回されている首相や自民党に問題があるのでは」とさらに追及。

首相は色をなして「すべての政策が一致すれば党が分かれている必要はない。全部一から百まで一致しなければ連立が組めないとすれば、それはできかねることだ」と開き直った。鳩山代表が「もし自由党が補正予算案に反対することになれば、政権与党の中にいることはないのが当然ですね」と迫ると、首相は「3党で提出できる態勢ができると確信している」と言い逃れた。

●自民党パンフでは自自公政権は違憲?

鳩山代表は、3年前の衆院選の時に自民党が作ったパンフレットの中に「一宗教団体が支配する政党が政権を握ったり、ましてやその宗教団体の指導者によって、政権の一挙手一投足が左右されるという事態は、憲法20条に定める『いかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならない』に明らかに違反します」と書いてある事実を指摘し、「書いてあることを当てはめれば自自公政権は憲法違反ではないか」と攻撃した。小渕首相は「政治の世界ではいろいろ変化がある」「当時はそういう考え方が党の大勢で、そうした建前で選挙を戦ったのは事実だ。しかし、現在、公明党は憲法20条に全く違反するものではないという認識に小渕内閣は立っている」と弁明に追われた。

●保険料凍結は国家権力による自治体への暴挙

続いて、鳩山代表は介護保険制度見直しの与党合意に言及。「これが(市町村の)自治事務であることをご存じか」と首相の認識をただした上で、「新しい地方分権の時代を、この介護保険から切り開いていくという勢いで、市町村長や知事が非常に努力してきた。そうしたら突然、国家権力が介入し、保険料凍結をする。国家権力による自治体に対する暴挙だ。法律違反だ」と厳しく批判した。

首相は「究極的には介護を受ける方々には理解してもらえると思っているし、地方自治体でも来年以降、3年間の保険料を決定するにあたって、国としての方針が出れば協力いただけるものと努力する」と述べたが、鳩山代表はすかさず「保険料決定、と発言したが、税方式はなくなったと解釈していいのか」と、自由党の主張とのずれをとらえて問いただしたが、首相は「財源は今、3党間で検討中で、補正予算の段階で結論をつけなければならない」と述べるだけだった。

●9000億円の借金は未来へのつけ回し

鳩山代表は「保険料の徴収を遅らせることで、9000億円の借金を未来の世代につけ回すことになる。国民は怒り心頭に発している」と、財政の健全化と絡めてさらに追及したのに対し、小渕首相は「確かに財源は国債に委ねざるをえないから、当然、後世につけを回すことになるが、新しい制度にスムーズに入っていくためにはやむをえない」と開き直りとも取れる見解を示すだけだった。

また、鳩山代表が「小渕首相が就任後、首相の判断で増えた借金は50兆円だ」と述べると、首相は「民主党は国債の発行を認めないで、景気回復をどうするのか」などと揚げ足取りのような極論を持ち出す始末だった。

最後に、鳩山代表は来年7月の沖縄サミットについて、東アジア、北東アジアの平和の礎を築くために、中国の江沢民国家主席と韓国の金大中大統領をゲストとして招くよう提案し、質疑を締めくくった。

●誰から見ても数合わせ印象づけたい=鳩山代表

討論を終えて、国会内で記者会見した鳩山代表は、「初回に比べ、2回目はお互いに余裕ができたと思う。これからも、自自公政権が誰から見ても数あわせだと印象づけていきたい」と述べた。また、討論の方法について鳩山代表は、「立ったまますぐ発言できるようにした方がいい」と要望を示すとともに、「いずれにしてもコンパクトにしっかりとしたメッセージを出せるよう、こちらの工夫が肝心だ」と述べた。《民主党ニュース》

【民主党ニュース】

年金制度改正法案が衆院で審議入り

●21世紀の社会には医・職・住の充実を

衆議院本会議で16日、前の国会から継続審議となっていた年金制度改正関連法案の趣旨説明と各会派の代表質問が行われ、民主党から山本孝史議員が質問に立った。

年金改正法案は、年金制度を将来支える現役世代の保険料負担を軽減するため、(1)厚生年金の「報酬比例部分」の支給開始年齢を2013~2025年度にかけて段階的に65歳に引き上げる(2)2000年度から報酬比例部分の支給水準を5%引き下げる――などの抑制策を盛り込んでいる。

山本議員は、まず介護保険制度の見直し問題に言及。特に、丹羽厚相に対しては「厚生行政に精通され、確固たる理念を持つ厚相が今回の見直し案を認められたことに大変ショックを受けた」「小泉(純一郎)元厚相なら大臣の椅子をかけても反対されたはず」と迫った。これに対し、丹羽厚相は「混乱なく新しい制度に移行させるための措置」「制度の理念、枠組みを揺るがすものではない」などと苦しげに答弁した。

年金制度に質問を移した山本議員は、今回の改正に含まれる「国民年金保険料の半額免除制度」について、「一見もっともらしく聞こえるが、もとはといえば一律の定額制である国民年金保険料が高すぎる」と指摘、基礎年金の財源を全額税でまかなう新たな「国民基本年金」制度の創設を求めた。

また、年金額のスライド方式の変更について、山本議員が「今後とも給付乗率がさらに引き下げられないと断言できるか」と迫ったが、丹羽厚相は「現役世代の手取り年収のおおむね6割という水準を極力維持できるよう努めていきたい」など通りいっぺんの答弁に終始。

年金福祉事業団の解散に伴う、大規模年金保養基地「グリーンピア」の地元自治体への譲渡が難航していることについても山本議員は追及したが、「譲渡を促進するため一定の条件のもとで減額措置などを講じたい」など、新味に乏しい内容だった。

山本議員は、21世紀の日本社会には「医・職・住の充実」、すなわち安心できる医療提供体制の「医」と、選択と自己実現が保障された、NPOなども含めた「職」、ケア付きの住まいとしての「住」の、それぞれの充実を図るべきと述べて、質問を終えた。

選挙制度協議会で与党側が暴挙~協議打ち切りを一方的に宣言

選挙制度等に関する与野党協議会の実務者会議が17日午後、国会内で開かれ、自自公3党側は衆院比例代表定数を20削減する公職選挙法改正案を今国会に提出すると通告し、一方的に協議の打ち切りを宣言。民主党、共産党、社民党はこれに強く反対したが、与党側は退席した。

会議後、民主党の羽田孜幹事長、共産党の志位和夫書記局長、社民党の渕上貞雄幹事長が共同で記者会見し、羽田幹事長は「多数決ではやらないという約束事が踏みにじられた。こんなバカな話はない」と強く批判。「ただちに幹事長、書記局長からなる本協議会を開催する」ことを3野党の幹事長・書記局長の連名で、自民党の森喜朗幹事長に申し入れた。

協議会では野党側が、与党が提出した衆院比例定数の20削減について、「どのような理念、哲学があるのか」と説明を求めた。しかし、単に陪席していたはずの森幹事長は、与党3党合意の文書を読み上げただけで説明を拒否。12日に野党三党が与党各党へ渡していた質問書への回答も一切なかった。この後、自民党の与謝野馨座長が「話し合いは平行線だ。あとは委員会で決着をつけてほしい」と一方的に打ち切った。

会見で羽田幹事長は、「削減数が50から20に変わったことへの与党側の説明は全くあいまい。筋が通らない。小選挙区比例代表並立制を貫くかどうか、選挙制度の将来像もばらばらだ」と批判するとともに、「こんな無茶なやり方は過去にはない」と憮然とした表情で語った。共産党の志位書記局長も「削減論議には理念も哲学もない。また実務者会議に本協議会を無視して勝手に国会に出す権利はない。野党が反対しても与党だけで都合のいい選挙制度に改変することが許されれば、永久独裁政権になる」と批判。社民党の渕上幹事長も「選ばれる側だけで選挙制度を決めていいのか」と述べた。

これに関連して、民主党の川端達夫国対委員長は18日午前の記者会見で、衆院の政治倫理・公選法改正特別委員会では比例定数20削減の修正案の審議には応じず、政治家個人への企業・団体献金禁止措置を講じるための政治資金規正法改正案の審議を最優先に求める考えを示した。

中小企業基本法改正案、参院へ

参議院本会議は17日、民主党も賛成して衆議院を通過した中小企業基本法改正案に関する趣旨説明と質疑が行われ、円より子議員が中小企業政策へのビジョンや商工ローンの根源的問題について、小渕首相や関係各大臣の見解をただした。

まず、円議員は衆議院における同法の審議に小渕首相が出席しなかったことを批判した上で、中小企業政策に対する将来まで見通した基本理念とビジョンについて答弁を求めた。これに対し小渕首相は「中小企業はダイナミズム・イノベーションの源泉であり、地域経済活性化も期待できる。現場の声を聞いて政策に反映させたい」と応じた。

続けて円議員は、「商工ローンに対する批判は当然としても、多額の公的資金が導入された銀行からの融資が得られないために、やむを得ず商工ローンから借りていた小企業も多い。今度は商工ローンからも借りられなくなったらどうするのか」と指摘し、さらに「なぜ商工ローン業者は実質的にもう少し低い金利で、健全な貸し付けをやれなかったのか。銀行もリスクを予測し、それに対応した利率を設定するノウハウが欠如しているのではないか」と政府の責任を問いただした。

これに対し宮澤大蔵大臣は、これまで日本の銀行が護送船団方式で競争もなく、経営努力を怠ってきたのを認めた上で、「商工ローンへ多額の融資をしていた13行の実態調査を公表し、金融機関の適正な融資の拡充に努める」と前向きな姿勢を示した。深谷通産大臣もリスクに応じた融資について「一部金融機関で始まりつつあり、政府系金融機関や信用保証協会の情報を共有できるようなデータベースを構築している」と述べた。

これに関連し、民主党で既に前国会から提出している「出資法等改正案」についての考えを大蔵大臣に迫ったが、「現在党で検討中。社会悪は取り除かなければならないが、借りたい人には資金が届くような形で立法できるよう政府としても貢献したい」と前向きながらも、政府の後手後手の対応を如実にあらわした。(記事提供:円より子事務所)

商工ローンの過剰貸し付け・保証を禁止/貸金業規制法改正案の骨子まとめる

民主党は、大きな社会問題となっている商工ローン業者の、債務者の返済能力を無視した過剰貸し付けや根保障契約の悪用などを防ぐために、貸金業規制法の改正案の骨子をまとめ、17日のネクストキャビネットの閣議で了承した。岡田克也財政・金融担当大臣が同日夕、国会内で記者会見し発表した。民主党では、すでに法定利息の引き下げとグレーゾーン金利の解消を目的とした出資法等改正案を国会に提出している。

改正内容としては、(1)「過剰貸し付け及び過剰保証の禁止」=顧客の返済能ヘを超える貸し付け、角の保証の申し受け、保証人の保証能力を超える保証契約を禁止し、違反した業者に対しては行政処分を課す。(2)「説明及び書面交付の義務」=顧客及び保証人に対する事前の説明及び書面の交付を義務づけ、違反した業者に対しては行政処分を課す。特に、保証人に対しては、主債務者の借り入れ残高及び返済状況、根保証契約の場合その仕組みや限度額等について、十分な説明をしなければならないものとする。(3)「保証契約の取り消し」=保証人に対して虚偽の説明があった場合、保証人は保証契約を取り消すことができるものとする。(4)追加貸し付けに際しては根保証人に対する書面の交付を義務づける――の4項目が柱。

民主党ではこの臨時国会での提出をめざして、法案化作業を続けている。



11月17日 その日のできごと(何の日)