平成3959日目
1999/11/10
この日のできごと(何の日)
【最高裁】重複立候補は合憲
小選挙区比例代表並立制が初めて導入された平成8年10月の衆院選について関東5都県の有権者が「重複立候補や最大2.31倍の選挙区間人口格差は違憲」などと選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・山口繁長官)は10日、いずれも合憲と判断、一審東京高裁判決を支持し有権者側の上告を棄却した。
判決は重複立候補制をめぐり、復活当選や、無所属候補が政党所属候補に比べ選挙運動の範囲が狭い点について「国会の裁量範囲内で、選挙を政策、政党本位とするなどの理由から合理性がある」などとした。
小選挙区比例代表並立制についての最高裁の憲法判断は初めてで、国会の選挙制度改定論識にも影響しそうだ。
山口長官を含む9裁判官の多数意見。河合伸一裁判官ら5人は「人口格差が大きすぎる」などとして違憲との反対意見を示した。
判決は復活当選について「重複立候補制では小選挙区、比例代表の一方で落選し他方で当選することがあるのは当然」と指摘。有権者側の「落選させる意思を反映していない」との主張には「小選挙区の民意に照らせば議論があり得る」とした。
また選挙区間の最大人口格差が区割り段階(2年国勢調査)で約2.14倍、選挙直前の7年国勢調査では約2.31倍だったことについて、有権者側は「衆議院議員選挙区画定審議会設置法が『2倍未満が基本』とした規定に反する」としていたが、判決は過去の最高裁判例に沿い「投票価値の平等は唯一絶対の基準ではない」と指摘。「現制度は人口比について十分配慮している」と主張を退けた。
しかし同時に「改正当初から2倍を超えたことには議論があり得る」と付け加えた。
無所属候補と既成政党所属候補の格差について「政党本位の選挙には無所属候補との差は避け難い。しかし政見放送が政党のみとされたことには疑問もある」とした。
違憲とした5裁判官は無所属候補の扱いについて「選挙運動の格差は質量ともに大きく、正当な理由はない」とした。
また人口格差について河合裁判官ら4人は「2倍を超えれば原則として平等が侵害される。小選挙区制では、中選挙区制より平等を厳守すべきだ」とし、現行制度が各都道府県単位で人口比の議席配分プラス1になっていることを「このような過疎地対策は許されない」とした。
福田博裁判官は「格差は可能な限り1対1にするのが文明社会の常識。違憲と断じるのが司法の責務だ」とした。
大法廷の全15裁判官のうち、内閣法制局長官として並立制を定めた公選法改正に関与した大出峻郎裁判官は今回の審理に参加しなかった。《共同通信》
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【宇多田ヒカルさん】シングル「Addicted To You」発売
【日経平均終値】1万8567円87銭
10日の東京株式市場は、政府の経済対策が予想を上回る規模になると伝えられたことなどから景気回復期待が強まり、平均株価(225種)は大幅続伸した。終値は前日比275円71銭高の1万8567円87銭と、7月19日に付けた年初来高値を約4カ月ぶりに更新し、平成9年9月10日以来2年2カ月ぶりの高水準となった。出来高は約7億300万株。
前日のニューヨーク株安を受けて、朝方は売り注文が先行。その後、政府が11日に策定する「経済新生対策」が15兆円を上回る規模になると伝えられたことなどをきっかけに、主力の情報通信関連やハイテク株を買う動きが強まり、相場を押し上げた。《共同通信》
【プロ野球】10選手がFA
プロ野球のフリーエージェント(FA)宣言選手が10日、コミッショナー事務局から公示された。今季終了時点での有資格者は62人だったが、結局10人がFA宣言した。
ダイエーを初の日本一に導き、パ・リーグの最優秀選手に輝いた工藤公康投手や横浜の佐々木主浩投手、広島の江藤智内野手、オリックスの星野伸之投手らの大物選手が含まれている。横浜の石井琢朗内野手、中根仁外野手、阪神の伊藤敦規投手は残留合意が公示された。《共同通信》
【大相撲九州場所】4日目
大相撲九州場所4日目(10日・福岡国際センター)横綱、大関が今場所初めてそろって勝ち、いずれも1敗を守った。横綱は武蔵丸が玉春日を押し出しで下し、貴乃花は琴錦に上手投げで快勝した。大関陣は、かど番の貴ノ浪が旭鷲山を寄り切り、出島は朝乃翔、千代大海は貴闘力をともに押し出した。全勝は、武双山との小結対決を寄り切りで制した土佐ノ海と、平幕の闘牙の2人。十両は金開山がただひとり4連勝。《共同通信》
【宮澤喜一蔵相】商工ローン、法規制を
宮澤喜一蔵相は10日の会見で、今国会中に商工ローンへの法規制を実現させるべきだと見解を示した。
宮澤蔵相は、保証人が商工ローン業者結んだ根保証契約によって気付かない間に多額の債務の保証をさせられる問題について「ここまでくるとひどい。(規制をするための)議員立法が出てくるのが一番良いと思っている」と述べた。
根保証をめぐっては民主党が説明義務の徹底などを明記する貸金業法の改正案を検討している。《共同通信》
【政界談話室】
○・・・社民党の土井たか子党首は10日午後、国会内のエレベーターで自民党の森喜朗幹事長と乗り合わせ、政治家個人への企業・団体献金禁止に自民党が方針転換したことを「君子の集まりなんでしょ」と当てこすった。森氏が苦笑いしながら「ひょう変ですか」と答えると、土井氏はすかさず「いい意味もあるのよ。(政治資金規正法付則で、政党への企業・団体献金の見直しを定めた)10条もよろしくね」と追い打ち。森氏は形勢不利と判断したが、急ぎ足でエレベーターの外に。《共同通信》
【小渕恵三首相】企業献金禁止を表明
小渕恵三首相は10日午後の党首討論会で「政治資金規正法に従って企業・団体献金を受けとらないことを決めた。抜け道は考えていない」と述べ、政治家個人への企業・団体献金を来年1月から禁止する方針を正式に表明した。首相は、与党3党による政治資金規正法改正案を、今臨時国会に提出する意向を示した。
首相決断を受け、自民党政治改革本部は同日の総会で、存続の当初方針からの転換を了承した。次期通常国会での実現を視野に、政治資金集めで大きな影響を受ける地方議員への対応などについて検討を開始する。中山太郎同本部長はこの後の記者会見で、地方の意見を聴取するため、党全国幹事長会議や都道府県議長会などを開催する意向を示した。
会見で中山氏は、地方議員の企業・団体献金受け皿として地方党支部を地方議員ごとに細分化する考え方を「保守系無所属議員が多数いることからできない」と否定。地方自治体が地方議員の政治活動費を負担する案についても、自治体側が難色を示していると指摘した。
総会では「地方の議員、首長への対策が不十分だ」「介護保険問題を含め、くるくる変わるのでは国民はダッチロールしていると感じている」などの不満が出た。《共同通信》
【第146回国会】初の党首討論
小渕恵三首相と野党党首が向き合って国の基本政策などを議論する初の党首討論会が10日午後、国会内で開かれた。国会改革の目玉だが、全体で約40分間だけ。首相には野党党首への質問も認められていたが、野党の質問に答えるだけの形でほぼ終始、「討論」とは言いがたい質疑となった。
党首討論は英国議会の「クエスチョンタイム」をモデルに、政治家同士の議論で国会の活性化を目指すのが狙い。次期通常国会か一ら設置する「国家基本政策委員会」の試行として、今回は衆参両院の予算委員会合同審査会の形式で実施した。
トップバッターの鳩山由紀夫民主党代表は、企業・団体献金、介護保険見直しを挙げて「議論がくるくる変わってしまう。政治不信の原点だ」「選挙目当てだ」などと与党の迷走を批判。首相は「国民の信頼を失うことがあってはならない」と、政治家個人への企業・団体献金を禁止することを正式表明し、防戦した。
共産党の不破哲三委員長は、原子力の安全管理体制を追及。首相は「現時点の体制で全力を挙げていく」などと答弁したが、額賀福志郎官房副長官が差し入れたメモを棒読みする場面もあった。
土井たか子社民党党首が少数会派にも発言の機会を与えるよう迫ったが、首相は「両院の関係者で話し合って結論を出してほしい」と答えた。《共同通信》
野党党首が小渕首相と向き合って国の基本政策などを議論する初のクエスチョンタイム(党首討論)が10日午後、衆議院第1委員室で開かれた。記念すべきトップバッターをつとめた民主党の鳩山由紀夫代表は、企業団体献金禁止や介護保険見直しなどで迷走する自民党を「議論がくるくる変わる。政治不信の原点だ」「選挙目当て、自己保身だ」と厳しく批判し、防戦一方の小渕首相を圧倒した。
党首討論はイギリス議会のクエスチョンタイムをモデルに、政治家同士の議論で国会の活性化をめざすのが狙い。次期通常国会から設置される「国会基本政策委員会」の試行版として、今国会では衆参両院の予算委員会合同審査会の形式で実施された。委員会室の座席配置も与党・政府側と野党が向かい合う形に。傍聴の国会議員が通路近くまであふれ、委員会室は開始前から熱気に包まれた。
鳩山代表は、まず「国民は党首討論に期待している。首相の生の声を聞いてもらいたい」と述べるとともに、「総理が40分では短いと言ったのは本当か」と水を向けた。小渕首相は「各委員会でも討議する時間を増やしていきたい。衆参両院で審議して十分な時間をいただければ望ましい」と応じた。
●大きすぎて味がよくわからない「ピザ」
続けて鳩山代表は、「今日のこれからの予定は」と最初に聞くイギリスのクエスチョンタイムの慣習を意識してか、「首相は今朝何を召し上がってきたか。私は熱いピザを食べてきた。こんな質問なら官僚の助けを借りずに答弁できるでしょう」と、「冷たいピザ」と皮肉られた小渕首相にユーモラスな先制パンチ。首相は「いつも通りの日本食」と答えつつ、「オルブライト米国務長官からは『冷たいピザもおいしい』と言われたことがある」と切り返したものの、鳩山代表は「そのピザは一時おいしくなったと国民に評価されたが、大きくなりすぎて、味が混ざってよく分からなくなった」と自自公連立をやゆした。そして、この日の討論を欠席した小沢自由党党首や神崎公明党代表の出席を、小渕首相から要請するよう求めた。
これに対し、首相は「党首対党首をというのなら、議会で決めてほしい」と述べたが、鳩山代表に「それなら小渕首相の答弁を、3党を代表したものと理解する」と、意見がまとまらない自自公3党の弱みを突いた。
●くるくる変わる与党議員の軽い発言
鳩山代表は次に、「国会は国民によって選ばれた国会議員によって構成され、国民に最も近い場所にある。国権の最高機関だ」と小渕首相が示した「国会観」を受け、「最高機関だとうたわれる国会議員の言葉がどこまで重いか。介護保険や衆議院定数削減問題、企業団体献金問題でもくるくる言葉が変わるじゃないか。本来国会の中で最も責任を痛感しなければならない与党の議員の方々の発言がどうしてこんなに軽いのか。これが政治不信の原点だ」と攻撃した。首相は「国会議員として選ばれた者の言葉は極めて重い。国民の信頼を失うようなことがあってはならないと、私自身はそう戒めながら努力している」と白々しく答えた。
ここから鳩山代表の議論は各論に移り、「国会議員は法を作る存在として、法に対して最も厳しい存在でなくてはならない」として、リクルート事件で受託収賄罪が確定した藤波衆議院議員は議員辞職すべきだとして、自民党など与党の対応を批判した。小渕首相は「藤波議員は国会議員として選挙で選ばれた。選挙区の皆さんと相談して、自らの判断で考えるべき」とこれまでの答弁を繰り返した。
●2週間前の結論はどこへ?=政治献金問題
さらに、鳩山代表が「リクルート事件などを契機に政治家と金、企業の関係が批判され、5年たったら政治家個人に対する企業団体献金を禁止しようと約束した。ようやく自民党も守ると聞いたが」とただすと、小渕首相は「来年1月から受け取らないと、自民党も決めた」と正式に認めた。
しかし、鳩山代表は「つい2週間ほど前に自民党政治改革本部はそれとは全く逆の結論を出したはずだ。1年2か月かけて熱心に議論して『企業・団体献金の存続こそベストだ』と決め、党の総務会でも了承したと聞いている。それがあっと言う間にひっくり返った。結論は不見識だったのか」と、その迷走ぶりを突き、さらに「結論は評価したいが、『抜け穴があるから大丈夫だ』という声も自民党内からは聞こえてくる」と指摘し、先に民主党が国会に提出している禁止法案に賛成するよう迫った。
小渕首相は「与党三党で法案を提出することになるのではないか」と逃げたが、鳩山代表は「私たちの法案に賛成できないのはメンツにこだわっているだけ。商工ローンの法案(出資法改正案)も同じ。やっぱり国民は、与党で議論して抜け穴や裏マニュアルをつくるのかと見てしまう。自民党の発想は『選挙で負けるから』『国民は厳しいから』というもの。あなたたちの発想は自分たちの保身のためだけじゃないか」とたたみかけた。小渕首相は「けっして抜け道など考えていない。国民の理解を求めたい」と答えるのが精一杯だった。
●どちらが与党かわからない=介護保険
最後に鳩山代表は、介護保険を取り上げ、「自民党の迷走ぶりは何だ。どちらが与党でどちらが野党かわからない。民主党はスタートから保険料を徴収し、欠陥があれば修正していこうと政府を叱咤激励してきた。自民党の突然の豹変は選挙目当てだ。女性や自治体のみなさん、そして小泉(純一郎元厚相)さんは大変怒っている」と声を荒げて攻撃した。小渕首相は「与党3党の連立が成立し、それぞれ保険料や家族介護手当で主張があったので、政府としては十分勘案してよりよいものをスタートさせたい」と、およそリーダシップの感じられない返答ぶり。
この日、小渕首相が逆質問で切り返す場面は全くなく、ほとんど防戦一方。この後の共産党の不破委員長や社民党の土井党首もそれぞれのスタイルで一方的に攻撃し、党首対決の第1ラウンドは野党側の圧勝に終わった印象が強かった。
◆自己採点は80点=鳩山代表が会見で
初のクエスチョンタイム終了後、国会内で記者会見した鳩山代表は「気楽に答えてもらうために、朝食は?とたずねた。ここは悩んだ部分」と冒頭の質問について説明。「介護保険についてもっと質問をしたかった」「憲法の論議を最初にして、クエスチョンタイムで憲法を大いにやろうというサインを出した」など述べるとともに、介護保険や企業・団体献金禁止などで「朝令暮改というより朝令昼改」の小渕総理を「政治家の発言の重みをもっと自覚して欲しかったが、不十分だった」と批判。自分の質問は8割(80点)位、総理の答弁は5割(50点)位と採点した。
また鳩山代表は、今後の討論にむけて「回数を重ねるごとに厳しく追及する形にして、自自公の体質、政策の不一致、朝令暮改の内閣であることを証明していきたい」と闘志をかき立てているようだった。《民主党ニュース》
【民主党ニュース】
都道府県に原子力防災センターを常設/党の原子力防災対策まとめる
民主党は10日、ネクストキャビネットの閣議を開き、原子力防災法プロジェクトチーム(座長=平野博文衆議院議員、事務局長=内藤正光参議院議員)がまとめた「原子力防災対策」と「原子力安全規制対策」を了承した。松沢成文・文教科学技術担当大臣が国会内で記者発表した。
同プロジェクトでは、事故翌日の10月1日に現地をいち早く視察した鳩山代表が表明した「原子力防災法の制定」の意向を受け、急ピッチで検討作業を続けてきた。その結果、今回の事故を重く受け止め、「事故は起こりうる」という発想に立った防災、安全対策をまとめた。
民主党の「原子力防災対策」は、(1)事故発生時の初動体制の充実と現場での事故対応の重要性を踏まえ、事故対策本部は都道府県知事を本部長とし、機能強化を図る。また国の責務を明確にする。(2)都道府県に原子力防災センターを設置し、平時から防災専門官が常駐する。(3)都道府県知事は原子力防災連絡協議会を設置し、平時から活動し、関連組織との防災上の連携を強化する。(4)平時、有事における情報伝達体制の確立を図る――の4項目が柱。
さらに、放射線等のモニタリング体制の整備と情報公開を事業者に義務づけている。
また、勧告はできても執行権限がなく、安全規制面での権限が十分ではない現在の「原子力安全委員会」のあり方を見直して、安全規制部門を原子力政策の推進行政部門から分離し、公正取引委員会のような国家行政組織法第3条に基づく行政組織とする。
その上で、安全規制に対するすべての責任と県現を持ち、安全規制面での強制的検査の権限も持たせるものとしている。
政府案が来週16日の衆議院本会議に上程されることが固まったことから、民主党ではその内容を見た上で、対案を提出するか、修正を政府に要求するか検討することにしている。
伊藤英成NC大臣が河野外相を痛烈批判
衆院外務委員会で10日、民主党ネクストキャビネットの伊藤英成外交・安全保障担当大臣が河野洋平外相と初対決した。
伊藤議員は最初に「信頼は外交の最も重要な部分だ。河野外相が2度目の外相に任命されたのは国の内外から信頼されているからではないか」と持ち上げた上で、「保保連立はけっしてやるべきではない」と述べたり、宗教団体と極めて密接な関係にある政党の政権参加に危惧を示した過去の河野外相の発言や、衆院本会議での政治倫理問題や企業団体献金禁止問題に対する主体性のない答弁を引き合いに出し、「選挙目当て、場当たり的だ。そのような変節の連続といえる状況ならば、外務大臣として他の国と外交をやっていくのは大変だ」と強烈に皮肉った。
また伊藤議員が北朝鮮との国交正常化問題について見解をただしたのに対し、河野外相は「きわめて重要なことだと思っている。今のような関係でいいのだろうかという思いは多くの人がもっている」と述べ、前向きに取り組む考えを示した。
また伊藤議員が、北朝鮮が今年8月に日本による植民地支配などに対する謝罪と保証を求める政府声明を発表したことに対する見解を求めたのに対し、河野外相は「日本との間の関係について北朝鮮が何か考えていると見るのが当然だ、関係改善という場がそれによってできるかもしれない」と述べ、北朝鮮も正常化交渉に関心があるのと見方を示した。
介護保険/衆院厚生委で集中審議
衆議院厚生委員会で10日、介護保険制度に関する集中審議が行われ、民主党から4議員が質疑に立ち、政府与党の姿勢を追及した。
「政府案のさらなる見直しはあるのか」――最初に質問に立った民主党ネクストキャビネットの山本孝史・厚生担当副大臣は、3党合意の有効性について質した。「総理が判断した最終案で変更はない」と言い切る丹羽厚相に対し、自由党の小池百合子経済企画庁事務次官、公明党の大野百合子厚生政務次官はそろって「自分は政府の一員で答える立場にない」と逃れるばかりで、曖昧な対応に終始した。
また山本議員は、参考人として、地方自治体などの関係者と、家族介護についての議論を深めるため亀井静香・自民党政調会長を呼ぶよう要求。「介護・年金・医療をセットにしなければ社会保障の全体像は見えてこない。介護が片付かないと年金に審議入りはできない」と、参考人招致の早期実現を迫った。
休憩後、2番手で質問に立った五島正規議員は、「健保や国保の財政状況の違いは、介護保険制度により生じたものでなく、医療保険下における財政状況の違いにより生じたものである」とし、「保険医療の抜本改革なしに、保険財政の悪化した保険者に国費を投入するのは、給付と負担の関係が不明確になり、保険者機能を弱めるのではないか」と早期の医療保険の抜本改革を迫った。これに対し、丹羽厚相は「審議会での作業日程も遅れており、医療保険制度の抜本改革は来年4月の介護保険制度スタート時までにできるかどうかわからない」と答弁。政府の怠慢が明らかになった。
クエスチョンタイムをはさんで再開後、質問に立った中川正春議員は市町村の対応について、「市町村によっては、徴収をするところもあると思う。その場合交付金は支払われるのか」と、基金に積立てて将来の保険料軽減に使う等の市町村の対応の可能性について質した。
丹羽厚生大臣は、「そうした場合、交付金は支払えない。保険料の徴収は自治体独自の判断に任せるが、交付金の趣旨は保険料の免除・軽減のためである」とし、ペナルティではないが混乱を招くだけであると、「地方分権の趣旨から交付金の使徒は市町村に任せたら」という中川議員の意見を否定した。
最後に質問にたった石毛えい子議員は、「家族介護の支援のあり方の議論はどういう想定でいつ結論を出すのか」と追及。
丹羽厚相は「亀井氏は『現金給付を法の中で』と主張していたが、さまざまな議論を経て法の枠外としての政府案となった。幅広い議論をし平成13年末までを目途に決めたい」と答弁。これに対し石毛委員は「枠外というが、動き始めれば社会的な介護サービスがバックボーンに影響を及ぼす」と指摘し、亀井議員を参考人として呼ぶよう重ねて要求した。
さらに、石毛議員は慰労金支給に際し、「介護度4、5相当の場合で、認定することがあり得るのなら、制度の目的外使用であり、プライバシーの侵害につながる」と指摘。これに対し大野政務次官は「4・5の人は認定されたという意味でない。市町村判断だ。認定と支給はイコールではない」と苦しい答弁を繰り返した。
最後に石毛議員は、「入所施設が圧倒的に多い現状の中で、美風という空疎な議論があるが、安心できるサービスの質と量をどう充実させていくのかという議論にこそ、政府のリーダーシップを発揮すべき」と提言し、質問を終えた。
不祥事続く神奈川県警に検察のメスを/枝野、坂上両議員が追及=衆院法務委
衆議院法務委員会で10日、一般質疑がおこなわれ、民主党から坂上富男議員と枝野幸男・政調会長代理が質問に立ち、神奈川県警における一連の不祥事などを取り上げた。
枝野議員は、「警察が身内の警察官の犯罪に対して、断固たる措置を取ることは、必ずしも期待できない。警察官の犯罪には、外部の組織である検察庁が積極的に対応する必要がある。」と指摘。臼井法相と山本政務次官は、一次的な 捜査機関はあくまでも警察であるとしながらも、検察庁の役割が重要であることを認め、適切な対応を約束した。
また、枝野議員は、消費者契約法に関する経済企画庁の検討が、消費者保護の観点から後退していることを指摘し、民法を所管する法務省の責任が重大であることを主張。臼井法相らもこれを認めて、積極的な対応を約束した。
なお、民主党は、独自に消費者契約法を議員立法で提出することを目指し、消費者問題部会(部会長=石毛えい子衆議院議員)において、その最終的な取りまとめ作業を進めている。
岡田NC大臣が宮澤蔵相を追及
衆議院大蔵委員会では10日、民主党ネクストキャビネットの岡田克也財政・金融担当大臣が質問に立った。 岡田議員は、長く日本の財政金融の責任ある立場にあった宮澤蔵相に「現在の日本のこういう金融の状況はどこで失敗し現在のような状況になったのか」と、認識をただした。蔵相は「プラザ合意以降の日本通貨の上昇、それからくる日本経済の変貌、バブルがありバストがありという中で、金融機関が苦労をしてこなかった」「国際化の波が押し寄せてこない中、護送船団行政に甘んじていた。大蔵省の金融行政にも問題がある」と述べた。
岡田議員は「プラザ合意以前から、すべて大蔵省の一存で決まり、自己責任やリスクの感覚がなくなった。護送船団方式の影響が強い」と指摘。蔵相も「護送船団方式に守られ、のほほんとしていた」と非を認めた。
そこで岡田議員は、宮澤蔵相の92年の自民党セミナーでの発言をとらえ、「当時から不良債権問題の深刻さについて十二分に認識していたのにもかかわらず、なぜ実態を明らかにし、対応できなかったのか」と批判した。蔵相は「私にその資質がなかったとしか言えない。産業界にも金融救済に嫌悪感があったし、役人にも余計なことを総理大臣にはしてほしくないという雰囲気があった」と弁解。岡田議員は「その時の一番力の持っていた宮沢総理が本気になればできたのではと言う気がしてしかたがない」と、宮澤蔵相を責めた。
また岡田議員は、越智道雄金融再生委員長が93年の予算委員会で当時の石田幸四郎総務庁長官に公明党と創価学会の政教分離問題を攻撃していたことを指摘し、「宗教団体が政治に対して口を出すことも含めて政教分離に反すると考えるのか」とただした。
越智委員長は「私は政治と宗教は、どっちがどっちに影響力を行使することも好ましくないとの政治的信念を持っている」と述べたが、岡田議員は「それは、『政教分離とは政治が宗教へ介入することを禁じているのであり、その逆ではない』との、先日の小渕首相の答弁とは矛盾する」と指摘した。
佐藤NC大臣が玉沢農相の発言を追及
衆参両院の各委員会では10日から一般質疑が行われ、民主党ネクストキャビネットの担当大臣と現職閣僚との初対決が次々と火ぶたをきった。
「自公連立はないと言った人が政権の中にいていいのか」。――10日の衆議院農林水産委員会で、ネクストキャビネットの環境・農水担当大臣の佐藤謙一郎議員は、玉沢徳一郎農水相が、反創価学会の宗教団体やジャーナリストがつくる「四月会」総会で、「自公連立は、将来にわたって絶対にない」と発言していたことをただした。これに対し、玉沢農水相は「今日の日本の現状を考えた場合、安定した政治運営が大事。意見を同じくする政党と協議をするという小渕首相の考え方。やむを得ない」と開き直った。
さらに「政教一致なのか分離なのか」との追及には、「政治権力を通じて、一つの宗教のみをもって他の宗教を弾圧することがあれば問題だが、まだそんな事態には至っていない」と危うい答弁ぶり。
佐藤議員は、また先の通常国会で成立したPRTR法について業所管庁としての対応を大臣に尋ねたが、「環境庁、通産省で具体的に進んでいる」と全く自覚に欠けた答弁に終わった。
また先ごろ120億円の予算を追加して2006年までの工期延長が決まった「諫早湾干拓事業」について、佐藤議員は「工期を先に決めて、2001年に再評価するというのは矛盾ではないか」と追及した。執拗な質問に玉沢農水相は「諫早干拓は必要だ」と強調しながら、その理由としては「防災対策では効果を上げている」と繰り返すばかりで、農地の必要性に関しては一切言及せず、ボロを出した形。
関連して、「これまでの農業関連公共事業でムダだったものはないのか」との佐藤議員の質問には、「農業予算で始めた公共事業が、農業以外のところに使われても、土地として提供され、かかった費用は回収されている」と、大臣として無責任な姿勢を露呈した。(記事提供:佐藤事務所)
有権者の問題提起、重く受け止める/衆院選挙制度最高裁判決で談話
衆院選の重複立候補制や選挙区間の人口格差などを合憲とした最高裁判決について、民主党は10日、ネクストキャビネットの松本龍分権・政治行政改革担当大臣が、「有権者の真摯な問題提起を重く受け止める。(格差解消など)何ら改善に取り組もうとしない与党、政府の怠慢を今後とも厳しく追及していく」とする談話を発表した。
談話ではまた、重複立候補制に関連して、「小選挙区で法定得票数に達しなかった者が結果として議席を得ることは、有権者の理解を得られないことも当然だ」と指摘。選挙制度改革に今後とも取り組む姿勢を表明した。
定期借家権制度導入を承認 与党との修正協議で住宅弱者救済策求める
民主党は10日のネクストキャビネットの閣議で、定期建物賃貸借制度(定期借家権)の導入を柱とする「良質な賃貸住宅の供給に関する特別措置法案」の修正に関する党の考え方をまとめた。前原誠司・社会資本整備担当大臣が、借家制度プロジェクトチーム(座長=前田武志衆議院議員、事務局長=小川敏夫参議院議員)の検討結果を報告、了承された。
まず、「定期借家制度の導入」を認めた上で、導入の条件として、(1)小規模住宅(住戸専用面積50平方メートル以下)の除外(2)契約時に交付文書による説明義務(3)裁判所の許可による期間延長を認める借家人の救済措置(4)新制度の周知期間確保のため借地借家法改正分の交付から1年後の施行――の4条件をつけ、戦前から続く借地借家制度からの移行をスムーズにする。
また、良質な賃貸住宅制度の供給策としては、(1)「住宅性能表示制度」を任意制度から義務化し、住宅市場の透明性を高める。(2)「住宅弱者対策」として、家賃補助などを含めた良質な公共住宅計画をしっかりと定めること――をあげている。
法案については与党側も民主党との修正協議に応じる構えを見せており、民主党では建設委員会理事会の場での修正協議の場で、これらの考え方を反映させていく方針だ。
次の定期党大会は神戸で/鳩山代表が発表
鳩山代表は10日の定例記者会見で、次の民主党の定期大会を2000年1月16日に神戸で開催することを明らかにした。「阪神淡路大地震から5年。(被害者を)追悼するとともに、市民の努力で立ち直りつつある思いを共有したい。2000年というミレニアムに党大会を神戸で開く意義をかみしめていきたい」と大会を位置づけた。