平成3866日目

1999/08/09

この日のできごと(何の日)

【国旗国歌法】成立

日の丸・君が代を法制化する国旗国歌法は9日午後の参院本会議で自民、自由、公明3党と民主党、新緑風会の一部などの賛成多数で可決、成立した。採択結果は賛成166、反対71で、衆院の8割には及ばなかったが、投票総数の7割が賛成した。共産党、社民党、護憲連合は反対、自由投票で臨んだ民主党・新緑風会は衆院同様に賛否が分かれた。《共同通信》

日の丸を国旗、君が代を国歌とする国旗・国歌法が9日、参議院本会議で可決・成立した。

民主党は衆院と同様、君が代を法制化の対象から外し、日の丸を国旗と定めるだけの修正案を提出したが賛成少数で否決され、政府案には各議員それぞれの意思による自由投票で臨んだ。午後からの参院本会議での民主党・新緑風会所属議員の投票内訳は賛成20、反対31、棄権5だった。

国会での実質審議は計12日間、延長国会入り後の法案提出、会期末直前の採決など、法案審議の拙速さが最後まで目立った。

参院国旗・国歌特別委員会では9日、中央公聴会と、小渕首相も出席しての締めくくり総括質疑が行われた。

午前の公聴会では、民主党・新緑風会推薦の石川真澄・元朝日新聞編集委員など4人が意見を述べた。石川氏は「植民地であった朝鮮半島の人々に対する想像力が必要ではないか。先日も学校現場で職務命令に従わないことを理由に教師が処分された。日本ではお上にまつろわぬ人々を排除する政治文化がある」と性急な法制化に反対した。

民主党・新緑風会からは竹村泰子議員が「侵略戦争の旗印、天皇制の讃歌であった日の丸、君が代がそのまま法制化されることが許されるのか」と質問。石川氏は「法制化で在日の人が社会的に強制されないか危惧する。戦前からの継続性を選択したことに賛成できない」と述べた。

また教育現場への影響について、石川氏は「この10年で学習指導要領の記述が変わったが、国会を通過したわけでもないのに法規として扱われている」と現場での指導が強化される可能性を指摘した。

締めくくり総括質疑で、民主党・新緑風会のしんがりとして質問に立った足立良平議員は「国民統合の象徴としてなぜ国旗・国歌が必要なのか、総理の言葉として響いてこない」「2月25日の参院予算委員会で、総理は法制化を明確に否定しながらその1週間後、法制化の検討を野中官房長官に指示した。いかかなものか」と追及した。

小渕首相は「当初は諸般の情勢から法案化を控えていたが、法制化が望ましいとは考えていた。“よくよく考えた結果”法案を提出した。法的根拠がない、という教育現場における議論も踏まえた」と答えたが、足立議員は「提案理由になってない。結局野中長官と話し合って方針転換したとしか思えない」と小渕首相のご都合主義を批判した。

また「君が代」の「君」の解釈について、足立議員は「政府は従来慎重に避けてきたが、今回初めて明確に“象徴天皇”とした。政府による明確な統一見解は行うべきでない。国民それぞれの思いがあっていい」と、法制化に際して国民の大多数が納得し定着させるためのコンセンサスが無視されたことを非難した。

全質疑を終え、採決に先立って、江田五月議員が民主党・新緑風会の修正案(以下民主案)を趣旨説明した。挙手採決の結果、民主案は賛成少数で否決。続けて政府案には自民、自由、公明、参議院の会に加えて、民主党委員6人のうち3人が政府案に賛成した。

午後1時開会予定の参院本会議は、民主党・新緑風会など野党会派が本会議採決に難色を示して議院運営委員会で断続的な協議を続けたため、大幅にずれ込み3時すぎの開会となった。

民主、政府両案が緊急上程され、峰崎直樹議員が民主党案の趣旨説明を行った。会派としての賛否を決めなかった民主党以外の各会派代表の討論が行われたあと、採決があり民主党案は54対185で否決。続いて政府案が166対71で可決、成立した。《民主党ニュース》

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【自民党、自由党】「定数削減へ努力」確認

衆院比例代表定数50削減法案をめぐる攻防は9日、小渕恵三首相と自由党の小沢一郎党首が会談「自自合意実現に向けて最後まで努力する」ことを確認するなど、大詰めの調整が続けられた。

自民、自由、公明3党の国対委員長や衆院政治倫理・公選法改正委員会で同法案の審議入りを目指す新たな動きも表面化。公明党の草川昭三国対委員長は条件によっては審議入りに柔軟な姿勢をのぞかせたが、妥協点を見いだすには至らなかった。

自由党は9日の顧問会議を皮切りに、10日には全議員懇談会を開き連立離脱も選択肢に党内結束を図る方針で、政局は13日の国会会期末に向けて一層緊迫化してきた。《共同通信》

【第81回全国高校野球選手権大会】第3日

第81回全国高校野球選手権大会第3日は9日、甲子園球場で1回戦4試合を行い、春夏連覇を狙う沖縄尚学(沖縄)と都城(宮崎)福知山商(京都)柏陵(千葉)が2回戦に勝ち進んだ。沖縄尚学は五回に5−4と1点差に迫られたが、七回の浜田の本塁打などで徐々にリードを広げ、8−4で酒田南(山形)に打ち勝った。都城は八回、今泉の本塁打などで4点を奪って逆転。九回にも2点を追加し、粘る四日市工(三重)を7−4で振り切って、15年ぶりに初戦を突破した。福知山商は盛岡中央(岩手)に6−2で快勝。柏陵は清水が2安打完封と好投し、如水館(広島)を2−0で破り、甲子園初勝利を挙げた。《共同通信》

【TBS】盗撮社員を解雇

TBS(東京放送)報道局社会部記者のA容疑者(32)が、7月27日、東京都調布市の民家敷地内に忍び込み住居侵入の現行犯で逮捕された事件で、TBSは9日、A容疑者を「不正行為によって、会社の名誉を著しく傷つけた」として懲戒解雇処分にした。A容疑者は同社に対し、民家の浴室をビデオカメラで盗み撮りしようとしていたことを認めているという。

また、上司の管理責任を問い、三辺吉彦取締役報道制作局長を取締役社長室局長とした上、5カ月の減俸、平本和生報道局長も5カ月の減俸処分とした。羽生健二報道局ニュース編集センター長、高橋広成社会部長、神谷哲史副部長の3人も3カ月の減棒処分とした。

報道制作局長の後任には同日付で、橋津信義編成考査局長が就任。笠井青年メディアライツセンター長が編成考査局長を兼務することが決まった。三辺取締役が受け持っていた報道担当の役員担務は、佐藤虔一常務が代わって担当する。《共同通信》

【埼玉県熊谷市】車いすの男が銀行強盗、すぐ逮捕

9日午後3時ごろ、埼玉県熊谷市本町、足利銀行熊谷支店に電動車いすに乗った男が侵入、カウンター越しに女子行員に包丁を突き付け「11万円出せ」と脅迫した。女子行員に代わって応対した支店長代理(41)が「お金を用意している」などと引き伸ばした後、店内にいた男性客と行員が包丁を取り上げ、取り押さえた。けが人はなかった。《共同通信》

【長崎】原爆の日

長崎は9日、被爆から54回目の「原爆の日」を迎えた。長崎市松山町の平和公園では「原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が営まれ、被爆者、遺族、宮下創平厚相、伊藤宗一郎衆院議長ら約4000人が参列、犠牲者のめい福を祈った。

ユーゴスラビアのコソボ紛争など地域紛争が絶えず、核兵器使用の危険性が回避されない中、伊藤一長市長は平和宣言で、各国の指導者に核兵器廃絶を今世紀中に宣言するよう強く要請。一方、非政府組織(NGO)の活動を高く評価し、21世紀に向けて「世論が各国政府を動かせば、焼兵器廃絶は必ず可能」と強調した。

平和宣言で、伊藤市長は昨年5月のインド・パキスタンによる核実験などを挙げながら「核保有国は、時代錯誤の核抑止論に固執している」と批判した。

日本政府には「被爆国として核兵器廃絶に先導的役割を果たすべきだ」として、昨年に引き続き、日本と朝鮮半島にまたがる北東アジア非核地帯の創設への努力や、米国の「核の傘」からの脱却を求めた。《共同通信》

【ロシア・エリツィン大統領】全閣僚を解任

エリツィン・ロシア大統領は9日、5月に就任したばかりのステパシン首相と全閣僚を突然解任、腹心の旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身のプーチン安全保障会議書記兼連邦保安局長官(46)を第一副首相兼首相代行に任命した上、首相候補に指名し承認を求めるため下院に提案した。

下院は16日に首相承認審議を行う。大統領と対立するルシコフ・モスクワ市長の中道勢力が年末の下院選挙に向け糾合の動きを強めていることに危機感を抱く大統領が、政権人事の断行で政局の主導権回復を狙ったとの見方が強い。

大統領はこの日、下院選の12月19日実施を告示する大統領令に署名。続いてテレビ演説で、プーチン氏を自らの後継大統領候補と見なしている、と述べた。解任劇は選挙戦略と連動していることをうかがわせたが、大統領任期が来年夏に迫った政権の末期的な混乱ぶりを見せつけた。

解任された首相は昨年3月以降で4人目。在任期間2カ月半余りのステパシン氏は歴代首相の中では最も短命。

プーチン代行は共産党主導の下院で知名度が低く、下院での首相承認の難航から政局が再び混迷に向かう可能性が出てきた。内閣の不在が長期化すれば、昨年8月以降の経済危機の深刻化からようやく立ち直りの兆しが見え始めた経済にも悪影響を及ぼそう。

インタファクス通信によると、大統領はこの日、ステパシン氏とクレムリンで会談したが、解任理由は話さなかった。国内各紙などによると、ステパシン氏はルシコフ市長の中道政党「祖国」と「全ロシア」の選挙連合結成の動きに対して大統領周辺から連合結成阻止などの密命を受けていたが、同氏が消極的な姿勢を示したため政権側の不満が高まっていたという。

ステパシン氏は、共産党などの支持を受けエリツィン大統領と対立したプリマコフ元首相を大統領が解任した際に忠臣の切り札として起用され、下院の承認を獲得。「エリツィン後」に備える政権側の大統領候補になるとの見方もあったが、クレムリン筋によると、大統領側近らとの関係は決して良くなかったという。《共同通信》

【組織犯罪対策3法案】参議院法務委員会で採決

参院法務委員会は9日夜、犯罪捜査のための通信傍受の合法化を柱とする組織犯罪対策3法案について、自民党が質疑打ち切りの緊急動議を提出、民主党などの抗議を押し切って、自民、自由、公明3党が採決を強行、可決した。これを受け同日深夜の参院議院運営委員会理事会で、斎藤十朗議長が職権で本会議を10日午前に開会することを決定、3法案は同日中にも成立する可能性がある。

「採決無効」を主張する民主、共産、社民3党は荒木清寛法務委員長(公明)の解任決議案を共同提出する構え。さらに民主党は10日にも衆院に小渕内閣不信任決議案、参院に首相問責決議案をそれぞれ提出する方針で、13日に会期末を控えた国会は最大のヤマ場を迎えた。

可決されたのは「通信傍受法案」「組織的な犯罪の処罰・犯罪収益の規制法案」「刑事訴訟法改正案」の3法案。このうち通信傍受法案は、衆院段階で、自自公3党の共同修正で対象犯罪を薬物、銃器、集団密航、組織的殺人の四類型に限定されたが、日弁連などは「憲法の保障する通信の秘密、プライバシー保護を侵害する恐れがある」と反対している。

衆参の審議の中で①傍受対象が無限定に拡大する②乱用防止策としての立ち会いや事後通知が不十分③警察の情報収集に乱用される恐れがある−などの疑問が出た。

9日夜の参院法務委員会では、自民党が民主党議員の質問中に突然、質疑打ちきり動議提出。これをきっかけに、与野党の議員が入り乱れて委員長席に駆け寄り、マイクを奪うなど一時委員会室は大混乱した。委員以外の野党議員も詰め掛け、「採決無効」などやじや怒号に包まれた。民主、共産、社民3党は「異常な事態での議事進行で採決に至っていない」として斎藤議長に審議のやり直しを申し入れたが、同議長は議運委での与野党調整にゆだねる考えを示すにとどまった。《共同通信》

通信傍受(盗聴)法案など組織犯罪対策3法案を審議している参議院法務委員会は9日夜、荒木清寛委員長(公明)が、民主党・新緑風会の円より子議員の質問中に自民党議員の動議を受けて一方的に審議を打ち切り、衆院同様に「数の暴力」で強行採決に踏み切った。

民主党・共産党・社民党・参議院の会はこれに抗議し、同日、斎藤十朗参議院議長に対し、各会派の参院幹事長、国対委員長が「法務委員会は異常な事態での議事進行であり、採決は不存在」として、法案を委員会に差し戻して審議をやり直すよう申し入れた。暴挙に出た自民・自由・公明側は「採決は成立した」と強弁している。

参院議院運営委員会では10日朝から、採決の正否をめぐって断続的に与野党の協議が続けられているが、受け入れられない場合は民主党・新緑風会は荒木委員長の解任決議案を参議院に提出する方針。

この日の委員会は、理事会の合意のないまま、荒木委員長が職権で強行開催したもの。参院分館4階の第43委員室には、民主党・新緑風会所属の全議員など与野党の議員100人近くが委員席を取り囲んで傍聴した。野党の法務委員の一部は着席せずに、強行開催に抗議の意思を示し、異様な雰囲気の中で審議はスタート。

午後8時過ぎ、円より子議員が質疑に立ち、まず委員会の強行開催に強く抗議し、「私たちの意志に反した委員会だが、委員長が強行採決などをしないよう、国民の怒りを代表して出席した」と表明。続いて、「要求した総理出席の総括質疑や、通産、郵政、自治大臣出席の連合審査のいずれも実現していない」と荒木委員長の委員会運営を批判するとともに、憲法59条第4項の参議院の「みなし否決」規定を盾に、採決を迫る与党側を「脅迫であり、国民軽視と非難されるべき」と牽制した。

円議員はさらに、これまでの審議の中で明らかになった盗聴法の問題点を列挙。“通信傍受法があればオウム事件は防げた”との陣内法相発言を「国民の不安をあおることによって法案の必要性を印象づける卑劣なやり方」と断じ、また政府側が法案成立を急ぐ理由とする国際的な要請についても、「国際組織犯罪条約はまだ審議中で採択されていない」「条約の内容が確定していないのに国内法整備を急ぐのはおかしい」と批判した。

午後8時50分頃、円議員が再度、小渕総理への総括質疑を要求し、理事懇談会を開くよう迫り、荒木委員長が「今はできない」と青ざめながら言葉を詰まらせた瞬間、突然鈴木正孝議員(自民)が手をあげ質疑打ち切り動議を出した。一斉に与野党議員が委員長席に詰め寄り、大混乱となった。その後、荒木委員長の議事進行は全く聞こえず、そのまま衛視に囲まれて公明党の議員控室に逃げこんだ。

強行採決を受けて、民主党・新緑風会は参議院議員総会を開き、今後の対応を協議。駆け付けた菅代表と羽田幹事長は「皆さんの怒りをもっての行動は国民に理解される」と激励した。

また角田義一参院幹事長は「委員長職権で決めた質疑さえさせない委員長は辞めてもらうしかない。この暴挙はぜったい許せない」、本岡昭次参院議員会長は「民主党の理事の質問中に審議を打ち切るのは野党第一党である民主党に対する挑戦だ。強い憤りをもって今後に臨む」と述べ、それぞれ自自公三党に対して怒りをあらわにした。

その後、北澤俊美参院国対委員長が共産、社民両党の国対委員長とともに記者会見し、「審議すればするほど法案の欠陥が明らかになった。この法案はこの国会で成立すべきものではない」と述べた。《民主党ニュース》

【ジャッキー佐藤さん】死去

空前の女子プロレスブームを巻き起こし、デビュー曲「かけめぐる青春」が大ヒットした元「ビューティ・ペア」のジャッキー佐藤さんが9日午前8時41分、胃がんのたの川崎市川崎区の病院で死去した。41歳。神奈川県出身。

昭和50年、女子プロレスラーとしてデビュー。翌51年にマキ上田さんとビューティ・ペアを結成し、WWWA世界タッグ、同シングルの王座獲得するなど全日本女子プロレスの女王として活躍。バラエティー番組や映画にも出演し、女子中、高生らの人気を集めた。引退後は首都圏で体操教室を開いていたが昨年10月、胃を手術。今年3月から再び入院していた。《共同通信》



8月9日 その日のできごと(何の日)